コラム

離婚慰謝料に時効がある!?時効の権利を守る対処方法を解説

離婚慰謝料を請求するときには「時効」に注意が必要です。基本的には「離婚後3年以内」に請求しないと権利が消滅してしまいます。
権利を時効から守る手段として、内容証明郵便を相手に送ると半年間時効を延長でき、裁判をすると時効を更新して10年間延長できます。離婚後に慰謝料請求を検討されている方は、早めに行動しましょう。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。

1.離婚慰謝料とは

離婚慰謝料とは、離婚の際に請求できる慰謝料のことです。婚姻中に相手に「有責行為」があったときに慰謝料請求する権利が発生します。

有責行為とは、婚姻関係を破綻させる行動です。以下のようなものが有責行為の典型例となります。

  • ・不貞(肉体関係を伴う不倫)
  • ・暴力
  • ・モラルハラスメント
  • ・生活費を支払わず、相手を困窮させる

有責行為は「不法行為」の一種です。不法行為とは、「故意や過失により、被害者へ損害を発生させる違法な行為」をいいます。不法行為としての有責行為が行われると、相手配偶者は大きな精神的損害を受けるので、その苦痛を和らげるための「慰謝料」を請求する権利が発生します。このように、離婚慰謝料は「不法行為にもとづく損害賠償請求権」の一種といえます。

離婚慰謝料を請求する時期

離婚慰謝料は、離婚を余儀なくされたことについての慰謝料ですから、基本的に離婚時に請求すべきものです。ただ急いで協議離婚するケースやDV案件などで、どうしても離婚時に払ってもらえないケースもあるでしょう。そういった場合には、離婚後も離婚慰謝料を請求できます。

2.離婚慰謝料の時効

離婚慰謝料の時効

離婚慰謝料を離婚後に請求する場合には「消滅時効」に注意しましょう。
消滅時効とは、一定期間が経過すると権利が消滅してしまう制度です。権利があるのにずっと行使しない人には権利を認める必要がないという考え方から、法的に権利が失われてしまうのです。

離婚慰謝料は「不法行為にもとづく損害賠償請求権」の一種ですので、不法行為についての時効が適用されます。具体的には以下のとおりの期間です。

損害と加害者を知ってから3年間

離婚慰謝料の内容が確定して請求できるようになるのは離婚成立時ですので、「離婚成立時から3年間」が基本的な離婚慰謝料の時効期間となります。

離婚時に慰謝料の取り決めをしなかったとしても、離婚後3年間であれば請求可能です。
反対にいうと、離婚後3年間が経過したら離婚慰謝料を請求できなくなってしまう可能性があるので、離婚後に慰謝料請求するなら早めに行動しなければなりません。

3.相手の不倫を知らなかった場合の時効

配偶者が不倫していたら、離婚時に離婚慰謝料を請求できます。ただ、離婚時には相手の不倫に気づかないケースもあるでしょう。離婚後もしばらく不倫の事実を知らなかった場合、時効の計算方法はどうなるのでしょうか?

この場合「不倫の事実を知ってから」時効期間が進行します。不法行為にもとづく損害賠償請求権の時効は「損害と加害者を知ってから3年間」だからです。不倫に気づいていない状態では「損害や加害者を知っている」とはいえません。よってその事実を知ったときから3年が時効期間になります。

離婚後に相手の不倫を知った場合、知ったときから3年間は離婚慰謝料を請求できます。
ただし請求時期が遅くなると、相手から「離婚後3年以上経過しているので慰謝料は時効消滅している」と主張されるでしょう。対抗するには「離婚時には不倫を知らなかったこと」「離婚後一定時期が経過してから初めて不倫に気づいたこと」を立証する必要があります。

4.離婚後に慰謝料請求できないケース

離婚後に慰謝料請求できないケース

離婚時に「慰謝料を払わない合意」をしてしまった場合は、離婚後に慰謝料請求できない可能性があります。

協議離婚や調停離婚の際には、お互いに話し合って離婚条件を決定します。その中で「お互いに慰謝料を請求しない」「(慰謝料についての取り決めをしない状態で)お互いに債権債務関係が存在しない」と定めてしまうと、相手に有責行為があっても後に慰謝料を請求できなくなってしまいます。

相手が不倫していたり暴力を振るわれたりしていて離婚慰謝料を請求したいなら、協議離婚や調停離婚の際に「慰謝料を請求しない」「お互いに債権債務関係がない」などと定めてはなりません。「慰謝料については後日別途請求する」など、請求するための余地を残す必要があります。

5.離婚慰謝料の時効を止める方法

離婚後、3年近くが経過し、離婚慰謝料の時効が成立しそうな状況となったら、どうすれば良いのでしょうか?

5-1.相手に慰謝料支払い義務を認めさせる

一番手っ取り早いのは、相手本人に慰謝料の支払い義務を認めさせる方法です。
消滅時効は、債務者が支払い義務を認めると「更新」されます。時効が更新されると、また期間が0に巻き戻り、はじめからカウントのやり直しになります。つまり「時効を3年間延長」できるのです。

離婚後3年近くなってきたら、メールなどで相手に連絡して支払いを求めましょう。
相手が「払います」と回答すれば、時効が更新されます。ただし口頭で言われても証拠が残らないので、必ず文書で「離婚慰謝料を払います」と書かせて日付を入れて署名押印させましょう。

5-2.訴訟を起こす

支払い義務を認めるよう要求しても、応じないケースも考えられます。そういった場合には、慰謝料請求訴訟を起こしましょう。訴訟を申し立てると、その時点で時効の完成が猶予されます。その後判決が出て確定すると、その時点から時効期間が10年延長されて権利を守れます。つまり、離婚後3年以内に裁判を起こせばその時点で権利が保全され、裁判で勝てば時効を延長できるのです。

裁判は、相手が支払い義務を認めなくてもこちらから一方的に起こすことができます。時効が成立してからでは遅いので、早めに準備をして地方裁判所で「慰謝料請求訴訟(損害賠償請求訴訟)」を申し立てましょう。

5-3.内容証明郵便を送る

訴訟を起こせば良いといわれても、証拠集めや弁護士探し、訴状の作成などに時間がかかります。準備している間に3年が経過して時効が成立してしまうかもしれません。

裁判の準備期間が必要な場合には、取り急ぎ相手に「内容証明郵便」を使って慰謝料の請求書を送りましょう。裁判外で請求すると、時効の完成を6か月間猶予してもらえます。その6か月の間に慰謝料請求訴訟を起こせば権利が守られるのです。

内容証明郵便で慰謝料請求するだけであれば比較的短期間で実行することも可能です。すぐにでも行動して慰謝料請求権の消滅を防ぎましょう。

5-4.弁護士に依頼する

慰謝料の時効を止めるには、内容証明郵便で請求書を送ったり訴訟を提起したりする必要があります。訴訟で勝つには、証拠集めや法的な主張・立証活動をしなければなりません。一般の方がお一人で対応するのは困難でしょう。

弁護士であれば、有効な証拠集めの方法をアドバイスできますし、代理で内容証明郵便を送付したり訴訟を進めたりできます。確実に時効を止めるには、専門家である弁護士のサポートが必要といえます。

離婚後に慰謝料請求するなら、必ず弁護士に依頼しましょう。

まとめ

離婚慰謝料の時効は基本的に「離婚後3年間」です。離婚時に慰謝料を払ってもらわなかったなら、離婚後早めに請求手続きを進めましょう。迅速に的確な内容で手続を進めるためにはご自身だけでは難しいと思いますので、離婚トラブルに詳しい弁護士に相談して対応を任せることをお勧めします。

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