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2021.06.11

どう伝えたら?夫に離婚を切り出すときに、気をつけたいこと

離婚したい気持ちを相手に伝えるとき、大切なことは「しっかりした準備」と「冷静に伝える」ことです。熟年離婚で特に重要な財産分与では、自身の希望条件を明確にし、夫婦の資産を公平に分配する必要がありますが、感情的になると話し合いが決裂してしまう可能性も高まります。 話し合いで合意することができたら、離婚協議書を作成し、公正証書にまとめましょう。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、一橋大学大学院法務研究科修了。離婚、相続問題等の一般民事事件や刑事事件、少年事件、企業の顧問など、幅広い分野を取り扱う。
依頼者:オー美

結婚25年目、オー美の場合

こんにちは、熟年離婚で「リコカツ」を進めている50歳のオー美です。
結婚してから25年間、パートは続けていましたが、ずっと夫の扶養に入っていました。
最近勤務先で「正社員にならないか?」と誘いを受けています。

折しも冷戦状態になっていた夫が単身赴任先から帰ってくることになり、「これから一緒に暮らすのは難しい…」と思って離婚を決意しました。
冷戦状態になったきっかけは夫の不倫です。

今まで自分ひとりの経済力で生活した経験がないので不安はありますが、自身の収入と財産分与のお金でなんとかやっていけるかな、と思って前向きに考えています。

前回までのあらすじ

私達夫婦の離婚でいちばん問題になりそうなのが財産分与です。
離婚で財産分与するときは贈与税はかからないこと、子供に贈与する場合の税金について学びました。
夫に離婚を切り出したら財産隠しをする可能性もあるので、対応策を検討しなければなりません。
まずは自分で預貯金通帳などの資料をしっかりと集め、不足する部分は弁護士に依頼してみようと考えています。夫が離婚に応じない場合のことも考えなければなりません。話し合いでうまく協議離婚できればよいのですが…。

離婚の伝え方、財産分与の希望はどう切り出したらいいの?

財産分与や年金分割などの離婚条件については理解できたので、あとは夫に離婚の話を切り出すだけとなりました。

でもこれがとても難しいと感じます。
そもそも私と夫は離れて暮らしていて、長い間冷戦状態です。
いきなり電話して「離婚したい」と言ってもトラブルになりそうです。
かといって、夫に離婚を切り出さなければ、先に進めません。
また、財産分与の希望についてもどのように話せばよいのか迷っています。
離婚条件について合意ができたら「離婚協議書」を作成すべきと聞いたことがあるけれど、何を書けばいいのかも知りたいです。

弁護士が解説!離婚の切り出し方、離婚協議書に書くべきことや注意点

離婚の切り出し方

オー美さんは夫に離婚の話をどう切り出せばよいかわからなくて困っています。
離婚の意思を伝える方法について、法律的な定めや必勝法はありません。
一般的には以下の2点が重要となるでしょう。

  • ・ある程度時間の余裕があるときに話を切り出す
  • ・感情的にならず冷静に話す

もちろん、離婚を伝える前にしっかり資料集めを行って自分の希望する離婚条件を明確にするなど、綿密な準備が必要です。

オー美さんのように別居している場合、事前に相手に時間をとれるタイミングを聞いてアポを取り、できるだけ実際に会って「実は離婚したい」と伝えるのがよいでしょう。

相手が感情的になっても、つられてはいけません。
1回の話し合いで協議離婚が成立するケースはむしろ少数です。
落ち着いて、ある程度長いスパンで離婚協議を進めていきましょう。

財産分与の伝え方、話し合いの進め方

オー美さんのような熟年離婚の場合「財産分与の希望についての伝え方」も大切です。

財産分与の話し合いをするとき、まずは相手の資産内容の開示を受けるべきケースが多いでしょう。
ただ「こちらが一切情報をもっていない」と思われると財産を隠されるリスクが高まります。
事前にある程度調べておいて、相手に対し「こういった財産(預貯金や株式、積立投資など)もあるはずなので、詳細を開示してほしい」などと告げ「こちらが把握している」事実を匂わせながら開示を求めてください。

その上で、具体的に財産分与の方法を決めるときには遠慮せずに「2分の1ずつにしたい」と伝えましょう。
相手が「半分は渡せない」といっても妥協する必要はありません。

また不動産や車などの財産の評価が問題になったら、不動産会社や中古車ショップなどの専門業者に査定してもらいましょう。
話し合いをスムーズに進めるためには、あらかじめこれらの財産の査定をしておいて、相手方に具体的な金額を提示するのもよいでしょう。

離婚協議書に書くべきこと

話し合いの結果、財産分与や年金分割などの離婚条件がすべてまとまったら「離婚協議書」を作成しましょう。
離婚協議書とは、離婚条件を明らかにして当事者双方が署名押印して作成する契約書のような書類です。
きちんと財産分与について定めておくと離婚後に給付を受けやすくなります。
書類がないと、相手が約束していないなどと主張して決められた金額を支払わないトラブルも発生するので必ず書面化してください。

離婚協議書には以下のような内容を記載します。

  • ・当事者双方が離婚に合意したこと
  • ・財産分与の方法(不動産の分与、売却、車や保険や株式の名義変更、金銭支払いによる清算などとそれぞれの期日)
  • ・年金分割することと年金分割の割合(合意分割の場合)
  • ・慰謝料の金額と支払い方法、支払期日
  • ・離婚協議書に定める以外にお互いに債権債務関係が存在しないこと
  • ・日付
  • ・当事者それぞれの署名押印

なお熟年離婚で、お子様が成人している場合にはあまり関係がありませんが、未成年の子どもがいれば親権者や養育費、面会交流権についても定める必要があります。

公正証書にする

離婚協議書で、相手方から支払いを受ける約束をする場合には必ず公正証書にしましょう。
公正証書にしておけば、将来夫が支払いをしないとき、裁判手続きを経ずに相手の給料や預貯金、保険などを差し押さえられます。
そのことが相手にとってのプレッシャーとなり、支払い遅延を防ぐ効果も期待できます。

公正証書がないとあらためて訴訟や調停を起こさないと差し押さえ手続きができないため注意してください。

公正証書はお近くの公証役場で作成してもらえます。
その際、相手の協力が必要なので、事前に相手にも公正証書化について同意してもらっておきましょう。
公正証書作成には費用がかかります。
できれば、費用は折半にするのが望ましいですが、難しい場合には、費用を自分で負担してでも作成しておくことをおすすめします。

まとめ

熟年離婚で妻側が離婚を切り出すときには、しっかり準備をした上で冷静に話すことが大切です。
夫がすぐに離婚に応じなくても粘り強く交渉を進めましょう。
特に財産分与や年金分割については妥協すべきではありません。

自分で話を進めるのが難しい場合、弁護士に代理交渉を任せる方法が効果的です。
弁護士が出てきたら相手の態度が変わるケースも少なくありません。
まずは自分で離婚や財産分与の希望を伝えてみて、スムーズに話し合いが進まなそうであれば、弁護士にご相談ください。
また、ご自身で話し合いを進める場合にも、離婚協議書や公正証書の作成は弁護士に任せたほうが安心です。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

・財産分与について相手への提案の仕方、タイミングなど具体的なお話をご提案いたします。また、お話がまとまりそうな場合には、離婚協議書や公正証書の文案を作成し、確実に履行されるようにサポートいたします。
・相手との協議がまとまらない場合には、必要な手続きを取り、代理人として相手との交渉を行います。ご依頼者様の希望をできるだけかなえることができるよう、相手への提示方法などを工夫し、適切な財産分与が行われるようサポートいたします。

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