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2021.06.18

確実に受け取りたい!財産分与のよくあるトラブルと解決方法

財産分与でよくあるトラブルとして、離婚後に相手の隠し財産が発覚する、話し合いで解決できない、住宅ローンが高額なため離婚後も負債が残ってしまうケースなどがあります。財産分与をしないまま離婚しても、離婚成立後2年間であれば請求可能です。ただしいったん財産分与契約書を作成するとやり直しは困難です。
この記事では、「オー美」さんの事例を通じて財産分与のよくあるトラブルと解決方法について解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。
依頼者:オー美

結婚25年目、オー美の場合

私オー美は、夫との熟年離婚を進めている50歳です。
結婚期間は25年にもなるので、夫婦共有財産はかなりたくさんあると思います。
また夫は会社員なので厚生年金の年金分割も受けられる予定です。

夫は昔不倫していましたが、私は夫に対する関心を失っていますし証拠もあまりないので、慰謝料についてはあまりこだわっていません。
どちらかというと、しっかり財産分与を受けて、離婚後の生活に困らないようにしたいと思っています。

早く離婚したい気持ちは強いのですが、不利な条件で合意することになるのは嫌なので今は慎重に準備を進めているところです。

前回までのあらすじ

これまでは、熟年離婚で重要な財産分与や年金分割について、いろいろと学んできました。
どういった財産が分与の対象になるのか、相手の扶養に入っていても財産を2分の1の割合で受け取れるのかなど。
夫の退職金も財産分与対象になると知って安心しています。

また夫は会社員なので私は年金分割も請求できるとのこと。
先日、年金センターへ「年金分割の情報通知書」を申請したところ、自宅へ送られてきました。
数万円は私の年金が増えそうなので、離婚後の生活も少しは安心かな、と思っています。

これからは、いよいよ夫と財産分与の話し合いをしなければなりません。
その際、少し懸念事項があります…。

財産分与のトラブルが不安!離婚後の財産分与はできる?

夫と財産分与の話し合いをしようと思っているのですが、最近いろいろと不安に感じていることがあります。

もしも夫が話し合いに応じてくれなかったらどうしたらよいのでしょうか?
離婚するとなると、夫は全力で分与財産を減らそうと画策するような気がします。
「お前に渡す財産はない」といわれてしまうかも。
夫が財産を全部開示せず、気づかないまま離婚してしまう可能性もありますよね。

離婚時に財産分与の取り決めをしない場合、離婚後も財産分与の請求ができるのでしょうか?

家のことも気になります。
もしも家の価値より住宅ローンの方が大きくて残債が残ってしまう場合、私は住宅ローンを半分払わないといけないのでしょうか?
また、もしも私が、このまま今の家に住み続けることになったら名義変更しないといけませんよね。
名義変更の登記には期限などあるのでしょうか?
どうやったらいいのかもよくわからないので不安です。

弁護士が解説!財産分与でよくあるトラブルと解決方法、離婚後の財産分与について

住宅ローンが大きく債務が残るケース

自宅などの不動産がある場合、住宅ローンの残債が高額で自宅の価値を上回るケースも少なくありません。
その場合、家を売っても債務が残ってしまいます。

こういったオーバーローン物件の場合、家は財産分与の対象から外れます。
住宅ローンの残債は折半にならないので、離婚後は基本的に名義人が払っていくことになります。
ただし夫婦の間で話し合いを行い、お互いの負担割合を決めてもかまいません。
たとえば夫名義の住宅ローンを月々8万支払わねばならない場合、妻が夫に毎月4万円を支払うなど。
妻が家に住み続けるなら、こういった方法も検討してよいでしょう。

なお、そうした場合でも滞納したときには名義人に請求が来ます。

相手が財産分与に応じないときの対処方法

相手が財産分与に応じてくれず話し合いでは解決できない場合、どうすればよいのでしょうか?

まずは家庭裁判所で「離婚調停」を申し立てましょう。
調停をすると、調停委員が間に入って財産分与をはじめとする離婚条件を調整してくれます。
調停でも解決できない場合、離婚訴訟を起こせば裁判所が財産分与の方法を決めてくれます。

相手が納得しなくても財産分与を受ける方法はあるので、あきらめる必要はありません。

いったん財産分与契約書を作成したらやり直しはできない?

自分たちで協議して合意が成立し、いったん「財産分与契約書」や「離婚協議書」を作成してしまったら、基本的にやり直しは難しくなります。
たとえ後で気が変わったり「本当はもっとたくさんの財産をもらえたはずでは?」と思ったりしても、合意が成立している以上は撤回困難と考えましょう。
契約書や離婚協議書に署名押印する前に、内容をしっかり検討して納得することが大切です。
合意してよいかわからない場合、弁護士に相談しましょう。

ただし相手が悪質な財産隠しをしていてこちらが騙された(詐欺)、あるいは強迫されたなどの事情があれば、契約を取り消せる可能性もあります。

離婚後の財産分与請求方法

相手が強く財産分与を拒絶する場合、いったん財産分与をペンディングにして離婚のみ先に成立させるケースも少なくありません。
このように離婚時に財産分与の取り決めができなかった場合、離婚後も財産分与請求できるのでしょうか?

法律上、離婚後の財産分与請求もできます。
まずは話し合いを持ちかけてみて、相手が応じてくれない場合には家庭裁判所で「財産分与調停」を申し立ててみてください。

ただし離婚後の財産分与には「離婚後2年間」のうちに請求する必要があるという期間制限がありますので、離婚時に話し合いができなかったなら早めに行動に移しましょう。

不動産を分与するときの名義変更

財産分与により、自宅を分与されたら必ず早めに「名義変更」をしましょう。
ここでいう名義変更とは、不動産の登記名義を自分に移す手続きです。
財産分与を受けても名義変更せずに放置してしまう方が少なくありません。
放置すると誰が所有者かわからなくなって混乱が生じます。名義変更をしないでいる間に相手が不動産を第三者に勝手に売却してしまうということも起こり得ます。

ただし住宅ローン返済中は、金融機関の承諾なく名義変更してしまうと住宅ローン契約違反になってしまう可能性があるため、事前に金融機関へ相談することが必要です。

まとめ

熟年離婚の財産分与では、夫が財産分与を強く拒絶してトラブルになるケースが少なくありません。
また、法的な相場よりも少額な分与額を提案される可能性もあります。
いったん契約書に署名押印してしまったら、「法的な相場通りにしてほしい」と思ってもやり直しが難しくなるので注意しましょう。
離婚後の財産分与も可能ですが、2年間の制限が適用されます。

適切な方法で財産分与を受けて損をしないためには、法律の正しい知識が必須といえるでしょう。
オーセンスでは離婚や男女問題に積極的に取り組んでいますので、オー美さんのようにお悩みの方がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。

オーセンスの弁護士が、お役に立てること

財産分与は離婚条件の中でも金額が大きくなりやすい重要な項目のため、紛糾しやすい傾向があります。
また、本コラムでお伝えした通り、協議の時期や手続の選択といった点、対象となる財産の範囲や価格の評価、分与の方法など多岐にわたる事項を検討する必要があります。
相手に負けずにお客様ごとの最適解を得るためのお手伝いを致します。ぜひご相談下さい。

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