コラム

公開 2021.09.21 更新 2023.11.14

子ども名義の預金は財産分与の対象?離婚時に注意すべき財産分与について

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離婚するとき、夫婦の預貯金があれば、基本的には、財産分与の対象になります。

ただし、独身時代からの預貯金や、親から引き継いだ財産は、対象にはなりません。

まずは、何が財産分与の対象となるのか理解し、預貯金の財産分与を進めましょう。

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1.預貯金は財産分与の対象になる

夫婦いずれかの名義の預貯金は、基本的に財産分与の対象になると考えましょう。

財産分与とは、夫婦が離婚するときに「共有財産」を分け合うことです。婚姻中、夫婦が互いに協力して築いてきた財産は、「共有」になります。そのため、離婚時に、その「共有財産」について、お互いの取得分を決めて清算します。これが財産分与の基本です。

婚姻中に夫婦が得たお金を銀行に預けて「預金」とした場合、原則として「共有財産」になるので財産分与の対象となります。財産分与の基本割合は2分の1ずつなので、離婚時に夫婦のどちらかの名義の預金があれば「2分の1ずつ」に分割するのが基本ルールです。

2.財産分与の対象にならない預貯金

財産分与の対象にならない預貯金

ただし、すべての預金が財産分与の対象になるわけではありません。以下の預金は夫婦の一方の「特有財産」となり、財産分与の対象から外れます。

2-1.独身時代から持っていた預金

夫婦のどちらかが独身時代から所有していた預金は、財産分与の対象になりません。独身時代の財産は、一方配偶者が単独で形成したものであり「夫婦が協力して積み上げた財産」ではないからです。

2-2.独身時代の財産から派生した預金

婚姻中に得た預金であっても、独身時代の財産から派生した場合には財産分与の対象になりません。たとえば、独身時代に購入した株式を結婚後に売却し、売却金を預金口座に入金した場合、その売却金は、原則として財産分与の対象から外れます。

2-3.親から引き継いだ預金

婚姻中に得た財産であっても、親から引き継いだ預金は「特有財産」なので、財産分与対象になりません。たとえば、生前贈与や相続によって預金を得た場合です。

2-4.特有財産を立証する方法

独身時代から持っていた預金や親から引き継いだ預金は財産分与の対象になりませんが、それらの事実を主張するには「証拠」が必要です。
独身時代の預金であっても、結婚後に開設した口座へ入金してしまい、婚姻後の財産と混じってしまったら「共有財産」として扱われる可能性があります。

特有財産であることを証明するには、以下のような資料を保存しておかねばなりません。

  • 独身時代にお金を貯めた通帳
  • 独身時代の財産を売却した際の資料、独身時代にその財産を購入したことが分かる資料
  • 親から入金された履歴がある通帳

離婚時に特有財産であることを主張できるよう、上記のような資料はしっかり保管しておきましょう。

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3.子ども名義の預貯金と財産分与

預貯金を財産分与する際、よく「子ども名義の預金はどうなるのか?」が問題となります。

3-1.財産分与対象になる場合

子ども名義の預金が、財産分与の対象になるケースは少なくありません。親権者だからといって、必ずしも子ども名義の預金をそのまま管理できるとは限らないので、注意しましょう。

子ども名義でも財産分与の対象になるのは、親が自分たちの財産を入金している場合と考えられています。たとえば、父親や母親の給料などの一部を入金していた場合、財産分与の対象になると考えましょう。

3-2.財産分与対象にならない場合

子どもが、両親や祖父母等から贈与を受けたものは、その子どもの所有であり、子どもの特有財産であることから、財産分与の対象から外れます。

もっとも、子ども名義の口座に入金された経緯や、原資によって、扱いが変わりますので、個別のケースにおける取扱いを知りたい場合、弁護士までご相談ください。

4.へそくり、妻名義の預貯金と財産分与

へそくり、妻名義の預貯金と財産分与

預貯金の財産分与を検討するとき「へそくりはどうなるのか?」「妻のパートの給料を入金してきた口座はどうなるのか?」と疑問を持つ方もおられます。
これらも基本的に財産分与の対象になると考えましょう。
財産分与は、夫婦の「共有財産」を分け合う手続きです。妻がパート代を入金したものであっても、へそくりでも、婚姻中に夫婦生活において積み立てたのであれば共有財産です。

財産分与の話合いをするときには、互いの財産を開示しあって清算しなければなりません。ただし、何を財産分与の対象とするかは、当事者の意向によります。相手が「それについては、分けなくても良い」と言ってくれれば、分与する必要はありません。

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5.相手が財産を隠している場合の対処方法

預貯金の財産分与を行うとき、「財産隠し」に注意が必要です。預貯金は、不動産などの財産より、調査が難しく、隠しやすいので、隠し口座に気づかないまま財産分与を終えてしまう方も少なくありません。
相手の預貯金口座を把握するためには、金融機関から届いた通知なども、手がかりとなるでしょう。

まとめ

離婚の際、預貯金の財産分与が、争点となるケースは多々あります。まずは、どのような預貯金が財産分与の対象となるのか把握し、特有財産であることを主張するのであれば、その資料を準備しましょう。分からないことがあれば、早めに弁護士に相談してください。

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記事を監修した弁護士
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弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。企業法務から、離婚、相続問題を中心とした一般民事事件、刑事事件など幅広く取り扱う。
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