コラム

2021.10.05

離婚慰謝料の相場とは?当事者同士で決める際の注意点

離婚慰謝料の相場とは?当事者同士で決める際の注意点

離婚慰謝料の金額は、基本的に当事者同士が話合って決定します。
いくらにしなければならないという基準はありません。
ただ訴訟になると裁判所が金額を決定するので、法的な相場が適用されます。
今回は離婚慰謝料の相場について、弁護士が解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。

1.離婚慰謝料の金額にルールはない

1-1.離婚慰謝料とは

離婚慰謝料は、離婚するときに婚姻関係を破綻させた配偶者に対して請求できる慰謝料です。
慰謝料とは「精神的苦痛」に対する賠償金です。相手に責任のある事情によって婚姻関係を破綻させられた場合、被害者は大きな精神的苦痛を受けるので破綻させた配偶者へ慰謝料を請求できます。法律上「婚姻関係を破綻させた責任」を「有責性」といいます。

離婚慰謝料は、相手に有責性がある場合に請求できるものと理解しましょう。

1-2.離婚慰謝料が発生するケース

離婚慰謝料は、すべての離婚のケースで請求できるわけではありません。夫婦のどちらかに「有責性」がないと慰謝料は発生しないからです。具体的には例えば以下のような相手の行為によって婚姻関係が破綻したケースにおいて相手に有責性が認められ、離婚慰謝料を請求できます。

  • 相手が不倫した
  • 相手から暴力を振るわれた
  • 相手からモラハラ被害を受けた
  • 相手が家出した、正当な理由なく同居を拒否された
  • 相手が生活費を支払ってくれなかった

1-3.自分たちで話合う場合、慰謝料の金額を自由に定めてよい

離婚慰謝料の金額には、明確な決まりがありません。自分たちで話合って金額を決めるときには自由に定められます。10万円でも500万円でも構いません。
不倫だから300万円にしなければならない、DVだから200万円にすべき、などのルールはないので、自分たちの納得できる範囲で取り決めているのが現状です。

2.離婚慰謝料の相場とは

離婚慰謝料の相場とは

それでは当事者間では話合いがつかず、裁判になった場合にはどの程度の離婚慰謝料が認められているでしょうか。この「裁判をしたらどのくらいの慰謝料が認められるか」という相場の金額が、交渉段階における方針決定の参考にもなると考えますので、以下裁判所の判断の傾向をご説明いたします。
非常にざっくりとした切り口になりますが、離婚原因別の慰謝料の相場は以下の通りです。

  • 不倫が原因
    相手の不倫や浮気が原因で離婚に至ったとき、慰謝料の相場は100~300万円程度です。
  • DVやモラハラが原因
    相手による身体的暴力(DV)やモラハラ(精神的暴力)が原因で離婚に至った場合、慰謝料の相場は50~300万円程度となります。
  • 生活費不払いや家出、同居拒否が原因
    一家の大黒柱が生活費を支払わなかった場合や家出した場合、正当な理由なく同居を拒絶して婚姻関係が破綻したケースでは、慰謝料の相場は50~300万円程度となります。

上記はあくまで「一般的にそのくらいの金額になることが多い」程度のものであり、絶対的な指標ではありません。個別の状況に応じて増減額される可能性があります。

3.慰謝料が高額になる事情

以下のような事情があると、慰謝料は高額になります。

  • 婚姻期間が長い
  • 不倫の期間が長い、不貞行為の頻度が多い
  • 不倫相手が妊娠、出産した
  • 被害者がうつ病などの精神疾患を患った
  •    

  • 暴力を振るっていた期間が長い
  • 暴力の危険度が高い
  • 暴力によって被害者に後遺症が残った
  • モラハラの態様が悪質
  • 反省の態度が見られない
  • 未成年の子どもがいる、子どもの人数が多い

4.慰謝料が低額になる事情

慰謝料が低額になる事情

以下のような事情があると、慰謝料は低額になる傾向があります。

  • 被害者にも落ち度があった
  • 従前から夫婦関係が円満でなかった
  • 不倫の期間が短い、不貞行為の回数が少ない
  • 暴力の回数が少ない
  • 加害者側が反省し、誠実に対応している
  • 加害者側が失職など社会的制裁を受けている

5.当事者同士で離婚慰謝料を話合うときの注意点

離婚慰謝料は、基本的に当事者同士で話合って定めます。その際、以下のような点に注意しましょう。

5-1.証拠が必要

慰謝料請求には証拠が必要です。確かに相手が証拠なしで支払いに納得すれば証拠は不要ですが、多くのケースでは証拠がないと支払いを拒絶されてしまいます。
不倫のケースなら配偶者と不倫相手の「肉体関係」を証明できる証拠、DVのケースなら暴力を振るわれた証拠、モラハラの場合なら日頃から暴言を吐かれている事実がわかる録音やメールなどの証拠を集めましょう。

5-2.支払い能力に応じた金額を設定

話合いで慰謝料の金額を決める場合、重要なのは「相手の支払い能力」です。例えば収入や資力の低い相手から300万円、500万円といった高額な慰謝料を受け取るのは難しくなるでしょう。少額の慰謝料でも分割払いを主張されるかもしれません。
一方相手が高収入なら1,000万円の慰謝料も現実身を帯びてきます。

また「財産分与」や「養育費」の取り決めをする場合、それらの支払いとも調整もしなければなりません。
重要なのは有利な慰謝料額を取り決めることではなく、合意した金額を実際に相手方から回収することであると考えると、相手方の支払い能力を超えた金額を合意したとしてもあまり有意義ではなく、かえって相手方の任意の支払いに期待できなくなって回収がより困難になることもあります。
慰謝料を決める時には、相手の有責事由の悪質性や婚姻期間だけではなく「相手にどの程度の支払い能力があるか」という点も含めて検討しましょう。

5-4.交渉が難しければ調停を利用する

自分たちで慰謝料の金額について交渉しようとしてもスムーズに進まないケースは多々あります。自らが離婚の原因を作ったということを積極的に認める方は多くありませんし、往々にして被害者と加害者とでは問題についての認識に温度差があります。特にDV事案では、被害者が加害者と対等の立場で慰謝料の話合いをするのは難しくなるでしょう。さらなる暴力の被害を受けてしまうおそれもあります。

自分たちだけで話合うのが難しければ、裁判所の「離婚調停」を利用してみてください。間に調停委員が入るので、直接交渉よりも話がまとまりやすくなります。

また弁護士を代理人に立てて交渉していく方法も有効です。弁護士であれば法律的な観点から相手を説得しつつ交渉できるので、有利に解決できる可能性が高くなります。

まとめ

婚姻中、不倫や暴力など相手の有責原因によって迷惑をかけられたなら、離婚慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料には一定の相場がありますが、自分たちで決める場合には明確なルールはありません。
弁護士に相談すると有利な条件を定められる可能性が高くなりますので、離婚協議をお考えの方は、ぜひご相談ください。

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