コラム

公開 2021.12.07 更新 2021.12.10

熟年離婚の財産分与で損しないために!主婦が知っておくべきポイント

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婚姻期間が長期にわたる「熟年離婚」のケースでは「財産分与」が非常に重要です。

離婚後のご生活でお困りにならないよう、なるべく高額な財産分与を受けましょう。

この記事では、財産分与の種類のほか、退職金や財産隠しについてなど、

熟年離婚の財産分与で損をしないためのポイントを紹介します。

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財産分与の種類

財産分与とは、離婚時に夫婦共有の財産を分け合うことです。
婚姻中は財産の一部が夫婦の「共有状態」となっています。
ただ離婚すると夫婦は他人になるので、共有のままにしておくことができません。
そこで、それぞれの取得分を取り決めて、財産を分け合う必要があります。そのために行うのが財産分与です。

財産分与には以下の3種類があります。

  • 清算的財産分与
  • 扶養的財産分与
  • 慰謝料的財産分与

離婚の場合、一般に行われるのは、清算的財産分与です。
扶養的財産分与や慰謝料的財産分与は特殊な事情がある場合に行われます。

清算的財産分与

夫婦が共同して財産を清算するための財産分与です。
一般的に「財産分与」という場合、清算的財産分与を指すケースが多数です。

扶養的財産分与

清算的財産分与が行われてもなお、離婚後、生活に困窮する可能性のある配偶者がいる場合に、
生活費を援助するための財産分与です。
たとえば、専業主婦だった妻が離婚後に働くことができない場合、
離婚後しばらくの期間、生活費として夫から妻に月額10万円程度を援助するというケースがあります。

慰謝料的財産分与

不倫をするなど、一方の配偶者が離婚の原因を作った場合に、慰謝料代わりに財産分与を行うケースがあります。
それが慰謝料的財産分与です。
たとえば婚姻中に夫が不倫して妻に精神的苦痛を与えた場合、財産分与として数百万円上乗せしたり自宅を分与したりする例があります。
もっとも、一般的には、慰謝料は慰謝料として、財産分与とは別に決めることが多いです。

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熟年離婚の場合、財産分与額が高額になる傾向があります。
婚姻期間が長いため、積み立てた財産額も大きくなるためです。
婚姻年数が25年を超えると、1,000万円以上の財産分与を請求できるケースも少なくありません。
離婚後の生活を守るため、財産分与は非常に重要な要素といえるでしょう

専業主婦でも財産分与は減らされない

専業主婦でも財産分与は減らされない

熟年離婚する世代では、女性の社会進出がまだまだ進んでいなかったため「妻は専業主婦」というご夫婦も多いでしょう。
財産分与を求めると、夫から「専業主婦で稼ぎがなかったから財産分与は少なめにしか渡さない」などといわれるケースが少なくありません。

しかし、当然ながら、法律は専業主婦にも夫と平等な財産分与の請求権を認めています。
家事労働や育児にも経済的な価値がありますし、「家を支えていた」という点で、夫婦共有財産の形成に貢献したといえるからです。

夫から「財産分与は3割、2割にする」といわれても受け入れる必要はありません。きちんと2分の1の割合の分与を請求しましょう。

退職金も財産分与の対象になる

熟年離婚の財産分与では「退職金」が問題となるケースが多々あります。
退職金は数千万円単位など高額になるケースも多いので、妻としては何としてでも受け取りたいところです。
一方で、夫としてはどうしても払いたくないと考えるためトラブルになりやすい部分です。

退職金も状況によっては財産分与の対象になりますが、必ずしも財産分与できるわけではありません。

退職金が財産分与の対象になるケース

退職金が財産分与の対象になるには、以下の要件を満たす必要があります。

退職が離婚後10年以内

退職時期が、おおむね離婚後10年以内であることが必要です。
あまりに時期が遠いと退職金が支給されるかどうか不確実になってくるためです。
熟年離婚の場合、離婚後10年以内に支給されるケースが多いので、この要件は満たしやすいといえるでしょう。

退職金が支給される蓋然性が高い

すべての会社で退職金が支給されるとは限りません。
退職金制度がない中小企業などに勤務しているケースでは、財産分与に退職金を含められません。
上場会社できっちり退職金規程がある場合、公務員の場合などには退職金が財産分与に含まれやすいといえます。

退職金がすでに支給されたケース

熟年離婚の場合、退職金がすでに支給された、というケースも多々あります。
そういった場合には、振り込まれた退職金や投資に回した退職金が財産分与の対象になると考えましょう。
たとえば預金のまま置いていたら預金が財産分与の対象になりますし、
投資信託や不動産に変わっていればそういった資産が財産分与の対象になります。

退職金の財産分与額計算方法

財産分与の割合は、基本的に夫婦が2分の1ずつです。
既に受け取っている場合には受け取った預金や購入した不動産、株式などを2分の1ずつにすればよいことになります。
未支給の退職金については、以下のように分与額を計算することがよく行われます。

退職金総額×同居期間÷勤務年数×2分の1

退職金総額のうち婚姻期間(同居期間)に相当する部分が財産分与の対象になりますので、
その部分を勤続年数中の同居期間の割合で計算している計算式です。

退職金の財産分与計算の具体例

一例として、たとえば退職金が3,000万円、婚姻年数が25年、勤続年数40年のご夫婦の場合、
上記の計算式を使用して計算すると、妻が夫に請求できる退職金の財産分与額は以下の金額になります。

3,000万円×25÷40×2分の1=937万5千円

財産隠しに注意

財産隠しに注意

熟年離婚で財産分与するときには、相手による「財産隠し」に注意しましょう。
預金や保険、株式など、本来分与の対象になる財産を隠されると、分与額を不当に減らされてしまうためです。

財産隠しを防止するには、事前(別居前)にできるだけ相手の財産内容を把握すべきです。
預金通帳やネット口座、自宅に届く郵便物などをチェックして、どういった取引があるのかを推測しましょう。そ
の上で、不明な部分は相手に開示を求めます。

ただし相手が隠し通そうとすると、自分で開示を求めるのは困難です。
金融機関は、本人からの開示請求でないと口座内容の開示に応じません。

そういった場合には、弁護士に事件を依頼して「23条照会」という情報照会制度を利用したり、
裁判所に調停を申し立てて裁判所から調査してもらったりすると、情報を得られる可能性があります。

相手の財産隠しを許したまま財産分与をすると、不当に損をしてしまって離婚後のご生活に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。
お困りの方は、弁護士までご相談ください。

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離婚後も財産分与請求できる

熟年離婚するとき、話し合いを充分にできず財産分与しないまま離婚してしまったら、どうすれば良いのでしょうか?

そんなときでも、離婚後2年間であれば財産分与請求が可能です。
相手が応じない場合、家庭裁判所で財産分与調停をすれば、多くのケースで財産分与を受け取れます。
2年を過ぎると財産分与請求できなくなるので、もしもまだ分与を受けておられないなら早めに動きましょう。

まとめ

熟年離婚では財産分与額が大きくなりやすいので、離婚後のご生活のためにも適正に財産分与を受けましょう。
預金、株式、保険、退職金など、財産を漏れなく対象として、適切な方法で計算する必要があります。
中でも退職金はトラブルの元になりやすいので、正しい算定方法を把握しましょう。
相手の財産隠しを防いでより高額な財産分与金を受け取るためには、できる限り早い段階で準備を始めることをお勧めします。
よろしければお早めに一度弁護士までご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。
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