コラム

公開 2021.03.23 更新 2023.11.20

離婚後の面会交流の取り決め方や変更方法について解説

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離婚するとき、未成年の子どもがいたら、子どもと別居親との「面会交流」のルールを取り決めましょう。
子どもの成長に応じて一度決めた面会交流のルールを変更することも可能です。今回は、面会交流の取り決め方法や公正証書を作成するメリットなどについて解説します。

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1.離婚時に面会交流のルールを定めておいた方がいい理由

未成年の子どもを抱えたご夫婦が離婚するときには、離婚後の子どもとの面会交流方法を定めましょう。面会交流とは、子どもと同居できない親が子どもと会ったり電話やメールなどで交流したりすることです。

離婚すると単独親権となり、同居親が親権を取得するケースが多いため、別居親は親権を持っていないのが通常です。ただ離れて暮らしていても、親子である事実に変わりありません。
親子関係を断絶させるとお互いのためにならないので、面会交流権が認められています。

離婚時に面会交流のルールを定めておいた方がいい理由は以下のとおりです。

1-1.子どもの健全な成長のため

面会交流権は、別居親だけのための権利ではありません。子どもにとっても非常に重要です。

親が離婚すると、子どもは「別居親に捨てられた」と感じるケースが多々あります。
そのまま大人になると、トラウマになってしまう可能性もあります。

離婚後も積極的に面会交流を行うと、子どもが「両親の離婚」という辛い出来事を乗り越えられるきっかけとなります。

1-2.離婚後のトラブルを避けるため

別居親には子どもとの面会を求める権利(面会交流権)が認められます。同居親が頑なに面会交流を拒絶し続けると、別居親が強硬に面会を求めたり家庭裁判所で「面会交流調停、審判」を申し立てたりする可能性が高くなり、調停や審判で多くの時間を費やしますし、子供への調査が入り子供に負担をかけることもあり得ます。こうした面会交流のトラブルを避けるためにも、お互いに話し合いをして円満にルールを取り決める必要があります。

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2.基本的な面会交流の取り決め方法

基本的な面会交流の取り決め方法

「離婚するとき、具体的にどのようにして面会交流方法を取り決めれば良いのか?」というご質問をいただく機会が少なくありません。

面会交流の方法は、以下のようにして決めましょう。

2-1.面会交流で取り決めるべき項目

・面会の頻度

月1回、月2回など頻度を決めましょう。

・面会の日時

いつ会うのかを決定します。毎週日曜日、第2日曜日などと定めてもかまいません。「当事者がその都度決定する」とする方法もあります。

・面会場所

どこで会うのかを決定します。「その都度話し合って決める」としてもかまいません。

・受け渡し方法

子どもの受け渡し方法を決めます。駅の改札で待ち合わせる、家まで迎えに来るなどの方法があります。

・親同士の連絡方法

面会交流の方法を話し合ったり緊急の用事でキャンセルしたりするため、連絡方法を決めましょう。携帯電話やメールなど、連絡を取るための手段を明確にしてください。

2-2.面会交流ルールのサンプル

  • 甲…母親
  • 乙…父親
  • 丙…子ども

第〇条 甲及び乙は、乙と丙との面会交流を毎月第2日曜日、午前10時から午後8時まで実施することに合意する。

第〇条 丙の受け渡し方法としては、乙が甲の自宅まで丙を迎えに行き、交流後は乙が甲の自宅まで送り届けるものとする。

第〇条 面会場所については、当事者の都合に配慮しつつ、面会日の前日までに甲乙間で誠実に協議して定める。

第〇条 甲及び乙は、事前に交換したメールアドレス及び電話番号を用いて連絡を取り合うものとし、変更があれば遅滞なく相手方へ通知する。

上記はあくまで例示です。実際には状況に応じてアレンジして用いると良いでしょう。

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3.面会交流の取り決めを公正証書にする意味

面会交流のルールを取り決めたとき、「公正証書」にする意味はあるのでしょうか?
一般的に公正証書のメリットとしていわれるのは「強制執行」できることです。養育費や財産分与などの「金銭支払い」の約束をするときには、公正証書を作成すると支払義務者が支払わなかったときにすぐに差押ができるメリットがあります。

面会交流に関しては、義務者が応じないときに公正証書があっても面会交流を強制することはできません。
子どもを無理矢理連れてきて強制的に面会交流を行う方法は、法律で認められていないためです。そのようなことをすると子どもにとって害悪となるので、裁判所を使っても強制できません。もっとも、「間接強制」といって、一定期間、面会交流を実施しなければ制裁金を払うように命じることによって、心理的圧迫を与えることは可能ですし、「養育費」や「財産分与」など金銭支払いの約束を一緒に取り決めるなら、協議離婚合意書を公正証書にするメリットがあります。
また公正証書化すると合意内容が明確になり、義務者としても「そんな約束をした覚えはない」などといえず反故にしにくくなるでしょう。また公正証書の原本は公証役場に保管されるため、手元にある合意書を紛失しても再発行が可能です。

離婚時、面会交流やその他の離婚条件について取り決めをしたら、まとめて「離婚公正証書」を作成するのが良いでしょう。

4.面会交流を取り決める手順

面会交流を取り決める手順

4-1.まずは夫婦で話し合いをする

離婚時に面会交流の方法を決めるときには、まずは夫婦で話し合いましょう。
養育費や財産分与など、他の離婚条件とともに詳細な条件を定めます。
合意ができたら「協議離婚合意書」にその内容をまとめて公正証書を作成しましょう。

4-2.離婚調停、訴訟を利用する

離婚条件について合意ができなければ、離婚調停や離婚訴訟を行う必要があります。

4-3.先に離婚を成立させて「面会交流調停」を行う

離婚そのものについて争いがないなら、面会交流の話を先送りにして離婚を成立させてもかまいません。その場合、離婚後に家庭裁判所で「面会交流調停」を申し立てます。そうすれば、調停委員会を介して面会交流の取り決めが可能です。

4-4.離婚後も面会交流の取り決めは可能

離婚後、面会交流を実現できていないケースでは、子どもが成人するまでの間、いつでも家庭裁判所の「面会交流調停」を利用できます。

子どものためにも面会交流はなるべく積極的に行うのが望ましいと考えられています。今、実行できていなくてお悩みの方がおられましたら、お気軽に弁護士までご相談ください。

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5.面会交流のルールを変更する方法

離婚時に面会交流の取り決めをしても、子どもが成長すると状況が変わるものです。
親も子ども自身も「ルール変更したい」と考えるケースが少なくありません。

面会交流方法は、子どもが成人するまでの間、合意によって変更できます。

5-1.両親が話し合いをして決める

離婚後に面会交流のルールを変えたいときには、まずは両親が話し合いましょう。子どもがある程度大きくなっていて判断能力があるなら、子どもの意見も取り入れて決定してみてください。

5-2.面会交流調停を利用する

話し合っても合意できない場合には、家庭裁判所で「面会交流調停」を申し立てると、調停委員に間に入ってもらって面会交流の取り決めができます。

5-3.面会交流審判で方法を決めてもらう

調停でも合意できない場合には、調停が不成立となって「審判」に移行します。審判になると、裁判官が面会交流のルールを決定します。

まとめ

子どもの健全な成長のため、面会交流を積極的に行いましょう。離婚時だけではなく、離婚後でも取り決められます。
もしも自分たちで話し合って決めるのが難しければ、弁護士に相談してみてください。

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Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
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弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
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相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、一橋大学大学院法務研究科修了。離婚、相続問題等の一般民事事件や刑事事件、少年事件、企業の顧問など、幅広い分野を取り扱う。
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