法律事務所オーセンスの離婚コラム

変わる戸籍法~結婚離婚、社会保障給付で戸籍謄本が不要に

変わる戸籍法~結婚離婚、社会保障給付で戸籍謄本が不要に

2019年5月24日、国会にて改正戸籍法が成立しました。
改正法では、これまで結婚や離婚の届出や児童扶養手当などの社会給付の申請をする際に必要だった「戸籍謄本」や「戸籍抄本」の提出を不要としています。
また今後は自分や親族の戸籍謄本を、本籍地以外の役所でも取得できるようになる予定です。

今回の改正により、具体的にどのような変化が生じてくるのでしょうか?

以下では戸籍法の改正内容とその影響について、弁護士が解説します。

1.戸籍法とは

1-1.戸籍法とは

戸籍法は、一般の方にはあまりなじみがないかもしれませんが、日本人の「戸籍制度」について定めている法律です。

1-2.戸籍と戸籍謄本とは

日本人は、基本的に全員が「戸籍」によって管理されています。生まれたら出生届の提出によって親の戸籍に入り、結婚したり養子縁組したりするとその戸籍を出て新たな戸籍に移ったり自分の戸籍を作成したりします。その後離婚、離縁したらまたその戸籍から出て実家の戸籍に戻ったり新たな戸籍を編成したりします。

戸籍制度は国民全員の家族関係を把握するための制度であり、戸籍は「本籍地」の役所で管理されています。

一般の方が取得する「戸籍謄本(抄本)」や「除籍謄本」は、そうした「戸籍の写し」です。「戸籍謄本」とは戸籍全部の写し、「戸籍抄本」とは戸籍の一部の写しのことです。家族全体ではなく自分一人の証明で足りる場合には、戸籍抄本を取得します。

また戸籍の電子化以降は「謄本」は「全部事項証明書」、「抄本」は「一部事項証明書」と表記されています。今は多くの役所で戸籍が電子化されているのですが、今でも昔の名残で「戸籍謄本」「戸籍抄本」などと言われています。

1-3.戸籍を利用する場面

一般の国民が戸籍を必要とする場面にはどのようなケースがあるのでしょうか?
たとえば相続が起こったときには、死亡した人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本や除籍謄本類を取得することにより、その人の相続関係を調査しなければなりません。

また相続人であることや夫婦であること、親子であることなどの証明が必要な場合にも戸籍謄本が必要になる場合があります。
公的な資格を取得したい場合などには、戸籍謄本を添付しなければならないこともよくあります。

さらにこれまでは、結婚するときや離婚するとき、児童扶養手当などの社会給付を申請するときなどにも戸籍謄本の提出が必要とされていました。

2.戸籍法の改正内容

今回戸籍制度について定める戸籍法が改正されましたが、何が変わったのでしょうか?

2-1.結婚、離婚、行政給付の申請の際に戸籍謄本類が不要となる

まず結婚や離婚、児童扶養手当や国民年金、健康保険の出産一時金などの社会給付を申請するときに、戸籍謄本や戸籍抄本の提出が不要となります。

これまでは、婚姻届や離婚届などを提出する際、いちいち事前に本籍地のある役所から戸籍謄本類を取得して添付しなければなりませんでしたが、改正法施行後はそういった手間はかからなくなります。

2-2.本籍地以外でも戸籍謄本を取得できるようになる

もう1つの改正点は、本籍地以外の役所でも戸籍謄本や戸籍抄本を取得できるようになることです。

これまでは戸籍謄本や抄本が必要な際、いちいち本籍地のある役所に行くか、郵送で本籍地のある役所に申請をして取得する必要がありましたが、今後は最寄りの役所で全国の戸籍謄本を取得できるようになります。

3.戸籍法が改正された理由

今回、なぜ戸籍法が改正されたのでしょうか?

理由としては以下のようなことが考えられます。

3-1.国民の利便性向上

1つの目的は、国民の利便性向上です。これまでは、結婚や離婚、行政給付申請の際などにいちいち戸籍謄本を取得して提出しなければならなかったので、国民に大変な手間がかかっていました。

また戸籍謄本を取得するときに本籍地の役所へ申請が必要だったので、本籍地が遠方の場合などにはいちいち郵送で申請をしなければならず、時間と手間が発生しました。

今後はそういったことがなくなり、利便性が向上することを期待できます。

3-2.行政の効率化

戸籍の扱いを簡便にすると、行政の効率化にも役立ちます。

たとえば結婚や離婚の際にいちいち戸籍の申請に来られたら、役所はその都度戸籍の発行に対応しなければなりません。また遠方から郵送で申請されたら、その都度戸籍謄本を発行して送りなおさねばなりませんし、不備があったらいちいち電話をして指摘したり申請書類を返送したりしなければなりません。

今後は戸籍謄本の提出が省略され、郵送での申請の必要がなくなるので、こうした行政側の手間も解消されていきます。

3-3.電子化により、本籍地や提出にこだわる必要がなくなった

このように、国民の利便性向上や行政の効率化に役立つなら、「もっと早く戸籍謄本の提出を不要として本籍地でも取得できるようにしておけばよかったのでは?」と考えるかもしれません。

しかし従来は、戸籍は「紙」で管理されていたので、そう簡単には簡略化できなかった事情があります。戸籍が紙で管理されていると、役所内や役所間のやり取りが難しくなります。結婚や離婚の際などに戸籍を確認するためには、どうしても本人に戸籍謄本類を提出してほしいということになります。

本籍地でしか発行できなかったのも同じ理由です。戸籍が紙で管理されている以上本籍地でしか確認できなかったので、やむを得なかったのです。

ところが近年では戸籍が電子化され、状況が変化しています。
電子化により戸籍管理課以外でも役所内で戸籍情報を共有することも可能ですし、全国にネットワークを作れば本籍地以外の役所でも戸籍情報を共有できるようになります。
そうすれば、いちいち結婚や離婚の際に本人に本籍地から戸籍謄本類を取得させて提出させる必要はなくなります。

そこで今回は戸籍法を改正して、戸籍の提出を省いたり本籍地以外の役所でも戸籍謄本を取得できるようにしたりしたのです。

4.改正戸籍法施行日はいつ?

戸籍法はまだ成立したばかりであり、今後国や自治体におけるシステムの改修や構築などの準備が必要ですのですぐには施行できません。具体的な日にちまでは明らかにされていませんが、2023年末頃までに施行される予定です。

現時点ではまだ結婚離婚の際に戸籍謄本が必要ですし、しばらくは本籍地の役所に郵送などで戸籍謄本類を申請する必要があります。

5.改正戸籍法施行による具体的な変化

改正戸籍法が施行されると、具体的にどのような変化が生じるのでしょうか?

5-1.結婚・離婚・社会給付申請の手続きが簡単になる

今後は結婚や離婚、社会給付申請の際に戸籍謄本の添付が不要になるので、手続きが楽になります。遠方の役所に戸籍謄本を申請し届くのを待つ必要はなく、すぐに届を出せるようになるでしょう。

5-2.相続の際の戸籍調査などが簡単になる

相続の際には、被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本を取得しなければなりません。

被相続人が何度も転籍していて本籍地がばらばらの場合、何度もいろいろな役所に郵送で戸籍を申請し続けないといけないので、すべて集めるのに大変な労力と時間がかかっていました。

今後は本籍地以外の役所でも戸籍謄本類を取得できるようになるので、戸籍調査を1日で終了させられるようになる可能性もあります。

まとめ

このように、戸籍法が改正されると私たち国民にとってもいろいろ便利になる点があります。
2023年頃に利用できるようになる予定なので、動向を注視していきましょう。

このコラムの監修者

平沼夏樹 弁護士(第二東京弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。

無料相談のご予約はこちら

  • 初回60分まで無料法律相談
  • 土日も相談可能です
  • 男性・女性弁護士が選べます

お問い合わせはこちら

0120-272-585 24h受付、携帯からも通話無料

大切なことだから
話す相手は選んでほしい

弁護士は、秘密保持の義務が法定され、高度の守秘義務があります。(弁護士法第23条)

法律事務所オーセンスは、法的観点から冷静に分析し、論理的に主張を続け、最良の解決・支援へ導くため全力を尽くします。

電話での無料相談のご予約

TOP