法律事務所オーセンスの離婚コラム

婚姻中に貸したお金~離婚後に返済請求できるケースとできないケース~

婚姻中に貸したお金~離婚後に返済請求できるケースとできないケース~

夫婦の間柄であっても、借金をするケースはあります。たとえば夫が生活費をソーシャルゲームやFXに使い込んだために妻が家計からお金を貸した場合、離婚後に返済してもらえるのでしょうか?
妻が子どもの教育費や家族の食費のために夫からお金を借りたケースではどうなるのでしょう?

婚姻中における夫婦の借金も基本的には返済義務がありますが、返済義務のないケースもあります。また返済義務がある場合でも請求するには「証拠」が必要です。

今回は婚姻中に貸したお金を離婚後に返してもらえるケースと返済請求する方法について、弁護士が解説します。

このコラムの監修者

平沼夏樹 弁護士(第二東京弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。

1.婚姻中の借金も、基本的には返さねばならない

夫婦が婚姻中にお互いに借金をした場合、返さねばならないのでしょうか?一般的に夫婦間では家計を同一にしており、「夫の財産」「妻の財産」と明確に意識していないケースも多いので、「返さなくて良い」と思っている方もおられます。

しかし夫婦間であっても借金は借金です。借りたら基本的には返さねばなりません。

たとえば夫がパチンコや投資のためにお金を使い込んで妻からお金を借りた場合などには、約束通りに返済する必要があります。

離婚しても返済義務はなくならないので、婚姻中に返済されなかったなら離婚後に返済請求できます。

2.婚姻中の借金を返さなくて良い場合

ただし夫婦間の場合、他人同士とは異なる取扱いを受けるケースがあります。一定の理由による金銭のやり取りにおいては「借金」が成立せず、相手に対して返済義務を負いません。

民法上、夫婦はお互いに「生活費の分担義務」を負います(民法760条)。つまり普段の食事や子どもの教育費、医療費などについては「お互いに」負担しなければなりません。こうしたものについては「支払えるものが支払う」必要があり「相手から借りる」という状況が発生しません。
また夫婦は「日常家事債務」について連帯責任を負います(民法761条)。日常家事債務とは、夫婦や家族の生活に必要な支払いです。たとえば食費や衣類、交通費や教育費、医療費などは日常家事債務となります。法律はこれらについて「夫婦が連帯責任を負う」と定めています。食料品などは自分が買ったものでなくても配偶者が購入したなら「夫が勝手に買ったものだから私は支払わない」などと主張して支払を拒絶できないのです。
このことからもわかるとおり、法律は「夫婦の生活に必要な支払いについては、夫婦個別の負担にせずに両方が負担すべき」と考えています。つまり、生活に必要な支払いについては、夫婦がお互いに「貸し借り」の対象にすることを予定されていないといえます。

以上より夫婦の生活に必要な日常の支払いのための借金は無効であり、そういった貸し借りをしても返済義務は発生しません。

3.婚姻中の借金で返済しなければならない場合としなくても良い場合

婚姻中の借金で返済しなければならない場合としなくても良い場合の例を挙げると以下の通りです。

3-1.返済しなければならない場合

  • ・ソーシャルゲームやFX、仮想通貨などの投資のためにお金を借りた
  • ・ギャンブルに使うためにお金を借りた

3-2.返済しなくても良いもの

  • ・子どもの学費が足りないので相手からお金を借りた
  • ・毎日の食料を買うお金が足りないので相手からお金を借りた
  • ・病気・けがをして高額な医療費がかかるのでお金を借りた
  • ・日常的に身に付ける下着や防寒具などの衣類を購入するお金がないので相手から借りた

上記のようなケースでは、そもそも「借りた」とは言えず返済義務は発生しません。

4.借金の時効について

夫婦間で借金が成立するケースでは、離婚後も請求可能です。むしろ通常、婚姻中は夫婦間で借金返済を請求しないでしょうから、請求は離婚後の方が切実な問題となるでしょう。

その際、借金には「時効」が適用されるので要注意です。
個人間の借金の場合「返済義務が到来したとき」から10年間で時効が成立します。また2020年4月1日以降は民法が改正されるので、個人間の借金であっても時効期間は5年に短縮されます。
夫婦間の借金で特に返済義務を定めなかった場合には、債権成立時(貸付時)から時効期間が進行するので、貸してから10年(2020年4月以降は5年)で時効が成立することになります。
夫婦間の権利の時効については、離婚から6か月間、時効の完成が猶予されるという特則(民法159条)がありますが、離婚後に借金を返してほしければ、早めに請求しなければなりません。

5.婚姻中の借金返済請求するために必要な証拠とは

婚姻中にパートナーに貸したお金を返してもらいたいとき、もう1つ重要なことがあります。それは「証拠」です。
相手が借金を認めて支払いに応じれば良いのですが、そうでない場合には「金銭消費貸借契約」があったことを請求者が証明しなければなりません。そうでないと、相手から「そのお金はもらったものだ」と贈与の主張をされたり「そもそもそんなお金は受けとっていない」などと全面的に否定されたりする可能性が高くなります。
お金を貸し付けたといえるためには、「金銭の授受」と「返還合意」を証明する必要があるので、証拠になるものとして、以下のようなものが考えられます。

  • ・金銭消費貸借契約書
  • ・振込送金の記録
  • ・相手による金銭の受領書
  • ・相手が作成した「借用書」「支払いを約束した念書」
  • ・メールなどで「お金を借りたことがわかる」やりとりの記録

上記のうち「振込送金の記録」や「相手による金銭の受領書」によって証明できるのは「お金を渡した事実」だけなので、メールなどの文章で「返済の約束をした事実」を別に証明する必要があります。

実際、夫婦間でお金を貸すときにきちんと契約書を作成するケースは少なく、離婚後に返済請求しようとすると証拠がなくてハードルが高くなりがちなので要注意です。

夫婦間であってもお金を貸すときにはきちんと借用証や金銭消費貸借契約書を作成しておきましょう。その際「返済期限」も定めておくと、後に請求しやすくなります。

6.離婚後に返済請求する手順

離婚後、元のパートナーに貸付金の返還請求するときには、以下の手順で進めましょう。

6-1.相手に支払いを要求する連絡を入れる

相手と普通にやり取りできる間柄であれば、普段使っているメールやLINEなどのメッセージでかまわないので婚姻中に貸したお金の返済を求めましょう。相手が応じれば穏便に支払いを受けられます。

6-2.内容証明郵便を送付する

相手と普通にやり取りできない場合やメールなどを送っても相手が無視する場合などには「内容証明郵便」で貸金返還請求書を送付しましょう。内容証明郵便を使えば相手に強いプレッシャーをかけられますし、請求した証拠を残せます。
請求書を送ったら相手と話し合い、貸したお金の返済方法を定めて(一括か分割か、振込送金先など)合意書を作成し、支払いを受けましょう。

6-3.訴訟を起こす

内容証明郵便で請求書を送っても相手が対応しない場合には、訴訟を起こして裁判所で請求する必要があります。
訴訟の判決で支払い命令を出してもらうには、借金の証拠が必要です。お一人で対応すると不利になる可能性が高くなるので、弁護士に依頼して訴訟を進めましょう。

離婚したパートナーに貸付金がある場合、離婚時にもきちんと協議せず離婚後に問題を持ち越してしまうケースが多々あります。貸したお金が返ってこないことにお悩みの際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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