法律事務所オーセンスの離婚コラム

国際離婚での親権や養育費について

国際離婚での親権や養育費について

外国人と結婚して子どもができても、さまざまな理由で離婚にいたる可能性があります。国際離婚の場合には離婚後夫婦が別々の国に住むことになるケースも多く、子どもの親権や養育費について問題が生じやすくなっています。

国際離婚の場合、親権や養育費はどうやって決めたら良いのでしょうか?

今回は国際離婚のケースにおける親権や養育費の決め方、適用される法律や注意点などについて弁護士が解説します。

このコラムの監修者

小柳津緑 弁護士(大阪弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士小柳津 緑(大阪弁護士会所属)

京都大学法学部卒業、神戸大学法科大学院修了。不動産法務、離婚、相続、刑事事件を中心とした法律問題を取り扱う。不法行為に基づく慰謝料請求事件や刑事事件の示談交渉などの解決実績を有する。

1.国際離婚における親権の決め方

外国人と離婚する場合の「国際離婚」。
夫婦の間に子どもがいれば、「どこの国の法律が適用されるか」を確認しなければなりません。
国によって離婚や親権に関する法律の規定内容が異なるからです。たとえば日本法では離婚後は父母の片方による単独親権となりますが、欧米では共同親権が認められている国が多くあります。

日本では、日本人と外国人の法律関係でどの法律を適用すべきかについては「法の適用に関する通則法」という法律による定めがあります。
そこでは、子の親権者について、以下のような法律が適用されると定められています。

父または母の本国法と子どもの本国法が同じ場合には子の本国法

本国法とは、その人の国籍のある国の法律です。子どもと父母のどちらか一方の国籍が同じなら、子どもの国籍のある国の法律が適用されます。たとえば母親が日本人、父親がアメリカ人、子どもが日本人なら日本の法律が適用されます。

父や母と子どもの本国法が同じでない場合、子の常居所地の法律

常居所地とは、人が常時居住する場所のことで、居住の意思をもって一定期間の居住の実態があれば概ね常居所があると判断されています。父や母と子どもの国籍が一致しない場合には、子どもの常居所地の法律が適用されます。

父母のどちらか一方が日本人で、子どもも日本国籍を有している場合には、日本法が適用され、これに従い親権者を決めることになります。

2.日本法が適用される場合の親権者の決め方

日本の法律に従って親権者を決める方法や流れは、日本人同士の離婚のケースと同様です。

2-1.親権者を決める方法、流れ

まずは夫婦で話し合いをして子どもの親権者を決定します。話し合いがまとまれば離婚届に子どもの親権者等を記入し、これを提出します。
話し合いで親権者が決まらないケースでは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて親権者についての話し合いをします。家庭裁判所のサポートによって夫婦の協議がまとまれば調停が成立し、親権者を定めて離婚をすることができます。
調停でも協議がまとまらなかった場合には裁判離婚の手続に移行することが多いです。家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、裁判所に親権者を指定してもらうことになります。
判決で親権者が指定されたら、離婚後は指定された親が親権者となって子どもの養育や財産管理を行っていきます。

2-2.親権者判断の基準

家庭裁判所が親権者を決定するときには、以下のような点を重視します。

  • ・これまでの養育実績
  • ・子どもの現在の生活状況
  • ・子どもとそれぞれの親との関係
  • ・離婚後の養育環境
  • ・それぞれの親の養育方針
  • ・兄弟姉妹は原則として分離しない

子どもが日本で生まれ日本で育ってきており、主に日本人の母親が養育を行ってきたのであれば、母親に親権が認められる可能性が高いでしょう。

子どもが2人以上いる場合、親同士が話し合って親権を決めるときには親権者を分けて兄弟姉妹が別の国で暮らすこともありますが、家庭裁判所が親権者を決めるときには兄弟姉妹を分けないことが多いのでどちらか一方がすべての子どもを引き取る可能性は高いといえます。

3.国際離婚で親権者を決めるときの注意点

国際離婚で親権者を決めるときには、相手との認識の相違が発生しやすいので注意が必要です。特に相手の本国で離婚後の共同親権が認められている場合、相手としては「離婚後、自分にも親権が認められて当然」と考えているかもしれません。とすれば、相手としては、あなた一人に親権を譲ることは到底承服できないということになり、大きなトラブルになるケースが多々あります。ときには子どもの連れ去り事件などにも発展する可能性があり注意が必要です。
日本では親権者を決めないと離婚そのものができないので、外国人との離婚で親権トラブルが起こると離婚の手続きも難航します。
子の連れ去り等は刑事事件に発展する可能性もあるので、お困りの際には、お一人で対応せず、お早めにお近くの弁護士までご相談下さい。

4.国際離婚における養育費の決め方

国際離婚のケースでも、子どもの養育費の支払い義務は発生します。親である以上子どもを扶養する義務があるからです。
ただし養育費に関する法律も各国によって異なります。国際離婚の場合、どこの法律が適用されるのでしょうか?
これについては「扶養義務の準拠法に関する法律」によって決まります。親権者を決定するときの準拠法とは異なる可能性があるので、注意してください。扶養義務の準拠法に関する法律では、以下のような順序で子どもの養育費に関する法律が決定されます。

① 扶養権利者の常居所地の法律

扶養権利者とは子どものことです。まずは子どもが居住している国の法律が適用されます。子どもが日本で暮らしていれば日本の法律によって養育費が支払われます。

② ①の法律では扶養を受けられない場合、当事者の共通本国法

子どもの居住地の法律によっては扶養請求が認められていない場合には、子どもと扶養義務者(親)の共通の本国法が適用されます。

③ それでも扶養を受けることができないときは日本の法律

上記の方法では養育費を受け取れない場合、日本の法律によって養育費を定めます。

5.国際離婚で養育費を決める場合の問題点

日本で養育費を決めるときには、父母が話し合いをして養育費の金額を決定します。
養育費の金額には家庭裁判所が参考にしている基準があるので、通常であればその基準を参考にして定めます。
ただし国際離婚の場合、相手が離婚後本国に戻り収入状況が大きく変動する可能性があります。本国への帰国が予想される場合、そういった事情も考えて金額を決める必要があるでしょう。
また国際離婚の場合、相手が養育費を払わなくなったときの取り立てが困難になるという問題もあります。日本人同士なら養育費請求調停を申し立てて調停調書や審判書を取得できれば強制執行(差押え)をすることできますが、相手が外国に住んでいる場合にはスムーズに調停や差押えができないからです。相手が本国に帰ると音信不通になる可能性もあります。事前に一括して養育費を支払ってもらう等、将来的にトラブルが生じないような取り決めをする方が安心でしょう。

6.国際離婚と面会交流

国際離婚をしてあなたと相手が全くの他人となっても、子どもにとっては親であることに変わりありません。子どもの意思も尊重し、可能であれば頻繁でなくとも面会交流を続けましょう。
たとえば年に1回は日本に来てもらって日本で面会したり、相手の本国で面会すると約束しておくなどの対処が考えられます。また面会交流を行うことで、相手の「養育費を支払おう」という気持ちを高めることにもつながります。

なお国際離婚の場合、離婚後も国境を越えた「子どもの連れ去り」に注意が必要です。
監護権を有している親から子どもが連れ去られた場合、連れ去り先及び連れ去り元の国が双方ハーグ条約の締結国であれば、国の援助を得て子どもの返還を求めることができるので、困ったときには弁護士までご相談下さい。

国際離婚の場合、親権や養育費などの点で日本人同士の離婚以上に困難な問題が発生しやすくなっています。対応に困ったときには離婚問題に積極的に取り組んでいる弁護士までお気軽にご相談下さい。

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