法律事務所オーセンスの離婚コラム

離婚前に別居した場合でも「婚姻費用」を請求できる!

離婚前に別居した場合でも「婚姻費用」を請求できる!

離婚前に別居するときには、相手方に「婚姻費用」を請求できます。
支払ってくれない場合、家庭裁判所で「婚姻費用分担請求調停」を申し立てれば話し合いや審判によって支払を受けられるでしょう。
別居中の婚姻費用について理解を深め、生活費をもらえていないなら早めに弁護士に相談しましょう。

このコラムの監修者

小柳津緑 弁護士(大阪弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士小柳津 緑(大阪弁護士会所属)

京都大学法学部卒業、神戸大学法科大学院修了。不動産法務、離婚、相続、刑事事件を中心とした法律問題を取り扱う。不法行為に基づく慰謝料請求事件や刑事事件の示談交渉などの解決実績を有する。

1.別居中の婚姻費用とは

離婚前、本当は別居したいけれど「日々の生活費が心配で別居できない」方からご相談を受けるケースが多々あります。特に小さなお子様がいる場合や専業主婦の場合、仕方なく不仲な夫との同居を継続する傾向がみられます。

しかし法律上、離婚前の別居中には「婚姻費用」という生活費を請求する権利が認められるので、我慢して同居を続ける必要はありません。婚姻費用とは、夫婦が分担すべき生活費です。夫婦にはお互いに「生活保持義務」という、相手方や子どもにも自分の生活と同程度の生活を保持させる義務があります。離婚するまでは生活保持義務が継続するので、別居中でも収入の少ない者(権利者)が収入の多い者(義務者)に対して婚姻費用を請求することができます。

たとえば専業主婦と一家の大黒柱の夫が別居したら、妻は夫に対して毎月の婚姻費用を請求できます。経済的に独立していない子ども(未成熟子)がいれば、その養育に要する費用(養育費)も婚姻費用に含まれます。

離婚前、同居を苦痛に感じていたり、夫婦の不仲が子どもに心配やストレスを与えてしまっているような場合には、「婚姻費用」を受け取りながら別居する方法も検討してみてください。別居することでご自身やお子さんが精神的に安定することもありますし、精神的に安定することで離婚協議も前向きに進めることができることもあります。

2.別居中の婚姻費用の金額

別居中の婚姻費用の金額

裁判所における婚姻費用の金額の算定には、婚姻費用算定表という算定資料が広く利用されています。
算定表では、婚姻費用を請求する側の年収や婚姻費用を請求される側の年収、子供の年齢や人数によって婚姻費用の額が決まります。つまり、算定表は以下のように定められています。

  • ・支払う側の収入が高ければ金額が上がる
  • ・受け取る側の収入が低いと金額が上がる
  • ・未成年の子どもを養育していると金額が上がる
  • ・養育している未成年の子供が15歳以上の場合、金額が上がる

具体的な金額は以下の表にまとめられているので、婚姻費用を取り決めるときにご参照ください。

裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

自分たちで決めるなら金額は自由

裁判所では上記のとおり、婚姻費用算定表を利用して婚姻費用が決められることが多いですが、算定表は絶対的なものではありません。夫婦で話し合って金額を決めるときには、算定表上の金額にこだわらず、実情に応じて定めることも可能です。

3.別居中の婚姻費用の決め方

相手方に婚姻費用を請求するときには、以下のような手順で決定しましょう。

3-1.別居前に話し合う

できれば別居前に話し合って婚姻費用の金額や支払方法を決めておく方が安心です。
同居中に「毎月いつ何日までに」「いくらを」「どのような方法で支払うのか」を決めましょう。同居中に取り決めておけば、別居後、不払い期間なしにスムーズに支払を開始してもらえるので安心です。
もっとも、口約束だけでは相手方が婚姻費用を支払ってくれない場合に強制的に支払わせることはできませんし、そのような合意があったことを証明することも困難です。そのため、少なくとも協議の結果を書面にしておくほうが安心です。さらに、協議の結果を公正証書など公的な書面にしておくことで、紛失や偽造されるおそれがなくなりますし、「強制執行認諾文言」が付いた公正証書にすることで支払いがなされなかった場合にスムーズな差し押さえが可能になります。

3-2.別居後に話し合う

別居前に婚姻費用の支払いについて協議ができなかった場合には、別居後でも良いので相手方と話し合いましょう。協議をしても支払ってくれない場合には、単なる口頭での請求だけでなく、内容証明郵便(郵送した文書の内容を郵便局が証明してくれる制度です。)で請求する方が安心です。なぜなら、婚姻費用は、相手方に対して支払ってほしいという意思を明確に通知したときから支払い義務が発生すると考えられているからです。

3-3.婚姻費用分担請求調停を申し立てる

相手方がどうしても支払に応じない場合や、相手方が算定表上の金額と比べて少額な婚姻費用しか提示しない場合には、家庭裁判所で「婚姻費用分担請求調停」を申し立てましょう。調停を申し立てると、調停委員が間に入って話し合いがまとまるようにあっせんしてくれます。算定表上の金額に従った金額を支払うよう促してくれることが多いので、相手方も算定表上の金額で合意する可能性が高くなるでしょう。調停が成立したら、申し立てたときからの婚姻費用を支払ってもらえます。

3-4.婚姻費用分担請求審判で決定される

調停で話し合いがまとまらない場合には、自動的に「審判」という手続きに移行します。審判になると、裁判官が婚姻費用の金額を決めて相手方に支払うよう命令を下します。相手方が支払いをしない場合には給料や預貯金の差押えもできるので、生活費を受け取れる可能性が高くなります。

婚姻費用は、原則として相手方に請求した時から受け取れるというのが現在の実務ですので、早めに請求をしましょう。

4.緊急で生活費が必要な場合

緊急で生活費が必要な場合

婚姻費用分担請求調停や審判には一定の時間がかかります。早くて2か月程度、長びくと半年くらいかかるケースもみられます。別居してすぐに生活費が不足すると「そんなに待っていられない」と思う方もおられるかもしれません。
そんなときには婚姻費用を仮払いしてもらえる制度を利用しましょう。

4-1.調停前の処分

調停の申立てがあった場合には、「調停前の処分」を申し立てる方法があります。申立が認められると調停委員会から相手方に一時的な婚姻費用の支払い命令を出してもらえます。相手方が従わない場合には「10万円以下の過料」というペナルティが課されます。

4-2.審判前の保全処分

婚姻費用分担請求事件で審判前であれば「審判前の保全処分」を申し立てることが可能です。申立てが認められた場合には、裁判所が相手方に婚姻費用を支払うよう命じてくれます。審判前の保全処分には執行力が認められるので、相手方が従わないときには給料や預貯金などの差押えもできて効果的です。

調停や審判の結果を待てない場合には、暫定的に婚姻費用を払ってもらう方法があります。お困りの際には弁護士までご相談ください。

5.離婚時まで婚姻費用を払ってもらえなかった場合の清算方法

婚姻費用の取り決めをしても、相手方が支払ってくれないケースがあります。離婚時までずっと支払ってもらえなかったなら、未払いの婚姻費用を離婚時の財産分与で考慮するよう話し合うとよいでしょう。
離婚の際には、夫婦の共有財産を分け合う「財産分与」を行うのが一般的です。原則的な財産分与では、夫婦の共有財産を2分の1ずつにして清算します。このとき、未払いの婚姻費用を財産分与に含めることもできるのです。

婚姻費用を離婚時に清算する具体例

夫婦の共有財産が2,000万円分あり、夫から妻への未払いの婚姻費用が100万円になっているとしましょう。
本来なら、財産分与として夫婦が1,000万円分ずつの財産を受け取るのが基本です。
ただ、夫から妻への未払いの婚姻費用が100万円分あるので、妻が100万円多く受け取って清算します。
結果的に妻が1,100万円、夫が900万円を受け取ることにより、未払いの婚姻費用を考慮して財産分与できます。

もっとも、婚姻費用は婚姻中の生活費のことですので、婚姻費用をもらわなくても現に生活できていたという実績がある以上、必ず未払いの婚姻費用全額が財産分与の中で認められるとは限りません。
また、婚姻費用の金額自体に争いがある場合には、婚姻費用を財産分与として考慮することも困難となります。

婚姻費用の金額につき合意ができない場合や、婚姻費用を支払ってもらえずにお悩みの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。

まとめ

離婚前の別居中には婚姻費用を請求できます。相手方が支払に応じない場合、家庭裁判所で調停や審判を申し立てれば払ってもらえる可能性も高くなります。緊急の場合には仮処分によって払ってもらう方法もあるので、生活費が足りないときには是非調停や審判、仮処分などの手続きを利用しましょう。
もっとも、交渉や調停・審判の手続きはご自身で行うには負担が大きいものです。弁護士に依頼することで、すべて弁護士が窓口となり、相手方との交渉や調停・審判の準備をしてくれるので、負担はかなり軽減されます。離婚問題でお悩みの方がおられましたら是非一度、ご相談ください。

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