法律事務所オーセンスの離婚コラム

離婚後は旧姓に戻るべき?戻らない方がいい?

離婚後は旧姓に戻るべき?戻らない方がいい?

離婚手続きの中で思い悩むのが、離婚の公表です。どのように離婚したことを外部に知らせるか、逆に知らせたくなければどうすればよいか…。これに大きく関わってくるのが、離婚後の苗字です。特に、家庭以外に所属している場所がある場合、例えば会社や学校のPTA、町内会、ボランティア団体、趣味の習い事など、さまざまなところで、自分を表す苗字は関係してきます。
今回は、この「離婚後の苗字」を取り上げて解説します。離婚後の苗字はどうなるのか、変更できるのか、旧姓と結婚時の姓のそれぞれのメリットなどをまとめて説明します。

離婚後の苗字はどうなるの?

ライフスタイルの多様化などで夫婦別姓の声も高まり、別氏制度が検討されてはいますが、現行制度としては、結婚の際に夫婦同姓制度を採用しています。
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」(民法750条)として、夫婦の一方はどちらかの氏(姓、苗字ともいう)に改めなければならないのです。
それでは、離婚すれば、その後の苗字はどのようになるのでしょうか。

・離婚後の苗字は選択制

結婚の際に、もともとの苗字を変えずにいた方は、離婚しても当然、そのまま変わることはありません。
一方、結婚の際に、相手方の苗字に変えた方は、離婚後は2つの苗字を選択することができます。

  • ・結婚前の姓(旧姓)に戻る
  • ・結婚時に名乗っていた姓(つまり相手方の姓)を継続する

2つの姓のどちらかを選ぶことによって、その後の手続きも異なってきます。
また、この2つの姓は「離婚後の戸籍をどうするか」にも大きく関わってきます。

・結婚前の旧姓に戻る場合と戸籍の関係

それでは、苗字と戸籍の関係はどうなるのでしょうか。
離婚をすると、姓を変えた側は結婚時の戸籍から抜け、自分の選択で、戸籍を選択することができます。結婚前の旧姓に戻る場合は、結婚前の戸籍に戻る、もしくは新しい戸籍を作る、のどちらでも選択することができます。
なお、既に両親が死亡して両親の戸籍がない場合には、結婚前の戸籍に戻ることができず、新しい戸籍を作るしかありません。

手続きは、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」という欄に選択してチェックをすれば自動的に変更され、新しい手続きは不要となります。

・結婚時に名乗っていた姓(つまり相手方の姓)を継続する場合と戸籍の関係

旧姓に戻らず、結婚時の姓をそのまま継続する場合は、新しい戸籍を作るしか方法がありません。

結婚時の姓を継続する場合は、離婚届とともに、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出します。
なお、提出先は住所地または本籍地の役場ですが、離婚届提出後に本籍地以外で届出をする際には、戸籍謄本が必要となります。
提出期限は、離婚から3ヵ月以内と制限されており、この期間内であれば、継続して名乗りたい理由や、同じ姓である相手方の同意など聞かれることはありません。

・子どもの苗字は?

離婚の場合、子どもも同じく戸籍から抜けることはなく、筆頭者の戸籍には筆頭者とその子どもが記載されたままとなります。そのため、子どもの苗字は変わることはありません。
仮に、母親が離婚の際に旧姓に戻って、子どもの親権者として一緒に暮らした場合も、子どもは父親の戸籍に残り、父親の苗字を名乗ることになります。

・子どもと同じ苗字にするには?

子どもと同じ戸籍、苗字にするには下記の手続きが必要です。
まず、離婚の際に、自分を筆頭者として、新しい戸籍を作る必要があります。この場合、苗字は旧姓でも、結婚時に名乗っていた姓でも、どちらでも構いません。
次に、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に子の氏の変更許可の申し立てを行います。
家庭裁判所で審査を受け、変更許可を得た場合は「許可審判書」が交付されます。
この「許可審判書」と新しい戸籍に入る書類である「入籍届」を役場に提出すれば完了です。
子の氏の変更許可の申し立てができるのは子ども自身であり、15歳未満の子どもは親権者である法定代理人が申し立てを行います。

旧姓?結婚時の姓? それぞれのメリット・デメリットは?

それでは、実際に離婚後にどちらの苗字を名乗ればいいのでしょうか。それぞれにメリット・デメリットがあるため、比較して考える必要があります。

・旧姓に戻る場合

旧姓に戻る場合は、離婚する相手方の姓を名乗らなくてすむというメリットがあります。離婚原因にもよりますが、相手方への愛情がなくなったというよりは、それを超えて強い憎しみ、嫌悪感など抱いて離婚に至ったケースもあります。少しでも結婚していた事実を消したい、相手方と縁のあるものを捨てたいという思いがあれば、相手方の姓を名乗るのは苦痛でしかありません。
そういう意味でも、関りのある全てのものから「縁を切る」ことを体現したのが、旧姓に戻るということだといえます。

また、旧姓に戻る場合は、やんわりと離婚という事実を公表しているようなものです。結婚してから会社に入った場合は、結婚時の姓がもともとの姓と勘違いされる場合もあります。離婚して旧姓に戻ることで、結婚と間違えられ祝福されるといった笑い話も実際あるそうです。それほど、姓を変えることは、身分関係の形成を暗示しており、離婚と公表するためのさり気ないきっかけ作りといえるかもしれません。

デメリットとしては、さまざまな書類の変更が必要となり、煩雑な手続きを踏むことが挙げられます。
公的な身分証明書となる運転免許証やパスポートはもちろん、財産に関するすべての名義変更など複数の書類の変更手続きを行うことになります。1つの場所で一括に変更きるわけではないので、時間がかかり面倒といえます。
また、苗字が変わることによって離婚という事実が確実に周知されることになり、離婚を知られたくない気持ちがあれば、メリットではなくデメリットになるでしょう。苗字の変更で、あらぬ憶測や噂の的になる可能性もあり、他人の興味を引くことも覚悟せねばなりません。このような場合は、予め先回りして離婚の公表をしておくことも検討してみてはいかがでしょうか。

・結婚時の姓を継続する場合

もともと結婚時の姓を継続することを選択できる背景には、姓が変わると日常生活においてさまざまな支障が出るからです。特に仕事上では、「~の奥さん」や「~のお母さん」という立場ではなく、「苗字=その人個人」と社会的に判断されます。つまり、苗字が変わること自体、その人個人に対する影響は必至です。結婚時の苗字で実績を出せば、苗字を変更することで同一人物だと分かりづらくなります。例えば、結婚時の苗字での資格取得や論文発表などが挙げられます。影響を受けないようにするためには、結婚時の姓を継続することにもメリットがあるといえます。
加えて、公的書類をはじめさまざまな名義変更の煩雑な手続きから解放されます。

また、苗字を変えれば離婚という事実が明るみに出ます。最近では離婚自体が決して珍しいわけではないので、世間の受け取り方は寛容になったと言えるでしょう。
しかし、業種によっては、離婚をマイナスに捉える場合もあります。例えば、結婚相談所で結婚を進める立場のカウンセラーが、自分が離婚したとは言いにくいかもしれません。また、学校の先生など、学期途中に先生の苗字が変わることで子どもが混乱する可能性があり、慎重になるかもしれません。このように、所属する会社や団体によっては、受け止め方も様々です。結婚時の姓を継続することで、離婚した事実が分かりづらいというメリットはあります。

ただ、離婚後も結婚時の苗字をそのまま名乗るため、「離婚して一から再出発しよう」と、気持ちの整理がつくにくいところはデメリットといえるでしょう。区切りをつけ、心機一転としたいところですが、元夫婦である相手の姓をずっと名乗るわけですから、なかなかリセットしづらい状況ともいえます。
加えて、今後、再婚などして新たに第二の人生を歩む場合にも、問題があります。前の結婚時の姓を継続して名乗ることについて、再婚相手に説明をするのは非常にナイーブな事柄といえ、難しいと言わざるを得ません。

離婚後に選択した苗字を変更はできる?

上記のように色々悩んで決めたとしても、選択した苗字に満足できない場合があります。例えば、実際に名乗ってみて不都合が生じる場合などです。
このような場合、離婚の際に選択した姓について、しばらく経ってから変更することは可能なのでしょうか。
これについては、結論からいえば、苗字を変更できる制度自体はあります。しかし、ただ届出を提出するだけというものではなく、裁判所の許可が必要であり、そう簡単には変更することができないといわれています。

まず、手続きから説明しましょう。
家庭裁判所に「氏の変更の許可」という申し立てを行い、裁判所から変更の許可を得ることが条件です。
ただ理由もなしに申し立てはできません。苗字の変更をしなければ、社会生活において著しい支障を来す場合(やむを得ない事情)が必要です。

必要書類は以下となります。

  • ・申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • ・氏の変更の理由を証する資料(やむを得ない事情が分かる資料)

      ※婚氏続称(離婚後も婚姻中の氏を使い続けること)をした申立人が婚姻前の氏に戻る場合に、婚姻前の申立人の戸籍(除籍・改製原戸籍)から現在の戸籍までのすべての謄本の提出が必要な場合あり
    ※離婚や配偶者の死亡により復氏(ふくうじ-もとの氏に戻ること)をした申立人が婚姻中の氏に戻る場合に、婚姻中の戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本の提出が必要な場合あり

  • ・同一戸籍内に15歳以上の者がいればその同意書

      ※筆頭者の氏が変更されることで、自分の氏も変更されることへの同意、日付、署名、押印ある書類

上記の書類と家庭裁判所の審判の結果、氏の変更の許可が確定すれば、その審判書謄本と確定証明書が必要になります。これらと共に「氏の変更の届出」を本籍地又は住所地の役場に提出すれば変更することができます。

離婚の際の苗字は非常に悩み多き問題といえます。離婚時に選択した姓を後から変更することは難しく、しっかりとメリット・デメリットを比較して決めたいところです。ただ、旧姓か結婚時の姓を継続するという選択肢だけでなく、通称という方法もあります。戸籍や身分関係書類などの苗字は変更するものの、周りから認識される苗字は別の通称を使用するという裏技もあります。
選択肢は一つではありません。悩む場合は、弁護士などの専門家へ相談することをお勧めします。

無料相談のご予約はこちら

  • 初回60分まで無料法律相談
  • 土日も相談可能です
  • 男性・女性弁護士が選べます

お問い合わせはこちら

0120-272-585 24h受付、携帯からも通話無料

大切なことだから
話す相手は選んでほしい

弁護士は、秘密保持の義務が法定され、高度の守秘義務があります。(弁護士法第23条)

法律事務所オーセンスは、法的観点から冷静に分析し、論理的に主張を続け、最良の解決・支援へ導くため全力を尽くします。

電話での無料相談のご予約

TOP