法律事務所オーセンスの離婚コラム

熟年離婚。婚姻生活が長い夫婦の離婚手続きは?

熟年離婚。婚姻生活が長い夫婦の離婚手続きは?

長期の婚姻生活を経た熟年離婚には、さまざまなハードルがあります。長らく人生をともにしてきたパートナーとの円満離婚、そして離婚後の幸せな生活のために、知っておきたい熟年離婚の手続きをご紹介します。

熟年離婚の特徴

熟年離婚とは、単に熟年層といわれる50歳前後から60歳すぎの夫婦が離婚をすることではありません。一般的には、婚姻期間が20年以上にわたる夫婦の離婚が「熟年離婚」であると理解されています。

離婚はどちらかといえば妻の側から切り出されるケースが多く、熟年離婚においても同じことがいえます。長い結婚生活の末に離婚を選択肢として考えるようになる背景には、超高齢化社会にともない老後の人生が長くなる中で、子どもの自立や夫の退職をきっかけに、新しい人生を模索する女性が増えていることが挙げられます。

婚姻期間が20年以上の夫婦の離婚割合は、ここ数年は全体の16%前後で推移しています。
熟年離婚が特別増加傾向にあるわけではありませんが、熟年離婚に至る夫婦が一定数いることがわかります。

離婚を切り出す前に、後悔しないための離婚準備

熟年離婚という選択によって、自分らしい自由な人生を新たに歩みはじめることができる反面、老後の生活が大きく左右されます。特に専業主婦(夫)の場合は、離婚後の生活設計をしっかりと行った上で離婚に踏み切らなければ、生活の安定は図れません。

・離婚に際してもらえるお金を算出

まずは、離婚に際してどれくらいの資金が得られるのか(=離婚後の生活費に充てられるお金がいくらあるか)を把握することが大切です。

<資金確保のポイントは財産分与>

婚姻期間中に夫婦が2人で築いた財産(共有財産)を離婚時に分配することを「財産分与」といいます。分与の割合は、結婚生活へのそれぞれの貢献度に応じて、話し合いで決めることができます。しかし、裁判では、専業主婦(夫)であっても内助の功を認め、原則1/2とするのが通例です。

財産分与の対象となるのは、結婚後に2人で築いた財産だといえるもののみです。例えば、現金や預貯金、土地やマイホーム、自動車、生命保険をはじめとした各種保険、有価証券などが挙げられます。預貯金は、夫婦の一方の単独名義であっても、結婚した後のものであれば、財産分与の対象となる共有財産に含まれます。

一方で、婚姻以前に取得した財産、例えば独身時代の貯金や投資で得た株の配当金などは、夫婦それぞれの個人的な財産(特有財産)とみなされ、財産分与の対象とはなりません。

また、婚姻期間中のものであっても、相続財産や服飾品などは特有財産です。ただし、男女の別があっても、売却することでまとまった金銭が得られる価値のあるもの(ブランド物のバッグや宝石など)は、共有財産とみなされる場合があります。

・退職金は財産分与の対象になる?

熟年離婚の財産分与で大きなポイントとなるのが、夫や妻の退職金です。先述のとおり、専業主婦(夫)にも内助の功が認められることから、退職金は夫婦の共有財産となります。ただし、退職金を財産分与の対象と考えるのは、離婚時期が定年まであと数年で退職金が支払われることが確実であるとき、または、退職金が支払われて間もないとき、などに限定されます。

また、夫や妻に支払われた退職金全額を1/2とするわけではなく、あくまでも婚姻期間に相当する部分だけが分与の対象となることに注意が必要です。

※離婚時に財産分与として得られる退職金の計算例(分与の割合を1/2とする)

勤続年数40年の夫に3,000万円の退職金が支払われ、勤続年数のうち30年が婚姻期間に相当すると仮定すると、財産分与として妻が得られる夫の退職金は以下の通りです。

3,000万円(退職金)÷40(勤続年数)×30(婚姻期間)×1/2=1,125万円

・結婚生活で貯めたへそくりは自分のもの?

婚姻期間が20年以上の熟年離婚ともなれば、コツコツ貯めたへそくりも、かなりの額になっているかもしれません。「自分が生活費を上手にやりくりして貯めたお金だから、へそくりは自分の個人的な財産」だと考える方もいるでしょう。

しかし、へそくりも元は結婚生活を維持していくための夫婦のお金ですから、財産分与の対象となる共有財産です。離婚に際しては、原則1/2しか手元に残らないことを覚えておきましょう。

<年金分割>

老後の生活も目前に迫っている熟年離婚では、年金も重要な資金源のひとつ。法改正により、夫や妻が支払った年金のうち2008年4月1日以降の納付分については、自動的に1/2を受け取ることが可能です。

ただし、自動的に1/2となるのは、2008年4月1日以降で、かつ婚姻期間に相当する納付分に対してのみです。また、対象者は第3号被保険者(会社員、または公務員の配偶者の扶養に入っている人)となります。

夫や妻が自営業の場合も年金分割は可能ですが、相手の承諾が必要ですし、分割の割合も1/2で固定ではありません。「夫や妻が支払った年金全額の1/2が自動的に自分のものになる」と思っていると、年金分割によって将来もらえるお金が想定よりずいぶん少なくなってしまう可能性もあります。

離婚前に年金事務所などに問い合わせ、年金分割で将来もらえるお金を事前に把握しておきましょう。

<熟年離婚で慰謝料請求は可能?>

離婚に際してもらえるお金のひとつに、慰謝料があります。しかし、慰謝料は離婚に至れば誰でも請求できるものではなく、必ず離婚に至った原因について相手に非がなければなりません。

熟年離婚の場合は、長い結婚生活の中で積み重なった価値観の違いが離婚理由となるケースが多く、この場合はどちらに非があるともいえないため、慰謝料の請求は難しいと考えられます。

もちろん、熟年離婚の原因が相手の浮気やDV、モラハラなどにある場合は慰謝料を請求できる可能性もありますが、慰謝料の請求に際しては、相手に非があることの証明が必要です。

財産分与や慰謝料の他、離婚に際してもらえるお金には養育費もあります。熟年離婚では少ないかもしれませんが、夫婦に1人でも未成年の子どもがいれば、養育費の請求も可能です。

・職と離婚後の住まいを確保

熟年離婚を検討する場合、離婚に際してもらえるお金を算出するのと同時に、離婚後の職と住まい探しを進めましょう。すでに何らかの職に就いている方は、その仕事を離婚後も継続できるか、また、その仕事で毎月得られる収入でも1人(または引き取った子どもと一緒に)で生活していけるかを検討していく必要があります。

離婚後の職と住まいが確保できないと、離婚時にもらえる財産分与などは、すぐに生活費として底をつく可能性があります。現段階で職と住まいの確保が難しそうであれば、いったん離婚をあきらめ、同居しながらも配偶者に気づかれないように離婚の準備を進めていくなど、冷静な判断が必要です。

離婚成立までの全手順

熟年離婚における離婚成立までの手続きは以下の通りです。

1.離婚を切り出す

離婚は、相手の同意なしにはできないものです。また、相手が離婚に同意してくれても、財産分与、慰謝料、未成年の子どもがいる場合は親権や養育費、離婚後の住居など、離婚が成立するまでに話し合わなければならないことはたくさんあります。

今後のことを考えれば、円満に、そしてスムーズに離婚するためには、離婚を切り出すタイミングが肝心です。相手の性格や心情に配慮して、相手に唐突感を与えないように、また、なぜ離婚したいと思っているかがはっきりとわかるように説明することを心がけましょう。

2.離婚や条件について話し合う

離婚の同意が得られたら、財産分与などのさまざまな条件についても話し合いを進めていきましょう。特にお金の問題に関しては、お互いが納得した上でスムーズに話し合いが進められたとしても、離婚後にトラブルになるケースは多くあります。

話し合いだけで解決した場合は、認諾条項付きの公正証書を作成し、取り決めを記載しておくと安心です。公正証書があれば、万が一取り決めにしたがって財産分与などの支払いがなかった場合は、すぐに財産差し押さえなどの強制執行の手続きをとることが可能です。

3.調停を申し立てる

離婚に納得してもらえないとき、また、条件面で折り合いがつかないときは、家庭裁判所に調停の申し立てを行い、第三者を交えて話し合いを行います。

4.裁判を起こす

調停でも話し合いがまとまらなければ、最終的には離婚裁判を提訴し、裁判で離婚や離婚条件について争うことになります。とはいえ、裁判は精神的にも金銭的にも双方にとって大きな負担となります。

夫婦間の協議や調停でも弁護士に間を取り持ってもらうことは可能ですから、専門家の力も借りながら、なるべく調停以前の段階で離婚に決着をつけるのが望ましいといえるでしょう。

まとめ

熟年離婚後の人生が幸せなものとなるか、苦労の多いものとなるかは、離婚する以前にどれだけ冷静な判断ができるか、そして、しっかりと離婚後の自立に向けた準備ができるかにかかっているといえます。迷ったときには弁護士などの専門家へも相談してみて、後悔のない選択をしてください。

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