法律事務所オーセンスの離婚コラム

養育費は何歳まで支払う義務がある?

養育費は何歳まで支払う義務がある?

養育費の金額や支払い期間について、インターネットで調べると、多くの情報を見つけることができます。ただし、これらの情報には、「一般的に」という前置きがつきます。
つまり、各家庭には、それぞれの個別事情があるため、当然ですが「養育費」の内容はすべて同じではありません。各家庭の個別事情を考慮しながら、養育費の金額や支払い期間も変わります。
そこで今回は、養育費について、基礎知識に簡単に触れてから、「養育費を何歳まで支払う義務があるのか」という問題に絞って、事例を交えながらご説明します。

養育費の基礎知識

まず、ここでは養育費についての基礎知識に簡単に触れていきます。

・養育費を支払う義務がある

養育費とは、「未成熟子が社会人として独立するまでにかかるお金」のことをいいます。つまりは、子どもが生活していく上で必要なお金を意味します。
具体的には、以下の内容が含まれると考えられています。

  • ・生活するための衣食住に必要なお金
  • ・教育費
  • ・医療費
  • ・子どもの娯楽費など

なお、親は子どもに対する扶養義務を負っています。
民法877条にも「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定され、改正後の民法766条でも、「子の監護に要する費用の分担」と「養育費」が明記されました。
離婚しても親である以上、扶養義務がなくなることはありません。つまり、離婚に関係なく、親には子どもを扶養するための義務として、生活費を負担しなければいけないのです。そして、子どもの生活のレベルについては、自分と同じ水準の生活を保障しなければならないと解されています(生活保持義務)。

・養育費は何歳まで?

一般的には、養育費の支払いは「成年まで」との取り決めが多いようです。成年に達すれば、社会的に自立したと考えられるため、扶養という概念が合わず、このような取り決めがなされます。
ただ、養育費は当事者で話し合って決めることができます。それぞれの個別事情に沿った内容で合意に達すれば、その内容で養育費は確定します。
なお、当事者の話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所の調停や審判で決することになります。

事例で確認 養育費は何歳までか?

それでは、実際に養育費の支払い期間について、様々なケースをみながら、解説していきます。

子どもが私立大学を希望しているAさんの場合

Aさんには、現在6歳の子どもがいます。今年、都内でも有名な私立の小学校に入学しました。この小学校は、同じ系列の学校として、中学校、高校、大学があり、通常であればエスカレーター式で大学まで進学できるようになっています。もともと、夫の母校である系列の私立大学に入学できるからと、夫婦で話し合ってこの小学校を選んだという背景があります。
Aさんは、現在夫と離婚協議中ですが、養育費の支払い期間について、非常に心配しています。一般的には成年までという取り決めが多いと聞いたので、問題なく進学できれば、成年時はちょうど大学2回生が終わった時期です。残り2年の学費を、自分だけの収入で支払うことができるのか、今から不安に苛まれています。

さて、Aさんのケースでは、養育費の支払い期間は成年までとなるのでしょうか。
Aさんのケースでは、離婚の時点で私立大学進学が予想できます。もともと、この小学校を選んだのは、私立大学にエスカレーター式で入学できるからという理由です。夫の母校でもあり、夫婦で話し合って決めているため、夫も、将来的には私立大学に入学させることに合意し、予め理解しているという状況です。

そのため、このようなケースでは、養育費の支払い期間は、大学を卒業するまでとなる可能性が高いといえるでしょう。
ただ、すべて大学進学の場合に、養育費の支払い期間が成年までを超えるとは限りません。相手が大学進学を反対している場合など、個別事情を考慮して判断されるため、注意が必要です。

子どもが高校卒業と同時に働く予定のBさんの場合

Bさんには、現在10歳の子どもが一人います。Bさんの子どもは、自然災害の救助のドキュメンタリーをみてから、人の役に立ちたいと自衛隊に憧れており、高校卒業と同時に自衛隊入隊を決意しています。自衛隊は公務員なので、公務員試験に合格する必要がありますが、地域の自衛隊の広報の人も熱心に面倒をみてくれて、多分入隊には問題ないだろうといわれています。
現在、Bさんは夫と離婚協議中ですが、養育費の支払い期間について、夫から成年までではなく、高校卒業までが妥当といわれました。

さて、Bさんのケースは、子どもが進学をしないと決めています。このようなケースでは、成年までではなく、高校卒業までとなるのでしょうか。
養育費は「未成熟子が社会人として独立するまで」必要と解されています。成年までとの取り決めは、成年に達すれば、社会人として自立していると思われるからです。
しかし、先ほどのAさんとは逆のパターンで、成年となるよりも早く自立する場合があります。具体的には、高校卒業と同時に働いて、生計を自分で立てる場合です。

今回のBさんのケースでは、まさしく子どもは高校卒業と同時に働くことを希望しており、成年までとするよりも、高校卒業までとした方が、養育費の趣旨には合致するでしょう。
特殊なケースですが、夫の主張通り、高校卒業までとなる可能性も存在するといえます。

子どもが障害を持って働くことのできないCさんの場合

Cさんの場合、後天的に子どもが障害を持ったケースです。子どもが9歳のときに難病を発症し、12歳になった現在も右半身が麻痺する後遺症を抱えています。将来的にも後遺症の症状は変わらないと診断され、学校にも行けない状態が続いています。
Cさんは夫と離婚協議中で、親権者はCさんと決まりましたが、養育費の金額や支払いの期間について話し合いが行われている状況です。

Cさんのケースは特殊な場合といえるでしょう。養育費の支払いは、子どもが成年になるまでとの取り決めが一般的です。これは、成年に達すれば、自立し未成熟子とはいえないと考えられているからです。しかし、Cさんのケースではこの考え方と実情が合致しません。もちろん、公的扶助により手当を受けてはいますが、麻痺となれば、成年に達しても働くことができないと予想され、成年までの養育費では、それ以降の生活の保障が不安定となると思われます。

そのため、Cさんのケースでは、家庭裁判所が判断するとなれば、養育費の支払い期間は、一般的な基準といえる成年までとはならずに、実情に合った期間が妥当とされる可能性が一定程度あるといえるでしょう。

途中で事情が変更したら養育費はどうなる?

それでは、養育費を決めたにもかかわらず、途中で事情が変更となる場合は、どうなるのでしょうか。

養育費についての取り決めは、一度決めれば永遠に変わらないというわけではありません。
民法880条において、「(省略)…扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる」と定められています。
つまり、養育費の金額など、決定するにあたって基礎とした事情に変化があった場合は、養育費の変更が可能となります。
例えば、先ほどのAさんのケースのように、最初からエスカレーター式に私立大学に進学と決めていても、急遽、志望先を変更して大学受験をし、不合格となったとします。1年間浪人するとなれば、予備校代がかかり、また翌年合格しても、大学卒業まで1年余計にかかるわけです。
このように、途中で事情に変更があった場合は、養育費の変更、具体的には養育費の増額を求めることができます。

なお、養育費の変更については、まず当事者間で話し合い、それがまとまらなければ、家庭裁判所の「養育費請求調停」を利用し、双方の合意を目指します。

まとめ

養育費の支払い期間は、もらう側からすれば、子どもの生活が保障される期間として、精神的にも余裕を持つことができます。
たかが数年と思いがちですが、されど数年です。この数年が、子どもの生活に影響を及ぼすのです。そのため、養育費について一人であれこれ悩まずに、まずは法律の専門的知識を持つ弁護士に相談することをお勧めします。特に、相手との交渉前の早期の相談が理想です。どの段階で譲歩すればいいのかなど、アドバイスをもらえることができます。一度検討してみてはいかがでしょうか。

このコラムの監修者

平沼夏樹 弁護士(第二東京弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。

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