法律事務所オーセンスの離婚コラム

離婚における財産分与と慰謝料はどう違う?

離婚における財産分与と慰謝料はどう違う?

離婚をするにあたって問題となるのが、金銭面についてです。「財産分与」「慰謝料」「養育費」「婚姻費用」…など、多くの種類の問題が挙げられます。果たして相手からお金をもらうべきなのか、自分が渡すべきなのか。またどのような場合にこれらのお金が問題となるのか、厳密にはこれらのお金はどう違うのか、はっきりと理解されている人はそう多くはないかもしれません。
そこで、今回は、「財産分与」と「慰謝料」に絞って、どのような違いがあるのか、両者の関係も含めて解説していきます。

離婚における財産分与は、話し合うべき必須事項

まず、離婚における財産分与について、その内容などを解説していきます。

・財産分与とは、夫婦の共有財産を分けること

財産分与は民法768条に明記されています。「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と定められており、離婚の際には、離婚条件の話し合いの中で触れられるべき問題といえます。
離婚は、夫婦の関係を解消して、今後は互いが別の人生を生きていくことです。このように夫婦関係を解消するのと同じく、婚姻中に夫婦で協力して築いてきた財産も、公平に互いで分けるべきといえます。これが財産分与の趣旨です。

・専業主婦(夫)でも財産分与はもらえる

Aさんは、結婚してから20年が経ちますが、夫の精神的暴力に耐えかねて、離婚を決意しています。ただ、ずっと専業主婦であったために自分で稼いだことはなく、夫の給与をやりくりして、家の貯金として貯めているだけです。財産分与は、夫婦で築き上げた財産を分けることですが、専業主婦の自分では協力して築き上げたといえず、財産分与がもらえないと考えています。今後の生活費をどのようにして捻出しようかと悩んでいます。

さて、Aさんのように専業主婦のケースでは、「家事」をすることが夫婦での協力と認められ、共有財産の分割がなされるのでしょうか。
まず、「夫婦で協力して築く」といえるための協力の方法は様々なパターンがあります。自分で働いて稼ぐ場合もあれば、働く人をサポートする場合もあります。
Aさんの場合は、まさに、家事をこなして、働く夫を支えています。夫の身の回りの世話をし、家事をすることで、夫は働くことに集中できるからです。そのため、Aさんのケースでも夫婦で協力して財産を築いたといえます。

なお、財産の分割の割合は、財産を築く上でそれぞれが貢献した度合いで決められます。ただ、専業主婦(夫)の場合は、実質的にその貢献度合いを測ることが難しいため、財産分与の割合は1/2とすることが多いとされています。
今回のAさんのケースでも、財産分与として、共有財産の半分は分割されることになります。
専業主婦(夫)であっても、公平に分割されるのです。

ちなみに、当事者同士であれば、自由に財産分与の割合を決めることができます。裁判では基本的に1/2の割合が多いですが、当事者の合意があれば、割合を変えることも可能です。ただ、あまりにも偏った分割がなされると、贈与とみなされる場合があるため、注意が必要です。分割は有効ですが、贈与税が課される恐れがあります。

離婚の慰謝料は必ずもらえるわけではない?

離婚における財産分与は、離婚条件の中で話し合う必須事項といえます。それでは、離婚の際の慰謝料はどうでしょうか。離婚条件の中で必ず問題となるのでしょうか。

・離婚の慰謝料が認められるためには、要件を満たす必要がある

Bさんの場合、友人に紹介されて現在の夫と結婚に至ったのが29歳。現在、性格の不一致から、5年間の結婚生活に終止符を打とうとしています。特に何か問題があるわけではないのですが、互いに性格が合わないと感じているところがあり、離婚についての話し合いも揉めることなく、合意に至りました。Bさんは結婚を機に退職し専業主婦であったため、仕事が見つかるまでの間、慰謝料を生活費に充てようと考えています。それでは、実際にBさんには慰謝料が支払われるでしょうか。

さて、離婚の慰謝料ですが、先ほどの財産分与と異なり、民法には明記されていません。代わりに、民法709条に「不法行為による損害賠償」という規定があります。
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」という内容です。つまり、相手が不法な行為をし、それにより何か損害が生じた場合に、その損害に対して支払われるお金が「不法行為による損害賠償金」であり、一般的に慰謝料と呼ばれるのです。このように、慰謝料は損害に対して支払われるお金なので、離婚するにあたって相手に不法な行為がなく、何の損害もなければ、当然、慰謝料を請求しても認められることはありません。

Bさんのケースでは、離婚原因が性格の不一致となっています。通常、どちらかの性格がよい、悪いと優劣を決めることはできず、このようなケースでは、相手の不法な行為があったとは、認められません。そのため、Bさんは離婚後の当分の生活費を慰謝料でまかなうと考えていますが、慰謝料請求は認められず、実現は難しいでしょう。

財産分与と慰謝料の違い

さて、これまで財産分与と慰謝料をそれぞれ見てきました。財産分与は離婚条件の中で話し合うことが必須ですが、慰謝料は要件を満たさない限り、認められることはありません。他にも両者には違いがあります。

・財産分与は現物払いも可能!慰謝料は現金払いが原則

財産分与は、夫婦共有の財産を分けることです。共有財産は、現金だけでなく、不動産や動産、株などの有価証券と、現物のものもあります。
これらの現物を現金に換えて支払う場合もありますが、現物のまま、相手に渡すことも可能です。

一方、慰謝料は現金での支払いが原則となっています。現物払いにすることも可能ですが、相手が承諾しない限り、支払う側の都合で、勝手に現物で支払うことはできないので、注意が必要です。

・財産分与と慰謝料は別物!両方もらうことも可能

財産分与と慰謝料はその性質や内容が全く異なります。別の種類のお金であるため、要件が揃えば、もちろん両方もらうことも可能です。
つまり、慰謝料を支払う側からすれば、財産分与で夫婦共有の財産をもらったから、慰謝料は不要などの言い訳ができないということです。お金を渡すのではなく、それぞれの名目でしっかりと必要な分の金額を算出して支払わなければなりません。

・慰謝料を財産分与で受け取る場合もある

ただ、同じ相手から、異なる名目でお金をもらうのであれば、一気にまとめてもらう方が分かりやすい場合もあります。このようなケースでは、財産分与として、本来ならば1/2の割合の財産を渡すところ、慰謝料の意味をこめて分割の割合を多くして、夫婦共有の財産を分割することも可能です。例えば、全体の共有財産の2/3となるように上乗せして共有財産を分割するのです。

また、共有財産の内容が、現金はほとんどなく、現物の不動産などで構成されている場合も、同様です。慰謝料を支払うにしても現金がないため、財産分与に慰謝料的側面を加味して、分割の割合を多くするといったことも可能です。

なお、財産分与に慰謝料の側面が考慮されている場合は、別途、慰謝料の請求は認められません。これを認めてしまうと、慰謝料の二重取りとなってしまうからです。このような場合には、外形的には慰謝料は支払われず、上乗せした財産分与でバランスを図っています。

まとめ

離婚における財産分与も慰謝料も、相手に支払うべき財産がなければ、いくら支払う約束をしても、実効性がありません。そのため、確実に財産分与と慰謝料を支払ってもらうためには、夫婦共有の財産、相手の財産を全て洗い出し、まとめてリストにすることです。財産を把握することで、離婚後の生活費の見積もりも立てやすくなるでしょう。

なお、相手が財産を秘匿している場合には、弁護士が弁護士会を通じて照会する「弁護士会照会制度」を利用する方法もあります。詳しくは、法律の専門家である弁護士に相談をして、離婚に向けての戦略を練るのはいかがでしょうか。

このコラムの監修者

平沼夏樹 弁護士(第二東京弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。

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