養育費とは?金額と取り決め方・支払い期間

養育費とは

養育費とは、未成年の子どもが成長して自立するまでの間、生活するうえで必要な費用のことです。
具体的には、食費、被服費、学費、医療費、家賃など、子どもの生活にかかる費用全般のことを指します。

養育費は子どもが生活していく上でなくてはならないものなので、子どもが経済的に自立するまで継続的に両親で負担しなければならず、たとえ離婚しても両親に子どもを扶養する義務があることは変わりません。
そのため、離婚後は親権者になった親だけでなく、親権を持たない側の親も子どもにかかるお金を支払う必要があるのです。

養育費の支払い期間

離婚後に養育費が支払われる期間は、原則として未成年の子どもが経済的に自立するまでです。

養育費の支払いの終期としては、子どもが大学・短期大学、専門学校を卒業するまで、もしくは高校を卒業するまでなど、個々のケースに応じて決められます。
離婚する夫婦の収入や学歴を踏まえた場合、子どもが大学を卒業するまでが妥当とすることもあります。
また、子どもが幼く、将来どのような進路に進むかが不明な場合は、養育費の終期を「20歳を迎えるときまで」とするのが一般的ですが、もし大学へ進学したいときは支払終期を延長することをあらかじめ決めておくことも必要になるでしょう。
なお、大学の学費は非常に高額なため、養育費とは別の「特別費用」として、離婚する際、もしくは離婚後に、父母の協議で分担額を決めることができます。

協議が難しいときは、調停で話し合うことになります。

養育費の金額

養育費は、協議離婚であれば両親の話し合いで自由に決めることができます。
協議で条件を合意することが難しい場合は、家庭裁判所での調停や審判で定めることになります。

養育費の具体的な金額は、両親の収入や生活水準、子どもの年齢や人数を考慮して決めるため、一概に「この金額が妥当」といえる相場のような金額があるわけではありません。
養育費とは、単に最低限度の生活を送れるだけの金額を支払えばよいという意味合いではなく、支払う側と同程度の生活水準を保持できるだけの金額を支払うべきであると考えられています。
つまり、養育費を支払う側の親は、自分の生活水準を落としてでも子どもの利益を優先し、子どもが生活水準を落とさずにすむだけの金額を支払わなければならないのです。

養育費を決めるときの参考資料として、家庭裁判所では平成15年4月より、「養育費・婚姻費用算定表」※が用いられています。
算定表の数字は、子どもがすべて公立学校に進学した場合を想定したものなので、例えば、もし私立学校に進学した場合、金額に不足が生じることになります。
また、毎月の支出状況は家庭によって異なります。
そこで算出表の金額だけで養育費を決めるのではなく、現実的に監護にどの程度の額が必要になるのか確認し、十分に協議することが大切です。

なお、離婚をした場合、監護親は児童手当や児童扶養手当などの公的扶助を受けることがありますが、それが考慮されて養育費が減額されることはありません。

※参考:裁判所「養育費・婚姻費用算定表」

※令和元年12月23日に公表された改訂標準算定表(令和元年版)です

養育費の支払いを受けている割合

養育費は、一般的に毎月定額を支払うものですが、支払いは長期にわたるため、途中で支払いが滞ってしまうことは、十分に考えられます。
厚生労働省による調査結果※によると、実際に養育費の支払いを受けているのは、母子家庭で28.1%、父子家庭では8.7%となっています。

※参考:厚生労働省「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」

養育費と公正証書

子どもを監護する親にとって、養育費は子どもを無事育てるために大切なものです。
途中で養育費の支払いが滞る事態を少しでも避けるためには、協議離婚の際の取り決めを記した離婚協議書を公正証書にしておくことをおすすめします。

公正証書が必ずしも養育費の支払いを保証するものではありません。
しかし、離婚協議書を強制執行認諾文言付公正証書にすれば、相手方が養育費の支払い等の金銭債務の履行を怠った場合に、裁判手続きを経ずに財産などを差し押さえる強制執行が可能になります。
公正証書は公証役場で作成できますが、養育費のような複雑な内容を取り決める場合は、弁護士などの専門家に依頼したうえで公証役場で作成する方が安心です。

養育費が支払われない場合

養育費は子どもの生活に関わるものであるため、離婚前に協議していなくとも、離婚後いつでも請求することができます。
相手方に支払いを求める方法は、養育費についてどのように取り決めたかによって異なります。

口約束や、公正証書以外の書面で養育費を取り決めた場合は、相手方に直接養育費を支払うよう請求します。
ただちに強制的に支払わせることはできないため、請求に応じてもらえない場合は、家庭裁判所に養育費を請求するための調停や審判を申し立て、裁判所を通して相手方と協議をすることになります。

離婚調停や審判、訴訟で養育費を決めた場合は、家庭裁判所に申し立てて養育費を約束通り支払うよう、履行勧告をしてもらうことが可能です。
相手方がそれでも応じなければ、地方裁判所に申し立てて強制執行の手続を踏むことになります。

強制執行とは、相手方が持っている財産(住宅、車、預貯金)や給与債権などを差し押さえることです。
相手方が会社員などの勤め人の場合は、給与を差し押さえることが一般的です。
一般債権について強制執行をする場合は、給与の手取額の4分の1までしか差し押さえることができませんが、養育費の場合は子どもの生活にかかわるため、給与の手取額の2分の1まで差し押さえることができます。

なお、養育費の請求に関する消滅時効は5年とされています。
過去5年分までしか遡って請求することはできないため、相手方への請求は早めに行なうようにしましょう。

養育費の見直し(減額・増額)

養育費は長ければ20年近く支払い続けることになるため、その間に経済状況が変化することは十分ありえます。
養育費を支払う側の親の勤め先が不況で倒産したり、ケガや病気で働けなくなるなど、想定外の事態も起こりうるでしょう。
また、反対に、養育費を受け取る側の親の収入が減ってしまい、それまで受け取っていた養育費では不足することもありえます。

このように、離婚後に父母の経済状況に変化があった場合、たとえ離婚時に公正証書で養育費が定められていたとしても、養育費の増額や減額などの見直しを請求し、認められるケースがあります。
養育費の見直しをしたい場合、まず当事者同士で直接協議をしますが、協議で結論が出ない場合は、家庭裁判所に増減額を求める調停を申し立て、両者で話し合うことになります。
調停では定められた内容について調停調書が作成されますが、協議で養育費が変更になった場合は、新しく公正証書を作り直すことをおすすめします。

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報酬金
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親権者変更・面会交流調停に関するプラン

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子の引渡しと監護者の指定に関するプラン

審判・保全および離婚交渉・調停

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審判・保全

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報酬金

44万円(税込)

※子の監護権を獲得した場合/相手方の請求を阻止した場合に、報酬金が発生いたします。

子の引渡しと監護者の指定に関するプランの報酬金について

①子の引渡しを相手方に「請求したい」方

相手方との合意あるいは審判等の手続きにおいて、子の引渡しが認められた、または監護権を獲得した場合。

②子の引渡しを相手方に「請求された」方

相手方の請求が棄却または却下された場合、あるいは相手方が請求を取り下げた場合。

※ 審判前保全処分において、調査官による調査が実施され、この結果を踏まえて請求側が申立てを取り下げた場合または裁判所の判断により申立てが却下された場合には、一定の成果が得られたものとして報酬金11万円(税込)を頂戴いたします。

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養育費に関するQ&A

受け取った養育費には税金がかかりますか?

養育費は扶養義務に基づいて支払われるものなので、税金はかかりません。
所得税法では、子どもの教育資金のための給付金や、扶養義務者の間で扶養義務を履行するための金品には所得税を課さないとしています。
また、相続税法でも、扶養義務者相互間での生活費や教育費に充てるための「通常必要と認められるもの」については原則として非課税となっています。
そのため、養育費の受け取りに関して確定申告をする必要はありません。

養育費を支払っている側は税金の負担を軽くすることはできますか?

養育費を支払う側の親は、子どもとの生計が一つと認められれば、子どもを扶養家族として扶養控除を受けられる可能性があります。

再婚したら、それまで受け取っていた養育費はもらえなくなるのですか?

養育費を受け取っている側の親が再婚した場合でも、養育費を支払う側の親の支払い義務は変わらず、終期まで養育費の支払いを継続しなくてはいけません。
ただし、その再婚相手が子どもと養子縁組した等の事情がある場合は、養育費の減額理由となる可能性があります。

また、養育費を支払う側の親が再婚したり子どもが生まれたりした場合は、扶養家族が増えることにより養育費の減額理由となる可能性があります。

養育費で私立学校の学費や塾代は請求できますか?

養育費・婚姻費用算定表により算定される養育費には、公立学校にかかる費用などが含まれていると考えられています。
ただし、私立学校に通うことについて、養育費を支払う側の親の承諾を得ていたり、その収入および資産の状況などからみて、養育費を支払う側の親に負担させることが相当と認められる場合には、離婚裁判などにおいて、養育費・婚姻費用算定表により算定される養育費よりも増額が認められる可能性があります。

一方、塾代は、通常の学校教育とは別に、あくまでも任意に行う私的な学習のための費用であるため、基本的に養育費を支払う側の親に負担を求めることはできず、養育費の増額は認められません。
塾代を負担してもらいたいのであれば、双方で協議を重ねた上で、事前に進学や通塾について相談し、負担金額について取り決めをしておくことをおすすめします。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、早稲田大学法学部法務研究科を修了。これまで離婚、相続など個人の法律問題に関する案件を数多く取り扱い、依頼者の気持ちに寄り添った解決を目指すことを信条としている。複数当事者の利益が関わる調整や交渉を得意とする。現在は不動産法務に注力。
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