「子どもが成人したら離婚したい」「子どもが大学を卒業したら離婚しよう」など、節目のタイミングで離婚しようと考えている方もいらしゃることでしょう。本当にそういった時期に離婚して後悔しないのか、法的な側面もふまえて検討してみましょう。
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相手が同意しないと離婚はできない
「子どもが大学を卒業したら離婚しよう」と考えたとしても、離婚は自分一人の希望だけでは実現できません。
離婚は基本的に、夫婦の合意がないと成立しないからです。
相手が離婚に合意しない場合には「離婚訴訟」をしなければなりません。
訴訟をしても必ず離婚できるとは限らず「法律上の離婚原因」が必要です。
これから離婚しようと考えているものの、まだ配偶者とまったく離婚の話をしていないのであれば、相手に離婚に同意してもらうこと自体が大きなハードルとなる可能性があります。
法律上の離婚原因について
夫が離婚に合意しない場合でも、法律上の離婚原因があれば離婚訴訟によって離婚を認めてもらえます。
法律上の離婚原因は、以下の5種類です。
- ① 不貞(不倫、浮気)
配偶者が不倫している場合 - ② 悪意の遺棄
配偶者が家出して戻ってこず、生活費の送金もない場合など - ③ 3年以上の生死不明
配偶者が3年以上生死不明の状態 - ④ 回復困難な精神病
配偶者が重度の統合失調症や躁うつ病などにかかっており、これまで献身的に看護をしてきて、離婚後も配偶者が生活に困らない算段ができている場合 - ⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由
DVやモラハラを受けている場合や、長期間の別居が続いて夫婦関係が実質的に破綻している場合など
上記に当てはまるなら、離婚を考えた方が良いケースもあります。
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離婚後の生活を考えるべき
離婚するかどうか迷っているなら、離婚後の生活がどうなるかを考えておくべきです。
つまり、経済的に一人で生活していけるのかという問題です。
離婚後の生活にあてられるお金には、以下のようなものが考えられます。
- ・離婚時の給付
- ・自分で稼いだお金
- ・実家からの援助
子どもが未成年であれば行政からひとり親への援助がありますが、大学を卒業している場合にはそういったものはほとんど期待できません。
離婚時の相手からの給付
離婚の際、相手からもらえるお金には以下のようなものがあります。
財産分与
夫婦の間に共有財産があれば、その2分の1については相手から給付を受けられます。
たとえば現金預貯金や自宅、株式や生命保険その他の積立金などが財産分与の対象です。
夫の退職金についても、今後おおよそ10年以内に退職予定があり、退職金が支給される蓋然性が高い場合などには財産分与の対象になります。
財産分与のお金が数千万円などの多額になっており、離婚しても当面生活に困らなそうであれば離婚に踏み切っても良いでしょう。
ただし、相手がすんなり財産分与に応じるとは限りません。
争いになったときに備えて、預貯金通帳や不動産の評価に関する資料、生命保険証書(コピー可)や積立金の資料、証券会社との取引状況を示す資料など、財産についての資料を集めておきましょう。
慰謝料
慰謝料は、相手に「有責性」がある場合に請求できます。
有責性とは、離婚原因を作った責任です。たとえば相手が不倫した場合や、DV、モラハラの事案などです。
ただし、離婚慰謝料は高くても300~400万円くらいまでにしかならないのが一般的です。
慰謝料を受けとりさえすれば離婚後の生活を心配しなくて済むというものではないので、離婚後の生活の「補助的な要素」と考えましょう。
また、相手が慰謝料をすんなり支払わないケースもあるため、相手の有責性についての証拠を集めておく必要があります。
たとえば、相手が不倫しているケースでは、「配偶者とその不倫相手が男女の性関係をもっている証拠」が必要です。
LINEなどのメッセージだけでは足りないこともあります。
年金分割について
離婚の際、相手に「年金分割」を請求できるケースもあります。
年金分割を請求できるのは、厚生年金、または、共済年金がある場合です。
年金分割請求をすると、婚姻期間中に払い込んだ年金保険料を分け合えます。
将来年金を受けとる年齢になれば、数千円~数万円受取金額が増えることもあります。
ただ離婚後すぐに年金をもらえるわけではないので、これを当てにして離婚することは適切ではありません。
自分自身の経済力
現在働いており収入のある方であれば、慰謝料や財産分与などを頼らなくても生活できるので、お金のことで思い悩む必要はありません。
反対に、専業主婦の方やほとんど働いていなかった方の場合などには、離婚時の給付に頼らざるを得ないので、相手からどのくらいの給付を受けられるかが非常に重要な問題となってきます。
実家からの援助
ご実家が裕福な方であれば、自分自身に経済力がなくても実家から援助を受けられたり、実家に戻って生活したりできるので、離婚後の生活方法についてそれほど思い悩む必要がないケースもあります。
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離婚することによる損失
離婚は良いことばかりではなく、精神的な喪失感はもちろんのこと、経済的にも損失があります。
以下で離婚によってどういった損失があるのか紹介します。
年金が減る
離婚すると、将来受け取れる年金が減ることを覚悟しておくべきです。
もしも婚姻を継続していたら、配偶者が受けとる年金を生活費に充てられます。
一方、離婚すると、基本的に自分の年金だけしかもらえません。
働いていた方なら厚生年金がありますが、主婦だった方の場合には国民年金のみです。
そこに年金分割で数万円足してもらっても、婚姻を継続していた場合にもらえる満額の厚生年金には届かない金額になります。
年金分割すると、夫婦で年金を分け合う形になるので、どうしても一人あたりの取り分が減ってしまうのです。
遺産相続できなくなる
離婚したら「遺産相続権」がなくなることにも注意が必要です。
離婚したら財産分与を受けられますが、それはあくまで「婚姻中に形成した財産」です。
一方、当然ながら自分の方が先に死亡する可能性もありますが、配偶者が亡くなるまで添い遂げた場合には、その遺産の半分を相続財産として受け取ることができます。
まとめ
以上のように、「子どもが大学を卒業したから離婚」するか検討する際には、経済的な側面からさまざまなことを考えて離婚後後悔しないよう準備する必要があります。
具体的なアドバイスが必要な際には、弁護士までご相談ください。
Authense法律事務所が選ばれる理由
Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。
離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。
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