妊娠中、夫婦が不仲になって離婚に至ってしまうケースが実は少なくありません。もしも妊娠中に離婚したら、子どもの親権はどちらのものとなるのでしょうか?
子どもの戸籍や養育費、慰謝料、離婚後の生活費や出産費用の負担方法などについても正しい知識を持っておきましょう。
目次
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1.妊娠中に離婚した場合の子どもの親権者
妊娠中に離婚した場合、生まれてきた子どもの親権者は父母のどちらになるのでしょうか?
夫婦の婚姻中に生まれた場合、婚姻期間中は、子どもの親権者は「父母」の両方になります。
しかし父母が離婚すると、親権者を一人に決めなければなりません。
妊娠中に離婚をした場合には、母親が親権者となります。
2.妊娠中に離婚した場合養育費を請求できる
妊娠中に離婚してしまった場合、出産後に母親が父親へ養育費を請求できるのでしょうか?
養育費は、父母が婚姻しているかどうかにかかわりなく、離れて暮らす親が子どもの養育のために負担すべき費用です。
もともと婚姻していない父母(未婚の母など)のケースでも、父親が子供を認知していれば、父親に養育費の支払い義務は発生します。
子どもが生まれたときに父母が既に離婚していたとしても、父と子どもの関係が認められる限り、父は子どもの養育費を払わねばなりません。
母親は出産後、父親に毎月の養育費を請求可能です。
まずは父母が話し合いをして金額を決定する方法があります。
養育費の金額には、父母それぞれの収入状況に応じた相場があります。
合意ができたら子どもが成人するまで、大学を卒業するまで等、父母が合意をした月まで毎月支払いを継続してもらいます。
話し合っても合意できなければ、母親が家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てます。
すると調停委員を介して話し合い、養育費を取り決められます。
調停でも合意できなければ「審判」で裁判所から父親に養育費の支払い命令を出してもらえます。
一般的には、裁判所が提示している両者の収入状況や子の年齢等が考慮されている養育費の標準算定方式・算定表で示されている金額が基準となります。
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3.妊娠中に離婚して慰謝料請求できるケースとできないケース
妊娠中に離婚した場合、慰謝料が発生するケースとしないケースがあります。
離婚したからといって当然に慰謝料が発生するわけではありません。
慰謝料は「不法行為によって相手に精神的苦痛を与えた場合」に発生するものです。
婚姻中、夫婦のいずれかに不法行為があり、それによって精神的苦痛を受け、離婚にいたった場合であれば慰謝料が発生します。
ではどういったケースで慰謝料が認められるのでしょうか?
妊娠中の離婚で慰謝料が発生するケースには主に以下の例があげられます。
- ・妊娠中、妻が性交渉に応じなかったので夫が浮気(不貞)をした
- ・妊娠中、夫が妻に暴力を振るっていた
- ・妊娠中、夫が妻に暴言を吐き続けて精神的に追い詰めた
- ・妊娠中、夫が生活費を渡さなかったので困窮していた
- ・妊娠中の妻を置き去りにして夫が家出した
上記のような事情があり、それが原因で離婚に至ったことが証明できる場合には、慰謝料が認められる可能性が高いといえます。
4.離婚後に生まれた子どもの戸籍
父母が離婚した後に生まれた子どもの戸籍はどうなるのでしょうか?
父母が婚姻中に子どもが生まれた場合には、子どもは通常「父親(夫)」の戸籍に入ります。
婚姻中の場合、通常は父親が筆頭者となっており母親が妻として父親の戸籍に入っているので、そこに子どもが入って家族が全員同じ戸籍になります。
離婚していると父母の戸籍が違っているので、子どもがどちらの戸籍に入るかが問題です。
実は離婚後300日以内に子どもが生まれた場合、子どもは父親である前夫の戸籍に入ります。
離婚後300日以内に子どもが生まれた場合、元夫が「父親」と推定されるからです。
このことを「嫡出推定」といいます。
離婚後300日以内に子どもが生まれた場合、子どもは父親の戸籍に入るため子どもと母親の戸籍が分かれてしまいます。
母親が旧姓に戻った場合、子どもは父親の姓となるので母親と子どもの苗字も違う状態になります。
母親が親権者であるにもかかわらず「子どもと戸籍や姓が違う」という不自然な状態になります。
母親が子どもを自分と同じ戸籍に入れたり姓を揃えたりするには、家庭裁判所で「子の氏の変更許可の申立」をしなければなりません。
母親が婚姻続称を選択して父親の姓を名乗っていても「氏の変更」が必要です。
子どもの氏の変更許可が認められたら、子どもの戸籍を母親の戸籍に入れるため入籍届をすれば、子どもの戸籍を母親の戸籍に移すことができますし、姓も母親と揃えることが可能です。
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5.認知が必要なケースとは?
通常、婚姻していない男女から子どもが生まれた場合、父親は子どもを認知しないと父子関係が明らかになりません。
では離婚後に子どもが生まれた場合にも認知が必要なのでしょうか?
上記のように、離婚後300日以内に子どもが生まれた場合、子どもは父親の子どもであることが推定されて父親の戸籍に入るため、自動的に父子関係が認められるので、わざわざ認知する必要はありません。
もっとも、前夫が実の父親でない場合には、前夫と子どもの親子関係を否定する手続きをとった上で、実の父親に認知をしてもらう必要があります。
ただ、妊娠直後に離婚して出産予定が大幅に遅れるなどの特殊事情があり、離婚後300日以上が経過してから子どもが生まれた場合には、父親が推定されないので認知をしてもらう必要があります。
6.妊娠中に離婚した場合の出産費用や生活費
妊娠中に離婚した場合、出産費用や離婚後の生活費を請求できるのでしょうか?
婚姻中の夫婦には「婚姻費用」としてお互いの生活費を分担すべき義務があります。
出産費用などの医療費も婚姻費用に含まれるので、当然に相手に負担を求められます。
しかし離婚が成立すると、夫婦ではなくなるので婚姻費用の分担義務もなくなります。
離婚が成立したら、その後は基本的に生活費を請求できませんし、当然に出産費用を求められるとも限りません。
出産費用については話し合いによって相手に支払いを求めましょう。
平等に折半とするのがよいでしょう。
また2で述べたように、子どもが生まれてから成人するまで毎月養育費を請求できます。
子どもが生まれたらきちんと取り決めをして支払いをしてもらいましょう。
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7.妊娠中に離婚した場合の面会交流
子どもと離れて暮らす親には「面会交流権」が認められます。
面会交流権とは、離れて暮らす親と子供がお互いに面会をする権利です。
子どもの成長にとっても重要な権利と考えられています。
妊娠中に離婚してしまった場合でも、父子関係がある以上、父親と子どもには面会交流権が認められます。
父親が面会を求めているにもかかわらず、母親が面会を頑なに拒絶する場合、父親は母親に「面会交流調停」を申し立てて、調停を通じて面会の方法を取り決めることが可能です。
調停で解決できなければ審判によって裁判所が面会交流の方法や頻度を決定します。
ただ生まれたばかりの赤ちゃんと父親が会うには必ず母親のサポートが必須です。
無理矢理面会を強要しようとしても結局はうまくいかなくなるでしょう。
離婚後に生まれた子どもと父親の面会については、お互いが納得できるまでしっかり話し合い、実現可能な方法を模索して取り決める必要があります。
妊娠中に離婚してしまったら、赤ちゃんを抱えた離婚後の生活に大きな不安を感じるのも当然です。
きちんと行政給付や養育費などを確実に受給して不利益を受けないためには法的な知識が必要です。
お悩みの方は、お早めに弁護士までご相談下さい。
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Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
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また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。
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