コラム
公開 2021.01.20 更新 2023.12.11

離婚時に子どもの親権を決める基準と獲得する方法

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離婚後に子どもの親権者になれるのは母親か父親のうち一人だけです。話し合いの際に夫婦が双方とも親権を希望したら協議離婚できなくなり、最終的に裁判所が親権者を指定します。

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1.親権とは

親権とは、子どもの養育監護を行い子どもの財産を管理する親の権利です。
以下の2つの要素から成り立っています。

財産管理権

子ども名義の預貯金や不動産などの財産を管理します。
子どもが交通事故に遭った場合の損害賠償請求も親権者が代理で行います。

身上監護権

子どもと一緒に住んで現実に養育する権利です。
身の回りの世話をしたり教育方針を決定したりしつけを行ったりします。

通常「親権者」という場合には上記の両方を含みます。
まれに「親権」と「監護権」を分けるケースがありますが、その場合には「親権者」が「財産管理権」を取得して「監護権者」が「身上監護権」を取得します。

この記事では親権者と監護権者を分けない一般的なケースを前提に説明を続けていきます。

2.離婚後子どもの親権者になれるのは一人だけ

日本では離婚後の「共同親権」は認められていないので、離婚後に親権者になれるのは母親か父親の一方のみです。

協議離婚するときにも、必ず親権者を決めなければなりません。
夫婦の両方が親権を希望して意見が対立すると、親権が決まるまでは離婚を成立させることはできません。

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3.話し合いで決まらない場合は裁判所が親権者を指定する

夫婦の話し合いで親権者を決められない場合、「離婚調停」を申し立てて家庭裁判所で話し合いを進めます。
家庭裁判所では調停委員が間に入って夫婦の間をとりもったり子どもの現状や過去の養育状況を調査したりして、調整を進めていきます。

調停でも合意できない場合、最終的に「離婚訴訟」において裁判官が親権者を指定します。

4.親権者の判断基準

裁判所で親権者を決めるときには、以下のような要素があると親権者として認められやすくなります。

  • ・これまでの養育実績が高い
  • ・現在の子どもとの関係性が良好である
  • ・離婚後子どもの養育環境が整っている
  • ・養育方針、教育方針が評価できる
  • ・居住環境が良い
  • ・健康状態が良好
  • ・子どもが乳幼児なら母親優先
  • ・現状が良好であれば継続させる(現状保護)

特に重視されやすいのは「子どもが乳幼児なら母親優先」「現状が良好であれば継続」「これまでの養育実績が高い」「離婚後の子どもの養育環境が整っている」などの点です。

親権を取得したければ、上記のポイントで有利になるよう振る舞ったり資料を提出したりしましょう。

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5.親権を獲得する方法

離婚後に子どもの親権を獲得したい場合、以下のような対応を進めるべきです。

子どもと接触する時間を増やす

なるべく子どもと接触する時間を増やし、関係性を良好にしましょう。
子どもの宿題をみてあげたり習い事の練習につきあったり送り迎えをしたり一緒に遊んだりします。

育児に積極的に参加する

主に養育を行っている人に親権が認められやすくなっています。
子どもをお風呂に入れたり食事を与えたりおむつを替えたりして、積極的に育児にかかわりましょう。

親権者として適切であることがわかる資料を集める

裁判所に親権者として認めてもらうには、「資料(証拠)」が必要です。
これまで子どもと関わってきた事実が分かる資料を集めましょう。
たとえば母子手帳、幼稚園や保育園、小学校との連絡帳、写真、スケジュール帳、育児日誌などが証拠となります。

離婚後、子どもの養育ができる環境を用意する

離婚後、子どもの養育に適した環境を用意しなければなりません。
賃貸物件ならどのような間取りでどういった場所に住むのかが問題になります。
実家に帰るなら、同居者の状況や実家の場所、間取り、相手親との物理的な距離感なども考慮されます。

子どもと一緒に暮らし子どもを主に監護する

親権を確保したいなら、離婚協議や調停の最中に子どもと離れてはなりません。
裁判所は現状を優先する傾向があるので、子どもと離れると「相手と過ごしている現状」が評価されて相手に親権が認められやすくなります。

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6.男性の場合

男性は女性に比べて親権争いで不利になりがちです。
父親が親権を獲得したい場合、以下のように工夫してみてください。

子どもと一緒に暮らし子どもを主に監護する

父親が子どもの親権者になりたい場合、母親以上に子どもと離れると不利になります。
フルタイムで働いている方の場合、実家に帰るか引っ越し先に母親(子どもの祖母)に来てもらって手伝ってもらうケースが多数です。

子どもと一緒に過ごす時間を確保

親権を獲得するには、離婚後に子どもをしっかりと監護する時間を確保しなければなりません。
フルタイムで働いている男性にはハードルが高くなりがちです。
残業の多い会社員などで「子どもと顔を合わせるのは土日だけ」という状態では親権を獲得するのは困難です。

時短勤務やフレックス勤務にする、実家に帰って父母に協力してもらうなどの方法で対応していきましょう。

母親などに手伝ってもらう

男性が親権獲得に成功するケースでは、母親(子どもの祖母)の協力を得る場合が多くなっています。
このように育児を手伝う人を「監護補助者」といいます。

母親に一緒に住んでもらって父親がみられないときに子どもをみてもらえると、親権を獲得できる可能性が高まります。
ただし「何もかも母親任せ」にしてはなりません。
基本的には父親自身が子どもの養育を行い、どうしても仕事で子どもを見られないときだけ母親に手伝ってもらう姿勢を保ちましょう。

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まとめ

離婚後に子どもの親権者になれる親は父母のどちらか一人だけです。
親権者になりたいときにとるべき対処方法は父親なのか母親なのか、親の職業や生活形態、子どもの年齢や現状、過去の育児環境など具体的な状況によって大きく異なります。

最適な手段を選択してより確実に親権を獲得するには専門家によるサポートが必要となるでしょう。
親権問題でお困りであれば、ぜひ弁護士にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、一橋大学大学院法務研究科修了。離婚、相続問題等の一般民事事件や刑事事件、少年事件、企業の顧問など、幅広い分野を取り扱う。
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