コラム

公開 2020.06.11 更新 2023.11.14

離婚後も同居を続けるのは違法?財産分与などの注意点を解説!

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離婚すると通常夫婦は別居しますが、まれに離婚後も同居を続けるご夫婦がいます。
離婚後も同居し続けることに法的な問題はないのでしょうか?

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1.離婚後同居するのは違法ではない

「離婚したら別居するのが当たり前」
世の中では圧倒的に多数の方がそう考えています。しかし離婚後に別居するのは自由です。

たとえば世間には「同棲している恋人」「シェアハウスの友人」「事実婚の夫婦」など「結婚していなくても同居している人」がたくさんいます。これらの同居が違法になるはずがありません。離婚した夫婦も同じことです。

夫婦が離婚すると「婚姻していない」状態に戻るだけなので、その二人が同居することについて法的な問題はまったくありません。

2.離婚前同居と離婚後同居の違い

ただ離婚後同居する場合、離婚前とはさまざまな点で違いが発生してくるので、理解しておく必要があります。

2-1.夫婦別姓を選べる

婚姻中は夫婦の姓は必ず同一である必要があり、夫婦別姓は認められません。
一方、離婚するとお互いの戸籍が分かれるので基本的に姓が別々になります。離婚後も同居して「事実婚」状態を続ける場合には、夫婦別姓を実現できるといったメリットがあります。

  • ・事実婚
    婚姻届を提出せず、事実上夫婦としての生活をしている状態

2-2.子どもの親権はどちらか一人

離婚すると子どもの親権はどちらか一方の親にしか認められません。たとえ同居していても親権者は離婚時に定めた一方の親だけであり他方には権利が失われます。

2-3.いつでも別居できる

婚姻中は夫婦に同居義務があるので、一方的に相手を見捨てて家出をすると違法となる場合があります。
これに対して、離婚すると同居義務はなくなるので、いつ別居してもかまいません。
ただし親権者でない側が子どもを連れて出ると「誘拐」になる可能性があります。

2-4.配偶者控除が適用されない

婚姻中は夫婦に税金の「配偶者控除」が適用されます。妻が専業主婦の場合などには夫の所得税が減税されるのです。
しかし離婚すると配偶者控除は適用されません。事実婚状態でも税金控除は受けられません。子どもがいる夫婦で妻が親権者になると、子どもの控除もなくなって一気に夫の税額が上がるリスクがあります。

2-5.生活費は請求できない

婚姻中の夫婦にはお互いに生活を支え合うべき相互扶助義務がありますが、離婚すると義務は無くなるので、お互いに生活費を請求できません。
妻が専業主婦だったケースでも、夫に生活費を要求できなくなります。

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3.離婚後同居のリスク

離婚後同居を継続するときには、以下のようなリスクがあるので要注意です。

財産分与が脱税になる可能性

離婚するときには「財産分与」を行うのが通常です。財産分与とは夫婦共有財産を清算し分け合う手続きです。もちろん離婚後同居を継続する場合でも財産分与できます。
ただし離婚後も同居していると、財産分与が「脱税」とみなされるおそれがあります。
財産分与は基本的に「無税」であり、脱税目的で「偽装離婚」する夫婦がいるためです。

たとえば夫名義の自宅や預貯金などを全部妻に贈与すると、本来なら多額の贈与税が発生するはずです。しかし離婚届を提出して「財産分与」として名義変更した場合には原則として贈与税が発生しません。

夫婦の生活の実態が何ら変わらず婚姻を継続する意思があるのに、債権者からの追及を逃れるため一方の資産を他方配偶者に帰属させる目的で離婚届を提出して無税で財産分与すると「脱税」となり犯罪も成立するケースがあります。

4.離婚後同居が「偽装離婚」と言われないために

離婚後に同居を継続する場合「偽装離婚」と言われないための対策が必要です。

4-1.事実婚状態にする場合

事実婚状態にするときには、財産分与をすべきではありません。婚姻関係を継続するので財産分与する理由がないからです。夫婦の実態が変わらないのに財産分与をすると、贈与税の脱税とみなされて後から高額な税金(加算税)が課されたり刑事事件になってしまったりするおそれがあります。

4-2.単なる同居人になる場合

離婚後同居を継続する場合、事実婚にするのではなく「経済的な問題などがあって単なる同居人として同居するだけ」のケースがあります。
この場合、夫婦の家計は別になりますし婚姻関係が解消されるので財産分与を行ってかまいません。夫名義の財産を妻に移しても無税ですし脱税にもなりません。
ただし単なる同居人の状態で元夫婦があまり長期間同居し続けるのは不自然です。
引っ越し費用や当面の生活費を貯めたら、どちらかが家を出て独立して家を持つのが通常でしょう。

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5.離婚後別居と財産分与

ここからは「離婚後同居が事実婚にならないケース」を前提にお話を進めます。

5-1.離婚時に財産分与をしよう

離婚後同居するとしても「事実婚」にならず「単なる同居」を続けるだけであれば「財産分与をしておくべき」です。きちんと財産を清算しておかないと後で「もらえるものももらえない」結果になってしまうからです。
財産分与の基準時は「離婚時」なので、離婚後時間が経つと財産の資料がどんどん失われて正確に計算しにくくなります。

5-2.財産分与の時効は「離婚後2年間」

財産分与は「離婚後2年間」しか請求できないので、その期間が経過する前に請求する必要があります。

5-3.財産分与の方法

離婚届を提出するとき、きちんと財産分与の方法について話し合い「協議離婚合意書」または「財産分与契約書」を作成しましょう。
相手が話し合いに応じてくれない場合や財産分与の方法に合意できない場合、離婚届の提出後に家庭裁判所で「財産分与調停」を申し立てて話し合いをできます。調停でも合意できなければ、「審判」に移って裁判所が財産分与の方法を決定してくれます。

5-4.財産分与後の名義変更は「すぐに」行う

財産分与の方法が決まったら、不動産や預貯金、生命保険などの名義変更をすぐに行いましょう。同居していると生活環境が変わらないのでこういった話し合いや手続き関係を後回しにしてしまいがちですが、放っておくと混乱やトラブルにつながります。

離婚後同居を継続するときには「事実婚」状態になるのか「単に同居を継続するだけ」なのかによっても対応が異なってきます。

法的な問題、税務上のリスクなどを軽減するためには正しい法律知識が必要です。対応に迷っている方、不安を抱えている方は、ぜひ一度お気軽に弁護士までご相談ください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。
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