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2021.06.08

離婚時における自動車の財産分与と名義変更手続きについて

離婚するとき、自動車を所有していたら財産分与の対象になる可能性があります。購入時期や時価、ローンの有無などによって適切な分け方が異なる場合もあります。
今回は自動車の財産分与の方法や名義変更の手続きについて、解説します。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(大阪弁護士会)
京都大学法学部卒業、神戸大学法科大学院修了。不動産法務、離婚、相続、刑事事件を中心とした法律問題を取り扱う。不法行為に基づく慰謝料請求事件や刑事事件の示談交渉などの解決実績を有する。

1.自動車が財産分与の対象になる場合とならない場合

自動車は財産分与の対象になる場合とならない場合があります。以下でそれぞれみていきましょう。

1-1.自動車が財産分与の対象になる場合

自動車が「夫婦の共有財産」であれば、財産分与の対象になります。夫婦の共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産です。結婚生活の中で夫婦が趣味や生活のために購入した自動車は、基本的に財産分与の対象になります。

1-2.自動車が財産分与の対象にならない場合

原則として自動車が財産分与の対象にならないのは、夫婦の一方が婚姻前からその自動車を持っていたケースや婚姻中に自分の名義で得たケース(特有財産といいます)です。具体的には以下のようなケースです。

独身時代から持っていた自動車

夫婦のどちらかが独身時代から持っていた自動車は、夫婦が協力して形成した財産ではないため財産分与の対象にならないのが原則です。

独身時代の貯金で買った自動車

夫婦のどちらかが独身時代に貯めたお金で自動車を購入した場合、結婚後に取得したとしても財産分与の対象にならないのが原則です。

親からもらった自動車

どちらかの親から贈与されたり遺贈を受けたりした自動車は、特有財産となります。
婚姻中に取得したとしても財産分与の対象にならないのが原則です。

親からもらった資金で購入した自動車

親から贈与、遺贈されたお金で購入した自動車についても、原則として財産分与の対象になりません。

2.自動車を財産分与する方法

自動車を財産分与する方法

次に自動車を財産分与するための具体的な方法をみていきましょう。

2-1.財産は2分の1ずつに分けるのが原則

離婚時に財産分与を行うときには、基本的に財産を「2分の1ずつ」に分け合います。
夫婦が協力して財産を形成した以上、半分ずつに分けるのが公平だからです。この原則は、一方が専業主婦(主夫)であっても基本的に変わりません。

ただ自動車の場合、物理的に「半分ずつ」にするのは不可能です。そこで通常は、以下の二通りの方法が考えられます。

2-2.どちらか一方が自動車を取得し、相手方に代償金を支払う

一つ目は、夫婦のどちらかが自動車を取得し、相手方に「代償金」を支払う方法です。
どちらかが自動車を取得するだけでは不公平ですが、自動車の価値の半分のお金を相手方に支払えば公平になります。そこで「自動車の価値の半額相当のお金」を「代償金」として相手方に支払うことで、公平に財産を2分の1ずつに分けることができます。

ただし自動車の価値は、明確に一つに定まるわけではありません。インターネットの中古車市場で相場を調べたり、車買取専門店などで値段を査定してもらい、相当な価額を調べる必要があります。

2-3.売却して代金を分け合う

夫婦のどちらも自動車を必要としないのであれば、自動車を売却して売却代金を分ける方法もあります。
自動車を売って経費を差し引き、残ったお金を夫婦で2分の1ずつに分け合えば、公平な財産分与が可能となります。

ただし自動車の場合、売却しても利益が出ないケースも少なくありません。多くの自動車は、購入後数年が経過したら価値が一気に下がってしまうためです。自動車を売却するかどうかについては「どのくらいの価格で売れそうか」「生活にどの程度必要か」などの要素を検討しつつ、よく話し合って決めましょう。

3.残ローンがある場合の対処方法

自動車のローンが残っている場合には、離婚時の財産分与の方法に工夫が必要です。
債務超過の場合には財産分与請求権が発生しないと考えられているので、自動車の価値がローン残額を下回る場合には、財産分与の対象にしないということも考えられます。その場合、もともとの名義人が自動車を保持することになりますが、ローンの支払い債務も引き続き負うことになります。

なお、ローンが残っている場合は、ローン債権者や販売店等が自動車の名義人になっている場合が多く(所有権留保といいます)、その場合は残ローンを完済しない限り名義を変更することができない点に注意が必要です。
自動車の価値がローン残額を上回る場合は、売却代金で残ローンを完済することも可能です。

4.自動車の名義変更手続き

自動車の名義変更手続き

離婚して自動車を財産分与する際、名義変更が必要になる可能性があります。
たとえば夫名義で自動車を維持してきたけれど、離婚後は子どもを引き取る妻の生活のため、自動車を妻に譲りたい場合もあるでしょう。

自動車の名義変更方法は普通自動車か軽自動車かで異なります。

4-1.普通自動車の場合

普通自動車の場合には、使用場所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所で名義変更の手続きを行います。
通常、必要書類は以下の通りとなります。

・譲渡証明書

旧所有者が実印で押印していなければなりません。

・旧所有者の印鑑証明書

発行日から3ヵ月以内のものが必要です。

・新所有者の印鑑証明書

発行日から3ヵ月以内のものが必要です。

・旧所有者の委任状

旧所有者が手続きを第三者に委任する場合に必要です。実印で押印しましょう。
旧所有者本人が手続きをする場合には委任状は不要ですが、旧所有者本人の実印は必要です。

・新所有者の委任状

新所有者が手続きを委任する場合に必要です。実印で押印しましょう。
新所有者本人が手続きをする場合でも、新所有者本人の実印は必要です。

・自動車検査証(車検証)

・自動車保管場所証明書(車庫証明書)

警察署証明の日から40日以内のものが必要です。

・申請書

・手数料納付書

4-2.軽自動車の場合

軽自動車の場合には「軽自動車検査協会」で名義変更の手続きを行います。普通自動車とは窓口が異なるので注意しましょう。
通常、必要書類は以下のとおりです。

・新使用者の住所を証する書面

個人の場合には、発行日から3ヵ月以内の、住民票の写し又は印鑑(登録)証明書のいずれか1点が必要となります。

・新所有者の申請依頼書

新所有者が押印する必要がありますが、認印でかまいません。

・旧所有者の申請依頼書

旧所有者が押印する必要がありますが、認印でかまいません。

・自動車検査証(車検証)

・軽自動車税(種別割)申告書(報告書)

・軽自動車税(環境性能割)申告書(報告書)

・自動車検査証記入申請書(軽第1号様式)

・ナンバープレート(車両番号標)

自動車検査証に記載されている使用場所の管轄に変更がなければナンバープレートの提出は必要ありません。
軽自動車の場合、実印による押印が不要であるなど、普通自動車より手続きが簡略化されています。
なお、実際の申請に際しては、上記記載以外の物が必要となる場合もありますので、詳しくは各窓口へお問い合わせください。

まとめ

通常、中古自動車の価値は不動産と比べると低いことが多いので、財産分与の大きな争点にならないこともあります。ただ自動車が離婚後の生活に重要な役割を果たす場合には、どちらが取得するかでもめることもあります。離婚後、残ったローンの支払いをどうするかも大きな課題となります。
後悔しない離婚を実現するには、適切な方法で財産分与すべきですが、様々な方法がありますし、適切な方法も具体的な事情によって異なります。財産分与でお悩みの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。

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