コラム

公開 2021.06.15 更新 2023.12.07

有価証券も離婚時に財産分与できる!方法や注意点を解説

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株式や国債などの有価証券も、離婚の際の財産分与の対象になります。ただ有価証券が財産分与の対象にならないケースや、現金や預貯金のように簡単に分けられないケースも多いので、正しい評価方法や分割方法を知っておきましょう。
今回は有価証券の財産分与の方法と注意点をご説明します。

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1.有価証券も財産分与の対象になる

有価証券とは、株式や国債、社債など、財産的価値のある権利を表章する証券です。
一般的には証券会社や金融機関を通じて取引している方が多いでしょう。

各種有価証券も、婚姻後に購入したものであれば離婚の際の財産分与の対象になります。
財産分与とは、婚姻中に夫婦で協力して形成した財産を分け合う手続きです。
婚姻中に株式や国債などの有価証券を得た場合、夫婦のどちらの名義であっても離婚時に清算するのが基本となります。

財産分与を行うときには、基本的に夫婦が2分の1ずつ分け合います。
専業主婦や収入の少ないパート兼業主婦などの方にも半分の権利が認められます。
これは、婚姻中に形成された財産は、原則として夫婦が協力して形成してきたものであり、財産形成についての貢献の程度も原則として平等であると考えられるからです。

2.有価証券が財産分与の対象にならないケース

有価証券が財産分与の対象にならないケース

有価証券が財産分与の対象にならないケースもあります。
典型的なパターンをいくつかみてみましょう。

2-1.実家の親から相続した、贈与された

実家の親、親族から有価証券を相続した、あるいは生前贈与された場合には、その有価証券は財産分与の対象になりません。
夫婦が協力して獲得したものではないためです。

2-2.婚姻前から持っていた

婚姻前から持っていた有価証券も、財産分与の対象になりません。
夫婦が婚姻中に協力して得たものではないためです。

2-3.婚姻前の権利を婚姻後に実行した

婚姻前にストックオプションなどの権利を付与されており、婚姻後に行使して株式を取得した場合、婚姻中に取得した株式であっても財産分与の対象にならない可能性があります。

2-4.婚姻前から持っていた預貯金で株式を購入した

婚姻前から持っていた預貯金は、特有財産なので財産分与の対象になりません。
特有財産を使って有価証券を購入した場合、その有価証券もまた特有財産となります。
独身時代に貯めたお金で有価証券を購入した場合、基本的に財産分与の対象にはならないと考えましょう。

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3.有価証券の評価方法

株式や国債、社債などの有価証券を財産分与するときには「評価」しなければなりません。
具体的にどのように評価すればよいのか、ご説明します。

3-1.評価の基準時は離婚時または別居時

財産を評価するときには「いつの時点の価額を基準にするか」が問題となります。
特に有価証券の場合、日々評価額が変化するため、「基準時」が問題となり得ます。

原則として、「離婚時の価額」を基準にして評価します。
ただし、株価の変動が大きく、離婚時の価額を基準とすると公平性を欠くような場合には、さまざまな方法で調整を加えることもあります。

3-2.上場株式や国債、社債の場合

上場株式や国債、社債の場合には評価基準日の終値や評価額を基準にするとよいでしょう。
証券会社のサイトなどで調べてみてください。

3-3.非上場会社の株式の場合

非上場会社の株式の場合、取引相場がないので、その時価の評価方法を検討する必要があります。
会社が解散した場合の価値に着目して評価する方法、配当金額を一定の利率で還元して評価する方法、類似業種の上場企業株式価額を参考にする方法など、いくつか評価方法があります。

具体的な評価額が決まらないような場合には、公認会計士や税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

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4.有価証券の財産分与方法、注意点

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有価証券を財産分与するときには、基本的に以下の3つの方法から選択します。

4-1.どちらかが取得して他方は別の財産を取得する

夫婦のうち一方が株式を取得して、他方は別の財産を取得する方法です。
多種多様な財産がある場合に適しているといえるでしょう。

たとえば夫婦の共有財産として「300万円分の有価証券」と「200万円の生命保険の解約返戻金」と「300万円の預貯金」があり、合計で800万円の資産を持つ夫婦が離婚するとします。
この場合、夫が300万円の有価証券と100万円の預貯金を受け取り、妻が200万円の解約返戻金と200万円の預貯金を受け取れば公平に財産分与できます。

4-2.どちらかが取得して相手方に代償金を支払う

2つ目は、夫婦のうち一方が株式を取得して相手方に「代償金」を払って清算する方法です。
財産分与の対象資産が有価証券しかなくても、対応できます。
ただし有価証券を取得する方に代償金を払う資力が必要となるので、注意しましょう。

たとえば夫婦の財産は1,000万円の有価証券のみで、夫は独身時代に貯めた800万円の預貯金を持っているケースを考えてみてください。
この場合、財産分与対象になるのは1,000万円の有価証券のみです。
800万円の預貯金は夫の特有財産なので財産分与の対象にはなりません。

夫が単独で1,000万円の有価証券を取得すると、500万円「受け取りすぎ」になってしまいます。
そこで、妻へ500万円の代償金を支払えば、公平に財産分与できます。

4-3.売却してお金で分ける

3つ目は、有価証券を売却して売却代金を分ける方法です。
上場株式などの取引相場のある有価証券の場合に有効な手法といえるでしょう。

たとえば、株式が1,000万円で売却できた場合、夫婦が500万円ずつ、現金で受け取ります。

4-4.譲渡制限株式の場合の注意点

上場株式や譲渡性のある債券の場合、売却や名義変更も容易です。
一方、譲渡制限株式の場合には売却や名義変更が難しくなるケースが多いので注意しましょう。
譲渡制限株式を有効に譲渡するためには会社の承認が必要だからです。

譲渡制限株式とは、会社の承認がないと有効に譲渡ができない株式のことをいいます。
財産分与のために妻へ名義変更しようとしたり他人に売却しようとしたりしても、株式発行会社の承認がなければ有効な譲渡ができません。
もっとも、会社が承認してくれない場合であっても、会社が当該株式を買い取ってくれる場合や、買い取り人を指定してくれることもあります。

離婚時に有価証券を分けるときには、有価証券の種類や評価額、夫婦の財産内容など、個別具体的な事情に応じて、評価方法や分け方も異なってきます。
有価証券の分け方についてお悩みの場合には、専門家に相談してみましょう。

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まとめ

有価証券も、婚姻中に獲得したものであれば原則として財産分与の対象になります。
離婚時または別居時を基準として、まずは適正な価額を算定しましょう。
取引相場のある株式と取引相場のない株式とでは評価方法が異なるので注意が必要です。

また,
実際の分け方についても、現物で分け合うのか、代償金を支払うのか、売却するのかなど、話し合って合意しなければなりません。
有価証券の評価方法などについては争いになることも多いです。
後悔しないためにも、事前に弁護士に相談してベストな方法を確認しておきましょう。お気軽にご相談ください。

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