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2021.06.29

合意までの手順を解説!離婚時の財産分与の原則的な割合と例外について

離婚時の財産分与の原則的な割合は、夫婦で2分の1ずつです。ただしさまざまな事情により、割合が変更されます。自分たちで話し合うなら、割合は自由に決められます。損をしないようきっちり財産分与の取り決めを行い、協議離婚なら公正証書を作成しましょう。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。

1.財産分与の原則的な割合

財産分与とは、婚姻中に形成した夫婦共有財産を、離婚時に分け合うことです。

婚姻中は、夫婦が協力して財産を形成します。そうして形成された財産は原則として夫婦の共有であるとみなされるので、離婚時に清算するのです。これを「清算的財産分与」といいます。一般に「財産分与」という場合、この清算的財産分与を意味します。

財産分与の原則的な割合は「夫婦で2分の1ずつ」です。妻が専業主婦で実収入がないケース、夫婦で収入格差があるケースでも、原則的に財産分与割合は2分の1ずつと考えられます。

2.財産分与の割合の例外

財産分与の割合の例外

財産分与割合は夫婦で2分の1ずつにするのが原則ですが、例外が認められるケースもあります。

2-1.一方に特殊なスキルがある場合

一方に特殊なスキルや特別の努力があり、それによって通常より著しく高額な所得を得ている場合には、2分の1ルールが修正されるケースが少なくありません。
たとえば、夫が医師でかつ病院経営をしており高額な所得を得ていたケースでは、夫の取得割合と妻の取得割合を6:4にしたり、妻の取得割合を5%程度に抑えたりした事案があります。裁判例では夫が上場企業の代表取締役で、約220億円の高額な共有財産があった事案において、妻への財産分与割合を5%とされたものがあります(大阪高裁平成26年3月13日)。

このように特殊なスキルや特別の努力などによって高額な所得を得るケースでは、これらの努力やスキル取得の時期が問題となる場合があります。たとえば、夫が有しているスキルや特別な努力の結果の資産形成が婚姻前からのものであったと認められれば夫の特有財産性が認められる可能性が高くなり、婚姻後に獲得したスキルや婚姻後の努力に妻の協力があったケースであれば妻への財産分与割合を減らさず2分の1ルールを維持する方向へと傾くでしょう。
高額な収入を得ているスポーツ選手の場合にも、同様に財産分与割合が修正される可能性があります。

2-2.一方が著しい浪費をしていた

配偶者の一方が著しい浪費をして共有財産を減らすと、その配偶者の受け取る財産分与割合が修正される可能性があります。
たとえば妻が専業主婦であるにもかかわらず浪費を繰り返したり借金を重ねて家計に負担を与えたりした場合、妻の取得割合を減らされる可能性が高いといえるでしょう。

共働きでも、どちらかが節約に努めてお金を貯めたにもかかわらず他方が浪費して財産形成に貢献しなければ、浪費した側の財産取得割合を減らされる可能性があります。

2-3.特有財産をもとに財産形成した場合

財産分与の対象になるのは、基本的に「婚姻中に形成した財産」です。どちらかが婚姻前から持っていた財産は「特有財産」となるので財産分与の対象になりません。
また親から引き継いだ遺産や生前贈与された財産など、実家から引き継いだ財産も特有財産となるので財産分与対象から外れます。

これらの特有財産を使って取得した財産は、たとえ婚姻中に得たものであっても財産分与対象にならないか、割合を修正されると考えましょう。

たとえば夫が独身時代に貯めていた預金を使って資金の大部分を頭金として払い、夫婦共有名義の家を購入したら、家の財産分与について夫の取得割合を増やされるでしょう。

同じ考え方で、夫が独身時代に得ていたストックオプションの権利を行使して婚姻後に株式を取得した場合、株式は夫の特有財産とされて財産分与対象外と判断される可能性が高いといえます。

3.自分たちで話し合う場合の財産分与割合

財産分与割合の基本的なルールは「夫婦で2分の1ずつ」です。ただこれは「裁判所が判断するときの原則」であり、自分たちで話し合って決める場合には拘束されません。

自分たちで財産分与を決める場合には、自由に割合を定められます。たとえば「夫が7、妻が3」としてもかまいませんし、「妻が8、夫が2」としてもかまいません。
たとえば、もっぱら離婚を求めるのが夫であり妻が離婚に消極的な場合(妻が離婚後の生活を心配したり、子どもを育てていくことに経済面での不安を感じる場合など)には、妻へ財産の大部分を分与することを検討するケースもあります。

どういった割合で財産分与すべきかについては、状況に応じて判断しましょう。

4.財産分与を決める手順

財産分与を決める手順

財産分与の方法や割合を決定する手順を以下に示します。

4-1.話し合いをする

まずはお互いに話し合い、財産分与の方法を決めましょう。話し合いであればどの財産をどちらに分与するか、また財産分与割合も自由に決められます。
合意ができたら「離婚公正証書」を作成し、合意内容を明らかにしましょう。

4-2.離婚調停をする

話し合いをしても財産分与の方法に合意できない場合、離婚調停を申し立てましょう。
離婚調停をすると、調停委員が間に入って当事者の意見の相違を調整してくれます。2人では折り合えない場合でも解決できる場合があるでしょう。
調停で財産分与についての条件を決めるときも、当事者が自由に割合を決められます。ただし裁判所はできるだけ公平な内容になるよう調整する努力をします。
調停で合意ができたら財産分与を含めた離婚条件が決定し、離婚できます。

4-3.離婚訴訟をする

調停でも合意できなければ、離婚訴訟で財産分与割合を争うことになります(なお後述のように、離婚後に調停や審判によって財産分与の内容を決める方法もあります)。
訴訟では最終的に、裁判所が財産分与割合を含めた離婚条件を決定します。裁判所は「2分の1ルール」を原則としますが、上記で紹介したように、一方に特殊なスキルや才能がある場合、著しい浪費がある場合などには2分の1ルールが修正される可能性もあります。

4-4.離婚後に財産分与調停を申し立てる

離婚時に財産分与を定められなかった場合、離婚後に財産分与調停を申し立てることができます。まずは話し合いをしますが、合意ができなければ「審判」となり、裁判所が財産分与の方法を決めてくれます。

離婚後の財産分与請求ができる期間は「離婚成立後2年間」に制限されるので、財産分与を受けられなかった方は早めに行動しましょう。

まとめ

離婚時財産分与の割合は基本的に夫婦で2分の1ずつとなりますが、例外的に修正されるケースもあります。
財産分与は離婚後の生活にかかわる重要な要素なので、慎重に話し合いや調停を進め、正当な割合で分与を受けましょう。お困りの場合には弁護士が相談に乗りますので、お気軽にご相談ください。

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