コラム

公開 2022.08.25

離婚時の財産分与に「贈与税」はかかる?かかる場合・かからない場合とその他の税金

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財産分与で財産を受け取った場合、贈与税の対象となるのでしょうか?
今回は、財産分与が贈与税の対象となるかどうかを解説すると共に、財産分与に際してかかる可能性がある税金について弁護士が詳しく解説します。

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財産分与とは

婚姻期間中に築いた財産は、たとえ名義こそ夫婦どちらかの単独名義であったとしても、潜在的には夫婦の共有財産です。
この夫婦の共有財産を離婚に伴って清算する手続きを財産分与といいます。

財産分与の割合は、原則として2分の1ずつです。
これは、たとえば夫婦の一方のみが外から収入を得て、もう一方が専業主婦(主夫)である場合であっても変わりません。
なぜなら、一方が外で稼ぐことができたのは、もう一方の夫婦の内助の功があったためだと考えられるためです。

財産分与を受けたら贈与税はかかる?

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離婚に伴って相手から財産分与を受けた場合、贈与税の対象になるのでしょうか?
原則と例外についてそれぞれ解説します。

財産分与は原則として贈与税の対象外

離婚に伴う財産分与で財産を受けとったとしても、原則として贈与税は課税されません。

これは、そもそも財産分与が財産の清算や離婚後の生活保障として受け取るものであり、相手方から贈与を受けたものではないためです。

財産分与に例外的に贈与税がかかるケース

次の場合には、例外的に財産分与が贈与税の課税対象となります。

1.分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮しても、なお多過ぎる場合

その「多過ぎる部分」が贈与税の対象となります。

2.離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合

離婚によって分与された財産すべてが贈与税の対象となります。

「1」は個別事情によるため、いくら以上の分与であれば贈与税がかかるなどと、一律に判断できるものではありません。
そのため、財産分与を受ける財産が高額であると感じるなど心配な場合には、あらかじめ税理士や管轄の税務署へ相談しておくとよいでしょう。

「2」は、そもそも離婚自体が偽装である場合などです。
まとまった額の財産をそのまま配偶者に渡せば、原則として贈与税の対象となります。
そこで、財産分与であれば原則として非課税であることをよいことに、いったん離婚をして財産分与の「名目」で財産を渡すケースなどがこれに該当します。

この場合には、こういった偽装工作をするのではなく、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」など正式な制度を使って非課税とすべきでしょう。
「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円の他に、最高2,000万円まで贈与税が非課税になるという特例です。

財産分与で贈与税以外にかかる税金

先ほど解説したように、財産分与には原則として贈与税はかかりません。
しかし、次の税金はかかる可能性がありますので注意してください。

登録免許税

登録免許税とは、建物や土地の名義変更登記をするに際して、法務局で支払う税金です。
家や土地を財産分与の対象にする場合には、登録免許税の課税対象となります。

財産分与に伴って不動産の名義を変える場合の登録免許税の額は、その土地や建物の固定資産税評価額の1,000分の20です。
たとえば、固定資産税評価額が3,000万円の不動産を財産分与で受け取った場合の登録免許税額は、60万円にものぼります。

価値の高い不動産の財産分与を受けた場合には、無視することができないほどの額の登録免許税が課される可能性がありますので注意しましょう。

なお、登録免許税の計算ベースとなる不動産の固定資産税評価額は、「固定資産税課税明細書」などで確認することができます。
固定資産税課税明細書は、毎年4月から6月頃に、その年1月1日時点における不動産の所有者宛に市区町村役場から送付される、固定資産税の納付書に同封されています。
また、固定資産税評価証明書などを不動産が所在する市区町村役場から取り寄せることで確認することも可能です。

固定資産税と都市計画税

毎年1月1日現在における不動産の所有者に対しては、固定資産税と都市計画税が課税されます。
市区町村役場から自動的に納付書などが送られてきますので、名義変更の登記をしたのであれば、自分で計算したり申告したりする必要はありません。

これらの税金に不動産の取得原因は関係がありませんので、たとえ財産分与で不動産を受け取った場合であっても、原則どおり課税の対象です。

固定資産税の金額は、「その不動産の課税標準額×税率」で計算されます。
税率は市区町村によって異なりますが、1.4%前後であることが多いでしょう。
ただし、さまざまな軽減制度があります。

また、都市計画税の計算方法も「その不動産の課税標準額×税率」とされており、税率は0.3%程度です。

その不動産にかかる固定資産税額や都市計画税の金額を具体的に知りたい場合には、不動産所在地である市区町村役場へ問い合わせる他、前年分の固定資産税納税通知書などを確認するとよいでしょう。

年によって多少の前後はあるものの、よほど大規模な区画整理などがあったなどでない限り、1年で大幅に金額が変わることはありません。

譲渡所得税

財産分与で土地や建物を「渡した側」の人に対しては、譲渡所得税が課される場合があります。
譲渡所得税とは、不動産などの資産を譲渡した際に、その譲渡における「儲け」に対して課される税金です。

財産分与では、不動産を売却した場合などとは異なり対価を得ているわけではありませんので、譲渡所得税は無関係であると考えるかもしれません。
しかし、結論をお伝えすると、財産分与も譲渡所得税の課税対象となります。
なぜなら、不動産の所有権を財産分与した場合、その分に相当する金銭の分与を免れていると考えられるためです。

そのため、財産分与で不動産を渡した場合には、その不動産を時価で譲渡したものとみなして、譲渡所得税の課税対象となります。

譲渡所得税の対象となる「譲渡所得額」は、原則として次のように算定します。

  • 譲渡所得額=譲渡対価(財産分与をした不動産の時価)-その土地建物の取得費(購入時の対価など)-譲渡費用(譲渡時に発生した測量費など)

これに、その不動産の取得から手放すまでの期間の長短に応じて、次の税率が課されます。

  • 所有期間が5年超の場合:15%(+住民税5%+復興特別所得税)
  • 所有期間が5年以下の場合:30%(+住民税9%+復興特別所得税)

なお、不動産の時価が取得費を下回っていれば、譲渡所得税は課されません。

財産分与にかかる税金の節税方法

財産分与にかかる税金を節税する方法は、それぞれ次のとおりです。

財産分与を受ける側の節税

先ほど解説したように、財産分与を受ける側にかかる税金は、原則として「登録免許税」と「固定資産税・都市計画税」のみです。
これらは画一的に計算されますので、節税には馴染みません。

また、財産分与を受けても、原則として贈与税は課税対象外です。
そのため、贈与税が課税される例外的な事項に当てはまってしまうことのないよう、通常の財産分与を大きく超える不相応な額の財産分与を受けないことが、最大の節税策であるといえるでしょう。

財産分与を行う側

財産分与を行う側には、「譲渡所得税」が課される可能性があります。

この譲渡所得税にはさまざまな軽減措置が設けられており、中でも財産分与で自宅を手放した場合には、「マイホームを売ったときの特例」が適用できる可能性が高いでしょう。

これは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例です。
つまり、この特例の適用を受けることで、先ほど解説した譲渡所得の計算式が、次のようになるということです。

  • 譲渡所得額=譲渡対価(財産分与をした不動産の時価)-その土地建物の取得費(購入時の対価など)-譲渡費用(譲渡時に発生した測量費など)-最高3,000万円

控除額が大きいため、この特例の適用を受けることで結果的に譲渡所得はゼロとなり、譲渡所得税はかからないケースが多いでしょう。

ただし、この特例を受けるための要件の一つに「売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと」が挙げられています。
そのため、財産分与での不動産移転でこの特例を使いたい場合には、正式に離婚が成立してから不動産の移転を行うべきでしょう。

また、この特例を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
期限内の申告を忘れてしまうことのないように注意してください。

財産分与におけるその他の注意点

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離婚に伴う財産分与について、贈与税など税金以外に注意すべき事項は次のとおりです。

財産分与には期間制限がある

相手へ財産分与をすることができる期間は、離婚後2年以内に限定されています。
これを過ぎると、もはや財産分与を請求することはできなくなるため注意が必要です。

なお、離婚後であっても、この期間内であれば財産分与の請求をすることは可能です。
しかし、スムーズに話し合いの場を持つためには、離婚に際して財産分与などの諸条件についても可能な限り話し合っておいた方がよいでしょう。

住宅ローンの残債がある場合には金融機関へ相談する

自宅の土地建物を財産分与の対象とする場合、住宅ローンの残債がある場合には注意しなければなりません。
なぜなら、住宅ローンに関する契約の中で、金融機関に無断で不動産の名義を変えた場合には期限の利益を喪失する旨が定められていることが、少なくないためです。

つまり、金融機関に事前の相談なく自宅不動産の名義を変えてしまうと、ローンの一括返済を迫られる可能性があるということです。

このような事態を避けるため、住宅ローンの残った住宅を財産分与の対象とする場合には、あらかじめ金融機関へよく相談をしておきましょう。

相手の財産隠しに注意する

財産分与について話し合いをする際には、相手の財産隠しに注意しましょう。
財産分与の対象財産をできるだけ少なく見せるため、相手が預金を別口座に移すなどの隠ぺい工作をする可能性があるためです。

疑わしい場合には、相手に預金の履歴を開示させるなど、対策を取ることをおすすめします。
相手が履歴を開示時しないなど、自分での調査が難しい場合には、弁護士へ相談するようにしてください。

財産分与対象外の財産を分けておく

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦の協力で築いた財産です。
そのため、婚姻前に築いた個々の財産や、婚姻期間中であっても親からの相続でもらった財産などは、財産分与の対象とはなりません。

しかし、預金を一つの口座にまとめているなど、これらの財産が財産分与の対象財産と混じっている場合には、すべて財産分与の対象財産であると相手から主張される可能性があります。

そのため、あらかじめ財産分与の対象財産と、対象にならない財産を、可能な範囲で分けておくとよいでしょう。
その際には、その根拠となる書類(親の相続に際しての遺産分割協議書や、その際の振込履歴)などを合わせて保管しておくことをおすすめします。

まとめ

財産分与で財産を受け取ったとしても、原則として贈与税の課税対象外です。
ただし、財産分与の額が不相応に多額である場合などには例外的に贈与税が課される場合があるため注意してください。

また、本文で解説したように、登録免許税など他の税金はかかる場合がありますので、あらかじめ試算して心づもりをしておくことをおすすめします。

Authense法律事務所には、財産分与や離婚問題に詳しい弁護士が多数在籍し、日々問題の解決にあたっています。
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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。
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