コラム

公開 2020.06.04 更新 2024.02.09

離婚後子どもに会えない~離婚後に子どもに会うためにすべきこと~

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離婚して相手方が親権者になった場合に、子どもとなかなか会わせてもらえなくなるケースがあります。
離婚当初は会えると思っていたのに「こんなはずじゃなかった」と予想外の結果になって悩んだり、子どもに会いたくて辛い思いを抱えて毎日過ごされたりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このような場合に、子どもとの「面会交流」を行うにはどうしたらよいのでしょうか?

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1.面会交流権とは

たとえ親権者でなくても、親には子どもとの「面会交流権」が認められます。
面会交流権とは、子どもと離れて住む親が子どもと会う権利です。子どもと別居していても親子関係は一生続きますので、親には子どもと会う権利が法的に保障されます。
離婚した相手(元配偶者)が親権者となり、子どもと会わせてくれないときには、この面会交流権を主張することができます。

2.面会交流が認められるケースと認められないケース

離婚後、多くの場合には面会交流が認められますが、中には認められないケースもあります。

以下で面会交流が認められる場合と認められない場合をそれぞれご紹介します。

2-1.面会交流が認められるケース

下記のようなケースで、元配偶者が子供と会わせてくれなくなるケースがありますが、これらは面会交流を拒絶する理由になりません。
法的に権利行使をすれば面会交流できる可能性が高いです。

  • ・元配偶者が再婚した
  • ・元配偶者が「新しい生活になじんでいるから邪魔をしないでほしい」と言っている
  • ・元配偶者が「あなたと会うと子どもが不安定になる」と言っている
  • ・子どもと遠くの場所に住んでいる
  • ・元配偶者が「DVを受けていた」などと主張しているが、虚偽である
  • ・養育費を払っていない
  • ・自分自身が再婚した

2-2.面会交流が認められないケース

下記のようなケースでは、法的手続きをとっても面会交流が認められない可能性があります。

  • ・婚姻中に子どもに暴力を振るっていた
  • ・婚姻中に子どもを虐待していた
  • ・面会の最中に子どもに違法行為をさせるおそれが高い
  • ・面会すると子どもを連れ去る危険性がある

3.面会交流の実現方法

面会交流権はどうやって実現したらよいのでしょうか?

3-1.直接面会を申し入れる

まずは親権者となっている相手に対し、直接子どもとの面会を申し入れましょう。
相手が拒絶する場合、「親には法的に面会交流権が認められる」と説明し、相手が納得したら面会させてもらえる可能性があります。

ですが、もし相手がしぶる場合には「このままでは家庭裁判所で面会交流調停をせざるを得ない」と伝えてみましょう。

3-2.面会交流調停

面会交流調停とは、裁判所を介して面会交流の方法について話し合う手続きです。
直接面会を求めても相手が応じない場合には、家庭裁判所で「面会交流調停」を申し立てましょう。相手が不当な理由で面会を拒絶する場合、調停委員から面会に応じるように説得してもらえます。
また、話し合っても適切な面会交流の方法を決められない場合に、面会方法についての調停案を提示してもらえるケースもあります。

相手が面会に応じる気持ちになり、調停案を双方が受け入れれば調停が成立し、子どもと会えるようになります。

3-3.面会交流審判

面会交流調停で話し合いをしても、双方の意見が合致せずに決裂し「不成立」になってしまった場合、調停の手続きが「面会交流審判」に移行します。
審判になると、審判官が面会交流の可否や面会交流の方法を決定します。
必ずしも希望通りの面会方法が認められるとは限りませんが、面会交流をさせるべきではない特殊事情でもない限り、何らかの方法で面会が実現される可能性は高いでしょう。

たとえば元妻(夫)が再婚しており、「元夫(妻)と会うと子どもが不安定になる」「子どもが会いたくないと言っている」と主張していたり、「夫(妻)からDVを受けていた」などと虚偽を述べていた場合でも、面会交流を認める審判を出してもらえる可能性があります。

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4.面会交流の決め方

面会交流を定める場合、どのような決め方になるのでしょうか?

4-1.面会交流の方法はケースバイケース

面会交流の方法には定まった形式はありません。個別のケースごとに「もっとも実現しやすく適切な方法」を選択します。

標準的には月1回とも言われますが、月2回や毎週にするケースもあります。
日帰りだけではなく宿泊を伴う面会をすることもありますし、夏休みなどに一緒に旅行に行く約束をする事例、父親が子どもに携帯電話を渡して連絡を取り合うケースなどもあります。
状況に応じて適切な方法を定めましょう。

4-2.面会交流で取り決めるべきこと

面会交流方法を決めるとき、最低限以下の内容は明らかにしておくようお勧めします。

  • ・面会交流の実施日、頻度
    「月1回第2日曜日」「月2回、毎月土曜日」など
  • ・面会交流時間
    「午前10時から午後5時まで」など
  • ・子どもの受け渡し場所
    相手に自宅に迎えに行って送り返す、最寄りの駅で待ち合わせるなど
  • ・両親の連絡方法
    あらかじめメールアドレスや電話番号を交換しておく

5.相手が面会交流調停・審判で決まったことを守らない場合

面会交流調停や審判で決まったことを相手が守らない場合には、以下のような手段を検討しましょう。

5-1.履行勧告

履行勧告とは、調停や審判で決まったことを相手が守らないときに、家庭裁判所から「義務を果たしてください」と勧めてもらう手続きです。
面会交流調停・審判後に履行勧告を申し立てると、家庭裁判所から相手に通知を送って面会するよう促してくれます。

履行勧告を行いたい場合、調停や審判を行った家庭裁判所に調停調書や審判書を持参して「履行勧告の申出書」を書いて提出しましょう。

5-2.間接強制

履行勧告をしても相手が勧告に従わないケースでは、「間接強制」という方法を検討しましょう。
間接強制とは、相手が裁判所で決まったことを守らないときに相手からお金を取り立てることによってプレッシャーをかけ、約束を守らせる手続きです。
「面会交流の約束に応じないたびに〇万円」などの支払い義務が発生し、守られないときには相手の資産や給料を差し押さえることが可能です。相手にも子どもとの生活があるので、間接強制をすると面会に応じる可能性があります。
ただ、間接強制はお金を取り立てることによって間接的に履行を促す手続きであり、直接的に子どもと面会する方法ではありません。

また、間接強制が認められるためには「面会交流の方法が具体的かつ詳細に決まっている」必要があります。
たとえば、面会交流の実施日だけではなく、時間や引き渡し方法まで詳細に定められていなければいけません。
義務があいまいだと相手もどのようにして義務を履行すればよいか判断できず、金銭負担させるには不都合があるからです。
そのためにも、面会交流調停の際には具体的に面会交流の方法を定めておく必要があります。

6.親権者変更の申立てについて

簡単には認められませんが、相手が親権者として不適格な場合には親権者変更の申立を行い、親権者を変えてもらえるケースもまれにあります。
ただ、親権者変更が認められるのは、相手が子どもを虐待、ネグレクトしているなど相当大きな問題があるケースに限られます。
「相手といるより自分が育てる方が子どもの健全な成長を期待できる」という程度の主張内容では変更が認められる可能性は低いので、注意が必要です。

子どもと会わせてもらっておらず辛い思いをされていても、面会交流を実現できる可能性はあります。
諦めずに弁護士までご相談ください。

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(第二東京弁護士会)
京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。
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