コラム

公開 2021.10.28 更新 2024.02.24

LINE(ライン)は不倫の証拠になる?不貞行為で慰謝料請求する方法を弁護士がわかりやすく解説

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LINEは多くのユーザーが用いるSNSであり、不倫相手との連絡にLINEが使われるケースも少なくありません。

では、LINEのやり取りから不倫(不貞行為)の慰謝料請求をしたい場合、どのような証拠が必要になるのでしょうか?
また、LINEのやり取りを不倫の証拠として残す場合は、どのような点に注意すればよいでしょうか?

今回は、LINEで不倫の証拠を見つける方法や証拠を保全する際の注意点などについて、弁護士が詳しく解説します。

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不倫を立証するために必要なこと

「不倫」は法律用語ではなく、配偶者以外の者と交際すること全般を指す言葉です。
一方、「不貞行為」は法律用語であり、これは配偶者以外と性的関係を持つことをいいます。
つまり、「不貞行為」は不倫のうち性的関係を伴うもののみを指し、不倫よりもやや狭い概念であるといえます。

不倫のうち、離婚原因や慰謝料請求の対象となるのは、性的関係を伴うこの不貞行為のみです。
単に配偶者以外と両想いであることや、2人で食事に行っていること、キスをしたことなどは不倫ではあるものの、不貞行為とはいえず、直ちに離婚原因や慰謝料請求の対象となるものではありません。
そのため、離婚や慰謝料請求の対象となる不貞行為を立証するには、原則として性的関係があったことを示す証拠が必要です。

なお、離婚などについて定めている民法では、裁判上の離婚原因として次の5つが挙げられています。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

たとえ性的関係がある(不貞行為をしている)証拠がつかめなかった場合であっても、頻繁に2人で会うことによって夫婦関係が破綻した場合は「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当し、離婚や慰謝料請求の対象となる余地があります。
そのため、不倫関係にあることの証拠はつかめたものの、性的関係がある旨を示す証拠までは見つからない場合でも、諦めずに早期に弁護士へ相談のうえ、離婚や慰謝料請求の可否や追加で集めるべき証拠などについて確認しておくことをおすすめします。

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不倫の証拠になるLINEの例

不倫相手とLINEでやり取りをする人も少なくありません。
では、どのようなLINEのやり取りが離婚や慰謝料請求の証拠となり得るのでしょうか?

不貞行為を理由として離婚や慰謝料請求をしたい場合の証拠として使えるLINEには、次のものなどがあります。

肉体関係があったことをうかがわせる内容のLINE

1つ目は、肉体関係があったことをうかがわせるLINEです。
たとえば、性交渉があったことを示すトーク内容やラブホテルで一緒に写った写真、裸で一緒に写った写真のやり取りなどがこれに該当します。

一方で、先ほど解説したように、単に2人で両想いであったり食事に行ったりするだけでは不貞行為には該当しません。
そのため、食事の待ち合わせをしているLINEなどだけでは、不貞行為の証拠としては弱くなります。

2人で宿泊したことをうかがわせる内容のLINE

2つ目は、2人で宿泊したことをうかがわせる内容のLINEです。
2人で宿泊したということは、不貞行為があったことが強く推測されるものであるためです。

たとえば、会社の出張で外泊していたはずの日に、その相手といわゆる不倫旅行に出かけていたことがわかるLINEが残っている場合は、有力な証拠となり得ます。

不倫の証拠をLINEで探す方法

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不倫の証拠をLINEで探したい場合、どのように探せばよいのでしょうか?
LINEから配偶者の不倫相手を探すための主な糸口は次のとおりです。

配偶者との会話から特定する

1つ目は、配偶者との会話から特定する方法です。
配偶者の脇が甘い場合や配偶者が不倫に対してさほど罪悪感を抱いていない場合は、会話の端々に不倫相手の名前が出る可能性があります。
そのため、急に会話に登場する頻度が高くなった相手の名前は、覚えておくことをおすすめします。

また、このような配偶者はLINEの通知などにもさほど注意を払っていない可能性があり、LINEが来た際の通知画面(ポップアップ)から不倫相手が推測できる可能性もあります。

ユーザー名やアイコンなどから特定する

2つ目は、配偶者のLINEにあるユーザー名やアイコンなどから特定する方法です。
女性の友人が多いタイプではないにもかかわらず、特定の女性がトーク履歴の上位に表示されている場合はこの時点で怪しいと考えられ、このトーク内容を見ることで不倫の証拠がつかめる可能性があります。

ただし、不倫相手とのLINEをそのままトーク履歴に残しているケースはさほど多くありません。
そのため、次の方法を試してみるとよいでしょう。

なお、ここでは原則として、iPhone(iOS)の操作画面を前提として解説しています。
また、いずれも2023年9月時点における動作であり、今後のアプリのバージョンアップなどによっては画面遷移が変更される可能性があります。
実際にLINEから証拠を探す際は、その時点における最新の動作をご確認ください。

LINEの通知がオフとなっている相手を確認する

LINEは、特定の相手からの通知をオフにすることができます。
通知がオフになっている場合、その相手からLINEが届いてもスマートフォンの音が鳴ったり、スマートフォンのロック画面などに通知が表示されたりすることはありません。
そのため、通知音が鳴ったり通知が表示されたりすることで配偶者に疑われることを避けるため、不倫相手とのLINEは通知をオフにしている可能性があります。

トーク通知がオフになっているかどうかは、相手とのトーク画面を開き右上の「≡」アイコンをタップし、スピーカー型のアイコンに斜線があるかどうかで確認できます。
斜線がある場合は通知がオフになっているため、通知を見られたくない相手であることが推測できます。

トーク履歴が非表示なっている相手を確認する

LINEでは、やり取りをした相手がトーク履歴画面に表示されます。
そのため、トーク履歴画面を確認することで、最近やり取りをしている相手がわかります。
ただし、このトーク履歴は非表示にすることができ、不倫が発覚するのを避けるために不倫相手を非表示としている可能性があります。

非表示としている友達は、LINEの設定画面から「友だち」をタップし、その中にある「非表示リスト」を見ることで確認できます。
この非表示リストを見ることで、不倫相手の推測ができます。

表示名とプロフィール名が異なる相手を確認する

LINEに表示される相手の名前は、自由に変更することが可能です。
不倫をしている場合、通知が見られても怪しまれることのないよう、この表示名を変える人も少なくありません。

たとえば、不倫相手である女性の表示名を男性のような名前としたり、企業アカウントであるかのような表示名としたりすることが多いでしょう。

ただし、相手のプロフィール画面をタップすると、そこに相手の本来のプロフィール名も表示されます。
そのため、表示名とプロフィール名で性別が異なるように装っていたり、個人のアカウントの表示名を変えて企業アカウントのような表示名としていたりする場合は、怪しいといえるでしょう。

他の友人などとのLINEなどから特定する

不倫していることを友人などにも話さない人がいる一方で、親しい友人などには打ち明けている場合もあります。
そのため、配偶者とその友人のLINE履歴を見ることで、不倫相手の糸口がつかめるかもしれません。

トーク履歴画面に表示されているのにトーク内容が表示されない相手を確認する

不倫相手とのトークをこまめに削除している場合、トークの履歴画面には相手が表示されているにもかかわらず、トーク内容がないことになります。
このような場合は、その相手とのトーク履歴が見られたくないものであることが推測できます。

LINEスタンプのプレゼント履歴から探す

LINEでは、トークに使用するスタンプをプレゼントすることが可能です。
スタンプのプレゼント履歴は、設定画面の「スタンプ」をタップし、「プレゼントボックス」を見ることで確認できます。

スタンプをプレゼントする相手はある程度親しい相手であることが推測でき、ここに不倫相手が含まれているかもしれません。

LINEアルバムから探す

LINEには、その友達と写真を共有する「アルバム」機能があります。
不倫をしている場合は、思い出の写真などをこのアルバムに残しているかもしれません。

LINEアルバムは、相手とのトーク画面を開き右上の「≡」アイコンをタップし、そこに表示される「アルバム」から確認できます。
トーク履歴を消していても写真までは消していない可能性があり、ここに不倫の証拠が残っている可能性もあります。

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LINEの履歴を証拠とする際の注意点

LINEの履歴を不倫の証拠とする場合は、次の点に注意が必要です。

犯罪行為とならないように注意する

パスワードなどがかかっていない状態で相手のスマートフォンを操作してLINEのトーク履歴などを見る行為は、プライバシー権の侵害とはなり得るものの、原則として刑事罰の対象とはなりません。
一方で、パスワードがかかっているスマートフォンのロックを解除して中身を盗み見る行為は、不正アクセス行為に該当し、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります(不正アクセス禁止法3条、11条)。

また、いわゆるクローン携帯に相手のLINEを復元し、その携帯電話からLINEのトーク履歴を盗み見る行為も、同じく不正アクセス禁止法に違反する可能性が高いといえます。
相手のLINEから不倫の証拠を探る場合は、このような犯罪に該当しないよう十分注意し、弁護士へ相談しながら進めるようにしてください。

画像ではなくスクロールしながら動画で撮影する

相手のLINEに不倫の証拠を見つけたら、自分のスマートフォンで撮影するとよいでしょう。
撮影は、静止画ではなく動画で行うことをおすすめします。
動画のほうが、画面の遷移がわかりやすいためです。

証拠を入手する前に不倫に気付いていることがバレないようにする

LINEで不倫の証拠を集めようとする場合は、証拠を入手するまで、自分が不倫に気付いていることを配偶者にバレないよう注意しなければなりません。
なぜなら、不倫がバレかけていることを知ると、トーク履歴を削除してしばらく不倫相手と会わないようにするなど、証拠を集めづらくなる可能性が高まるためです。

不倫に気付いているにもかかわらず、相手と普段どおりに接することは苦しいことかもしれません。
しかし、不倫の証拠をつかみ相手の法的措置をとるためには、ここが堪えどころとなります。

LINEのやり取りはできるだけ多く保存する

不倫相手とのLINEのやり取りを見つけたら、やり取りはできるだけ多く保存することをおすすめします。
現実には不貞行為(性行為)を確信させるLINEが残っていることなど稀であり、通常は2人で食事に行ったことやお互いに好意を持っていることがわかる程度でしょう。
そのため、不倫の証拠としては弱いと言わざるを得ません。

ただし、証拠として確保されているLINEのやり取りが多いほど相手は矛盾なく反論することが困難となり、ホテルの領収証など他の証拠と突き合わせることで、より有力な証拠となる可能性があります。
また、不倫の期間が長く会っている頻度が高いほど慰謝料も高くなる傾向にあります。
この点からも、より多くのやり取りを保存することをおすすめします。

LINEのメッセージをきっかけにさらに効力の高い証拠を入手する方法

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LINEのメッセージを発見しても、それだけでは証拠として弱いケースが多々あります。
その場合でも、LINEのメッセージをきっかけに「より強い証拠」を入手する方法について解説します。

相手に自白させて「不貞の自認書」を書いてもらう

LINEのメッセージを発見したら、証拠をとって配偶者に突きつけ、「不倫しているよね?」と問い詰めます。
相手に認めさせたら、その場で「不貞の自認書」を書かせましょう。

不貞の自認書とは、肉体関係を持ったことを認める書面です。
「2019年〇月ころから2020年〇月ころまで〇〇さんと不貞関係になり、〇〇さんの家やホテルに行ったりして何度も肉体関係を持ちました。」などと書かせて自筆で署名押印させ、日付を入れます。
これがあれば、不倫の証拠として使うことができます。

相手の自白を録音する

相手の自白内容を録音しておくと、そのデータが不貞の証拠となります。
こちらの自白の内容についても、肉体関係を持ったという点が明らかになっていた方がより確実な証拠といえます。

探偵に調査を依頼する

探偵に行動調査を依頼する方法も効果的です。
探偵が尾行調査を行い、相手方らがホテルに入って出てきたところやお互いの家に宿泊したところを撮影できれば、強い不貞の証拠として利用できるからです。

ただし、探偵事務所の尾行調査は必ずしも成功するとは限らないこと、費用が高額になる可能性などには注意が必要です。
不倫の疑いがあるときに行うべき証拠集めの手法はケースによっても異なります。
時機を逸すると証拠の獲得が難しくなってしまうおそれもありますので、配偶者の不倫問題に悩まれているならお早めに弁護士までご相談ください。

まとめ

不倫相手とのLINEのやり取りが、不倫の証拠となる可能性があります。
ただし、法律上離婚や慰謝料請求の対象となる「不貞行為」とは性行為を伴う関係性を指し、単に2人で会っているだけでは弱いといえます。
より有力な証拠を残すため、LINEはできるだけ多くのトークを証拠として残し、他の証拠と組み合わせることでより言い逃れのできない状態とすることがポイントです。

Authense法律事務所では、男女問題や不倫問題に詳しい弁護士が多数在籍しており、総合力をもって解決へ向けたサポートを致します。

LINEでの不倫の証拠をもとに慰謝料請求をしたい場合などには、Authense法律事務所までご相談ください。
離婚や男女問題に関するご相談は、初回60分間無料です。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

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離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院法学研究科修了。離婚、相続といった家事事件を中心に数多くの案件を取り扱う。依頼者の希望する解決に向けて、しっかりと依頼者の話を聞いて事実関係を整理し、証拠収集することを得意としており、先の見通しも踏まえた交渉力は依頼者からも高く評価されている。
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