法律事務所オーセンスの離婚コラム

養育費を強制執行で回収できる?申立ての流れと条件

養育費を強制執行で回収できる?申立ての流れと条件

元の配偶者が約束した養育費をきちんと払ってくれない場合、「強制執行」によって回収できる可能性があります。

強制執行とは、いわゆる「差押え」のことです。

今回は養育費不払いで強制執行できるケースや流れについて、弁護士がわかりやすく解説します。

このコラムの監修者

平沼夏樹 弁護士(第二東京弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。

1.強制執行とは

強制執行とは、債務者の資産や債権を差し押さえて現金化し、強制的に債権を回収する手続きです。一般では「差押え」と言った方がわかりやすいかもしれません。

強制執行の対象になるのは以下のようなものです。

  • ・現金、預貯金
  • ・不動産
  • ・生命保険
  • ・自動車
  • ・給料などの債権

相手が養育費を支払わない場合、相手の預貯金や給料を強制執行すれば未払い分を回収できる可能性があります。

2.強制執行できる条件

強制執行は、いつでもできるわけではありません。以下のような条件を満たす必要があります。

2-1.公正証書、調停調書などの「債務名義」がある

1つ目に、養育費の約束をした「公正証書」や「調停調書」「判決書」などの「債務名義」が必要です。「債務名義」になるのは以下のようなものです。

  • ・強制執行認諾条項つきの公正証書
  • ・調停調書
  • ・審判書
  • ・判決書
  • ・和解調書

養育費の支払いを口頭のみで約束して書面を作成しなかった場合や、単に当事者間で合意して署名押印しただけの合意書しかない場合には強制執行ができません。

2-2.支払期限を過ぎても支払われていない

強制執行をするには、基本的に「支払時期を過ぎている」必要があります。一回も養育費を滞納されていない状態であれば、差押えはできません。
ただし養育費については「将来分の差押え」が認められているので、一回相手の給料を差し押さえると将来の分についてもその後の給料やボーナスから支払われるようになります。

2-3.相手が資産や債権を持っている

3つ目に差押えの対象になる資産や債権が必要です。たとえば以下のようなものです。

  • ・現金
  • ・預貯金
  • ・生命保険、火災保険
  • ・不動産
  • ・車両
  • ・株式
  • ・投資信託
  • ・積立金
  • ・ゴルフ会員権
  • ・給料、ボーナス
  • ・退職金
  • ・売掛金
  • ・賃料債権

相手が無一文で仕事もしていないケースでは、強制執行できません。

なお次の項目で詳しく説明しますが、以前には債権者側が厳密に債務者の資産内容や勤務先を特定しなければなりませんでした。今は法改正によって、厳密な特定ができていなくても裁判所から調べられるようになったので強制執行が容易になりました。

3.強制執行の法改正

2020年4月、「民事執行法」という法律が改正されて養育費の強制執行が容易になっているので、簡単にその内容をお知らせします。
従来は、強制執行の際の差押え対象資産は、債権者が特定しなければなりませんでした。たとえば「〇〇銀行〇〇支店の預金口座」「〇〇会社から受け取っている給料」など、金融機関名や勤務先の会社まで特定しなければ差押えができなかったのです。

ところがこのたび民事執行法が改正され「第三者からの情報取得手続き」が導入されました。この制度を利用すると、裁判所から各種の機関(第三者機関)へ情報照会をして、強制執行に必要な情報を取得できます。たとえば以下のようなことが可能です。

  • ・銀行に情報照会をして取引支店名や具体的な取引内容を明らかにする
  • ・役所や年金事務所に照会して勤務先の情報を取得する
  • ・法務局に照会して相手の所有する不動産の情報を取得する
  • ・証券会社や株式保管振替機構に照会して相手の所有している株式に関する情報を取得する

また「財産開示手続き」の効果も強化されています。財産開示手続きとは、債務者を裁判所に呼び出して財産状況について質問する手続きです。財産開示手続きに応じなかった場合、これまで軽い行政罰しかありませんでしたが、2020年4月以降は刑事罰が適用されるようになるので、債務者は無視しにくくなるでしょう。

このように養育費の強制執行は法改正によって以前より容易になっているといえます。財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きをうまく使って効果的に差し押さえをするため、よければ弁護士に相談していただけましたら幸いです。

4.強制執行の流れ

強制執行を行うときには、以下のように進めましょう。

4-1.執行文と送達証明書を取得する

強制執行を行うには「執行文」と「送達証明書」が必要です。
これらの書類は公正証書の場合「公証役場」に申請して取得します。調停調書などの裁判所の書類の場合には、「調停や判決が出た裁判所」に申請して取得します。
判決書や審判書によって差押えを行う場合、「確定証明書」も入手する必要があります。

4-2.財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きを利用する

相手の財産や勤務先を特定できていない場合、裁判所で「財産開示手続き」や「第三者からの情報取得手続き」を申し立てて情報収集しましょう。これらによって資産内容や勤務先がわかれば、強制執行の申立に進むことが可能となります。

4-3.強制執行の申立を行う

差押え対象とする財産や債権を特定できたら、申立書を作成して強制執行を申し立てます。管轄の裁判所は「相手方の住所地の地方裁判所」です。

必要書類

強制執行申立の必要書類は以下の通りです。

  • ・申立書
  • ・目録(当事者目録、債権目録、差押債権目録、物件目録など)
  • ・債務名義
  • ・送達証明書
  • ・執行文

書類がきちんと揃っていなかったり内容に不備があったりすると申請を受け付けてもらえないので、慎重に対応しましょう。

費用について

強制執行にかかる手数料の収入印紙は4,000円ですが、他に数千円分の郵便切手が必要です。さらに不動産や動産などの差押えの際には数万円~数十万円の予納金が必要となります。

預貯金や給料などの債権差押えなら高額な予納金は不要で手続きも簡単です。養育費を滞納されて差し押さえをするなら、まずは「預貯金」や「保険」「給料」などの債権を差し押さえるようお勧めします。

4-4.差押え命令が発令される

特に不備がなければ、裁判所によって差押え命令が発令されます。預貯金や給料などの債権差押えの場合には、当事者だけではなく第三債務者(金融機関や勤務先など)にも決定書が送達されます。

債権の場合

4-5.取り立てをする

差押え対象が預貯金、給料などの債権の場合、差押え命令が債務者へ送達されてから1週間が経過すると、取り立てができる状態になります。
そこで銀行や勤務先の会社に連絡を入れて、預貯金や給料を払ってもらいましょう。
給料を差し押さえた場合には、その後継続的に差押え分を入金してもらうことが可能でボーナスの際にも入金が行われます。

不動産、動産の場合

4-5.不動産や動産の場合、競売手続きが進められる

差押え対象が不動産や動産だった場合には、引き続いて「競売手続き」が行われます。差し押さえられた物件は裁判所主導のもとに強制売却されます。

4-6.換価と配当が行われる

競売手続きが終了したら、物件を売却したお金から債権者への配当が行われます。

養育費を滞納されても、強制執行に成功すればきちんと支払いを受けられます。また財産や債権の差押え後、相手が「不足分を支払うので差押えを取り下げてほしい」と言って任意に支払いをしてくるケースも少なくありません。

ただ強制執行は比較的複雑な手続きなので、弁護士に依頼した方がスムーズかつ確実に進められるでしょう。養育費を滞納されてお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽に弁護士までご相談下さい。

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