法律事務所オーセンスの離婚コラム

養育費にも税金はかかるのか?ポイントを解説

養育費にも税金はかかるのか?ポイントを解説

離婚をする際に相手から支払ってもらう子どもの養育費は、原則として所得税や贈与税といった税金の課税対象にはなりません。
なぜなら、養育費はあくまでも子どもの親として果たすべき養育義務の一種であり、子どもの生活費や教育費だからです。
ただし、養育費の額やもらい方によっては贈与税がかかる場合もあるため、税金がかかる基準を知っておきましょう。

今回は、養育費に税金がかかるかどうかを解説し、また税金がかからないように養育費を受け取るためのポイントもご紹介します。

このコラムの監修者

甲野裕大 弁護士(第二東京弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士甲野 裕大(第二東京弁護士会所属)

中央大学法学部法律学科卒業、中央大学大学院法務研究科修了。離婚、交通事故、相続問題などの一般民事事件を中心に、幅広い分野に積極的に取り組む。

離婚時に受け取る養育費に対して所得税はかからない

養育費には税金はかからない!!

結論からいうと、離婚時に受け取った養育費に対して所得税はかかりません。
所得税とは、基本的に本人が得た収入(利益)に対してかかる税金のことです。
会社で働いて給与をもらった場合は、給与という利益が出ているので所得税がかかります。副業や自営業をしていて一定以上の利益を出している場合、その利益は課税対象です。
賃貸不動産を持っている場合も、賃貸収入に対して所得税率をかけ、収入に合わせて所得税を納める必要があります。

しかし、養育費は「子どもの生活費・教育費」です。お金の出し入れだけを見ると、たしかに養育費の受け渡しによって一時的に利益が出ているようにも見えますが、養育費がないと子どもの生活を安定させたり十分な教育を施したりできなくなってしまうでしょう。

生活費への課税を認めると、極端な話、専業主婦家庭が夫から生活費として給与を受け取ったときも、親や祖父母から子どもへお小遣いを渡したときにも所得税を取ることになってしまいます。
生活費として使う費用には無理に課税する必要はないというのが税金の基本的なスタンスです。

養育費は原則贈与税も非課税!ただし額によっては贈与税がかかることも

養育費は子どもの生活費としてもらっているお金なので、所得税と同様に贈与税も基本的にはかかりません。ただし、養育費の金額や受け取り方、受け取ったあとの扱い方によっては贈与税の対象と見なされる場合があります。

養育費をもらっても原則贈与税はかからない

自分の資産や現金を第三者に無料で渡した場合、贈与税の納税が必要です。
養育費も見方によっては「親の資産を子どもへ贈与している」ことになるため、贈与税の対象になるのではないかと不安を覚える人もいますが、基本的に養育費に贈与税はかかりません。
贈与税が非課税になる理由は所得税のケースと同じで、「あくまでも子どもの生活費であり教育費だから」です。

原則、受け取った養育費は子どもの食費や教育費等に使用します。
もらったお金を子どものために使うのであれば、状況としては婚姻中に相手から生活費をもらう状況と大きな違いはありません。
生活費の受け渡しにも贈与税を課税すると、夫婦の収入を合算して生活費を出したり、子どもへお小遣いを渡したりすることもできなくなってしまいます。
そのため、生活費である養育費には贈与税をかけないのが原則です。

あまりにも大きな額の養育費支払いだと課税対象になる可能性がある

ただし、一般的な生活費や教育費よりもはるかに大きい金額を養育費として払ってもらったり、受け取った養育費を子どものため以外の用途で使ったりすると、生活費ではなく贈与だと見なされ、贈与税の課税対象になる場合があるので注意しましょう。

贈与税の非課税ポイントは子どもの養育に通常必要な額かどうか

贈与税がかかるかどうかのポイント

離婚時に相手からもらった養育費が贈与税の対象になるかどうかのボーダーラインは、子どもの養育に通常必要な額かどうかです。
ただ、ややわかりづらい表現なので、非課税になるかどうかをもう少し深く掘りさげておきましょう。

「通常認められるもの」の範囲内であれば贈与税はかからない

相続税法には、“扶養義務者相互間において生活費又は教育費にあてるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの”なら贈与税を課税しないというルールがあります。[注1]

何度も説明していますが、養育費は子どもの生活費であり、教育費です。
養育費をもらっても贈与税を納める必要は基本的にはありません。

養育費を一括で受け取ると「通常認められるもの」を越える可能性がある

養育費をもらって贈与税がかかるのは、通常認められるものの範囲を越えているケースです。
子どもの生活費や教育費として、ただちに必要とはいえない金額の養育費支払いや、一般的に考えて高額すぎる贈与を受けた場合、贈与税の課税対象になる可能性があります。

注意したいのは、離婚時に養育費を一括で受け取る場合です。離婚をする際、「離婚と同時に相手との関わりを断ちたい」「毎月払いだといつ払ってもらえなくなるかわからないから不安」といった理由で、養育費を一括払いしてもらうこともあると思います。
ただ、本来なら生活費や教育費は、継続的にかかるお金です。会社に入社した時点で生涯年収を渡されることがないように、原則として生活費や教育費はその都度支払います。
「今現在必要でないお金を受け取っている」と税務署に判断された場合、「都度払いではないのだから贈与であろう」と贈与税を課税される可能性も否定はできません。

将来的に高額な現金や資産を受け取った場合も贈与税の納税が必要

毎月払い等で継続的に養育費を受け取っている場合でも、たとえば子どもが18歳になった記念に、高級車や高級ブランド時計といった高額な資産の贈与を受けると、贈与税の納税が必要になる可能性があります。

大学の学費や安価な時計などならともかく、高級車やブランド時計は、通常認められるものの範囲を越えており、なくても生活には困らないからです。
贈与のタイミングや内容によって贈与税がかかるどうかが変わってくるため、養育費の扱い方には注意を払いましょう。

贈与税・相続税を節税するための離婚だとみなされると税金がかかる

高額な贈与、生活費や教育費とみなされない高級品の贈与に加えて、気をつけたいのが「贈与税・相続税逃れのための贈与」です。
親子間であっても、本来なら一定金額以上の資金を融通すると贈与税ないし相続税がかかります。
たとえば、財産分与の割合が度を越して大きかったり、資産の大半を養育費や財産分与として払い、離婚しているにも関わらず離婚後も同居していたりする場合、「課税から逃れるための偽装離婚なのではないか」と疑われる可能性が高いです。

ただ、法律でも「○円以上の贈与なら非課税にはならない」と決まっているわけではありません。
各家庭の状況や離婚した夫婦の収入などによって税務署の判断は変わります。

[注1] e-Gov:相続税法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000073#215

最大税率55%!贈与税の課税額を解説

贈与税の税率は、

  • 200万円以下:10%
  • 300万円以下:15%
  • 400万円以下:20%
  • 600万円以下:30%
  • 1,000万円以下:40%
  • 1,500万円以下:45%
  • 3,000万円以下:50%
  • 3,000万円オーバー:55%

です。
ここで、「1,000万円以上の養育費なんてもらえるのか」と感じる人もいるでしょう。
お子さんが乳幼児などで幼い場合、20歳になるまで、また大学を卒業するまでの養育費を一括で精算すると、1,000万円を越えることも珍しくはありません。
仮に受け取った養育費に贈与税がかかると、もらった養育費の半分近くを税金で持っていかれてしまいます。
贈与税は相続税逃れをする人から税金を回収することを目的とした税金でもあるため、相続税に比べると税率が高いです。
税率の高さを考えると、養育費を受け取る場合は贈与税がかからないように注意することをおすすめします。

月払いに信託銀行の利用など!養育費を贈与税非課税で受け取る方法

贈与税のかからない形で養育費を受け取る方法は、以下の3つがあります。

1. 養育費を月々の分割払いにすれば贈与税は原則としてかからない

養育費を月々の分割払いにしておけば、基本的に贈与税はかかりません。
ただし、受け取った養育費を貯金しておいて使わなかったり、投資に回したり、子どもの養育費とはいえない住宅の購入資金にあてたりすると贈与税の対象になる場合があるため、養育費はお子さんの生活費か教育費として使いましょう。

ただ、分割払いにすると途中で支払いが止まってしまうケースも多いです。
離婚する際は離婚協議書や公正証書を作って、養育費の支払いが滞っても対処できるようにしておきましょう。

2. 算定表に従って養育費の額を決める

養育費の金額が「通常認められる範囲内」であれば贈与税はかかりません。
養育費の金額は相手の収入によって変わるため、家庭裁判所が参考にしている算定表を使って相場どおりの養育費を請求することをおすすめします。
算定表に従っていれば、「一括払いでも金額は通常認められる範囲内」だと判断してもらえる可能性があるからです。

3. 相手名義の信託銀行口座に預けて毎月一定額を受け取るようにする

離婚後に相手と連絡を取ることなく確実に養育費を回収したい場合は、養育費を一括で信託銀行に預けてもらうという方法もあります。
信託銀行に預けたお金は適切な用途以外で引き出すことができません。また、名義人であっても自由に口座を解約できないのもポイントです。
相手側名義の口座に入っているお金はあくまでも相手の財産なので、「贈与ではなく、信託銀行を通して毎月子どもの養育費を受け取っている」という形式になります。

まとめ

養育費をもらう際、基本的には所得税も贈与税もかかりません。しかし、財産分与の適切な割合を越えて多額の養育費を受け取っていたり、一括で大金を受け取ったりすると贈与税を課税される可能性があります。
贈与税がかからないようにするためには、養育費の受け渡しについて書面化し、毎月払いにしたり信託銀行を利用したりする手続きが必要です。
ただし、法的に有効な書類作成や養育費に関する交渉の難易度を考えると、自分で養育費の交渉をするのは難しいと思います。
書類の不備や交渉の失敗を防ぐためにも、養育費の扱いは弁護士に相談することをおすすめします。

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