法律事務所オーセンスの離婚コラム

子どもが私立大学に入学。養育費は増額できる?

子どもが私立大学に入学。養育費は増額できる?

離婚後、ようやく子どもの大学進学も決まり一安心。といいたいところですが、大学、特に私立大学の学費は高額です。今度は学費の工面で頭を悩ますことになるかもしれません。
今回のケースのように、調停離婚で養育費が決まっている場合、子どもが私立大学に進学したことを機に、養育費を増額することはできるのでしょうか。
ここでは、養育費の内容や決め方、養育費の変更の可否、注意すべきポイントをまとめて解説します。

養育費とは?

・「養育費」の意味

養育費とは、簡単にいえば離婚した後の子どもの生活費のことをいいます。
そもそも、民法は両親に子どもを扶養する義務を定めています(民法877条1項、820条)。
離婚をしたからといって、この義務がなくなるわけではありません。夫婦は互いに他人となり、それぞれの生活の面倒をみる必要はないですが、親と子どもの関係は変わりません。
ですから、両親は離婚しても子どもの生活にかかるお金は支払う必要があるのです。
平成24年より施行された改正後の民法766条1項でも、離婚する際に決める必要がある事項として「子の監護に要する費用の分担」(養育費の分担)が明示されています。
具体的には、両親のどちらかが親権・監護権を得て同居することになった場合、離れて暮らす別居親が養育費を渡すという形式になります。

・養育費の金額は?

養育費に含まれるものとしては、一般的に衣食住に必要な費用、教育費や医療費と解されています。親の子に対する扶養義務は、自分と同じ水準の生活を保障するという生活保持義務といえます。
裁判所が養育費を決定する場合、金額の算定は一般的に「養育費の算定表」を基準とします(令和元年12月23日に改訂されました)
実際の養育費の金額ですが、離婚した父親からの養育費の平均月額(養育費の額が決まっている世帯)は43,707円、他方、離婚した母親からの養育費の平均月額(同)は32,550円となっています(令和元年12月23日算定表改訂前の実績です)

※【出典】平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要 離婚によるひとり親世帯の養育費の状況
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11923000-Kodomokateikyoku-Kateifukishika/0000188136.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11923000-Kodomokateikyoku-Kateifukishika/0000190325.pdf

・支払い期間はいつまで?

養育費については、一律に支払い期間や金額が決まっているわけではありません。当事者の話し合いで決めるか、もしくは裁判所での調停や審判などでその内容を決めるので、画一的ではないのです。
大半は、子どもが成人するまでと決めることが多いようですが、大学進学を見越して、大学卒業までとする場合もあります。
なお、子どもが働いて自分で収入を得て生活できるようになれば、第三者による扶養を受ける必要がなくなるため、養育費の支払いは不要となります。話し合いで成人までと決めていても、高校卒業後就職し、自立・自活しているなどの事情がある場合は成人まで支払う必要はありません。

養育費は増額できる?

今回のケースのように、調停離婚の際に養育費を決めたのち、私立大学の進学を理由にして養育費を増額することができるのでしょうか。

・養育費は変更できる?

民法は、養育費の変更について以下のように定めています。

「(省略)…扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる」(民法880条)
養育費は互いの資力やその他の事情を考慮して決めますが、この条文によれば、決定後に判断の基礎となる事情に変更が生じた場合は、養育費の金額を変更することができるとされています。

・事情の変更とは?

具体的にどのような場合に事情の変更が認められるのでしょうか。
それは、養育費を決定するに至った基礎の事情、つまり、双方の資力に変化があったり、当初予測していた生活費に変更があった場合などが考えられます。具体的には以下のような事情です。

1)増額の可能性のあるケース

  • ・子どもの成長により必要な生活費が増えた
  • ・子どもと離れて暮らす別居親の収入が増えた
  • ・子どもと同居している同居親の収入が減った

2)減額の可能性のあるケース

  • ・子どもと離れて暮らす別居親が再婚して子どもができ、扶養すべき子どもが増えた
  • ・子どもと離れて暮らす別居親の収入が減った
  • ・子どもと同居している同居親が再婚して、再婚相手と子どもが養子縁組した
  • ・子どもと同居している同居親の収入が増えた

・私立大学進学は事情の変更にあたる?

今回のケースでは、子どもが成長し、私立大学に進学が決定しています。
当事者の話し合い以外で、裁判所が養育費を決定する場合、金額の算定は一般的に「養育費の算定表」を基準とします。この算定表は、公立高校までの学費や諸経費は含まれていても、大学や私立高校などの学費は含まれていないと理解されています。
ですから、子どもが私立大学進学となった場合、状況に変化があり、養育費の増額が認められる可能性があると考えられます。
なお、私立大学等の教育費を養育費に含めるかは、親の社会的地位、学歴、経済的余力、子の学習意欲、家庭環境等諸般の事情を考慮して決められます。

養育費を変更するまでの流れ

それでは、どのようにして「養育費」の増額が認められるのでしょうか。
基本的には、最初に養育費を決定した流れと同じです。

・話し合いで養育費を変更する

まず相手に対し、「養育費の増額」についての話し合いがしたいと要望を伝えます。
養育費の増額は、相手にとってみれば支出に関わることなので、今後の生活にも影響を及ぼす重大事項です。現在の自分の資力や「私立大学進学」という事情をしっかりと説明し、逆に相手側の資力やその他の事情も考慮しながら、当事者間で話し合いを行います。ここで両者が合意に至った場合は、その内容で今後の養育費が変更となります。

・家庭裁判所の調停または審判で養育費を変更する

相手が話し合いに応じてくれない、もしくは話し合いをしたものの当事者間で合意に至らない場合は、家庭裁判所の手続きを利用し、養育費の額の変更を求める調停や審判の申し立てを行います。
調停の流れとしては、調停委員が実際の養育費の金額や、申し立てた本人と相手側の現在の収入、その他考慮しなければならない一切の事情や希望などを、当事者双方から聴取します。場合によっては資料などの提出が求められることもあります。調停委員はこれらを総合的にみて、双方に助言や解決案を提示し、両者がこれに合意すればその内容で調停成立となります。
他方、合意に至らない場合は、自動的に審判が開始され、裁判官が決することになります。

養育費を決めるときの知っておくべきポイントとは?

扶養義務を手厚くして、十分な環境で子どもが育成できるように、民法は子どもの利益を優先的に考えています。養育費はその最たるものです。
ですから、分担した養育費を確実に支払ってもらうために、知っておくべきポイントをご紹介します。

・養育費は将来を予測して決める

離婚の際には、具体的な財産の分与方法や、どちらが親権を得るかなど、離婚の条件について話し合いがなされます。その条件の中には養育費も含まれ、養育費を支払うのか、支払うとなれば毎月いくらの金額を支払うのかなどを、離婚の際に話し合って決めることとなります。
その際には、養育費が支払われなくなった場合についても想定して、下記の事項を入れることをお勧めします。

  • 基本的事項(養育費の金額、支払期日、支払い方法、支払期間など)
  • 支払われない場合の連絡方法
  • 支払われない場合における強制執行の受諾

また、現時点で子どもがどのように成長するかは予測ができません。その際は、事情の変更時に再度話し合いが持てるような一文を後述する公正証書に入れておきます。例えば、今回のケースであるならば、「子どもが私立大学に入学する場合は別途協議する」などの文言を入れておけば、後の手続きがスムーズになります。

・公正証書を作成する

調停や審判であれば調停証書や審判書がありますが、話し合いで養育費を決めた場合は、合意内容を確実に行ってもらうために、公証役場にて公正証書を作成することをお勧めします。
単なる口約束や書面では、のちに支払いをしてくれない場合に、実際にそのような約束の事実があったことを証明する必要があり、時間がかかります。養育費は日々の生活費であるため、支払われるまでに時間がかかれば、十分に子どもを養育できない恐れがあります。
しかし、公正証書は公正な第3者である公証人が権限に基づいて作成する文書であり、高い証明力があります。
さらに、公正証書の内容に、金銭の支払いができなければ強制執行を受けることを応諾する文言があれば、裁判所の手続きを経ることなくすぐに強制執行をして、離れて暮らす別居親の給料などを差し押さえることができます。

子どもの利益を最優先に考えれば、子どもを十分に養育できる環境を作る必要があります。そのためには、相当額の養育費が継続して確実に支払われることが重要です。
養育費の取り決めの際には、あらかじめ将来を予測して内容を考えることが大切であり、場合によっては弁護士などの専門家へ相談するのも選択肢のひとつといえます。

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