コラム

公開 2019.02.05 更新 2024.02.15

離婚後の戸籍(謄本)はどうなるの?

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離婚すること自体に目が向いていると、離婚後の戸籍について考えないままになってしまい、離婚届を記入する時点で初めて「どういうこと?」と筆が止まってしまうこともありえます。よく分からないまま選択して後悔することのないよう、離婚後の戸籍についての基礎知識、戸籍と関連してどの姓を名乗るか、そして子どもがいる場合の戸籍について解説します。

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戸籍とは?

日本における戸籍制度とは、日本国民の証である国籍と、親族的身分関係(夫婦、親子、兄弟姉妹など)を戸籍簿に登録して管理し、公証する制度のことをいいます。
戸籍に記載されているのは、個人の氏名や生年月日、父母との続柄や配偶者などで、夫婦と未婚の子どもを基本単位として作られています。

また、戸籍は、結婚や離婚など、身分関係の形成の際に関わる重要なものといえます。
実生活にはあまり関係のないものと思われがちですが、以下のような場合には戸籍の取り寄せが必要となります。

  • ・相続手続き
  • ・遺言書の作成
  • ・パスポートの発給申請
  • ・生命保険の請求
  • ・年金の受給 など

なお、戸籍の取り寄せには謄本(とうほん)か抄本(しょうほん)かの区別がされます。
戸籍謄本には戸籍内にある全ての事項(出生や結婚など)や人が記載されており、現在の電子化された戸籍では全部事項証明書と呼ばれています。
一方、戸籍抄本は、戸籍内にある特定の人の事項のみが記載されており、個人事項証明書と呼ばれています。

離婚後の戸籍は2つから選べる

それでは、離婚した場合の戸籍はどのようになるのでしょうか。

離婚をすると、それまで一つの戸籍の中に入っていたものが別々になり、筆頭者(戸籍の最初に記載され、もともとの姓を名乗っていた側)の戸籍はそのまま変わりません。
筆頭者でなく苗字(氏/姓)を変えて戸籍に入った側が、その戸籍から抜けることになります。

そもそも結婚前は別々の戸籍で、結婚の際に新たに筆頭者の戸籍に入ってきたわけですから、単に結婚の前に戻すと言えばそれまでです。
ただ、戸籍から抜けた側は、結婚前の戸籍に自動的に戻るわけではありません。
以下の2つより自分の意思で選択することができます。

  • ・結婚前の戸籍に戻る
  • ・新しい戸籍を作る(自分が筆頭者となる)

なお、結婚前の戸籍に戻るには両親の戸籍がなければならないため、両親が既に死亡している場合には新しい戸籍を作るしかありません。

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離婚後の苗字はどうなる?

それでは、離婚後に名乗る苗字はどうなるのでしょうか。
ここからは離婚後の苗字と戸籍の関係を説明します。

結婚前の戸籍に戻る場合は旧姓のみ

離婚後に名乗る苗字は、離婚後に選択する戸籍と関係があります。
結婚前の戸籍(両親の戸籍)に戻る場合、両親の苗字、つまり旧姓を名乗ることになります。
離婚届には「婚姻前の氏にもどる者の本籍」という欄があるので、この欄に記載されている「もとの戸籍にもどる」を選択すれば、戸籍が結婚前のものに戻って変更されます。

新しい戸籍を作る場合は2つの姓から選べる

一方、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄で「新しい戸籍をつくる」を選択した人は、以下の2つの苗字から選ぶことができます。

  • ・旧姓で新しい戸籍を作る
  • ・結婚時に名乗っていた苗字で新しい戸籍を作る

このように、結婚時に名乗っていた苗字を継続して使用するという選択肢もあるのです。

というのも、苗字が変わると日常生活においてさまざまな支障が出ます。
特に、仕事をしていればその影響は顕著です。
結婚時の氏名で実績を出した場合には、苗字を変更すると同一人物だと判明しにくく、マイナスの影響が出る可能性があります。たとえば、研究職など論文を発表した場合や、結婚時の苗字での資格取得などです。
また、苗字が変わることで離婚の事実が知られることを避けたいケースもあるでしょう。
このような場合には、結婚時に名乗っていた苗字をそのまま継続するという選択肢があるのです。

ただし、ここで注意すべきは、結婚時の苗字を継続して名乗る場合の手続きです。
旧姓で新しい戸籍を作る場合は、離婚届にある「婚姻前の氏にもどる者の本籍」という欄の中で、「新しい戸籍を作る」を選択すれば自動的に新しい戸籍が作られます。
しかし、結婚時の苗字を継続する場合は、離婚届とともに「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出しなければなりません。

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子どもの戸籍と苗字は?

離婚する夫婦に子どもがいる場合、戸籍と苗字はどうなるのでしょうか。

子どもの戸籍と苗字はそのまま

離婚の場合、筆頭者ではない配偶者が結婚時の戸籍から抜けるだけで、それ以外に変更はありません。
つまり、離婚に伴って子どもも同じく戸籍から抜けることはなく、筆頭者の戸籍には筆頭者とその子どもが記載されたままとなります。

そして、子どもの戸籍と「子どもの親権者がどちらであるか」は、実は一切関係がありません。
たとえば、父親が筆頭者であった場合、離婚によって母親が戸籍から抜けても、子どもはそのままの状態です。
母親が親権者となり、子どもと一緒に暮らしていても、子どもは父親の戸籍に残ったままなのです。
母親が離婚の際に旧姓に戻っていた場合、母親と一緒に暮らしている子どもは、戸籍も苗字も母親と異なる状況になってしまいます。

子どもと同じ戸籍にするには?

では、結婚時の戸籍から抜けた親権者と子どもが同じ戸籍に記載されるには、どうすればいいのでしょうか。

まず、子どもと同じ戸籍となる前提として、自分を筆頭者とする「新しい戸籍を作る」必要があります。
この場合、苗字はどちらでも構いません。

次に、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に「子の氏の変更許可」の申し立てを行います。
子どもの苗字(氏)を母親と同じ苗字に変更するためです。
必要な書類は下記となります。

  • ・子の氏の変更許可申立書
  • ・子どもの戸籍謄本
  • ・自分を筆頭者として作った新しい戸籍謄本

家庭裁判所で審査を受け、変更許可を得た場合は「許可審判書」が交付されます。
この「許可審判書」と新しい戸籍に入る書類の「入籍届」を役場に提出すれば完了です。

結婚時の苗字を継続して名乗って新しい戸籍を作った場合は?

では、離婚の際に結婚時の苗字を継続して名乗る場合はどうなるのでしょうか。
この場合は親権者の苗字と子どもの苗字が同じであるため、「子の氏の変更許可」が不要なのでは?というようにも思えます。

しかし、離婚してから名乗る「結婚時の苗字」は戸籍が変わっており、法律的に見れば同じではありません。
形式的には同じ苗字であっても、実質的に全く同じとはいえないため、「子の氏の変更許可」が必要になるのです。
結論として、離婚後に旧姓と結婚時の姓のどちらを名乗るとしても、子どもを同じ戸籍に入籍させる流れは変わらないということです。

なお、「子の氏の変更許可」の申し立てができるのは子ども自身であり、15歳未満の子どもであれば、親権者である法定代理人が申し立てを行うことになります。

子どもが生まれたときの戸籍に戻りたい場合は?

氏の変更をした子どもが未成年の場合、成人して1年以内であれば、子どもが入籍届を出して、生まれたときの戸籍に戻ることができます。
この場合は、家庭裁判所の許可は必要でなく、ただ入籍届を提出するだけになります。

あまり深く考えずに、離婚届に安易にチェックした後で、「まさかこんな意味だったとは…」とはならないために、離婚後の戸籍についてどのような選択肢があるのかを理解し、十分に検討した上で結論を出しましょう。

また、子どもがいる場合には、離婚後も戸籍にそのまま残るため、同じように戸籍から抜けるわけではありません。
氏(苗字)の変更もからめば、さらに分かりづらい部分もあり、注意が必要です。
少しでも疑問をもったり、自分の選択に自信がないような場合には、弁護士などの専門家にご相談いただくことをおすすめします。

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