コラム

公開 2021.10.28 更新 2023.04.11

LINEを証拠に不倫の慰謝料を請求できるのはどんなとき?

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配偶者が知らない相手と親しげにLINE(ライン)でメッセージのやり取りをしていることは、不倫を疑う理由の一つとなります。実際、LINEのメッセージから不倫が発覚するケースは少なくありません。

では、そのメッセージを不倫の証拠として不倫相手に慰謝料を請求することはできるのでしょうか?

今回は、不倫の証拠としてのLINEのメッセージの効力や、LINEメッセージを証拠化する方法を弁護士が解説します。

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1.LINEのメッセージが不倫の証拠になるケースとは

まず、「不倫」というのは法律上の用語ではありません。法律上は「不貞」という言葉が用いられます。
この「不貞」というためには、「配偶者以外の異性との肉体関係(性的関係)」があったことが必要です。
お互いに好意を持って親しくしているだけでは「不貞」と認められないので、慰謝料も発生しないのが原則です。

このことから、LINEのメッセージで不倫を証明するには、やりとりの内容から「明らかに男女関係を持っている」事実が判明することが条件となります。
たとえば以下のようなやりとりがあれば、単独で不倫の証拠として使える可能性が高いといえます。

  • 2人で一夜をともにしたことがわかるやりとり
  • 2人で旅行に行ったことがわかるやりとり
  • 同棲していることがわかるやりとり
  • 性交渉をしている場面、相手や配偶者の性器の写真、裸の写真が添付されているやりとり

2.LINEのメッセージだけで不倫を立証する難しさ

LINEのメッセージだけで不倫を立証する難しさ

しかし、ここで注意しておかなければならないポイントがあります。
それが、LINEのメッセージ「だけ」では不倫の証拠とならない可能性があることです。

LINEのメッセージで、妻が知らない男性に「昨夜はありがとう!楽しかった♡」と書いてハートマークをつけたり、相手の男性からも「愛してる、会いたいね」などの文章が送られたりしていたら、通常は「不倫している」と考えるでしょう。
しかし、このやりとりの内容だけでは、「明らかに性的な関係を持っている」とまでは判断できません。
不倫を疑う根拠が上記のようなやりとりだけだった場合、証拠として不十分と認定される可能性が高いです。

また、「昨日はよかった」「激しかったね」などの表現があったとしても、何がよかったのか、あるいは何が激しかったのかは分からないため、奧さんと相手の男性が性的関係を持っている確実な証拠としては弱いです。
これらのやり取りを証拠として訴訟をしても、「不倫の事実」が認められず、負けてしまう可能性があります。
LINEのメッセージだけではっきり不倫を立証するのはかなりハードルが高いのです。

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3.他の証拠もあると、合わせて不倫が認められる可能性が高まる

「そうなると、LINEのメッセージに不倫を思わせるやりとりがあったとしても、男女関係があることが明らかでなければ何の証拠にもならないのだろうか?」と思われたかもしれません。
しかし、LINEのメッセージだけで不倫を立証するのが難しいとはいえ、そのメッセージに証拠としての価値がないというわけでは決してありません。
単独では弱くても、他の証拠と合わせることで不貞が認定されるケースが少なくないためです。

LINEのメッセージとあわせて不倫の証拠となりうるものとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 写真、画像、動画
  • 電話の通話明細書
  • 交通ICカードの記録
  • 日記やスケジュール帳、スケジュールデータ
  • メッセージカード
  • クレジットカードの利用明細書や領収証

特に「写真、画像、動画」に相手方らの「性交渉の場面」が記録されていたら、それだけで不倫を証明できる強力な証拠となります。
ときおり不倫相手の性器の写真や裸の写真を保管している方もいらっしゃいますが、通常、そういった画像や動画があれば強く不貞関係が推測されます。

4.LINEメッセージを発見したとき証拠化する方法

LINEメッセージを発見したとき証拠化する方法

夫や妻のLINEメッセージをみて「これは不倫しているに違いない」と思ったら「証拠化」が必要です。
単にあなたが「夫のLINEで不倫相手とのやり取りを見ました」と証言するだけでは、裁判で不倫の事実を認定してもらうのが難しくなるからです。
LINEのメッセージを第三者に提示できる形にするため、以下の方法をお勧めします。

4-1.スマホ画面を写真撮影する

LINEのメッセージは、希望するメールアドレスへデータを一括転送する方法によって保存できる仕様になっています。しかし転送すると形式が変わってしまうので相手から「加工した」「それは私が書いたものではない」などと否定されたり言い訳されたりする可能性が高まります。
そこで相手が言い逃れできないように「スマホ画面を写真撮影する方法」をおすすめします。
画面上のやりとりがはっきり写っていたら、相手からも「知らない」「偽造された」「これは私が書いたものではない」などと言い訳できなくなります。

4-2.スマホ画面を撮影する際のポイント

LINEの証拠化のためにスマホ画面を撮影するには、以下のような点に注意しましょう。

不貞がはっきりわかる部分を写す

LINEのメッセージは何日にもわたって非常に長くなっているケースが多数です。そのようなものをすべてカメラで写すのは困難でしょう。また不倫の立証のためにすべてのメッセージを要するわけではありません。必要なのは「不貞(性関係)がわかる部分」です。
あなたの配偶者と不倫相手の性関係がはっきりわかる文脈の部分を狙って撮影しましょう。
残りの部分も余裕があれば撮影すると良いですが、できなければ参考までに一括転送してもかまいません。

スマホの本体が写るように写す

LINEのメッセージを撮影するときには、相手のスマホの本体の形状や機種がわかるようにしましょう。つまり「画面だけ」ではなく「スマホの機械」も写るようにします。
そうすれば相手も「これは自分のスマホではない」などとしらをきるのが難しくなるからです。

日付や時間、送信者がわかるように写す

メッセージのやり取りを撮影するときには、必ず送信日付や時間を写す必要があります。
また送信者のアカウントも分かるように写しましょう。そうでないと「これは誰が送ったメッセージか分からない」などと言われてしまう可能性があります。

メッセージが長い場合、分割して前後の流れがわかるように写す

必要なメッセージややりとりが長い場合には、前後関係がわかるように上から順番に撮影していきましょう。分割するときには、文頭と末尾の数行が重複するようにして写すと、後でわかりやすくなります。

4-3.LINEのメッセージを見ることの違法性

もっとも、LINEメッセージを勝手にみるという行為はプライバシー権侵害に当たり、民事での損害賠償請求を受ける可能性があります。ただし、夫婦間で浮気を心配してメッセージを確認したという場合には、プライバシー侵害の度合いが高いとはいえず、損害賠償の金額自体は認められても低い金額となることが多いでしょう。

また、LINEにアクセスする際にパスワードが設定されている場合に、そのパスワードを解除してアクセスをし、LINEを盗み見た場合には、不正アクセス禁止法に違反する行為となり、場合によっては刑事罰が科される可能性がありますので注意が必要です。さらに、LINEのデータを転送する行為についても不正アクセス禁止法に違反する行為に当たりますのでそちらも注意を要する点です。

夫婦間の問題であるので、実際に告訴をされるケースは少ないといえますが、証拠収集等でご不安な方は一度弁護士に相談をしてみるのがよいでしょう。

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5.LINEメッセージをきっかけにさらに効力の高い証拠を入手する方法

LINEのメッセージを発見しても、それだけでは証拠として弱いケースが多々あります。その場合でも、LINEのメッセージをきっかけに「より強い証拠」を入手する方法があるのでご紹介します。

5-1.相手に自白させて「不貞の自認書」を書いてもらう

LINEのメッセージを発見したら証拠をとって配偶者に突きつけ「不倫しているよね?」と問い詰めます。相手に認めさせたら、その場で「不貞の自認書」を書かせましょう。
不貞の自認書とは「不貞をしました。」つまり、肉体関係を持ったことを認める書面です。
「2019年〇月ころから2020年〇月ころまで〇〇さんと不貞関係になり、〇〇さんの家やホテルに行ったりして何度も肉体関係を持ちました。」などと書かせて自筆で署名押印させ、日付を入れます。
これがあれば、不倫の証拠として使うことができます。

5-2.相手の自白を録音する

相手の自白内容を録音しておくと、そのデータが不貞の証拠となります。
こちらの自白の内容についても、肉体関係を持ったという点が明らかになっていたほうがより確実な証拠といえます。

5-3.探偵に調査を依頼する

また、探偵に行動調査を依頼する方法も有効です。
探偵が尾行調査を行い、相手方らがホテルに入って出てきたところやお互いの家に宿泊したところを撮影できれば、強い不貞の証拠として利用できるからです。
ただし、探偵事務所の尾行調査は必ずしも成功するとは限らないこと、費用が高額になる可能性などには注意が必要です。

不倫の疑いがあるときに行うべき証拠集めの手法はケースによっても異なります。時機を逸すると証拠の獲得が難しくなってしまうおそれもありますので、配偶者の不倫問題に悩まれているならお早めに弁護士までご相談ください。
なお、Authense法律事務所では、配偶者や不倫相手に慰謝料を請求したい方向けの「不倫に関する慰謝料請求プラン」をご用意しております。
ぜひ一度ご覧ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、一橋大学大学院法務研究科修了。離婚、相続問題等の一般民事事件や刑事事件、少年事件、企業の顧問など、幅広い分野を取り扱う。
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