離婚の慰謝料について

離婚の際に慰謝料を請求したいと思っても、離婚するからといって必ずしも慰謝料が請求できるわけではありません。どのような場合に慰謝料を請求できるのか慰謝料の金額はいくらになるのかどのように慰謝料を請求するのかが分からないという方が多いと思います。

そこで本ページでは、
  • 離婚の慰謝料が請求できる場合
  • 慰謝料金額の相場
  • 請求方法や慰謝料を請求するための証拠
についてお伝えします。

目次


1離婚の慰謝料

1.1慰謝料とは

離婚にともなう慰謝料とは
慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償として支払われるものです。よって、離婚をしない場合でも、不貞行為や暴力を受けるなど、不法行為によって精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求することができます。

1.2離婚の慰謝料とは

慰謝料を請求できる場合

代表的なケースは相手に不貞(浮気・不倫)行為があった場合です。

離婚の慰謝料は、法律で定められている離婚事由を基準として考えられており、配偶者の浮気や不倫などの不貞行為(有責行為)などが原因で離婚に至るような場合に、精神的苦痛に対する損害賠償として配偶者と浮気・不倫相手に請求することができます。

法律で定められている離婚事由は以下の5つとなります。

民法第770条
  • 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  • 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  • 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

こんな場合にも慰謝料を請求することができます

精神的・肉体的虐待
(DV・モラハラなど)

  • DVを受けている
  • モラハラを受けている
    (暴力行為を受けた側に特別な落ち度がなく、DV、モラハラがはじまった)

セックスレス

  • セックスレスの期間が長期(3年以上)に及ぶ
  • 夫婦間ではセックスレスである一方、浮気相手(不倫相手)とはセックスしていた

悪意の遺棄

  • 生活費を渡さない
  • 理由もないのに同居を拒否する(帰ってこない)
  • 健康なのに働かない
  • 専業主婦(専業主夫)なのに家事をしない etc.

慰謝料が請求できない(請求が認められない)場合

慰謝料は、離婚をするからといって必ず請求できるものではありません。

  • 「不貞行為(浮気や不倫などの有責行為)より前に婚姻関係がすでに破綻していた」
  • 性格の不一致や価値観の違いが離婚理由で、夫婦どちらの責任ともいえない」
  • 「配偶者の不貞行為(浮気や不倫などの有責行為)を理由として慰謝料を請求し、すでに慰謝料が支払われ、受け取っている」

などの場合は、慰謝料が請求できない、または慰謝料の請求が認められない場合があります。

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2離婚の慰謝料の相場

2.1離婚の慰謝料の相場

慰謝料請求の方法
離婚の慰謝料には、養育費の算定表のような明確な基準はありません。
離婚の慰謝料の金額は、離婚の理由や婚姻期間、子どもの有無、相手方の社会的地位や資力などの事情で変わるためです。

しかしながら、実際の交渉では過去の裁判例が参考とされています。例外もありますが、たとえば、不貞行為(浮気や不倫などの有責行為)が離婚の理由である場合の慰謝料は、200万円~300万円でまとまることが多い傾向にあります。

慰謝料の増額

慰謝料の金額は、精神的苦痛(どれだけ悲しい思いをしてきたか、つらい思いをしてきたか)を証明することで、増額の可能性があるでしょう。
精神的苦痛を受けたことにより、病院へ通院することを余儀なくされたなどの事情は、裁判でも重要なポイントとなりますので、できるだけ証拠となりうるものを集めておいてください。
同時に、証拠をいつどのタイミングで提示するかも含めた「交渉」も重要になってきます。

2.2離婚慰謝料の算定要素

離婚の慰謝料は、離婚に至るまでの様々な事情を考慮して総合的に判断されます。

算定要素として、以下のような要因が考慮されます。

一般的要因

  • 離婚に至った原因や動機
  • 浮気・不倫などの不貞行為(有責行為)の原因や態様、程度
  • 婚姻関係(夫婦関係)の破綻に至る経緯
  • 精神的苦痛や身体的苦痛の程度
  • 婚姻に至る経緯、実情
  • 婚姻期間(同居期間・別居期間)
  • 未成年の子の有無、人数
  • 親権、監護権の帰属
  • 財産分与の金額etc.
  • 資産状況
  • 社会的地位 etc.

請求者側の要因

  • 性別
  • 年齢
  • 資産
  • 初婚、再婚の別
  • 自活能力
  • 妊娠中絶の有無
  • 健康状態(精神疾患など) etc.

被請求者側の要因

  • 性別
  • 年齢
  • 職業
  • 資産
  • 収入
  • 婚外子の出生、認知の有無
  • 婚姻中における贈与
  • 生活費(婚姻費用)不払いの有無
  • 夫婦関係修復の努力の有無 etc.

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3離婚の慰謝料を請求する方法

3.1離婚の慰謝料を請求する方法

  • 当事者間で話し合って相手に慰謝料を請求
  • 手法1
    離婚慰謝料の請求方法としてまず考えられるのが、当事者間で話し合って相手に慰謝料を請求する方法です。当事者間で納得すれば公序良俗に違反しない限りで、相場より高額な慰謝料を得る可能性もあります。当事者間で話し合った内容は、後々のトラブルを避けるためにもメール等で記録を残しておきましょう。
  • 郵便やメール、内容証明郵便で請求
  • 手法2
    当事者と直接会って交渉するのが難しい場合は、郵便やメール、内容証明郵便で請求する方法が考えられます。
  • 弁護士へ示談交渉を依頼したり、離婚調停を提起
  • 手法3
    これらの方法でも話がまとまらなかった場合は、弁護士へ示談交渉を依頼したり、離婚調停を提起したりする方法が考えられます。

このように離婚の慰謝料の請求方法はいくつかの方法があるので、ご自身にあった方法を検討されると良いでしょう。

3.2誰に離婚の慰謝料を請求ができるのか

離婚の慰謝料を請求する場合に、誰に請求できるのか?を、代表的なケースである不貞行為(浮気・不倫)を理由とした離婚の慰謝料請求でご紹介します。

  • Aパターン
  • 配偶者と浮気相手・不倫相手の両者に慰謝料を請求

例:慰謝料の金額が300万円の場合

偶者と浮気相手・不倫相手の両者に慰謝料を請求

夫と不倫相手それぞれに300万円ずつ請求はできません

夫と不倫相手に合計300万円の請求が可能です。

離婚をする場合、配偶者と浮気相手・不倫相手の両者に慰謝料を請求することができます。両者に慰謝料請求をした場合、損害額を超えた慰謝料をそれぞれから二重請求することはできません。図の場合では、配偶者と不貞相手(浮気相手・不倫相手)から合計慰謝料300万円を請求できることになります。

  • Bパターン
  • 不貞相手(浮気相手・不倫相手)のみに慰謝料を請求

例:慰謝料の金額が300万円の場合

不貞相手(浮気相手・不倫相手)のみに慰謝料を請求

不倫相手に300万円の請求が可能です。

離婚をする場合、浮気相手・不倫相手に慰謝料を請求することができます。慰謝料請求をすることで、謝罪と反省を求め、婚姻関係破綻の責任と重大さをわかってもらうことができる場合があります。また、離婚をせずに慰謝料を請求することで、配偶者との関係を断つことを求めることもできる場合があります。

  • Cパターン
  • 配偶者のみに慰謝料を請求

例:慰謝料の金額が300万円の場合

配偶者のみに慰謝料を請求

夫に300万円の請求が可能です。

離婚をする場合、浮気・不倫をした配偶者に慰謝料を請求することができます。離婚をしない場合には、同一家計(夫婦間)でお金が移動しただけとなるため、慰謝料請求をしない選択をされる方もいらっしゃいます。

3.3離婚の慰謝料請求の時効

離婚の慰謝料請求は、3年で時効となりますので、原則、離婚が成立した日から3年を経過してしまうと、慰謝料を請求することができません。もし、時効完成間近である場合には、時効中断の手続をとる必要があります。

「離婚が成立した日」とは?

  • 協議離婚 → 離婚届けが受理された日
  • 調停離婚 → 調停が成立した日
  • 審判離婚 → 審判が確定した日
  • 裁判離婚 → 判決が確定した日

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4高額な慰謝料請求になりうる場合

4.1慰謝料が高額になりうる共通事情

  • 婚姻期間
    婚姻期間が長いと精神的苦痛の度合いは大きいとされ、慰謝料が高額となる傾向があります。
  • 年収
    慰謝料を請求される側の年収が高いほど、慰謝料が高額となる傾向があります。
  • 年齢
    慰謝料を請求する側の年齢が高いほど、慰謝料が高額となる傾向があります。
  • 職業
    慰謝料を請求される側の社会的地位が高かったり、収入が高いと思われる職業に就いている場合、慰謝料が高額となる傾向があります。
  • 養育が必要な子の数
    養育が必要な子の数が多いほど、慰謝料が高額となる傾向があります。

4.2有責行為(結婚している人と浮気、不倫などの不貞行為)で慰謝料が高額になりうる場合

  • 不倫などの期間が長期に及ぶ。
  • 不倫などが原因で夫婦が別居に至った。
  • 不倫相手と同棲している。
  • 不倫などの不貞行為を知ったことによる精神障害(鬱病など)を患った。

4.3DV(身体的暴力)・モラハラ(精神的暴力)で慰謝料が高額になりうる場合

  • DV、モラハラの頻度が多い、または期間が長期に及ぶ。
  • 暴力行為を受けた側に特別な落ち度がなく、DV,モラハラが始まった。
  • DV、モラハラによるケガ、後遺症などの程度が重い、または精神障害(鬱病など)を患った。

4.4悪意の遺棄で慰謝料が高額になりうる場合

  • 別居期間が長期に及ぶ。
  • 悪意の遺棄を受けた側に特別な落ち度がないにも関わらず、別居に至った。
  • 専業主婦(または専業主夫)であり、収入がないにも関わらず、生活費を渡さない。
  • 健康であるにもかかわらず働かない。

4.5セックスレスで慰謝料が高額になりうる場合

  • セックスレスの期間が長期に及ぶ。
  • 婚姻後、一度もセックスがない。
  • 夫婦間でセックスレスである一方、不貞相手とはセックスしていた。

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5慰謝料を請求するための有効な証拠とは

より高額な慰謝料を請求するためには、有効な証拠(使える証拠)が必要です。

5.1不倫などの不貞行為を立証する有効な証拠

  • 写真・動画

    配偶者と不倫相手がラブホテル※に出入りしている写真や動画。※ビジネスホテルなどは、「打ち合わせ」などの言い訳ができてしまう可能性があるので、必ずしも有効な証拠とはなりません。

  • メール・SNS・手紙

    有責行為(結婚している人との浮気、不倫などの不貞行為)があったと思われるような、たとえば、性交渉の感想や準備、要望などの履歴、または保存データなど。

  • 念書

    配偶者本人、不倫相手が不貞関係の事実を認めた念書。

    なお、配偶者本人が認めても、不倫相手が認めない場合は、配偶者と不倫相手のどちらが信用できるか五分五分の争いとなるため、有力な証拠にならないことがあります。

5.2DV(身体的暴力)・モラハラ(精神的暴力)を立証する有効な証拠

  • 診断書

    暴力をふるわれてケガをしたときの診断書。

  • 写真

    ケガを撮影した写真。

  • メモ

    DV、モラハラを受けた日時、場所、できるだけ詳細なメモ。

  • 心療内科等の受診記録や診断書

    モラハラによる精神疾患での心療内科(メンタルクリニック)などの受診記録や診断書。

5.3悪意の遺棄を立証する有効な証拠

  • 預金通帳

    生活費が振り込まれていない、または途絶えたことが分かる通帳記録。

  • メモ

    別居に至った経緯、別居が始まった日時などを記録したメモ。

  • 賃貸借契約書

    別居先を特定できる資料(賃貸借契約書など)。

5.4セックスレスを立証する有効な証拠

  • メモ

    相手の性交渉拒否を証明するもの。

5.5その他婚姻を継続し難い重大な事由を立証する有効な証拠

重大な事由はそれぞれ違いますが、他の項目と同様に、詳細を書き留めた記録などは証拠として残しておきましょう。

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6裁判例でみる!離婚の慰謝料請求

離婚の慰謝料については、各メディアで相場や平均といった情報が様々あふれていますが、ここでは実際の裁判例をご紹介したいと思います。

離婚の動機のうち、有責行為(結婚している人と浮気、不倫などの不貞行為)、DV・モラハラ(暴力などの身体的虐待や精神的虐待)を理由に離婚の申し立てをされることが多いのですが、『離婚の慰謝料は、離婚に至るまでの様々な事情を考慮して総合的に判断される』ということが少しご理解いただけると思います。

6.1配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 1

慰謝料額600万円

(1) 概要

X(妻)との婚姻中にY2(夫)がY1(不倫相手)と肉体関係を持ったことから、Xが、Y1・Y2に対して慰謝料請求をした事案です。

配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 1
【具体的事情】

Y1・Y2は、いわゆる出会い系サイトを通じて知り合って交際を開始し、肉体関係(男女関係)を持った。その際、Y1は、自分に夫と子がいることを話しており、Y2は、婚姻していることを告げたが、被告らは、別れるつもりがなく、その後も男女関係を続けた。

Y2の外泊が、自宅に帰宅する日数よりも多くなったため、Xは、Xの母及びY2の母とともに、Y2に外泊の原因等を問いただした。Y2は、前妻が癌で入院したため、前妻の下にいた子の面倒をみていたと弁解したが、虚偽だと判明した。

Y2は、Y1と交際していること、Y1がY2の子を妊娠したことを告げ、Xに離婚を要求した。Xは、睡眠薬を服用し、手首を切り自殺を図ったが、未遂に終わった。

その後、Y2は、Y1と別れると約束しながら、交際を続け、Xとの間でいさかいが続いた。Xは、Y2らの離婚意思が強く変わらないことから、やむなく協議離婚した。

(2) 争点

婚姻関係の破綻・離婚の原因はY2の不貞行為であるか否か、慰謝料の金額。

(3) 慰謝料額

Y2については400万円、Y1については200万円が相当とされました。

(4) 判決理由(慰謝料額決定のポイント)

  • Xは、不貞行為、妊娠を知った後も、Y2との婚姻関係の修復・維持を望み、そのための努力をしていたもので、婚姻関係の破綻につきXに帰責性(きせきせい)※は認められないこと。
  • Y2は、Xをだまして不貞行為を続け、Xが不貞行為を知って自殺を図り入院した後、Y1と別れると約束しながら、これを破って同被告と別れず、離婚に至ったこと。
  • Xは、これにより、精神状態が不安定となり、うつ病と診断されており、Xの受けた精神的苦痛は極めて大きなものであったと認められること。
  • Xは、離婚に伴い、何らの財産分与も受けておらず、自宅マンションのローンのほか、Y2の事業のために多額の連帯保証をしているため、経済的にも多大の損失を被っており、これによる精神的損害も少なくないこと。
  • 不貞行為により婚姻関係を破綻させた第一次的責任はY2にあり、不貞行為の相手方Y1の責任は、第二次的、副次的なものというべきであること。
※帰責性:法的な責任を負わせること。
東京地判平成18年1月16日(LLI/DB 判例秘書登載)

6.2配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 2

慰謝料額200万円

(1) 概要

A(妻)との婚姻中にB(夫)がC(不倫相手)と肉体関係を持ったことから、Aが、B・Cに対して慰謝料請求をした事案です。

配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 2
【具体的事情】

AとBとの間には2人の子供がいる。

BとCは、婚姻からおよそ20年経った頃から、不貞関係にあったものと認められる。一方、その頃の時点でAとBの婚姻関係が破綻していたと認めることはできない。

AとBは離婚した。これと近い時期に、BとCが同居を開始した(裁判所は、同居が離婚より前か後かについては認定していない。)。

AとBは、離婚に際して、BがAに対し、扶養的財産分与として毎月5万円を支払うこと、子供2人の養育費として毎月計10万円のほか学費を支払うことなどを内容とする合意書を締結した。しかし、その後、AはBの債務不履行を理由にこの合意を解除した。

(2) 争点

BとCがいつから不貞関係にあったか、BとCが不貞関係にあった時点でAとBの婚姻関係が破綻していたか否か、慰謝料の金額。

(3) 慰謝料額

200万円が相当であるとされました。

(4) 判決理由(慰謝料額決定のポイント)

  • BとCが不貞関係にあった時点でAとBの婚姻関係が破綻していたものとは認められないこと。
  • BとCが肉体関係を含む男女の交際をし、同居するに至ったことが原因となって、AとBは離婚に至ったこと。
  • AとBの婚姻期間が約22年間であり、離婚時点でAが50歳に近い年齢であったこと。
東京地判平成25年7月16日(LEX/DB25513758)

6.3配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 3

慰謝料額80万円

(1) 概要

A(夫)が、B(妻)とC(不倫相手)が不貞関係にあったと主張して、B・Cに対し、不法行為に基づく損害賠償の支払を求めた事案です。

配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 2
【具体的事情】

Bとの結婚当時、Aは、麻雀店を経営して一定の収入を得ていたが、自らの浪費癖もあって、300万円ほどの借金を負っていた。Aは、長女が誕生する直前に、麻雀店を知人に譲渡することとなったが、以後は、短期間で職を転々とし、安定した収入を得ることができず、家族の生活費を一切負担しなくなったため、Bがキャバクラで勤務するようになった。

Aは、家庭に生活費を入れない一方で、麻雀賭博を行ったり、Bの友人から借金するなどしたことから、Bは、次第にAとの離婚を考えるようになった。

その後、Bは、2回ほど早朝に帰宅したことがあり、このことをAに責められると、Aとはもう一緒に生活したくないとの自らの思いを初めて伝えた。これに対し、家庭に生活費を入れていないことへの負い目があったAは、特段反論をすることなく、そのまま家を出てBとの別居を開始した。

AとBは、離婚に合意し、離婚届が提出されたが、その間、AとBが連絡を取り合うことはほとんどなかった。離婚に際し、Aは、借金の問題が片付いたときはBと再びやり直したいとの希望を伝えたが、Bの側では、これを真剣に取り合うことはなかった。

C・Bは、AとBが別居状態となったころに不貞行為を行ったものと認められ、その後Bは、Cとの性交渉で妊娠した可能性が高いとみられる。

(2) 争点

B・Cによる不貞行為の有無、AとBの婚姻関係の破綻の有無、慰謝料の金額。

(3) 慰謝料額

80万円が相当であるとされました。

(4) 判決理由(慰謝料額決定のポイント)

  • 婚姻期間中に行った不貞行為によって、別の男性の子を妊娠、出産するといった事実は、不貞行為の悪質さを示す事情として無視し得ないものがあること。
  • 一方で、被告らの不貞行為が行われたのはAとBとの別居期間中であり、婚姻関係が破綻しているとはいえなくても、婚姻関係の実質が相当程度損なわれていたこと。
  • AとBが別居を開始した原因は、家庭に生活費を入れようとしないAの怠惰かつ無責任な生活態度にあったこと。
東京地判平成25年8月2日(LEX/DB25514535)

6.4不倫相手に対する慰謝料請求

慰謝料額150万円

(1) 概要

X(妻)とA(夫)は、4人の子供がいる夫婦でしたが、AがYと不倫していることが判明したため、離婚するに至りました。これを受けて、XがYに対して慰謝料を請求したという事案です。

配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 2
【具体的事情】

Aは、早番の場合、電車で通勤すると始業時間に間に合わないので、自転車で1時間ほどかけて出勤していた。もっとも、悪天候の場合等は、勤務先の近くにあるインターネットカフェに泊まるなどしていたが、Xには二女の家に宿泊していると伝えていた。

YとAは、勤務先で知り合い、同僚も含めて飲みにも行くようになった。

Yは、Aがインターネットカフェに寝泊まりしていることを知り、自宅の一室を使用してよいと伝えた。Aは、職場から深夜に帰宅すると酒に酔って不機嫌になったXから説教をされたり、Xとの価値観の相違を感じる等していたため、Y宅の一室を利用することとし、やがてほとんど自宅には戻らなくなった。

Xは、Aが不倫をしていることを二女から聞いたため、Aに対し不倫しているのかを質問するメールを送信したところ、Aは、「好きな人ができました。裏切ってすみません。」とのメールを返信した。また、YとAが、2人で居酒屋に行った帰りに手をつないでいるところを目撃された。

Xが、Yに対し、Aが既婚者であったことを知っていたかを尋ねたところ、Yは、知っていると述べた。

(2) 争点

本件不貞の有無、損害額(慰謝料額)。

(3) 慰謝料額

150万円が相当であるとされました。

(4) 判決理由(慰謝料額決定のポイント)

  • XとAとは、Aが本件不貞により別居を開始するまで約31年間にわたって婚姻関係にあり、4人の子供をもうけるに至ったこと。
  • Yは本件不貞を認めず、Aとともに不合理な弁解に終始していること。
  • 他方で、Xは仕事の都合から海外で過ごす機会も少なくなく、Xとの間の価値観の相違が本件不貞の遠因(えんいん)※といえなくもないこと。
※遠因:間接的な原因。
東京地判平成28年2月9日(LLI/DB 判例秘書登載)

6.5DV

慰謝料額400万円

(1) 概要

X(妻)とY(夫、高校教師)は、子供2人がいる夫婦でしたが、婚姻の2年後から下記のようなYの子供じみた癇癪(かんしゃく)に悩まされるようになり、婚姻関係が回復しがたいほどに破綻しているとして離婚及び慰謝料請求等を求めた事案です(なお、Xの離婚等請求に対して、Yも離婚等を求めて反訴を提起しています。)。

配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 2
【具体的事情】

Xが長男の学校のPTA委員長になると、Yが「PTAをしている暇があるなら働け」といいながら子供にも当り散らし、子供をかばうXに対して平手うちをしたほか、義母から「嫁が外にでてどうするの」などと非難された。

YはXが肉体関係を拒むと部屋に入れないことが続いた。

Xの行動でYの意向にそぐわないことがあると、ささいなことでも怒り出し、子供の目の前でXの洋服の首部分を引っ張ったり、アイスティーを頭からかけ、頬を殴ったりといった暴力を振るうなどした。

YはXが病気のために入院した際に、手術費を一切出さず、退院した際もそれを喜ぶことなく、帰宅したXに対して「お前の帰ってくるところはここじゃないだろう。帰ってきやがって」などと怒鳴りながら食器棚を殴ったり蹴ったりし、Xを再び入院に追い込んだ。

Yはうつ病治療の際に、Xとともに父親を同行し、うつ病になったのはXの理解が足りないからだと担当医師に話すなど、事あるごとに両親を介在させてXを非難した。

(2) 争点

婚姻関係が回復し難いほどに破綻しているか、親権者はどちらか、慰謝料の金額、財産分与。

(3) 慰謝料額

400万円が相当とされました。

(4) 判決理由(慰謝料額決定のポイント)

  • XYの婚姻期間が20年ほどであること。
  • YがXとの問題を自分たちで解決しようとすることなく、常に両親を介在させて解決しようとする傾向が強いこと。
  • 他方でYの意向に沿わないXの態度については極端なまでにXを侮辱し暴行を加えるといった態度に出ていること。
  • このような婚姻の継続し難い状況はYに責任によるものであること。
東京地判平成17年6月22日(LLI/DB 判例秘書登載)

6.6モラルハラスメント

慰謝料額300万円

(1) 概要

X(夫、精神科医)がY(妻)に対して離婚を求めたのに対し、Yが、Xの言葉の暴力や精神的虐待などを理由に、Xに対して離婚と離婚に伴う慰謝料を求めた(反訴した)事案です。

配偶者・不倫相手の両方に対する慰謝料請求 2
【具体的事情】

Xは、婚姻当初から別居に至るまで、正当の理由なく、ほぼ全面的にYとの性交渉を拒否し続けた。子供を望んだXが真剣に性交渉を求めたところ、Xは、それに取り合うことなく、突然一方的に離婚を言い出した。翻意を求めるYに対し、何ら理由を説明もせず、異常とも思える発言を執拗に繰り返した。

Xは、一方的に離婚届に署名押印してYに交付した上、「早く離婚しろ」などと迫った。それに加えて、夕食後に階段を下りながら、「後ろから押さないで。殺さないで。」などと何度も口走ったり、食事中に「毒が入っていないか心配。殺されるかも」などと述べ、一口食べて「うっ」などと苦しそうに述べたり、「僕は夜寝ている間、血まみれにされる。刺される。刺すなよ。」などと述べたりした。

Yは、Xから「お前を人格障害の患者としてしか見ない」などと言われ、これにより、ショックを受けたYは、精神的に不安定となった。

その結果、Yは急性胃炎及び仮面うつ病の疑いとの診断を受けるに至った。

Xは、一方的に別居を開始した後、婚姻関係を解消すべく、Yに責任があるかのような虚偽の事実を作出して本訴を提起した上、Yに対して侮辱的ともいえる主張、供述を繰り返した。

(2) 争点

離婚原因(どちらに有責性があるか)、財産分与、慰謝料額。なお、Yの不貞行為の有無も争われましたが、不貞行為は認められないとされました。

(3) 慰謝料額

300万円が相当とされました。

(4) 判決理由(慰謝料額決定のポイント)

  • XとYの婚姻関係が破綻するに至った原因はすべてXにあり、Yに非難されるべき点は何ら認められないこと。
  • 離婚を求めるXの態度が執拗かつ常道を逸したものであること。
東京地判平成19年3月28日(LLI/DB 判例秘書登載)

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7慰謝料のほかにもらえるお金

7.1財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦二人で築いてきた財産を離婚に際して、夫婦それぞれに分割、清算することです。

婚姻前から夫婦それぞれが所有していた財産、婚姻中に自分の親から相続した財産(不動産や現金など)は対象となりません。

財産分与

7.2養育費

養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用です。

子が健やかに成長し、自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費※などがこれに当たります。

※一時的な入学金や高額な医療費など、養育費だけでは到底賄えないような費用については、別途その一時金については養育費とは別に条項として定めるのが一般的です。

養育費

7.3婚姻費用

別居中の夫婦の間で、夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用(婚姻費用)です。

衣食住に必要な経費、交際費、医療費などがこれにあたります。

婚姻費用

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ご相談までの流れ

大切なことだから 話す相手は選んでほしい

オーセンス弁護士

弁護士は、秘密保持の義務が法定され、高度の守秘義務があります。(弁護士法第23条)

  • 慰謝料を請求したい
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  • 感情的になってしまい冷静な話し合いができず、心身共に疲弊している 」etc.

法律事務所オーセンスは、これまでの豊富な経験・実績に基づいて、法的観点から冷静に分析し、論理的な主張をし、最良の解決・支援へ導くため全力を尽くします。

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  • お電話でのご相談
    フリーダイヤル0120-272-585
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大切なことだから
話す相手は選んでほしい

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