コラム
公開 2022.07.19 更新 2024.02.10

【年代別】日本の離婚率はどれくらい?弁護士が解説します

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日本の離婚率は、年代別でどのくらいなのでしょうか?
厚生労働省などから公表されている離婚に関するデータを紹介するとともに、離婚の基本や離婚時に取り決めておくべき事項などについてわかりやすく解説します。

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日本の離婚率はどのくらい?

「日本では3組に1組が離婚する」などと聞いたことがある人は少なくないことでしょう。
では、日本における離婚の実態はどのようになっているのでしょうか?
はじめに、離婚率についての統計を紹介します。

2019年、2020年の離婚件数と婚姻件数

2019年と2020年の婚姻件数と離婚件数は、それぞれ次のようになっています。

婚姻件数 離婚件数
2019年 59万9,007組 20万8,496組
2020年 52万5,490組 19万3,251組

いずれの年においても、離婚件数は、婚姻件数のおおむね3分の1となっています。
これが、「3組に1組は離婚する」といわれる理由です。

ただし、当然ながら表中の「婚姻件数」にカウントされている人のうち、同年の「離婚件数」にもカウントされている人はさほど多くないものと考えられます。

そのため、厳密にいえば3組に1組は離婚するということではなく、年に婚姻する夫婦の件数のうち3分の1程度の件数の夫婦がその年に離婚をしているといった程度で捉えておくべきでしょう。

離婚件数の年次推移

離婚件数の年次推移は、次のようになっています。
離婚件数の年次推移
平成14年までは年々増加傾向であったものの、平成15年以降は減少に転じています。
しかし、年の離婚件数は19万3,251組にのぼり、依然高い傾向にあるといえるでしょう。

日本の離婚率をより細かく見てみよう

より詳しく知りたい方に向けて、日本の離婚傾向についてさらに細かく紹介しましょう。
ここでは、都道府県別の離婚率と同居期間別の離婚率、職業別の離婚率を紹介します。

都道府県別の離婚率

厚生労働省から、都道府県ごとの婚姻件数や離婚件数などの統計が公表されています。

都道府県 離婚率(人口千対)
全国 1.57
北海道 1.75
青森県 1.55
岩手県 1.40
宮城県 1.56
秋田県 1.27
山形県 1.28
福島県 1.63
茨城県 1.57
栃木県 1.61
群馬県 1.52
埼玉県 1.49
千葉県 1.50
東京都 1.54
神奈川県 1.50
新潟県 1.21
富山県 1.22
石川県 1.32
福井県 1.40
山梨県 1.63
長野県 1.45
岐阜県 1.47
静岡県 1.55
愛知県 1.61
三重県 1.61
滋賀県 1.48
京都府 1.48
大阪府 1.73
兵庫県 1.56
奈良県 1.40
和歌山県 1.67
鳥取県 1.48
島根県 1.32
岡山県 1.61
広島県 1.54
山口県 1.50
徳島県 1.51
香川県 1.60
愛媛県 1.51
高知県 1.67
福岡県 1.77
佐賀県 1.53
長崎県 1.52
熊本県 1.62
大分県 1.70
宮崎県 1.79
鹿児島県 1.60
沖縄県 2.36

これによれば、人口1,000人あたりの離婚率は、沖縄県が2.36と突出しています。
次いで、宮崎県の1.79です。

一方で、人口1,000人あたりの離婚率がもっとも低いのは新潟県で、1.21となっています。
富山県の1.22がこれに続きます。

同居期間別の離婚率

同居期間別の離婚率は、次のようになっています。
同居期間別の離婚率

離婚総数のうちもっとも離婚率が高いのは、同居期間5年未満の夫婦です。
ただし、他の年数にも広くばらついており、同居期間5~10年未満と同居期間20年以上とでは、ほとんど差がありません。

同居して間もなく夫婦間にズレが生じ離婚に至る夫婦が多い一方で、いわゆる「熟年離婚」といわれるように長年連れ添ったのちに離婚を選択する夫婦も少なくないといえるでしょう。

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日本の離婚の形態とそれぞれの比率

離婚には、4つの形態が存在します。
ここでは、それぞれの形態の概要と、離婚形態ごとの割合を見ていきましょう。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦お互いが話し合って離婚をする方法です。
養育費の額や子の親権、財産分与など離婚に関する条件は、お互いが合意さえすれば原則としてどのような内容であっても構いません。

離婚の中では、協議離婚の割合が圧倒的多数となっています。

調停離婚

調停離婚とは、調停委員の立ち合いのもと、家庭裁判所で話し合って離婚をする方法です。

裁判所で行うものであるとはいえ、あくまでも話し合いであるため、調停離婚を成立させるためにはお互いの合意が必要となります。

審判離婚

審判離婚とは、調停の結果、裁判所が離婚した方が良いという判断をすることで成立する離婚のことです。
離婚すること自体に争いはないものの、離婚条件に関するわずかな意見の不一致から調停が不成立となった場合など、ごく限られたケースで利用されます。

審判離婚はどちらか一方が異議申し立てを行えば無効となってしまうため、審判離婚が成立するケースはほとんどありません。

裁判離婚

裁判離婚とは、離婚するかどうかや離婚に関する諸条件について、裁判所に決めてもらう手続きです。

調停でもお互いの条件などが折り合わない場合には、原則として裁判離婚をすることとなります。

離婚形態別の比率

国立社会保障・人口問題研究所が公表する人口統計資料集(2021)によると、離婚形態別の比率は次のようになっています。

年次 実数 割合(%) 離婚率
総数 協議 調停 審判 和解 認諾 判決 協議 調停 審判 判決
(裁判) (裁判) (%)
2010 251,379 220,167 24,977 84 3,648 30 2,473 87.6 9.9 0 1 1.99
2011 235,720 205,999 23,576 69 3,478 24 2,574 87.4 10 0 1.1 1.87
2012 235,407 205,075 23,616 82 3,831 15 2,788 87.1 10 0 1.2 1.87
2013 231,385 201,884 23,025 173 3,503 17 2,783 87.3 10 0.1 1.2 1.84
2014 222,115 194,169 21,855 298 3,303 18 2,472 87.4 9.8 0.1 1.1 1.77
2015 226,238 198,231 21,734 379 3,491 18 2,385 87.6 9.6 0.2 1.1 1.81
2016 216,856 189,005 21,663 548 3,458 16 2,166 87.2 10 0.3 1 1.73
2017 212,296 185,026 20,903 774 3,380 9 2,204 87.2 9.8 0.4 1 1.70
2018 208,333 181,998 19,882 1,096 3,354 11 1,992 87.4 9.5 0.5 1 1.68
2019 208,496 183,673 18,431 1,344 3,025 6 2,017 88.1 8.8 0.6 1 1.69

これによれば、2019年の離婚のうち88.1%が協議離婚であり、離婚の大半を占めています。
次いで、調停離婚が8.8%、裁判離婚は1.0%、審判離婚は0.6%です。

離婚の大半は協議離婚であり、当事者同士での話し合いがまとまらない場合であっても調停では結論が出ているケースがほとんどであることがわかります。

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離婚時に相手方と取り決めておくべき事項

離婚時には、次の事項を相手方としっかり取り決めておくようにしましょう。
離婚時にきちんと決めておかなければ、後から追加で取り決めることは難しくなってしまいます。

子供の親権に関すること

未成年の子がいる場合には、子の親権をどちらが持つのか取り決める必要があります。
どちらが親権を持てば子の幸せにつながるのかを検討し、よく話し合うようにしましょう。

養育費に関すること

養育費とは、子の養育にかかる費用を指します。
子の親権を持たなかった親が親権を持つ親へ、定期的に支払う形で負担することが一般的です。

20歳の誕生月までや18歳の誕生月までのように子の年齢で支払いの終期を決める場合のほか、大学等の在学中は年齢に関わらず支払うなどと取り決める場合もあります。

子の人数や年齢、それぞれの親の収入に応じた養育費の相場は裁判所から公表されていますので、参考にするとよいでしょう。
もちろん、お互いの合意ができるのであれば、相場から外れる金額で取り決めをしても構いません。

面会交流に関すること

面会交流とは、子と親権を持たなかった親との面会について定めるものです。
たとえば月に一度など、頻度を定めておくと良いでしょう。

ただし、仮に面会交流の約束が守られなかったとしても、裁判所の執行官などが無理やり子供を連れてくるような強制執行はできません。

また、会わせてもらえないからといって学校の帰りなどに待ち伏せをして勝手にどこかへ連れていくなどすれば、たとえ子供が嫌がっていなかったとしても未成年者略取・誘拐罪に問われる可能性がありますので、注意が必要です。

財産分与に関すること

財産分与を行う場合には、分与する財産について明確に取り決めておきましょう。
財産分与とは、離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。

婚姻期間中、たとえ一方が専業主婦などでありもう一方がもっぱら収入を得ていたとしても、それは専業主婦であった配偶者の内助の功があったためであると考えられています。

つまり、名義こそ夫のものとなっていたとしても、婚姻期間中に得たものであれば、本質的には夫婦が共同で得た財産であるということです。
そのため、離婚に際しては、婚姻期間中に得た財産の清算との意味合いで財産分与が行われます。

ただし、婚姻の前から所有していた財産は財産分与の対象とはなりません。
また、婚姻期間中に得たものであっても夫がその両親からの相続で得たものなどは、財産分与の対象外です。

なお、住宅ローン返済中の住宅は通常、金融機関とのローン契約により名義変更が制限されています。
たとえ財産分与であっても、金融機関に事前の相談なく不動産の名義を変えてしまうと、ローンの一括返済を迫られることにもなりかねません。

そのため、ローン返済中の不動産を財産分与の対象としたい場合には、金融機関とも相談しつつ慎重に進めるようにしましょう。

慰謝料に関すること

離婚の原因が一方の不貞であった場合など慰謝料の対象となる事情がある場合には、慰謝料についても取り決める必要があります。

たとえば、次のようなケースでは慰謝料の対象となる可能性が高いでしょう。

  • 相手が不貞行為をしていた場合
  • DVやモラハラがあった場合
  • 同居の拒否など悪意の遺棄があった場合

一方で、単なる性格の不一致などの場合には慰謝料の請求は困難です。
離婚に伴い慰謝料が発生する場合には、慰謝料の金額のほか、支払い時期や支払い方法などについても明確に定めておきましょう。

年金分割に関すること

年金分割とは、婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金記録を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。
年金分割には、合意分割と3号分割の2つがありますが、合意分割を行う場合には離婚に際して明確に取り決めておきましょう。

合意分割と3号分割とは、それぞれ次のようなものです。

  • 合意分割:離婚をする夫婦の合意などで、自由な割合(ただし、分割を受ける側の割合は2分の1が上限)で厚生年金記録を分割する方法です。夫婦間の合意や審判などが必要となります。
  • 3号分割:サラリーマンの妻である専業主婦など国民年金の第3号被保険者であった側からの請求によって、平成20年4月1日以後の婚姻期間中第3号被保険者期間における厚生年金記録を分割する方法です。分割割合は2分の1ずつとなり、夫婦間の合意は必要ありません。

年金分割の手続きは、原則として離婚をした日の翌日から2年を経過するとできなくなりまってしまいます。
そのため、3号分割をする場合や分割の合意ができた場合には、できるだけ早期に手続きまで済ませておくようにしましょう。

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離婚を弁護士へ相談すべきケース

離婚は、当事者同士の話し合いで進めることも可能です。
しかし、次の場合には弁護士へ相談をしながら進めたほうが良いでしょう。

相手が離婚に応じない場合

離婚をしたいと希望しているにもかかわらず相手方が離婚に応じてくれない場合には、弁護士へ相談してください。

単なる一方的な都合で無理やり離婚をすることはできませんが、相手に不貞行為があった場合や婚姻を継続し難い重大な事由があるなどの要件を満たすことが証明できれば、離婚できる可能性が高くなります。

相手に慰謝料を請求したい場合

相手方に慰謝料を請求したい場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士へ相談することにより、事案に応じた適切な額の慰謝料を請求することが可能となるためです。
また、相手方から言いくるめられて納得のいかない金額で合意してしまうリスクを減らすこともできます。

親権や養育費などの条件で折り合わない場合

親権や養育費の金額、財産分与の内容など、離婚の条件で折り合いがつかない場合にも、弁護士へ相談すると良いでしょう。
弁護士へ相談することで、弁護士に代理で交渉してもらうことが可能となります。

相手からDVやモラハラを受けている場合

相手方からDVやモラハラの被害を受けている場合には、弁護士に相談すべきでしょう。
直接交渉をしてしまえばさらに被害が拡大するリスクがあるためです。

また、DVやモラハラの加害者は被害者のコントロール方法を熟知していることが多く、自分で交渉をすれば相手の都合の良い内容で言いくるめられてしまうかもしれません。

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まとめ

離婚をするには配偶者と話し合わなければならない問題も多く、また生活も一変しかねないことから、多大な精神的ストレスを感じる場合が少なくないでしょう。
相手と直接交渉をする負担から解放されたい場合や、決めるべきことをきちんと取り決めて離婚をしたい場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。

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記事を監修した弁護士
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弁護士 
(第二東京弁護士会)
第二東京弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学大学院法務研究科修了。離婚、相続を中心に家事事件を数多く取り扱う。交渉や調停、訴訟といった複数の選択肢から第三者的な目線でベストな解決への道筋を立てることを得意とし、子の連れ去りや面会交流が関わる複雑な離婚案件の解決など、豊富な取り扱い実績を有する。
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