コラム
公開 2021.06.29 更新 2023.12.06

離婚時の財産分与の割合は?原則と例外、合意までの手順を弁護士がわかりやすく解説

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財産分与の割合は、原則として2分の1です。
これは、夫婦の一方が専業主婦(夫)であった場合であっても変わりません。
ただし、これにはいくつかの例外が存在します。
今回は、離婚に伴う財産分与の割合や財産分与の対象財産などについて弁護士が詳しく解説します。

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離婚における財産分与とは

離婚における財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を、離婚に伴って清算することです。

婚姻期間中に築いた財産は、それが夫婦どちらの名義となっているかを問わず、原則として夫婦が共同で築いた財産であると考えられます。
そのため、これを離婚時に分ける必要が生じます。

財産分与には次の3つの性質があるとされています。

  1. 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配
  2. 離婚後の生活保障
  3. 離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質

このうち、特に「1」が基本であると考えられています。

財産分与は、比較的財産が多く所有している側が、もう一方に対して行うことが一般的です。

なお、分与された財産の額が個々のさまざまな事情を考慮してもなお多過ぎる場合など、一部の例外を除いては、財産分与で財産を受け取ったからといって贈与税や所得税の対象となることはありません。

ただし、財産分与に伴って家や土地を受け取った場合、その家や土地を名義変更するにあたっては、法務局で登録免許税を支払うことは必要です。
財産分与の際の登録免許税は、その家や土地の固定資産税評価額の1,000分の20であり、高額になることもありますので、あらかじめ試算しておくとよいでしょう。

また、家や土地を財産分与で渡した側には、譲渡所得税が課される可能性があります。

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財産分与の原則的な割合

財産分与とは、婚姻中に形成した夫婦共有財産を、離婚時に分け合うことです。

婚姻中は、夫婦が協力して財産を形成します。そうして形成された財産は原則として夫婦の共有であるとみなされるので、離婚時に清算するのです。これを「清算的財産分与」といいます。一般に「財産分与」という場合、この清算的財産分与を意味します。

財産分与の原則的な割合は「夫婦で2分の1ずつ」です。妻が専業主婦で実収入がないケース、夫婦で収入格差があるケースでも、原則的に財産分与割合は2分の1ずつと考えられます。

財産分与の割合の例外

財産分与割合は夫婦で2分の1ずつにするのが原則ですが、例外が認められるケースもあります。

一方に特殊なスキルがある場合

一方に特殊なスキルや特別の努力があり、それによって通常より著しく高額な所得を得ている場合には、2分の1ルールが修正されるケースが少なくありません。
たとえば、夫が医師でかつ病院経営をしており高額な所得を得ていたケースでは、夫の取得割合と妻の取得割合を6:4にしたり(大阪高裁平成26年3月13日判決)、妻の取得割合を5%程度に抑えたりした事案があります。また、夫が上場企業の代表取締役で、約220億円の高額な共有財産があった事案において、妻への財産分与割合を5%とされた裁判例があります。

このように特殊なスキルや特別の努力などによって高額な所得を得るケースでは、これらの努力やスキル取得の時期が問題となる場合があります。たとえば、夫が有しているスキルや特別な努力の結果の資産形成が婚姻前からのものであったと認められれば夫の特有財産性が認められる可能性が高くなり、婚姻後に獲得したスキルや婚姻後の努力に妻の協力があったケースであれば妻への財産分与割合を減らさず2分の1ルールを維持する方向へと傾くでしょう。
高額な収入を得ているスポーツ選手の場合にも、同様に財産分与割合が修正される可能性があります。

一方が著しい浪費をしていた

配偶者の一方が著しい浪費をして共有財産を減らすと、その配偶者の受け取る財産分与割合が修正される可能性があります。
たとえば妻が専業主婦であるにもかかわらず浪費を繰り返したり借金を重ねて家計に負担を与えたりした場合、妻の取得割合を減らされる可能性が高いといえるでしょう。

共働きでも、どちらかが節約に努めてお金を貯めたにもかかわらず他方が浪費して財産形成に貢献しなければ、浪費した側の財産取得割合を減らされる可能性があります。

特有財産をもとに財産形成した場合

財産分与の対象になるのは、基本的に「婚姻中に形成した財産」です。どちらかが婚姻前から持っていた財産は「特有財産」となるので財産分与の対象になりません。
また親から引き継いだ遺産や生前贈与された財産など、実家から引き継いだ財産も特有財産となるので財産分与対象から外れます。

これらの特有財産を使って取得した財産は、たとえ婚姻中に得たものであっても財産分与対象にならないか、割合を修正されると考えましょう。

たとえば夫が独身時代に貯めていた預金を使って資金の大部分を頭金として払い、夫婦共有名義の家を購入したら、家の財産分与について夫の取得割合を増やされるでしょう。

同じ考え方で、夫が独身時代に得ていたストックオプションの権利を行使して婚姻後に株式を取得した場合、株式は夫の特有財産とされて財産分与対象外と判断される可能性が高いといえます。

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自分たちで話し合う場合の財産分与割合

財産分与割合の基本的なルールは「夫婦で2分の1ずつ」です。ただこれは「裁判所が判断するときの原則」であり、自分たちで話し合って決める場合には拘束されません。
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自分たちで財産分与を決める場合には、自由に割合を定められます。たとえば「夫が7、妻が3」としてもかまいませんし、「妻が8、夫が2」としてもかまいません。
たとえば、もっぱら離婚を求めるのが夫であり妻が離婚に消極的な場合(妻が離婚後の生活を心配したり、子どもを育てていくことに経済面での不安を感じる場合など)には、妻へ財産の大部分を分与することを検討するケースもあります。

どういった割合で財産分与すべきかについては、状況に応じて判断しましょう。

財産分与を決める手順

財産分与の方法や割合を決定する手順を以下に示します。

話し合いをする

まずはお互いに話し合い、財産分与の方法を決めましょう。話し合いであればどの財産をどちらに分与するか、また財産分与割合も自由に決められます。
合意ができたら「離婚公正証書」を作成し、合意内容を明らかにしましょう。公正証書にしておくことで、合意した支払いが行われなかった場合に相手方の財産を差し押さえることも可能になります。

離婚調停をする

話し合いをしても財産分与の方法に合意できない場合、離婚調停を申し立てましょう。
離婚調停をすると、調停委員が間に入って当事者の意見の相違を調整してくれます。2人では折り合えない場合でも解決できる場合があるでしょう。
調停で財産分与についての条件を決めるときも、当事者が自由に割合を決められます。ただし裁判所はできるだけ公平な内容になるよう調整する努力をします。
調停で合意ができたら財産分与を含めた離婚条件が決定し、離婚となります。

離婚訴訟をする

調停でも合意できなければ、離婚訴訟で財産分与割合を争うことになります(なお後述のように、離婚後に調停や審判によって財産分与の内容を決める方法もあります)。
訴訟では最終的に、裁判所が財産分与割合を含めた離婚条件を決定します。裁判所は「2分の1ルール」を原則としますが、上記で紹介したように、一方に特殊なスキルや才能がある場合、著しい浪費がある場合などには2分の1ルールが修正される可能性もあります。

離婚後に財産分与調停を申し立てる

離婚時に財産分与を定められなかった場合、離婚後に財産分与調停を申し立てることができます。まずは話し合いをしますが、合意ができなければ「審判」となり、裁判所が財産分与の方法を決めてくれます。

離婚後の財産分与請求ができる期間は「離婚成立後2年間」に制限されるので、財産分与を受けられなかった方は早めに行動しましょう。

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財産分与の対象となる財産・対処とならない財産

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財産分与の対象となる財産と対象にならない財産は、それぞれ次のとおりです。

財産分与の対象となる財産

婚姻中に夫婦が共同で築いた財産は、原則としてすべて財産分与の対象となります。
たとえば、婚姻期間中に建てた家や婚姻期間中に購入した土地、預貯金、金融商品などが代表例です。

なお、財産分与の対象となるかどうかには、財産が夫婦の共有名義であるかどうかは関係ありません。
共有名義であれば当然財産分与の対象になりますが、どちらかの単独名義であっても財産分与の対象となります。

たとえば、夫が主に外で働き、妻が専業主婦として長年家を守ってきた場合などには、家や土地、預貯金など主だった財産は大半が夫名義である場合が少なくないでしょう。
この場合であっても、これらの財産は財産分与の対象になるということです。

なぜなら、夫が外で稼ぐことができたのは、専業主婦である妻の内助の功があったためであると考えられるためです。

財産分与の対象とならない財産

夫婦が共同で築いたとはいえない財産は、財産分与の対象となりません。
婚姻前から各自が持っていた財産が、その代表例です。

たとえば、夫が婚姻前に働いたお金を貯めた定期預金や、妻が婚姻まで働いていた会社からもらった退職金で買った上場株式などがこれに該当します。

また、たとえ婚姻後に得た財産であっても、親から相続でもらった財産や贈与でもらった財産などは財産分与の対象外です。
なぜなら、これらは夫婦の協力によって共同で築いた財産であるとはいえないためです。

ただし、一方配偶者が他方配偶者の固有財産の価値の減少防止のために協力したような場合には、その一部について財産分与が認められる可能性はあります。
たとえば、夫が親から相続した賃貸不動産を妻が全面的に管理運用してきた場合などがこれに該当し得るでしょう。

なお、夫婦のいずれかが会社(法人)を経営している場合、その法人自体が所有している財産は、原則として財産分与の対象外です。
個人の財産と法人の財産とは別ものですので、ここは混同しないようにしましょう。

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財産分与の期間制限(除斥期間)

財産分与は、離婚後に行うことも可能です。
ただし、離婚から2年を経過してしまうと、もはや財産分与の請求をすることができなくなってしまうことには注意してください。

この期間制限は、厳密にいえば、貸したお金を返してくれないなど一般的な債権に適用される「時効」とは少し性質が異なる「除斥期間」に該当します。
除斥期間である以上、たとえば事前に催告をしたり裁判上の請求をしたりしても、完成猶予や更新をすることはできません。

また、時効はその期間が経過をしたからといって自動的に債権が消滅するわけではなく、時効の援用をしてはじめて効力が生じます。
時効の援用とは、たとえば「時効期間が満了したので、もうそのお金は支払いません」などと、相手に対して主張をすることです。

一方、除斥期間には援用は不要であるとされています。
そのため、相手方が何らアクションを起こさなかったとしても、期間の経過によって自動的に権利が消滅します。
つまり、離婚から2年を経過してしまうと、もはや財産分与を受ける手立てがなくなってしまうということです。

そのため、財産分与を希望する場合には、必ず2年以内に行うようにしましょう。
できれば、離婚時の話し合いで財産分与についてまで取り決めておくことをおすすめします。

財産分与を有利に進めるために

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財産分与を有利に進めるための主なポイントは次のとおりです。

相手の財産隠しに注意する

財産分与を行う際には、相手の財産隠しに注意しましょう。
財産分与で渡す財産をより少なくするために、預金の一部を別の口座へ移すことなどがこれに該当します。

財産分与において財産をあらかじめ隠したとしても、刑罰の対象になるわけではありません。
だからこそ、相手が疑わしい場合には可能な限り過去の預金履歴などを事前に調査をしたうえで、財産分与の協議に臨むべきでしょう。

ただし、自分で相手の財産を調査することが難しい場合も少なくありません。
この場合には、離婚問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

財産分与の対象とならない固有財産を分けておく

先ほど解説したように、婚姻前に得た財産や婚姻中であっても親からの相続で得た財産などは、原則として財産分与の対象とはなりません。
しかし、特に預貯金などは同じ口座に入っていると、どれが財産分与の対象となるもので、どれが対象とならないものか分別することは困難です。

そのため、自己にこのような財産がある場合には、これらの財産をあらかじめ明確に分けておくことをおすすめします。
なお、財産を分別するにあたっては、当時の遺産分割協議書や振り込みの記録など、金額の根拠となる証拠を揃えておくとよいでしょう。

離婚問題に強い弁護士へ相談する

財産分与の交渉に臨む前には、離婚問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

離婚を専門に扱う弁護士は、財産分与における交渉事例を数多く経験しています。
そのため、あらかじめ相談をしておくことで、より有利に、落ち着いて交渉をすすめやすくなるでしょう。

また、相手が高圧的であるなど、自分で交渉すると丸め込まれてしまう懸念がある場合には、弁護士に同席をしてもらったり、弁護士に交渉を代理してもらったりすることも選択肢の一つです。

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まとめ

離婚時財産分与の割合は基本的に夫婦で2分の1ずつとなりますが、例外的に修正されるケースもあります。
財産分与は離婚後の生活にかかわる重要な要素なので、慎重に話し合いや調停を進め、正当な割合で分与を受けましょう。お困りの場合には弁護士が相談に乗りますので、お気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。
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