コラム
公開 2022.05.31 更新 2023.12.07

離婚時の借金、財産分与で清算できる?

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離婚の際、夫婦の借金は財産分与の対象になる場合とならない場合があります。
生活費のための借金は財産分与の際に考慮される可能性がありますが、遊興費や趣味のための借金などは考慮されません。
この記事では離婚時財産分与における借金の取り扱いについて弁護士が解説します。

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財産分与の対象になる借金とならない借金

離婚の際に夫婦が借金をしている場合、財産分与の対象になるケースとならないケースがあります。
まずは財産分与の対象になる借金とそうでない借金の区別を把握しましょう。

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財産分与の対象になる借金

「夫婦の生活のために借り入れた借金」であれば、財産分与の対象になる可能性があります。たとえば以下のような借り入れや負債があれば、財産分与時に考慮すべきです。

  • 生活費が不足したために利用したカードローンやクレジットカード、消費者金融などの負債
  • 子どもの学費のためにした借金
  • 家族で使う車を購入するための自動車ローン
  • 家を購入するために組んだ住宅ローン

財産分与の対象にならない借金

夫婦の生活とは関係のない個人的な借金は財産分与の対象になりません。たとえば以下のようなものは財産分与の際に考慮されないと考えましょう。

  • ギャンブルや個人的な買い物、遊興費などのための借金
  • どちらか一方の独身時代からの借金

相手が上記のような借金をしていても、こちらの財産分与取得分が減らされることはありません。

借金は基本的に「名義人」が返済しなければならない

借金を離婚時に完済できなければ、離婚後も返済を継続しなければなりません。
このとき「返済義務」を負うのは「借金の名義人」です。
財産分与の対象となる借金であっても、当然には離婚時に借入名義人を変更できるわけではありません。基本的に名義人が離婚後に全額返済する義務を負います。
財産分与における清算はあくまで夫婦間の取り決めにすぎないので、理解しておきましょう。

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借金の財産分与としての清算方法

借金の財産分与としての清算方法
夫婦に財産分与の対象となる借金がある場合、具体的にどのようにして清算するのかを解説します。

他に資産がある場合

借金以外に預金や保険、株式などの資産があれば、そういったものと差し引きして清算します。
つまり借金を負っている側が多めに資産を受け取ることにより、平等に財産分与を行います。

計算の具体例

たとえば夫名義の預金が500万円、妻名義の保険が200万円、妻名義の生活費のための借金が200万円あるとしましょう。
この場合、資産総額は500万円(500万円+200万円-200万円)となります。
夫が手持ちの500万円のうちから妻へ半額である250万円を支払い、お互いが2分の1ずつを取得して清算するのが基本です。

他に資産がない場合、不足する場合

借金以外に預金などの資産がない場合や、あっても借金の清算に不足する場合があります。
法律上、そういったケースでは「マイナスの財産分与」ができません。
マイナスになった分は財産分与で考慮されず、そのままになってしまいます。

計算の具体例

たとえば夫名義の預金が100万円、妻名義の生活費のための借金が300万円あるとしましょう。
この場合、夫婦の財産全体の評価額は-200万円です。
本来なら夫は妻へ100万円の預金を引き渡し、さらに100万円分の返済を負担すべきとも考えられます。
ただしマイナスの財産分与ができないので妻が夫へ求められるのは100万円の引き渡しまでであり、さらに100万円の返済までは要求できません。

話し合いで解決する場合には負債の負担を求められる

夫婦で話し合って協議離婚するなら、法律上財産分与で考慮されるかどうかとは異なる方法で取り決めができます。

たとえば上記のケースにおいて離婚後に夫が妻に対し「100万円分の負担金を払う」と約束すれば、その取り決めは有効です。ただし夫による負担を借入先には主張できないので、夫が約束を守らない場合には妻へ督促が来ます。

住宅ローンの清算方法

負債が住宅ローンの場合には、「不動産の価値」から差し引いて清算します。
不動産の価値が住宅ローンの金額より大きくプラスになる「アンダーローン」状態なら、プラス部分を夫婦で分けます。
一方、不動産の価値が住宅ローン残額に及ばない「オーバーローン」状態なら、家には「価値がない」と考えられるので家は財産分与対象になりません。

具体例

アンダーローンの場合
家の価値が3000万円、住宅ローンの残額が2000万円のケースを考えてみましょう。
家の価値は3,000万円-2,000万円=1,000万円となります。
そこで夫婦が500万円ずつ取得して清算します。
たとえば家と住宅ローン名義が夫になっている場合、夫は妻へ現金500万円を支払う必要があります。

オーバーローンの場合
家の価値が2000万円、住宅ローンの残額が3000万円のケース。
この場合、家の価値は2,000万円-3,000万円=-1,000万円となります。
家は無価値となって財産分与の対象から外れるので、裁判になった場合には評価されません。

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借金が残ってしまう場合の対処方法

借金が残ってしまう場合の対処方法
マイナスの財産分与が認められないために離婚後にも自分名義の借金が残ってしまう場合、以下のような対応方法があります。

相手に負担してもらう約束をする

プラスの資産が少なく財産分与としては清算できなくても、夫婦間の話し合いで離婚後に相手に負担を求めることは可能です。
一括が無理なら分割払いでもかまわないので、借金返済額の半額を払ってくれるよう交渉しましょう。
合意内容を公正証書にまとめておけば、相手が払わないときに相手の財産の差し押さえもできます。

債務整理をする

負債をどうしても払えない場合、債務整理をすれば解決できます。
利息や元本をカットしたり、場合によっては全額免除してもらえたりする制度もあるので、お困りの際には弁護士までご相談ください。

保証人になっている場合の対処方法

住宅ローンを利用して相手名義の負債の連帯保証人になっている場合、離婚後には外しておかないと相手が払わなくなったときに督促されるリスクが発生します。
保証人から外してもらうため、以下のように対応しましょう。

債務の借り換え

1つ目として、相手にローンを借り換えてもらう方法があります。借り換えると以前の負債は完済するので連帯保証人から外れられます。借り換え先ローンで連帯保証人にならなければ、負債から解放されます。

金融機関と交渉する

借り換えが難しい場合、今の金融機関と交渉して連帯保証人を外してもらいましょう。ただしそのためには別の保証人を差し入れたり抵当物件を入れたりする必要があるのが一般的です。必ず保証人のつけかえができるとは限りません。

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まとめ

財産分与における債務の扱いについて基本的な考えをご紹介させていただきましたが、債務を財産分与の計算上考慮するかどうか、考慮する場合に具体的にどのように計算するかは、個別の事情によって様々な結論があり得ます。
相手方との交渉や裁判において、どのような事情を主張していくべきか、また、見通しが悪い場合にどのような代替案が考えられるかといった点について、しっかり検討しておくことが重要です。

離婚時に借金があると、財産分与でもめてしまうケースが多々あります。
借金の問題を放置しておくと離婚後に生活の重しとなるリスクが高いので、きちんと清算しておきましょう。
法律上は財産分与の対象とならないケースでも、相手との交渉によって半額やそれ以上の金額を負担させられる可能性もあります。
ご自身で計算や交渉するのが難しい場合には弁護士がアドバイスや代理交渉を承りますので、お1人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。
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