コラム

公開 2023.12.15 更新 2024.03.08

別居婚のメリット・デメリットは?弁護士がわかりやすく解説

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夫婦の形が多様化しており、別居婚を選択する夫婦も増えています。
別居婚には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

また、別居婚を始める際はどのような点に注意する必要があるのでしょうか?
今回は、別居婚のメリット・デメリットや別居婚を始める前に取り決めるべきことなどについて弁護士が詳しく解説します。

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別居婚とは

別居婚は、法律上定義された言葉ではありません。
一般的に、夫婦が別居したまま同居をせずに婚姻する形を指すことが多いです。

夫婦が別居するという点では、単身赴任なども別居婚の一つであると考えられるかもしれません。
ただし、「別居婚」との言葉を使う場合は必要に迫られて別居する単身赴任などは含まれず、自らあえて別居を選択する婚姻の形のことを指して呼ぶことが多いようです。

この記事では、「別居婚」について、必要に迫られるのではなく、自ら進んで別居を選択していることを念頭に置いて解説します。

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別居婚を選択する主な理由

夫婦が別居婚を選択する理由はさまざまであり、一概に区分できるものではありません。
ここでは、別居婚を選択する代表的な理由を紹介します。

生活の拠点としたい場所が違うから

1つ目は、生活の拠点としたい場所が異なることです。

趣味や仕事、ライフスタイルなどの事情から生活の拠点としたい場所があり、これが夫婦間で一致しない場合に、別居婚が選択肢の一つとなります。

新鮮な気持ちを維持したいから

2つ目は、夫婦間で新鮮な気持ちを維持したいとの理由です。

一緒に生活をするとお互いに見たくない部分までが見えてしまい、新鮮な気持ちを維持することは困難となります。
そこであえて別居を選択し、新鮮な気持ちを維持しようとします。

この場合は、同じマンションなどいわゆる「スープの冷めない距離」に住まいを設けたり、週末のみ同居したりすることもあります。

自由を失いたくないから

3つ目は、自由を失いたくないことによるものです。

夫婦が同居すると、自分のペースだけで生活することは困難となります。
自由な生活を守るために、別居婚を選択することがあります。

前婚の子どもなどを相手と同居させたくないから

4つ目は、すでに一方に子どもがおり、子どもを配偶者と同居させないために別居婚を選択するケースです。

たとえば、妻に前夫との間にできた幼い子どもがいる場合、この子どもを再婚相手と同居させることに不安を感じることもあります。
また、子どもの想いを重視して、再婚したことを当面の間は子どもに知らせないこともあるでしょう。

このような事情から、別居婚を選択する場合もあります。

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別居婚のメリット

別居婚には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、主なメリットを3つ紹介します。

趣味や仕事に没頭しやすい

別居婚では、夫婦がお互いに独立して生活します。
そのため、自分の趣味や仕事に没頭しやすいといえます。

自分のペースで生活できる

別居婚では、自分のペースで生活しやすくなります。
寝起きする時間や食事の時間などを相手と合わせる必要はありません。

新鮮な気持ちを維持しやすい

夫婦が同居する場合、いつまでも恋人のような新鮮な気持ちを維持することは困難です。
一方、別居婚では新鮮な気持ちを維持しやすくなります。

別居婚のデメリット

別居婚には、デメリットもあります。
別居婚を選択する際は、あらかじめデメリットをよく理解しておくことをおすすめします。
ここでは、一般的なデメリットとして3つを解説します。

生活費がかさみやすい

別居婚では夫婦がそれぞれ別の家に居住するため、生活費がかさみすいといえます。
一般的に、二人暮らしの生活費は一人暮らしの生活費の2倍とまではならないためです。

ただし、例外的にお互いが実家で暮らす場合は、夫婦が同居するよりも生活費が低くなる場合もあります。

不倫をされるリスクが高い

別居婚では、不倫をされるリスクが高くなります。
自分のペースで生活できるというメリットの裏返しであると考えられます。

また、たとえ相手が不倫をしても、それに気づけない可能性もあります。

子どもができると別居婚を維持するのが難しくなる

お互いが自分のペースを重視することで別居婚を選択する場合、子どもができると状況が一変します。
妊娠すると、妻はこれまでのように自由な生活を送ることは困難です。
また、出産間近や出産直後になると仕事にも支障が出て、収入が下がったり医療費がかさんだりすることもあるでしょう。

妊娠した場合に別居婚を続けるのか、また夫として妻や子どもとどのように関わるのかなどを決めておかないと、ここで夫婦関係が破綻するおそれがあります。
後ほど解説しますが、別居婚を選択する際はあらかじめさまざまなケースを想定した取り決めをしておくことをおすすめします。

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離婚の場面から見る別居婚の主なデメリット

別居婚には、離婚時にも一般的な婚姻関係と異なる面があります。
ここでは、離婚の場面における別居婚のデメリットを4点解説します。
なお、これは「離婚をしたくない側」、「不貞行為をされる側」、「夫婦のうち収入が少ない側」にとってのデメリットであり、これを裏返すともう一方にとってはメリットともなり得ます。

離婚へのハードルが低くなりやすい

別居婚では一般的に、離婚へのハードルが低くなりやすいといえます。
そもそも同居をしていないため、離婚をしても引越しをする必要がありません。
また、生活スタイルも変わらず、「恋人と破局する」こととさほど変わらない感覚で離婚をする夫婦もいるでしょう。

不貞行為の証拠を集めにくい

別居婚では不貞行為が発生しやすいものの、その証拠を集めにくい傾向にあります。
同居と比較して相手の生活スタイルが掴みにくく、不貞行為によって帰宅が遅くなっても、帰宅が遅いことにさえ気づかない可能性があるためです。
また、相手がスマートフォンを見る様子の変化などを確認する機会も少ない傾向にあります。

財産分与が受けられない可能性がある

財産分与とは、離婚に際して夫婦の財産を清算することです。
たとえば、夫婦の一方(仮に、夫)のみが外部からの収入を得ておりもう一方(仮に、妻)が長年主婦である場合、婚姻期間中に積みあがった財産のほとんどが夫名義であることは少なくありません。

しかし、夫が外部から収入を得られたのは、妻による内助の功によるものと考えられます。
そのため、離婚に際してはその財産の名義を問わず、夫婦の潜在的な共有財産を原則として2分の1ずつに分けることとなります。

ただし、別居婚の場合は財産分与が大きく減額されたり、財産分与が受けられなかったりする可能性が高くなります。
別居婚の場合はそれぞれが独立した生活を送っており、内助の功が少ないかほとんどないものと考えられるためです。

慰謝料が減額されるリスクがある

慰謝料とは、精神的な苦痛に対して支払われる金銭です。
離婚をしたからといって必ずしも慰謝料の対象となるわけではなく、性格の不一致などによる離婚では原則として慰謝料は発生しません。
一方で、不貞行為やDVなど夫婦の一方による不法行為によって夫婦関係が破綻した場合は、慰謝料請求の対象となります。

ただし、別居婚の場合は、別居の状況などにより、慰謝料が減額される可能性があります。
減額されるかどうかはケースバイケースであるため、別居婚で慰謝料請求をしたい場合はあらかじめ弁護士へご相談ください。

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別居婚を開始する前に取り決めておくべきこと

別居婚には、リスクやデメリットが少なくありません。
そのため、別居婚を始める際はリスクやデメリットを正しく把握したうえで、一定の取り決めをしておくことをおすすめします。
ここでは、取り決めておくべき主な事項を紹介します。

いつまで別居婚を続けるか

別居婚を始める前に、いつまで別居婚を続けるのかを話し合っておくことをおすすめします。
期限を決めずにズルズルと別居婚を続けると、夫婦の実態を伴わなくなりいずれ離婚に至るリスクが高くなるためです。

また、夫婦の一方は別居婚を一時的なものと考えている一方で、もう一方はいつまでも別居婚を続けるつもりである可能性もあり、話し合いの過程で大きな意見の相違が判明した場合は、婚姻自体を見送ることも検討できます。

別居婚の期限の決め方の一例は、次のとおりです。

  • 「1年間」や「2年間」など具体的な期間
  • 「前婚の子どもが中学校を卒業するまで」など、子どもの成長段階に合わせた期限
  • 「子どもができたら」などの条件

生活費の負担はどうするか

別居婚を始める際は、生活費の負担についても話し合っておくことをおすすめします。
話し合いをする際は現在の収入のみを基準とするのではなく、将来の収入の変化の可能性も踏まえて検討しておくとよいでしょう。

子どもができたらどうするか

別居婚を始める際は、子どもができた場合の対応についてもよく話し合っておきましょう。
たとえ子どもをもうける気がないとしても避妊は100%ではなく、妊娠する可能性はゼロではありません。
そのため、次のことは最低でも話し合っておくべきです。

  • 子どもをもうけるつもりがあるか
  • 子どもをもうけるつもりがない場合、もし妊娠したらどうするか(その時は出産をして育てるのか、堕胎や離婚をするのか)

併せて、次の点についても取り決めておきましょう。

  • 妻が妊娠したら別居を解消して同居するのか
  • 妻が妊娠出産で収入が減ったら、その間の生活費はどうするのか
  • 子どもの養育にかかる費用はどうするのか
  • 妊婦検診の送迎など妊娠期間中のサポートをするつもりはあるか
  • 育児にかかわるつもりはあるのか

非常にセンシティブな内容もありますが、話し合っておかないといざ妊娠した際に相手との考え方の違いを認識し、夫婦関係が大きく悪化する事態となりかねません。

また、妊娠や出産では妻側の身体へのダメージが大きく、夫が妊娠や出産に無責任である場合は一人で苦労を抱えることとなる可能性もあります。
話し合いの結果、相手と婚姻することに不安を感じた場合には、婚姻自体を取りやめることも一つです。

会う頻度や連絡方法

別居婚を始める際は、会う頻度や連絡方法なども取り決めておくことをおすすめします。
なぜなら、たとえ別居婚とはいえ、同一のパートナーと長い時間を過ごす以上はいつまでも新鮮な気持ちを維持することは困難であり、恋愛感情が薄れた際に夫婦関係が自然に破綻してしまうリスクが高いためです。

夫婦の多くはいつまでも新鮮な恋愛感情から婚姻を続けているのではなく、家族としての愛情や信頼関係などから夫婦関係を続けています。
しかし、別居婚では家族としての愛情や信頼関係を築く機会が少なくなりやすく、恋愛感情の逓減とともに積極的に会う機会を設けなくなるかもしれません。

そのため、会う頻度や連絡方法についてあらかじめ取り決めておくことをおすすめします。

相手が大きなケガや病気をした場合の対応

別居婚を始める際は、万が一の際の対応についても話し合っておくことをおすすめします。
たとえば、現状ではお互いがそれぞれの収入で独立した生活を送ることができたとしても、一方が病気やケガをすると、金銭面でも生活面でも完全に独立した生活を送ることは困難となります。

別居婚を始める際は、一方が病気やケガで働けなくなった場合にどうするのか話し合っておくことをおすすめします。
なお、夫婦にはたとえ別居していても相互扶助義務があり、相手に自身と同等の生活を送らせる義務を負っています。

そうであるにも関わらず、病気やケガの際にも別居婚を貫こうとする相手であれば、婚姻自体を見送ることも有力な選択肢となるでしょう。

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まとめ

別居婚のメリットは、仕事や趣味に集中しやすいことや、自分のペースで生活しやすいことなどです。
一方で、別居婚にはデメリットが少なくありません。

別居婚をする際は、デメリットを把握したうえで、さまざまなケースを想定してあらかじめ話し合いをしておくことをおすすめします。
必要な事項を話し合うことなく別居婚を始めてしまうと、後悔する事態となりかねないためです。

Authense法律事務所には夫婦問題にくわしい弁護士が多く在籍しており、これまでも多くのトラブルを解決してきた実績があります。
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Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
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弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。企業法務から、離婚、相続問題を中心とした一般民事事件、刑事事件など幅広く取り扱う。
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