コラム
公開 2021.02.09 更新 2026.09.10

妻から離婚・慰謝料を請求されたときの対処方法

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結婚生活に問題を感じていなくても、ある日、突然妻から離婚を突きつけられ、同時に慰謝料も要求されるケースがあります。妻に慰謝料を払わないといけないのでしょうか?

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※この記事は慰謝料請求を受けた方に向けて書いております。
 慰謝料請求をしたいとお考えの方はこちらのページをご確認ください。

1.離婚に応じるどうかを判断する

妻から離婚や慰謝料を請求されたら、まずは離婚を受け入れるかどうかを検討しましょう。
そもそも、離婚しなければ、慰謝料を払う必要は基本的にありません。

妻が離婚を望んでいても、夫が承諾しなければ協議離婚は成立しません。
どうしても離婚したければ、妻は、まず離婚調停を申し立てる必要があります。
調停でも離婚が成立しなければ、妻は離婚訴訟をして裁判所に離婚を認めてもらわねばなりません。

訴訟では「法律上の離婚原因」があれば離婚が認められますが、「法律上の離婚原因」がなければ離婚請求が棄却されます。

このように、離婚の手続きは段階を踏んで進んで行くので、夫の立場としては、協議の段階で、離婚に応じるかどうか、よく考えましょう。

2.法律上の離婚原因と慰謝料

法律上の離婚原因と慰謝料

離婚訴訟において、離婚が認められるのは「法律上の離婚原因」がある場合のみです。
以下で法律上の離婚原因と、その場合に慰謝料が発生するのか、みてみましょう。

不貞

夫が不貞していると、妻からの離婚請求が認められます。
この場合、夫は、妻に対し、慰謝料を払わなければなりません。

悪意の遺棄

夫が十分な収入があるにもかかわらず、生活費を払わないまま、家出をしたりすると離婚請求が認められます。
この場合にも、夫は慰謝料を払わなければなりません。

3年以上の生死不明

夫が3年以上生死不明な状態が続いていたら妻は裁判で離婚できます。

その他婚姻関係を継続し難い重大な事由

上記に該当しなくても、長期間の別居やDVなどの事情があれば離婚が認められます。
DVの場合には慰謝料を払わなければなりませんが、長期間別居し、離婚に至るケースでは、慰謝料を支払う必要はありません。

上記に該当しない「単なる性格の不一致」「思想や宗教観の相違」「相手の実家との不和」などは、基本的に離婚原因になりません。

3.慰謝料が発生するケースについて

離婚する際、すべてのケースで慰謝料が発生するのではなく、離婚の慰謝料が発生するのは、配偶者のどちらかに「有責性」がある場合に限定されます。

有責性とは、婚姻関係を破綻させた責任です。
たとえば、以下のような場合に有責性が認められます。

  • ・不倫した
  • ・暴力を振るった
  • ・モラハラ行為を行った
  • ・「悪意の遺棄」を行った

妻が不倫したケースでは、夫は妻に対し慰謝料を請求できます。
また、性格の不一致などの事情で離婚する場合、どちらにも有責性がないので、互いに慰謝料を請求できません。
夫に有責性がないのに、妻が「慰謝料を払ってほしい」と要求してきても、受け入れる必要はありません。

4.慰謝料の金額について

慰謝料の金額について

慰謝料を払う場合や請求する場合、金額も取り決めねばなりません。
慰謝料の相場としては、だいたい50~300万円程度となるケースが多数です。
婚姻期間が長い場合、有責性の程度が大きい場合などに、慰謝料が増額されます。
具体的な金額は、ケースによって大きく異なるので、適正な金額を知りたい場合には、弁護士に相談してみましょう。

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5.慰謝料以外に取り決めておくべきこと

離婚するなら、慰謝料以外に以下のような事項についても、検討して取り決めをしましょう。

5-1.財産分与について

財産分与とは、夫婦が婚姻中に形成した資産を離婚時に分け合うことです。
慰謝料とは異なり、お互いに有責性がなくても財産分与を行います。

財産分与の対象になるのは、以下のような財産です。

  • ・預貯金
  • ・保険
  • ・株式、投資信託、債券
  • ・不動産
  • ・車
  • ・退職金

退職金については、退職金を受け取る時期によって対象にならない可能性があります。
退職までの期間が、10年以上ある場合には、財産分与が認められにくくなる傾向にあります。

5-2.親権について

婚姻中は両親とも親権者ですが、離婚に際しては、父母の合意または裁判所の判断により、父母の一方が親権者となる「単独親権」か、離婚後も父母の双方が親権者である「共同親権」のいずれかを定めることになります。
親権について協議離婚でまとまらなかった場合、調停や訴訟で争うことになりますが、男性が単独親権を主張しても、獲得することは厳しい傾向があります。
親権を取得したい場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

6.公正証書の作成について

離婚する場合は、離婚条件を書面にまとめることをおすすめします。
離婚条件についてまとめた書面を「離婚協議書」といいます。

また、離婚協議書を公正証書にすると、仮に、養育費や財産分与、慰謝料などの支払いがなされなかったときに、権利者は、裁判所を通じて、すぐに「強制執行(差押え)」ができるようになります。

従来、強制執行による差押えを行うためには、債権者側であらかじめ相手の財産(勤務先や預金口座など)を特定しておく必要があるとされていましたが、2026年4月1日施行の改正民事執行法(第167条の17)により、「ワンストップ執行手続」を利用することで、財産が十分に判明していない場合でも、差押えに向けた手続を進めることが可能となっています。
ワンストップ執行手続で債務者に財産目録の提出を求め、期限までに提出がない場合には、情報提供命令によって、市区町村から債務者の給与債権に関する情報が提供されます。
これにより、相手方の勤務先や預金の預け先がわからなくても、強制執行(差押え)の手続きを進めることが可能です。

また、従来は、養育費を支払わない元配偶者の給料などを裁判所の手続きを経ず即座に差し押さえるには、あらかじめ養育費について取り決めたうえで、「強制執行認諾文言」を記載した公正証書にしておく必要がありました。
しかし、2026年4月1日施行の改正民法により、養育費債権に先取特権が付与され、債務名義(公正証書)なしで差し押さえが可能となりました。
(この先取特権の対象は子ども1人あたり月額8万円までであることから、法改正以降も公正証書の作成にはメリットがあるといえます。)

なお、2026年4月1日施行の改正民法において、新たに「法定養育費」も導入されています。
離婚時に養育費について具体的な取り決めをしていなくても、子1人につき2万円の法定養育費が認められ、この法定養育費にも先取特権が付与されています。
これにより、相手方が養育費の支払いを拒否している場合でも、最低限の養育費として2万円までは速やかに差押えを行うことができるようになりました。

離婚公正証書を作成しておくとことには、離婚条件を明確にでき、改ざんも防げるため、のちのトラブルを避けることができるというメリットもあります。

まとめ

妻から離婚や慰謝料を請求されても、応じる必要がないケースもあります。
また、離婚するとしても、慰謝料のほか、財産分与、親権などの離婚条件について、検討していかなければなりません。
離婚の話し合いの進め方について、分からないことがあれば、弁護士までご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部3年次卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修了。企業法務から、離婚、相続問題を中心とした一般民事事件、刑事事件など幅広く取り扱う。
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