コラム

公開 2024.03.11

年収400万円の場合の離婚慰謝料の相場は?弁護士がわかりやすく解説

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離婚をすると、状況に応じて慰謝料や養育費、財産分与など金銭のやり取りが発生します。

相手の年収が400万円である場合、離婚慰謝料の相場はどの程度になるでしょうか?
また、離婚慰謝料について弁護士に相談することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

今回は、相手の年収が400万円であることを前提に、離婚慰謝料などについて弁護士が詳しく解説します。
(※慰謝料や弁護士費用の金額はケースごとにさまざまであり、「相場」といえる金額が決まっているわけではありませんが、本記事では大まかな金額の範囲を分かりやすく表す用語として一部で「相場」という表現を用いています。)

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離婚慰謝料の額は年収400万円の場合にいくらになる?

はじめに、年収が400万円の相手と離婚する場合における慰謝料相場の考え方について解説します。

離婚慰謝料の額は年収によって決まるわけではない

勘違いしている人も多いものの、離婚慰謝料の額は相手の年収によって決まるものではありません。
「相手の年収が400万円なら、離婚慰謝料の相場はこれくらい」などといえるものではないということです。
離婚慰謝料の額は年収ではなく、離婚原因となった行為や行為の悪質性などによって左右されます。

請求することと請求が認められること、請求額が支払われることは別問題

離婚慰謝料の請求で知っておくべきなのは、請求することと請求が認められること、請求額が支払われることは別問題であることです。
これを理解するには、離婚慰謝料の額が決まる流れを知っておかなければなりません。

離婚慰謝料は、原則として次の流れによって決まります。

  1. 離婚する当事者間による交渉で決める
  2. 交渉がまとまらない場合は、裁判所の調停(調停委員を介して行う話し合い)で決める
  3. 調停が不成立となった場合は、審判や裁判で裁判所に決めてもらう

まず、初期の交渉段階でいくらの慰謝料を請求するのかは、当事者の自由です。
そのケースにおける一般的な慰謝料額が300万円であるところ、これに関わらず「10万円でよい」と考えるのであれば10万円を請求すれば構いませんし、「絶対に許せないから5,000万円請求する」としても構いません。
ただし、請求するのは自由である一方で、相手がこれに応じるかどうかは別問題です。

請求額が妥当であると考えれば相手はこれを支払って問題が解決する可能性が高い一方で、法外な額を請求された場合、相手はこれに応じない可能性が高く、減額に応じない場合は裁判などへ移行する可能性が高いでしょう。
その結果、裁判ではそのケースにおいて目安となる金額(この例では、300万円前後)の請求が認められることとなります。

また、裁判で300万円の請求が認容されたとしても、これを実際に支払ってもらうには、もう一段ハードルを越えなければなりません。
相手に300万円以上の資産がある場合は、たとえ相手が任意に支払わなかったとしても、裁判所が300万円の請求を妥当であると認めている以上は差し押さえなどの手続きによって強制的に回収することが可能です。

一方、年収400万円の相手にほとんど資産がない場合は、たとえ微々たる預金を差し押さえても300万円には満たないこともあるでしょう。
この場合は、分割して回収したり、回収を諦めたりする事態となりかねません。

そのため、慰謝料の額に相手の年収は直接関係ない一方で、実際に請求する額や交渉の方針を検討する際は、年収や資産状況などを考慮することとなります。
これを自分で検討することは容易ではないため、あらかじめ弁護士へご相談ください。

離婚慰謝料とは

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そもそも、離婚慰謝料とはどのようなものを指すのでしょうか?
ここでは、離婚慰謝料の概要について解説します。

離婚慰謝料の概要

慰謝料とは、相手の不法行為によって生じた精神的苦痛を慰謝するために請求する金銭です。
不貞行為やDVなどによって婚姻関係を破綻させる行為は、原則として慰謝料請求の対象となります。

離婚をすると必ず慰謝料は発生する?

勘違いをしている人も少なくありませんが、すべての離婚で慰謝料の授受が生じるわけではありません。
離婚原因として最も多いのは性格の不一致ですが、単なる性格の不一致による離婚の場合に慰謝料は発生しないことが原則です。

一方で、夫婦の一方が不貞行為やDVなどによって夫婦関係を破綻させた場合などには、慰謝料が発生する可能性が高いといえます。
また、不法行為責任を負うにあたって、男女の差や収入の多寡は関係ありません。

夫婦のうち年収が少ない側が不貞行為によって婚姻関係を破綻させた場合は、年収の多い側から年収の少ない側に慰謝料請求を行うことは十分にあり得ます。
同様に、妻の不貞行為によって婚姻関係が破綻した場合は、夫から妻に対して慰謝料請求がされることとなります。
慰謝料請求をする際は、これらの点を正しく理解しておいてください。

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離婚慰謝料の相場

離婚の慰謝料の目安は年収ではなく、離婚に至った原因によって異なります。
ここでは、主な離婚原因ごとの慰謝料の目安を紹介します。

これはあくまでも目安であり、実際には離婚に至った具体的な事情などによって慰謝料の適正額は変動します。
そのため、実際に相手に対して慰謝料を請求する際はあらかじめ弁護士へ相談し、そのケースにおける目安額を知ったうえで交渉するようにしてください。

不貞行為のよる離婚の場合

不貞行為による離婚の場合、慰謝料の目安は100万円から300万円程度です。
不貞行為とは、性交渉を伴う不倫を指します。

一般的に、不貞行為の期間が長い場合や不貞行為の相手と肉体関係を持った回数が多かった場合などには悪質性が高いと判断され、慰謝料が高くなる傾向にあります。

モラハラやDVによる離婚の場合

モラハラやDVによる離婚の場合、慰謝料の目安は50万円から300万円程度とされています。
一般的に、DVによるけがの程度が大きい場合やDVの頻度が高い場合など悪質性が高い方が、高額な慰謝料が認められやすくなります。

悪意の遺棄による離婚の場合

悪意の遺棄の場合、慰謝料の目安は50万円から200万円程度です。

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の義務を果たさないことを指します。
たとえば、正当な理由がないにもかかわらず同居を拒否する場合や家に生活費を入れない場合などがこれに該当します。

ただし、DVから逃れるためにやむを得ず家を出た場合のほか、単身赴任や親の介護などの必要性からやむを得ず別居に至った場合などは、原則として悪意の遺棄にあたりません。
悪意の遺棄にあたるかどうかは判断に迷うことも多いほか、DVなどを行っていた側が相手による悪意の遺棄を主張する可能性もあります。
そのため、実際のケースが悪意の遺棄にあたるかどうか判断に迷う場合は、あらかじめ弁護士へご相談ください。

離婚時に授受される慰謝料以外の主な金銭と年収400万円の場合の相場

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離婚時には、慰謝料以外にも金銭のやり取りが発生することがあります。
ここでは、「財産分与」と「養育費」について概要を解説するとともに、相手の年収が400万円である場合の目安額を紹介します。

財産分与

1つ目は、財産分与です。
財産分与の概要と年収400万円の場合の目安は次のとおりです。

財産分与とは

財産分与とは、離婚に伴い夫婦の潜在的な共有財産を清算することです。
たとえば、夫婦の一方(仮に、夫)だけが外部からの収入を得ており、もう一方(仮に、妻)が専業主婦であある場合、家の財産のほとんどが夫名義であることも少なくないでしょう。
しかし、夫が自己名義の財産を築くことができたのは、妻による内助の功があったからです。
そこで、離婚時には財産の名義に関わらず、婚姻期間中に積み上がった夫婦の財産を原則として2分の1ずつに分けることとなります。
これが財産分与です。

なお、婚姻前から所有していた夫婦それぞれの財産や、親からの相続で受け取った財産などは夫婦の協力によって得られた財産とはいえないため、財産分与の対象とはなりません。

年収400万円の場合の財産分与額の目安

財産分与の額は、年収によって決まるわけではありません。
離婚時に有している夫婦の財産を、原則として2分の1ずつに分けることとなります。

養育費

2つ目は、養育費です。
養育費の概要と年収400万円の場合の目安は次のとおりです

養育費とは

養育費とは、未成年の子どもの監護や教育にかかる費用です。
親が離婚をして一方が親権を持ったとしても、もう一方の親が子どもの親でなくなるわけではありません。
そのため、離婚後も親としての責務を果たすべく、養育費の負担が必要となります。
養育費は、親権を持たなかった側の親から親権を持った側の親に対し、定期的に支払う形でやり取りすることが一般的です。

年収400万円の場合の養育費の目安

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養育費の目安額は、子どもの年齢(15歳未満か15歳以上か)や人数、そして離婚する夫婦それぞれの年収によって左右されます。
0歳から14歳の子どもが2人おり、相手(養育費の支払い義務者)の年収が400万円である場合、1月あたりの養育費の目安となる額はそれぞれ次のとおりです。
なお、義務者と権利者(養育費を受け取る者)はいずれも自営業ではなく、給与所得者であることとします。※1

権利者の年収 養育費の目安となる額
200万円 4万円~6万円
400万円 2万円~4万円
800万円 2万円~4万円

ただし、実際のケースではこれとは異なる額とすることが適当である場合もあるため、あらかじめ弁護士へご相談ください。

離婚慰謝料について弁護士に相談する主なメリット

離婚の慰謝料を請求する際は、弁護士へ相談することをおすすめします。
最後に、離婚慰謝料について弁護士に相談する主なメリットを4つ解説します。

ケースに応じた慰謝料の適正相場が分かる

離婚慰謝料の額は相手の年収などによって一律に算定できるものではなく、離婚の原因となった行為の内容や行為の悪質性などによって変動します。
そのため、そのケースに応じた適正額を自分で算定することは容易ではないでしょう。

また、いったん相手に慰謝料を請求してしまうと、たとえ後から請求額が低すぎたことに気付いても増額を求めることは困難です。
弁護士へ相談することで、そのケースに応じた慰謝料の適正額を把握しやすくなります。

必要な証拠についてアドバイスが受けられる

離婚での慰謝料請求を成功させるには、相手の不法行為(不貞行為など)について十分な証拠がなければなりません。
相手が不貞行為などを認めず裁判にまで至った場合、裁判では証拠が重視されるためです。
証拠がなければ、どれだけ疑わしくても慰謝料請求は困難となります。

しかし、どのような証拠を集めるべきかわからないことも少なくないでしょう。
弁護士へ相談することで、集めるべき証拠についてのアドバイスを受けることも可能となります。

なお、離婚を検討していることが相手に知られてしまうと、相手が警戒して証拠を確保しづらくなるおそれがあります。
そのため、相手に離婚を切り出したり離婚を考えていることを仄めかしたりする前に、証拠を確保するのが鉄則です。

相談先ができることで気持ちが楽になる

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離婚へ向けた交渉や請求に、大きな心理的ストレスを感じることも少なくないでしょう。
また、離婚はセンシティブな内容であるため、友人などに相談しづらいと考える人も少なくありません。

弁護士へ相談して依頼することで一緒に戦ってくれる味方ができることから、気持ちが楽になりやすいといえます。

依頼後は弁護士が代わりに相手と交渉してくれる

離婚へ向けた話し合いや慰謝料請求を相手と直接行うことに、不安を感じる人も少なくないと思います。
相手と直接交渉をすれば相手にとって都合のよい条件で丸め込まれてしまう可能性があるほか、DVやモラハラの被害に遭っていた場合は相手に直接離婚を切り出すことに恐怖を感じることでしょう。

弁護士へ対応を依頼する場合は弁護士が代わりに交渉してくれるため、自分で直接相手と交渉する必要がなくなります。
これにより精神的な負担が軽減されるほか、慰謝料請求などを有利に進めやすくなる効果も期待できます。

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まとめ

離婚慰謝料の額は、相手の年収によって決まるわけではありません。
年収ではなく、離婚原因となった行為の内容やその悪質性などによって左右されます。
適正な慰謝料額は具体的な状況によって異なるため、無理に自分で相場を把握しようとするのではなく、相手に離婚を切り出す前に弁護士へご相談ください。

弁護士へ相談することで具体的なケースによる慰謝料の目安が把握しやすくなるほか、離婚へ向けた交渉を有利に進めやすくなります。
Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多数在籍しており、これまでも慰謝料請求など多くのトラブルを解決してきた実績があります。

年収400万円の相手との離婚でお悩みの際には、Authense法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。同志社大学法学部法律学科卒業、同志社大学法科大学院修了。離婚・相続といった家事事件や、不動産法務、企業法務など幅広く取り扱うほか、労働問題にも注力。弁護士として少年の更生の一助となることを志向しており、少年事件にも意欲的である。法的トラブルを客観的に捉えた的確なアドバイスの提供を得意としている。
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