コラム

公開 2024.03.11

年収900万円の場合の離婚慰謝料の相場は?弁護士がわかりやすく解説

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離婚をする場合、相手からどのような金銭をどれだけ受け取れるのか、あらかじめ確認しておきたいと考えるものです。

相手の年収が900万円である場合、離婚慰謝料の相場はどの程度となるのでしょうか?
また、離婚慰謝料が高くなりやすいのはどのようなケースでしょうか?

今回は、年収が900万円の相手と離婚することを前提に、離婚慰謝料の額の考え方などについて弁護士が詳しく解説します。
(※慰謝料や弁護士費用の金額はケースごとにさまざまであり、「相場」といえる金額が決まっているわけではありませんが、本記事では大まかな金額の範囲を分かりやすく表す用語として一部で「相場」という表現を用いています。)

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離婚時に慰謝料が請求できる主なケース

慰謝料とは、相手の不法行為によって精神的な苦痛が生じた場合、これを金銭で賠償してもらうための金銭です。
このような性質であることから、離婚をしたからといって必ずしも慰謝料が請求できるとは限りません。

離婚原因としては「性格の不一致」が多いものの、性格の不一致による離婚であれば慰謝料は発生しない可能性が高いでしょう。

では、離婚で慰謝料を請求することができるのは、どのようなケースなのでしょうか?
はじめに、離婚で慰謝料が請求できる主なケースを紹介します。
慰謝料を請求できるかどうか迷ったら、あらかじめ弁護士へご相談ください。

相手に不貞行為があった場合

相手の不貞行為によって離婚をする場合には、慰謝料請求ができる可能性が高いといえます。
不貞行為とは、不倫のなかでも性的関係を伴うものに限定されています。
そのため、2人で食事をしたりキスをしたりしているだけでは不貞行為とはいえないため注意が必要です。

もっとも、不貞行為には至っていない(不貞行為の証拠まではない)場合であっても、2人で頻繁に食事へ行くことが離婚原因となっているのであれば、「その他相手に大きな問題があり夫婦関係が破綻した場合」に該当し慰謝料請求ができる余地はあるため、諦めずに弁護士へご相談ください。

相手がDVやモラハラをしていた場合

相手がDV(ドメスティックバイオレンス)やモラハラをしている場合は、慰謝料請求できる可能性が高いといえます。
なお、身体的な暴力がある場合はもちろんのこと、暴言など身体的暴力を伴わないものであっても離婚原因となり得るため、具体的な状況については弁護士へご相談ください。
また、離婚請求や慰謝料請求に備え、病院の診断書や警察への相談記録などの証拠を残しておくとよいでしょう。

相手に悪意の遺棄をされた場合

悪意の遺棄をされた場合は、慰謝料請求をできる可能性が高くなります。
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦での同居を拒否したり、家に生活費を入れなかったりすることなどを指します。

ただし、単身赴任や介護の必要性、相手のDVから身を守るための別居などは悪意の遺棄にはあたりません。

悪意の遺棄の典型的なケースは、家庭内の稼ぎ柱である側がある日突然家を出て戻らず、生活費も入れないものなどです。
悪意の遺棄に該当するかどうか迷う場合は、あらかじめ弁護士へご相談ください。

その他相手に大きな問題があり夫婦関係が破綻した場合

他にも、相手に大きな問題があることが原因で夫婦関係が破綻した場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。

たとえば、ギャンブル依存症で生活費を使い込んでいることや性交渉の拒否、異常な性行為の強要などが該当します。

離婚慰謝料の請求が可能かどうかは問題の内容や大きさなどによって異なります。
ご自身のケースで慰謝料請求が可能かどうか知りたい場合は、弁護士へご相談ください。

相手の年収が900万円の場合の離婚慰謝料の相場

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相手の年収が900万円である場合、離婚慰謝料の目安はどの程度となるのでしょうか?
ここでは、順を追って解説します。

離婚慰謝料の額は年収によって決まるわけではない

離婚慰謝料の額は、年収に比例して決まるわけではありません。
そのため、「相手の年収が900万円なら、離婚慰謝料の相場は〇円程度」などと断言することは困難です。

離婚慰謝料の目安

離婚慰謝料の額は年収に比例せず、具体的な離婚原因や行為の悪質性などによって左右されます。
離婚慰謝料の目安となる額は、離婚原因別にそれぞれ次のとおりです。

不貞行為 100万円~300万円程度
DV・モラハラ 50万円~300万円程度
悪意の遺棄 50万円~200万円程度

ただし、これはあくまでも目安であり、実際には具体的な状況によって異なります。
そのため、相手に慰謝料請求をする前に弁護士へ相談し、そのケースにおける慰謝料の適正額を把握しておくとよいでしょう。

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離婚時にやり取りされることの多いその他の金銭と相場

離婚時には、慰謝料のほかに財産分与や養育費のやり取りが発生することが少なくありません。
ここでは、それぞれの概要と相手の年収が900万円である場合の目安について解説します。

財産分与

まずは、財産分与の概要と、目安となる金額を解説します。

財産分与とは

財産分与とは、離婚に際して夫婦の財産を原則として2分の1ずつに分けることです。

夫婦で生活していると、自宅不動産や預貯金など、さまざまな財産を所有することとなります。
これらは、表面上の名義を問わず、潜在的には夫婦の共有財産であると考えられます。

なぜなら、たとえほとんどの財産が夫婦のうち一方の名義になっていたとしても、それだけの財産を築くことができたのは、もう一方による内助の功があったためだと考えられるためです。

そのため、名義が夫婦のどちらとなっていても、離婚時には夫婦の財産を2分の1ずつに分与することとなります。

なお、次の財産は夫婦の協力によって得られた財産とはいえないため、原則として財産分与の対象とはなりません。

  • 婚姻前から夫婦がそれぞれ有していた財産
  • 親からの相続など、自己の名で取得した財産

相手の年収が900万円である場合の財産分与の相場

財産分与の額は、相手の年収によって左右されるわけではありません。
財産分与の対象額は、「収入」ではなく「資産」がベースとなるためです。

そのため、夫婦の資産が多ければ財産分与の対象額も大きくなる一方で、資産が少ない場合はそれだけ財産分与の対象額も小さくなります。

なお、財産分与の対象額を減らすため、離婚を察知した相手が財産を隠す場合もあります。
相手が別の口座に財産を隠していることが明らかで、かつ隠し口座に心当たりがあるという場合には、隠し財産を見つけられる可能性があるため、相手の財産隠しが疑われる場合は弁護士へご相談ください。

養育費

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続いて、養育費の概要と、目安となる金額を解説します。

養育費とは

養育費とは、未成年の子どもの教育や監護に要する費用です。

夫婦の婚姻期間中であっても養育費はかかっているものの、家計費からその都度支出することが多いうえ他の家族の生活費と混じっているため、養育費として意識することは少ないかもしれません。
一方で、離婚後は、夫婦の家計費からまとめて養育費を支出することが難しくなります。

そこで、親権を持たなかった側の親から親権を持った側の親に対して定期的に一定額を支払う形で、養育費を負担することが一般的です。

相手の年収が900万円である場合の養育費の相場

相手の年収が900万円である場合、養育費の目安はどの程度となるのでしょうか?
ここでは、裁判所が公表している「養育費算定表」をもとに、次の前提で目安となる額を紹介します。※1

  • 相手(養育費支払い義務者)の年収が900万円
  • 夫婦がともに給与所得者
  • 14歳以下の子どもが2人いる

この場合における1か月あたりの養育費の目安は、それぞれ次のとおりです。

自身(権利者)の年収が200万円 12万円~14万円程度
権利者の年収が400万円 10万円~12万円程度
権利者の年収が600万円 8万円~10万円程度

ただし、状況によってはこれとは異なる額が適正となる場合もあるため、あらかじめ弁護士へご相談ください。

離婚慰謝料の額が高くなりやすいケース

離婚慰謝料の額は、どのような場合に高くなりやすいのでしょうか?
ここでは、離婚慰謝料の額が高くなりやすい主なケースを3つ紹介します。

相手の有責性が高い場合

相手の有責性が高い場合は、慰謝料が高くなる傾向にあります。
たとえば、不貞行為であっても不貞行為の期間が長期に及ぶ場合や相手と肉体関係を持った回数が多い場合、不貞行為に至るまでの夫婦関係が円満であった場合などには有責性が高いと判断されやすく、慰謝料も高くなりやすいといえます。

子どもがいる場合

幼い子どもがいる場合は、慰謝料が高くなる傾向にあります。
幼い子どもがいる状態で離婚をすることになると、子どもがいない状態の離婚よりも精神的な苦痛やその後の生活の困難が生じやすく、夫婦関係を破綻させた責任がより大きいと考えられるためです。

婚姻期間が長い場合

婚姻期間が長かった場合は、慰謝料が高くなりやすいといえます。
婚姻期間が長い場合、その間に渡って夫婦の信頼関係や生活の基盤を積み重ねており、これを破綻させた責任がより大きいと考えられるためです。

離婚慰謝料を請求するポイント

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相手に対して離婚慰謝料を請求する際は、どのような点に注意する必要があるでしょうか?
最後に、離婚慰謝料を請求する主なポイントを3つ解説します。

証拠を十分集める

1つ目は、相手に離婚を切り出す前に、証拠を十分に集めることです。
たとえば、相手が不貞行為に及んでいる可能性が高いとしても、証拠がなければ相手に言い逃れをされるかもしれません。
また、当事者間で離婚交渉がまとまらず裁判などにまで移行した場合は、証拠が非常に重視されます。
相手の不貞行為が原因で離婚をしたい場合は、たとえば次のものなどが証拠となります。

  • 不貞行為の相手方とともにラブホテルに出入りする写真
  • 性的関係があることを伺わせるLINEやメッセージのやり取り、写真

しかし、具体的にどのように証拠を集めるべきか、また自身が集めた証拠で十分であるのか不安に感じることも多いでしょう。
そのため、相手に離婚を切り出す前に弁護士へ相談し、証拠を確認してもらうようにしてください。

ただし、十分な証拠を集める前に、相手に離婚を切り出したり離婚を考えていることを知られてしまったりしないよう注意してください。
離婚を検討していることが先に知られてしまうと、相手が警戒し、証拠が集めにくくなる可能性が高いためです。

あらかじめ相場を確認しておく

2つ目は、慰謝料の適正額をあらかじめ確認しておくことです。

目安となる慰謝料額は、先ほど紹介しました。
ただし、これはあくまでも目安であり、具体的な状況によってはさらに高額な慰謝料請求ができる可能性があります。

そのため、相手に慰謝料を請求する前に具体的なケースをもとに弁護士へ相談し、そのケースにおける適正額を把握しておくようにしてください。

弁護士のサポートを受ける

3つ目は、離婚問題に強い弁護士のサポートを受けることです。
離婚慰謝料の請求について弁護士への依頼をおすすめする主な理由は次の4点です。

そのケースにおける慰謝料の適正額が把握しやすくなるから

離婚慰謝料の適正額を自分で算定することは、容易ではありません。
弁護士へ相談することで、そのケースにおける慰謝料の適正額が把握しやすくなります。

証拠について相談できるから

先ほど解説したように、離婚慰謝料の請求では証拠が非常に重要となります。
弁護士からサポートを受けることで、そのケースにおいて必要となる証拠についてアドバイスを受けることが可能となります。

慰謝料請求を有利に進めやすくなるから

弁護士は法律を熟知しているだけでなく、交渉のプロフェショナルでもあります。
そのため、弁護士へ依頼して代わりに交渉してもらうことで、慰謝料請求を有利に進めやすくなります。

調停や裁判を見据えてサポートしてもらえるから

慰謝料の金額について合意ができない場合、調停や裁判へと移行することになります。

調停とは、調停委員の立ち会いのもと、家庭裁判所で行う話し合いです。
一方で、裁判とは諸般の事情を考慮のもと、裁判所に慰謝料の額などを裁判所に決めてもらう手続きです。

弁護士からサポートを受けている場合は、たとえ調停や裁判となっても焦らずに対応することが可能となります。

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まとめ

離婚慰謝料の相場は、「年収900万円の場合はいくら」のように決まるわけではありません。
離婚原因や行為の悪質性、婚姻期間の長さなどから総合的に算定されます。

具体的なケースにおいて慰謝料の目安となる額が知りたい場合は、離婚問題を多く取り扱っている弁護士へご相談ください。
弁護士からサポートを受けることで、その状況における慰謝料の具体的な金額を把握しやすくなるほか、交渉を有利に進めやすくなります。

年収900万円の相手との離婚でお悩みの際は、Authense法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。
Authense法律事務所では離婚や慰謝料請求について数多くの実績があり、解決へ向けて親身になってサポート致します。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。同志社大学法学部法律学科卒業、同志社大学法科大学院修了。離婚・相続といった家事事件や、不動産法務、企業法務など幅広く取り扱うほか、労働問題にも注力。弁護士として少年の更生の一助となることを志向しており、少年事件にも意欲的である。法的トラブルを客観的に捉えた的確なアドバイスの提供を得意としている。
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