コラム

公開 2024.03.26

離婚の慰謝料や養育費の相場は相手の年収が700万円の場合どのくらい?

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離婚時には、慰謝料や財産分与、養育費など、さまざまなお金のやり取りが発生します。

離婚慰謝料の相場は、相手の年収が700万円の場合いくらになるのでしょうか?
また、離婚慰謝料は、どのような要素によって決まるのでしょうか?

今回は、年収700万円の相手と離婚する場合を前提に、慰謝料や養育費の目安額などについて弁護士が詳しく解説します。

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離婚慰謝料の相場や相手の年収が700万円の場合いくら?

はじめに、離婚慰謝料の概要と、相手の年収が700万円である場合の離婚慰謝料の相場の考え方について解説します。

離婚慰謝料とは

離婚慰謝料とは、離婚原因がなければ離婚しないで済んだ一方配偶者が、離婚原因を作った他方配偶者に対して請求できる金銭です。
離婚慰謝料は、すべての離婚で発生するわけではありません。
たとえば、「性格の不一致」などによる離婚は夫婦の一方のみに非があるわけではないことから、原則として慰謝料の請求はできません。

一方で、相手の不貞行為(性的関係をともなう不倫)や相手によるDV(ドメスティック・バイオレンス)、悪意の遺棄など不法行為が原因で離婚に至った場合は、原則として慰謝料の請求が可能となります。

悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦の同居義務や協力義務、扶助義務を放棄することです。
夫婦のうち、主に収入を得ている側が家に生活費を入れない場合や、不倫相手と同居するために一方的に家を出た場合などは、悪意の遺棄に該当する可能性が高いでしょう。

自身のケースにおいて慰謝料請求が可能かどうか知りたい場合は、相手に離婚を切り出す前に、離婚問題に詳しい弁護士へご相談ください。

離婚慰謝料の額は相手の年収で決まるわけではない

勘違いしている人も少なくありませんが、離婚慰謝料は相手の年収によって決まるわけではありません。
そのため、「相手の年収が700万円の場合の慰謝料相場は〇円」などと断言することは困難です。

ただし、離婚慰謝料の額を決めるにあたって、相手の支払い能力が一定程度考慮されることはあります。
なぜなら、支払い能力がない相手に高額な慰謝料を請求しても、請求した慰謝料を回収することが困難となるためです。

また、離婚慰謝料はまず裁判外で請求することが一般的であり、夫婦間で合意がまとまるのであれば、基本的にはいくらであっても構いません。
この裁判外の請求において、相手の年収や資産状況を踏まえて請求額を検討することはよくあることです。
相場より多少高くても相手が支払える程度の額であれば、裁判に移行するよりも、早期解決のために、請求された額を支払うことを選ぶ人も少なくないためです。

離婚慰謝料はどのような要素で決まる?

離婚慰謝料が年収によって決まるのでないことは、先ほど解説したとおりです。
では、離婚慰謝料は、どのような要素で決まるのでしょうか?
ここでは、離婚慰謝料を左右する主な要素を5つ解説します。

離婚原因

1つ目は、離婚原因です。

一般的には、離婚原因ごとの慰謝料の目安は次の程度になるといわれています。

  • 不貞行為:100万円から300万円
  • DV:50万円から300万円
  • 悪意の遺棄:50万円から200万円

ただし、あくまでも一般的なケースにおける参考値であり、実際の慰謝料額が必ずしもこの範囲に収まるということではありません。
そのケースにおける具体的な慰謝料の目安が知りたい場合は、あらかじめ弁護士へご相談ください。

悪質性の高さ

2つ目は、悪質性の高さです。

たとえば不貞行為の場合は、不倫相手と会って肉体関係を持った回数が多い場合や不貞行為が長期にわたる場合などには悪質性が高いと判断され、慰謝料が高くなる傾向にあります。
また、DVでは怪我の大きさやDVを行っていた期間の長さなどから悪質性が判断されます。

子どもの有無

3つ目は、子どもの有無です。

幼い子どもがいる状態での離婚は生活の再建に困難が生じやすいうえ、精神的苦痛も大きくなります。
そのため、子どもがいる場合の方が、離婚慰謝料の額が大きくなる傾向にあります。

婚姻期間の長さ

4つ目は、婚姻期間の長さです。

一般的に、婚姻期間が長いほど離婚慰謝料が高くなる傾向にあります。
なぜなら、婚姻関係が長いほど、婚姻関係を破綻させた責任が重いと考えられるためです。

支払い能力

5つ目は、支払い能力です。

先ほど解説したように、相手の年収だけを元に慰謝料が決まるわけではありません。
しかし、高額な慰謝料を請求しても、相手に支払い能力がなければ慰謝料を回収することは困難です。
そのため、慰謝料の額を決める際は、相手の支払い能力も一定程度考慮されます。

離婚時に取り決める慰謝料以外の主な給付

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離婚では、慰謝料以外にも金銭のやり取りが発生することがあります。
ここでは、慰謝料のほかにやり取りされることの多い「養育費」と「財産分与」について、それぞれ概要を解説します。

養育費

養育費とは、未成年の子どもの教育や監護のためにかかる費用です。
婚姻期間中であっても養育費は発生しているものの、婚姻期間中にかかる養育費は家族の生活費などと混じっているため、あえて養育費を抜き出して意識することは多くないでしょう。

一方、離婚後は夫婦の財布が分かれることから、養育費を抜き出して考慮する必要が生じます。
離婚後の養育費は、親権を持たなかった側の親から、親権を持った側の親に対して定期的に支払う形をとることが一般的です。

なお、夫婦の離婚後も子どもの父や母であることには変わりなく、親権を持たなかった側の親が親でなくなるわけではありません。
離婚後も父母はともに子どもを養育する義務を負い、親権を持たなかった側の親は養育費を負担することで親としての義務を果たすこととなります。
養育費の目安となる額は、後ほど解説します。

財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に積み上がった夫婦の財産を清算することです。
たとえば、夫婦の一方(仮に、夫)だけが外部からの収入を得ており、もう一方(仮に、妻)が家事や育児を担ってきた場合、家の財産の多くが夫名義となっていることは珍しくありません。

しかし、夫が財産を築いたり維持したりすることができたのは、妻による内助の功があったためであると考えられます。
つまり、自宅や預貯金が表面上の名義こそ夫になっていても、その本質は夫婦の共有財産であるということです。
そのため、離婚時にはこの潜在的な共有財産を、夫婦間で清算することとなります。

具体的には、表面上財産をより多く有している側(例の場合は、夫)からもう一方(例の場合は、妻)に対して、財産の2分の1相当額を渡すことが一般的です。
ただし、次の財産は例外的に財産分与の対象とはなりません。

  • 夫婦がそれぞれ婚姻前から有していた財産(婚姻前に購入した不動産など)
  • 夫婦がそれぞれ自己の名義で取得した財産(親などからの相続で受け取った財産など)

これらは、夫婦が協力して築いた財産であるとはいえないためです。

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離婚時の養育費は相手(義務者)の年収が700万円の場合いくら?

離婚後に支払うこととなる養育費は、養育費の支払い義務者の年収が700万円の場合、いくらが目安となるのでしょうか?
ここでは、裁判所が公表している養育費算定表をもとに、次の前提で養育費の目安額を紹介します。※1

  • 義務者(養育費を支払う側)の年収:700万円
  • 権利者(養育費を受け取る側)の年収:各事例に記載の金額
  • 収入の種類:義務者と権利者がともに給与所得
  • 子どもの人数:0~14歳が1名の場合と、0~14歳が2名の場合をそれぞれ解説

ただし、ここで紹介するのはあくまでも目安であり、事情によってはこれとは異なる額が適切である場合もあります。
そのため、相手と養育費について話し合う前に弁護士へ相談し、そのケースにおける適正額を把握しておくことをおすすめします。

権利者の年収が200万円の場合

権利者の年収が200万円である場合における養育費月額の目安は、それぞれ次のとおりです。

  • 0~14歳が1名の場合:6~8万円
  • 0~14歳が2名の場合:10~12万円

権利者の年収が500万円の場合

権利者の年収が500万円である場合における養育費月額の目安は、それぞれ次のとおりです。

  • 0~14歳が1名の場合:4~6万円
  • 0~14歳が2名の場合:6~8万円

権利者の年収が700万円の場合

権利者の年収が700万円である場合における養育費月額の目安は、それぞれ次のとおりです。

  • 0~14歳が1名の場合:4~6万円
  • 0~14歳が2名の場合:6~8万円

離婚慰謝料の請求で損をしないポイント

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離婚時の慰謝料請求で損をしてしまわないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
最後に、離婚慰謝料の請求で損をしないためのポイントを2つ解説します。

ご自身の ケースでの適正額を把握しておく

1つ目のポイントは、ご自身の ケースにおける慰謝料の適正額をあらかじめ把握しておくことです。
相手に離婚慰謝料を請求した後、請求時に提示した慰謝料額が低すぎることに気付いても、後から金額を引き上げることは困難です。
そのため、相手に離婚を切り出したり慰謝料を請求したりする前に、そのケースにおける慰謝料の適正額を把握しておくことをおすすめします。

あらかじめ弁護士へ相談する

2つ目のポイントは、離婚問題に強い弁護士にあらかじめ相談しておくことです。
慰謝料請求について弁護士へ相談する主なメリットは次の5点です。

そのケースでの慰謝料の適正額が把握しやすくなる

先ほど解説したとおり、相手に慰謝料を請求する前に、そのケースにおける慰謝料の適正額を把握しておくことをおすすめします。
しかし、離婚慰謝料の額は相手の年収によって機械的に算出されるものではなく、離婚原因や行為の悪質性、子どもの有無、婚姻期間の長さによって個別に検討すべきものです。
そのため、そのケースにおける慰謝料の適正額を自分で算定することは容易ではありません。

弁護士へ相談することで、個々の事情に応じた慰謝料の適正額を把握しやすくなります。

証拠の収集についてもアドバイスを受けられる

相手に離婚慰謝料を請求する際は、証拠を確保しておかなければなりません。
なぜなら、たとえ相手の不貞行為を原因として慰謝料請求をしたとしても、相手が不貞行為を否定し慰謝料の支払いを拒む可能性があるためです。

当事者間で慰謝料の交渉がまとまらない場合は調停や裁判に移行して慰謝料の額を決めることとなりますが、証拠がない場合は請求自体が認められない可能性もあります。
そのため、離婚慰謝料を請求したい場合は、相手に離婚を切り出す前に十分に証拠を集めておくことが鉄則です。
先に離婚を切り出してしまえば相手が警戒してしまい、証拠を集めることが困難となるためです。

しかし、どのような証拠が必要となるか自分で判断することは容易ではないでしょう。
弁護士へ相談することで、そのケースにおいて集めるべき証拠についてもアドバイスを受けることが可能となります。

慰謝料の請求や交渉を任せられる

相手との関係性によっては、自分で慰謝料を請求することに不安を感じたり、相手との対面を避けたかったりすることもあるでしょう。
また、自分で直接慰謝料を請求すると、相手の都合のよい内容で丸め込まれてしまうかもしれません。

弁護士へ依頼した場合は、弁護士に慰謝料請求や相手との交渉を任せることが可能となります。

調停や裁判に移行しても安心して対応できる

請求した慰謝料の支払いを相手が拒否するなど当事者間で慰謝料の交渉がまとまらない場合は、調停や裁判に移行します。
弁護士へ依頼した場合は、この調停や裁判についてもアドバイスを受けたり対応を任せたりすることが可能となるため安心です。

心理的な負担が軽減される

離婚へ向けた交渉は、精神的に負担を感じることも少なくありません。
また、友人などへ相談しづらいと感じることも多いでしょう。
そのため、離婚慰謝料の交渉は、孤独な戦いとなることが多いといえます。

一方、弁護士へ依頼した場合はともに戦う味方ができることから、心理的な負担が軽減されやすくなります。

まとめ

離婚慰謝料の相場は、「相手の年収が700万円ならいくら」と一律で決まるものではありません。
慰謝料の額は、離婚原因やその悪質性、婚姻期間の長さなどさまざまな要因によって左右されます。

一方、養育費の額は、裁判所が公表している算定表からある程度の参考値を知ることが可能です。

離婚で後悔しないよう、相手に慰謝料や養育費を請求する前に、弁護士へご相談ください。
あらかじめ弁護士へ相談することでそのケースにおける目安額を知りやすくなるほか、証拠の集め方など具体的な進め方についても把握することが可能となるためです。

Authense法律事務所では離婚問題の解決に力を入れており、数多くの解決実績があります。
年収700万円の相手との離婚でお困りの際は、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。

感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。

相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。

また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。同志社大学法学部法律学科卒業、同志社大学法科大学院修了。離婚・相続といった家事事件や、不動産法務、企業法務など幅広く取り扱うほか、労働問題にも注力。弁護士として少年の更生の一助となることを志向しており、少年事件にも意欲的である。法的トラブルを客観的に捉えた的確なアドバイスの提供を得意としている。
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