離婚調停では、女性が有利であるといわれることがあります。
本当に女性は離婚調停で有利となるのでしょうか?
また、女性が有利であるように見える場合、その理由はどのような点にあるのでしょうか?
今回は、離婚調停で女性が有利であるかどうかを解説するとともに、離婚調停を有利に進めるポイントについて弁護士が詳しく解説します。
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離婚調停とは
離婚調停とは、裁判所で行う離婚へ向けた話し合いのことです。
夫婦間で離婚に関する協議がまとまれば、調停などを経ることなく、当事者間の合意のみで離婚は成立します。
しかし、裁判外で話し合いがまとまらない場合は、離婚調停へと駒を進めることとなります。
離婚調停では、調停委員が夫婦双方から順に意見を聞く形で話し合いが進行します。
裁判とは異なりあくまでも話し合いの場であり、裁判所や調停委員が離婚すべきかどうかや離婚にまつわる諸条件について決断を下すわけではありません。
しかし、話し合いを仲介する調停委員の果たす役割は大きく、調停委員を味方につけられるかどうかが調停を有利に進めるための重要なポイントとなります。
離婚調停は女性に有利?
冒頭でもお伝えしたように、「離婚調停は女性側に有利である」などといわれることがあります。
これは事実なのでしょうか?
ここでは、性別による有利・不利について解説します。
有利・不利に性差はない
離婚調停の有利・不利に、性別は関係ありません。
女性であることだけを理由として離婚調停が有利となることがない一方で、男性であることのみを理由に有利となるわけでもありません。
女性に有利であるように感じる理由
離婚調停の有利・不利に性差がないとはいえ、「離婚調停は、女性側に有利」との意見には根強いものがあります。
では、それはなぜなのでしょうか?
離婚調停が女性に有利であると感じられる理由としては、次の2点があるものと考えられます。
親権を女性側がとることが多いから
1つ目は、親権を女性が獲得することが多いためです。
親権争いのみに限定すると、確かに女性の方が有利であるといえます。
特に子どもが幼いうちは、母親が主に監護しており、母親と子どもとの結びつきが強いことが多いため、母親側に育児放棄などよほど重大な問題がない限り、母親が親権者となることが多いのが実情です。
また、子どもに福祉を考える際にできるだけ従前と変わらない生活環境とすることが望ましいとされており、夫婦間の役割として女性側が中心となって育児を担っていることが多いことからも、親権者としては女性が選ばれやすい傾向にあります。
結果的に男性から女性に給付すべきケースが多いから
2つ目は、結果的に男性から女性に金銭が支払われることが多いためです。
離婚では、主に次の給付が行われることが一般的です。
これらはそれぞれ負担者が異なっており、それぞれ次のとおりです。
概要 | どちらが支払うか | |
---|---|---|
養育費 | 未成年の子どもの監護や教育に要する費用 | 未成年の子どもの親権者とならなかった側が、親権者となった側に支払う |
財産分与 | 夫婦間の共有財産(名義にかかわらず、婚姻期間中に夫婦の協力で積み上がった財産)を清算すること | 自己名義となっている夫婦間の共有財財産が多い側(一般的には、外部から多くの収入を得ていた側)が、もう一方に支払う |
慰謝料 | 不貞行為やDVなど夫婦関係を破綻させたことに関する精神的苦痛に対して支払う金銭(単なる性格の不一致などによる離婚では発生しない) | 不貞行為やDVをして夫婦関係を破綻させた側が、もう一方に対して支払う |
それぞれ負担者の考え方は異なるものの、いずれも結果的に男性側が女性側に支払うこととなるケースが多いでしょう。
このことも、離婚調停が女性に有利であると考えられやすい理由の一つになっていると考えられます。
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離婚調停を有利に進める主なポイント
繰り返しとなりますが、離婚調停は必ずしも女性が有利となるわけではありません。
では、離婚調停を有利に進めるためにはどのような点に注意すればよいのでしょうか?
ここでは、離婚調停を有利に進めるための主なポイントを6つ紹介します。
自身の希望を明確に主張する
1つ目は、離婚に関する自身の希望を明確に主張することです。
特に離婚の条件には金銭にまつわることも多く、遠慮や見栄などから主張を控えめなものとしたり、あいまいとしたりすることもあるかもしれません。
しかし、離婚調停では「離婚することを希望する、親権がほしい、養育費は月〇円を希望する」など、自己の主張を明確に主張するようにしてください。
希望を明確に伝えることで、調停委員が話し合いの調整がしやすくなるためです。
具体性に欠ける批判や悪口を避ける
2つ目は、具体性に欠ける相手の批判や悪口を避けることです。
離婚調停は、調停委員に愚痴を聞いてもらう場ではありません。
具体性のない感情的な主張を繰り返すと調停委員の心証が悪くなり、離婚調停において不利となるおそれがあります。
身だしなみに注意する
3つ目は、離婚調停の当日に身だしなみに注意することです。
本来、離婚調停の有利・不利は外見から判断されるようなものではありません。
しかし、調停委員も人である以上、身なりのきちんとした人の発言を信用する可能性があります。
調停当日はだらしのない服装や華美な服装はできるだけ避け、調停委員に誠実な印象を与える服装を心がけてください。
証拠をそろえる
離婚調停を有利に進めるためには、主観ではなく客観的な証拠が何よりも重要となります。
たとえば、「相手が不倫をしていると思うから離婚をしたい」と主張をしているものの、その証拠がまったくなく相手も不倫を完全に否定している場合などには、調停委員も主張の真偽をはかりかねるでしょう。
場合によっては、虚偽の内容を主張していると思われてしまうかもしれません。
そのため、離婚調停での主張は、できるだけ証拠に基づいて行うようにしてください。
決定的な証拠がない場合は、相手の帰宅時間を書いたメモや不貞行為をしている可能性が高いと感じた相手の言動などを記した日記なども、主張を裏付ける証拠となる可能性があります。
具体的にどのようなものが証拠となり得るかはケースバイケースであるため、あらかじめ離婚問題に詳しい弁護士へご相談ください。
譲れる部分は譲歩する
離婚調停を有利に進めるには、相手との主張が拮抗する場合に、譲れる部分について譲歩の姿勢を見せることも重要です。
希望から一歩も譲らないと強固な姿勢を見せてしまうと調停委員が「これ以上調停を続けても成立しない」と判断し、調停が不成立となる可能性が高くなってしまうためです。
たとえば、「親権を獲得したいことは譲れないが、養育費の額の減額になら多少応じられる」こととなどが考えられます。
また、譲歩の姿勢を示すことで、メインの主張(例の場合は、親権の獲得)が通りやすくなる効果も期待できます。
自分の発言や提出資料と矛盾する発言に注意する
調停を有利に進めるには、自分の発言や提出資料との矛盾に特に注意が必要です。
矛盾をする主張をすると「嘘をついているのではないか」と疑われ、調停委員の心証が悪くなるおそれがあるためです。
しかし、調停の場で緊張してしまい、矛盾した発言をしてしまうこともあるでしょう。
そのような事態を避けるため、調停に臨む際は入念な準備を行い、主張すべき内容について準備しておくことをおすすめします。
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弁護士に離婚調停のサポートを依頼する主なメリット
離婚調停は自分で進めることもできるものの、弁護士にサポートを依頼することも可能です。
では、離婚調停について弁護士にサポートを依頼することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、弁護士に依頼する5つのメリットを解説します。
調停の申し立て手続きを代理してもらえる
離婚調停について弁護士に依頼することで、調停の申し立て手続きを代理してもらうことが可能となります。
離婚調停を申し立てるには、申立書や添付書類を裁判所に提出しなければなりません。
申立書の様式はシンプルであり、さほど難しくないと感じることでしょう。
しかし、申立書の作成には次のことに注意が必要です。
- 申立書のコピーが相手方に送付されること
- 申立書に記載した希望が、事実上離婚条件の上限となる可能性が高いこと
- 調停においては、申立書と主張との矛盾も確認される可能性があること
(例:申立書では離婚原因として不貞行為について一切触れていなかったにもかかわらず離婚調停の場で突如相手方の不貞行為を主張した場合、不貞行為についてなぜ申立書に記載しなかったのか疑問を持たれる)
このように、申立書の作成は簡単なようで、注意すべき点が少なくありません。
弁護士へ依頼することで弁護士が注意点を踏まえて申立書を作成してくれるため安心です。
調停当日に同席してもらうことができる
離婚調停について弁護士に依頼すると、調停当日に弁護士に同席してもらうことが可能となります。
落ち着いて調停に臨みやすくなるほか、弁護士が主張を補完してくれるため調停を有利に進めやすくなります。
また、不用意な発言をして調停で不利となるリスクも避けやすくなるでしょう。
調停で主張すべきことをあらかじめ整理できる
離婚調停について弁護士に依頼することで、あらかじめ自身の主張を整理することが可能となります。
自身で離婚調停に臨む場合、法律上は難しい内容の主張をしてしまうこともあるでしょう。
そのような主張をした場合、その主張が通る可能性は非常に低くなります。
弁護士へ相談することで、自身の主張が法律上現実的なものであるか確認することができるほか、主張が通る可能性が低い場合はあらかじめ主張を変えることも可能となります。
訴訟を見越した対応が可能となる
離婚調停について弁護士へ相談することで、訴訟への移行を見据えた対応が可能となります。
調停はあくまでも話し合いの場であり、双方が合意できるのであれば原則としてどのような内容で合意しても構いません。
一方で、調停が不成立となり訴訟に移行すると、裁判所が離婚条件などを決めることとなります。
そこで、自身の主張や相手方の主張が「裁判となった際に、通るものなのか」を知っておくことで、調停での交渉を有利に進めやすくなるでしょう。
また、実際に訴訟へ移行することとなった場合であっても、弁護士に依頼していれば落ち着いて対応しやすくなります。
有利に進めるための具体的なアドバイスが受けられる
弁護士へ依頼することで、離婚調停を有利に進めやすくなります。
弁護士は交渉のプロであるうえ、離婚調停についての対応経験も蓄積していることから、要求を実現するための交渉の進め方や調停委員の考え方などを熟知しているためです。
そのため、その具体的な案件に応じて調停を有利に進めるためのアドバイスを受けることができ、希望する内容で離婚調停が成立する可能性を高めることが可能となります。
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まとめ
離婚調停において、親権の面では女性が有利となることが多いといえます。
また、結果的に離婚に伴う給付を女性側が受けるケースが多いため、離婚調停が女性に有利になるとの印象を持っている人も少なくないでしょう。
しかし、実際は離婚調停の有利・不利が性別によって左右されるわけではありません。
本文で解説したように、男性であるか女性であるかを問わず、離婚調停を有利に進めるためには多くのポイントがあります。
これらを踏まえて臨むことで、離婚調停を有利に進められる可能性が高くなります。
とはいえ、自分一人で離婚調停に臨み、希望した結果を勝ち取ることは容易ではありません。
そのため、離婚調停は弁護士のサポートを受けて行うようにしてください。
Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多く在籍しており、これまでも多くの離婚調停をサポートしてきた実績があります。
離婚調停を申し立てたい場合や相手方から離婚調停を申し立てられてお困りの場合、離婚調停をできるだけ有利に進めたい場合などには、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。
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Authense法律事務所が選ばれる理由
Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
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