コラム

公開 2024.01.22 更新 2024.03.06

離婚調停が不成立になったら?その後の手続きを弁護士がわかりやすく解説

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離婚調停は話し合いの手続きであるため、不成立となることもあり得ます。
離婚調停が不成立となった場合、その後はどのような流れとなるのでしょうか?

また、離婚調停が不成立となる原因にはどのようなものが挙げられるでしょうか?
今回は、離婚調停の不成立について弁護士が詳しく解説します。

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離婚調停とは

離婚調停とは、裁判所で行う話し合いの手続きです。

離婚をする際は必ずしも裁判所を介す必要はなく、「離婚をすること」と「離婚にまつわる諸条件」について当事者間で合意がまとまるのであれば、市区町村役場に離婚届を提出するだけで離婚は成立します。
これを「協議離婚」といい、協議離婚の割合は全体の90%程度(2020年は 88.3%)です。※1

一方で、当事者間で離婚に関する協議がまとまらない場合もあるでしょう。
また、相手が離婚についての話し合いに応じさえしない場合もあります。
その場合は、離婚調停を申し立てます。

離婚調停では、裁判所の調停委員が仲裁する形で話し合いが進行します。
夫婦が直接対峙するのではなく、調停委員が当事者双方から交互に意見を聞く形で話し合いを行うことが原則です。

離婚調停が1回で終わることは稀であり、複数回開催したうえで落としどころを探ることとなりますが、最終的に夫婦間で合意がまとまれば離婚調停は成立します。
複数回の期日を経て離婚調停が成立すると「調停調書」が交付され、その謄本を添付して離婚届を提出することで離婚が戸籍にも反映されます。

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離婚調停の不成立とは

離婚調停は、不成立に終わることもあります。
では、離婚調停の不成立とはどのような状態を指すのでしょうか?
ここでは、離婚調停の「不成立」と「取下げ」についてそれぞれ解説します。

離婚調停の「不成立」とは

離婚調停の不成立とは、裁判所にこれ以上調停を続けても成立する見込みがないと判断されたことによって、離婚調停が終了することです。
不成立となる主な原因は、後ほど詳しく解説します。

離婚調停の「取下げ」とは

離婚調停の取下げとは、申立人自身が調停を取り下げることで調停を終了させることを指します。
取下げの理由は問われないため、どのような理由によるものであっても構いません。
当然ながら、離婚調停を申し立てられた側から取り下げることはできません。

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離婚調停が不成立となる主な原因

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離婚調停が不成立となることには、どのような原因が考えられるでしょうか?
ここでは、離婚調停が不成立となりやすい主なケースを紹介します。

相手が離婚調停に出席しない

相手が離婚調停に出席しない場合は、離婚調停を成立させることができません。
そのため、調停が不成立となる可能性が高くなります。

相手が欠席であっても、病気などによるやむを得ないものであり裁判所に欠席の連絡を入れている場合は、一度欠席したことのみをもって直ちに不成立となるわけではありません。

相手が離婚に応じない

申立人が離婚を希望しているにもかかわらず、相手が頑なに離婚に応じない姿勢を示すが場合は、調停が不成立となる可能性が高くなります。
話し合いの余地がない以上は、調停を続けたところで離婚が成立する可能性が低いためです。

相手が離婚原因(不貞など)を認めない

相手が不貞行為などの離婚原因を頑なに認めず、そのために離婚に応じない、または慰謝料の支払いに応じないという場合は、調停が不成立となる可能性が高くなります。
話し合いが平行線となる可能性が高く、そのまま離婚調停を続けても解決できない可能性が高いためです。

離婚条件についての合意がまとまらない

親権や養育費、財産分与など離婚にまつわる諸条件について合意がまとまらない場合も、離婚調停は不成立となりやすいといえます。
お互いに譲歩の姿勢があれば離婚調停を続ける余地があるものの、双方がともに主張を譲る姿勢を見せない場合は、そのまま続けても離婚調停が成立する可能性が低いためです。

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離婚調停が不成立になった後の対応パターン

離婚調停が不成立となった場合、その後はどのような流れとなるのでしょうか?
ここでは、離婚調停が不成立となった場合におけるその後の対応の4パターンをそれぞれ紹介します。

離婚審判に移行する

1つ目は、離婚審判に移行することです。
離婚審判への移行は申立人などが決めるものではなく、裁判所側が決めるものです。

離婚審判とは、離婚調停においてほとんどすべての事項について合意がまとまったものの、些細な条件に関する意見の食い違いが原因となって調停が不成立となりそうな場合において、裁判官が職権で「調停に代わる審判」を下して離婚を成立させる手続きです。

離婚審判は、当事者双方が審判を望む場合や、一方が健康上の理由などから調停への出席が困難となった場合、子供が幼く早期の解決が望ましい場合などに利用されます。

ただし、離婚審判は絶対的なものではなく、審判の告知を受けた日の翌日から2週間以内に当事者のいずれかが裁判所に対して異議を申し立てると効力を失います。
そのため、審判離婚で離婚が成立しているのは離婚全体の1%程度(2020年は1.2%)であり、多く使われているものではありません。※1

離婚審判が下った場合は、異議を申し立てるか、そのまま審判を受け入れるか、異議申し立て期限内に慎重に検討してください。

そのまま何もしない

2つ目は、そのまま何もしないことです。
この場合、離婚は成立せず、婚姻関係を継続することとなります。

ただし、離婚調停にまで至った夫婦が通常の婚姻生活に戻ることは容易ではなく、別居生活を送るケースも多いでしょう。
また、しばらくそのままとしたうえで、ある程度時間が経ってから再度離婚について冷静に話し合ったり、再度離婚調停を申し立てたりすることも1つの手です。

再度離婚調停を申し立てる

3つ目は、再度離婚調停を申し立てることです。
制度上は離婚調停の申立て回数に制限はなく、不成立となった場合に改めて離婚調停を申し立てることもできます。

ただし、いったん離婚調停が不成立に終わった以上、再度離婚調停を申し立てたところで成立する可能性は高くありません。
そのため、再度の離婚調停を希望する場合はすぐに申し立てるのではなく、ある程度期間をおいて状況や心境に変化が訪れてから申し立てた方がよいでしょう。

離婚裁判を申し立てる

4つ目は、離婚裁判を申し立てることです。
これが、離婚調停が不成立となった場合におけるもっとも一般的な流れです。

離婚裁判とは、諸般の事情を考慮のもと、離婚するかどうかや離婚に関する諸条件について裁判所に決めてもらう手続きです。
「裁判」というと身構えてしまう人も多いものの、離婚裁判は民事であり、刑事裁判のように当事者が犯罪者として扱われるものでもなければ、罪を問われるようなものではありません。

離婚裁判による判決により、離婚が成立し、または、離婚請求が棄却されます。不服がある場合は判決書の送達された日から2週間以内に控訴の手続きを行います。

なお、2020年において離婚裁判による離婚(判決離婚)は離婚全体の0.9%であり、裁判の途中で和解が成立したことによる和解離婚は全体の1.3%でした。※1

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離婚調停を不成立とせず有利に進めるポイント

離婚調停を不成立に終わらせないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
ここでは、離婚調停を不成立とせず有利に進めるポイントを解説します。

調停委員に自分の言い分をよく理解してもらう

1つ目のポイントは、調停委員に対して自分の言い分を十分に説明し、理解してもらうことです。

調停は話し合いの場であるとはいえ、話し合いの流れは調停委員が作ります。
そのため、調停委員に自分の考えをしっかり理解してもらうことで、離婚調停を有利に進めやすくなります。

そのために、主に次の点に注意するとよいでしょう。

  • 自分の言い分を整理し、わかりやすく説明する
  • 感情的になりすぎない
  • 提出資料やこれまでの発言と矛盾した主張を避ける
  • 頑なになりすぎず、譲れる条件については譲歩の姿勢を見せる

また、離婚調停の申立書と併せて自身の主張をまとめた書面を提出することもできます。
これを提出することで、調停委員に自身の主張が明確に伝わり、調停を有利に進められることがあります。

証拠を揃えて調停に臨む

2つ目のポイントは、できるだけ証拠を揃えて調停へと臨むことです。

調停は話し合いの場であり、必ずしも証拠がないと成立しないわけではありません。
しかし、たとえば相手によるDVが原因で離婚したいと主張する場合において、相手がDVを断固として否定している場合など、双方の主張が真っ向から食い違っている場合は、調停委員としてもどちらの主張を信じてよいか判断することが難しくなりますし、相手を説得することも困難です。

たとえばDVの場合、負傷した際の写真や医師の診断書、警察への相談記録などが証拠となり得ます。
また、これらの証拠がなくても、継続的に日記をつけており、そこにDVの記録が記載されていれば、根拠なく主張するよりも「確からしい」と感じてもらいやすくなるでしょう。

具体的にどのような証拠が有用であるかは離婚したい理由や状況などによって異なるため、離婚問題に強い弁護士へあらかじめご相談ください。

離婚問題に強い弁護士に依頼する

3つ目のポイントは、離婚問題に強い弁護士に依頼することです。

弁護士に依頼することで、あらかじめ自身の主張を整理したうえで調停に臨むことが可能となります。
調停当日も弁護士に同席してもらえることから、精神的な負担が大きく軽減されるほか、必要な主張を効果的に行いやすくなり調停を有利に進めやすくなります。

また、弁護士に依頼していること自体から相手方に本気度が伝わりやすくなり、調停の主導権を握りやすくなる効果も期待できるでしょう。
ほかにも、あらかじめ必要な証拠について相談することができるなど、メリットが少なくありません。

離婚調停を不成立で終わらせず有利に進めたい場合は、離婚問題に強い弁護士にご相談ください。

調停が不成立となると弁護士費用はどうなる?

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弁護士に離婚調停のサポートを依頼する場合、弁護士費用が発生します。
弁護士費用の目安は事務所ごとに異なるものの、依頼時点で支払う「着手金」と得られた経済的利益に応じた「成功報酬」が2段階で発生することが一般的です。
具体的な報酬額は依頼先の事務所によって異なるため、あらかじめ依頼を検討している事務所に確認してください。

離婚調停が不成立となった場合、弁護士報酬はどうなるのでしょうか?
弁護士に依頼した離婚調停が不成立となった場合、着手金のみが発生し、成功報酬はかからないことが一般的です。
その後離婚裁判に移行する場合は、別途着手金等が発生します。

ただし、弁護士報酬の定め方は事務所によって異なります。
離婚調停が不成立となった場合の料金体系についてもあらかじめ確認しておくようにしてください。

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まとめ

離婚調停が不成立に終わった場合は、離婚裁判に移行するか、いったんそのままとして時間が経ってから再度離婚調停を申し立てるかなどを検討します。
離婚調停を不成立とせず有利に進めるには、主張を裏付ける証拠をそろえることや調停委員の心証をよくするよう努めることがポイントです。

また、弁護士に依頼することで離婚調停を有利に進めやすくなります。
調停を不成立とせず有利に進めたい場合は、弁護士への依頼もご検討ください。

Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多数在籍しており、離婚調停から離婚裁判まで一貫したリーガルサポートが可能です。
離婚調停を不成立とせず有利に進めたい場合や、離婚調停が不成立となり裁判への移行を検討している場合などには、Authense法律事務所までお気軽にご相談ください。

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Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

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離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部法律学科卒業、上智大学法科大学院修了。個人法務から企業法務まで多様な案件に従事する。特に、離婚、相続を中心とした個人法務については、請求側・被請求側、裁判手続利用の有無などを問わず、数多くの案件を解決してきた実績を有する。
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