コラム

公開 2024.01.22 更新 2024.03.06

離婚調停にかかる期間はどれくらい?短期間で終えるポイントを弁護士がわかりやすく解説

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離婚調停とは、裁判所で行う離婚に関する話し合いです。
調停委員が当事者双方から交互に意見を聞く形で、話し合いが進行します。

では、離婚調停を申し立ててから終結するまでには、どの程度の期間がかかるのでしょうか?
また、離婚調停が長期化しやすいのは、どのようなケースでしょうか?

今回は、離婚調停にかかる一般的な期間や離婚調停の流れ、離婚調停が長期化しやすいケースなどについて、弁護士が詳しく解説します。

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離婚調停にかかる期間はどのくらい?

離婚調停にかかる期間はケースバイケースであるものの、申立て後半年から8か月程度で終結することが一般的です。

裁判所が公表している「令和4年司法統計年報概要版(家事編)」によると、令和4年(2022年)中における家事調停事件のうち、離婚に関する事件が多く含まれる「別表第2事件」の平均審理期間は7.7か月でした。
ただし、これはあくまでも平均的な期間であり、3か月程度で終結する場合もある一方で、1年近くを要することもあります。※1

いずれにしても、離婚調停が1か月や2か月程度で終わる可能性は非常に低いため、長期戦となる可能性が高いことを知っておきましょう。

離婚の一般的な流れ

離婚をする夫婦が、必ずしも離婚調停を経るわけではありません。
では、離婚調停は離婚のうちどのステップに位置づけられるものなのでしょうか?
ここでは、離婚の流れについて解説します。

  • 夫婦間で協議する
  • 離婚調停を申し立てる
  • 離婚審判がなされる
  • 離婚裁判を申し立てる

夫婦間で協議する

離婚をしたいと考えた場合、まずは夫婦間で協議することが一般的です。

離婚することや離婚に伴う諸条件(子どもの親権や養育費、財産分与、慰謝料など)の話し合いがまとまる場合は、裁判所を介すことなく、市区町村役場に離婚届を提出するだけで離婚が成立します。
実際に、離婚全体の約90%(令和2年は 88.3%)は、協議による離婚です。※2

なお、いったん取り決めた事項について後から話し合いを蒸し返されたり、養育費などの定期的な給付が滞納されたりすることのないよう、夫婦間で合意した内容は公正証書としておくとよいでしょう。
公正証書としておくことで「言った・言わない」のトラブルを防ぐことが可能となるほか、養育費などを滞納された場合に差押えまでの手続きがスムーズとなるためです。
給与などが差し押さえられて勤務先に滞納の事実を知られたくないとの意識が働くため、滞納を抑止する効果も期待できます。

離婚調停を申し立てる

夫婦間での協議がまとまらない場合や、相手が離婚へ向けた話し合いに応じない場合などは、離婚調停を申し立てます。
離婚調停は裁判所で行うものの、あくまでも話し合いの手続きであり、成立させるには夫婦間の合意が必要です。

とはいえ、調停委員が話し合いを仲裁してくれるため冷静な話し合いとなりやすく、夫婦間のみでの協議成立が難しい場合であっても、調停であれば成立する可能性が見込めます。

なお、離婚事件では調停前置主義がとられているため、いきなり裁判を提起することはできず、たとえ調停が成立する見込みが薄くても、まずは離婚調停を申し立てなければなりません(家事事件手続257条1項)。

離婚審判がなされる

離婚調停が不成立となったものの、不成立となった原因が些細な点での意見の相違のみにある場合は、裁判所の判断で離婚を成立させることがあります。
これが、調停に代わる離婚審判です。

ただし、離婚審判は当事者のいずれかが審判の告知を受けた日から2週間以内に書面で異議を申し立てることで、離婚審判はその効力を失います。
そのため、離婚審判による離婚は離婚全体の1%程度(令和2年は1.2%)に留まっており、さほど多く活用されているわけではありません。※2

離婚裁判を申し立てる

調停が不成立となり、審判による離婚も成立しなかった場合は、当事者のいずれかが申し立てることで離婚裁判が開始されます。

離婚裁判では、諸般の事情を考慮したうえで、離婚するかどうかや離婚にまつわる諸条件を裁判所が決定します。
離婚裁判には1年から2年程度の期間を要することが多く、離婚裁判に移行した場合は非常に長期を要することを覚悟しなければなりません。

離婚裁判において裁判所が下した判決には、原則として当事者双方が従わなければなりません。
判決に不服がある場合は、判決書の送達を受けた日の翌日から2週間以内に控訴をする必要があります。

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離婚調停の流れ

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離婚調停を申し立てると、どのようなスケジュールで調停が進行するのでしょうか?
ここでは、離婚調停の一般的な流れを解説します。

  • 申立てをする
  • 第1回期日が開かれる
  • 複数回の期日を繰り返す
  • 成立・不成立が決まる

申立てをする

はじめに、離婚調停を行いたい人が、裁判所へ離婚調停を申し立てます。
離婚調停の申立て先は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所が原則ですが、双方が合意をして管轄合意書を提出する場合は、これ以外の裁判所へ申し立てることも可能です。

離婚調停を申し立てると、当事者双方へ調停期日通知書(呼出状)が送付されます。
なお、この際相手方には申立書のコピーが送付されます。
そのため、相手に住所などを知られたくない事情がある場合は注意しなければなりません。

第1回期日が開かれる

第1回の期日は、申立てから1か月から2か月程度先の日程で設定されます。
双方には別の待合室が用意されているため、相手と顔を合わせたくない場合はロビーなどに長時間滞在せず、すみやかに指定の待合室へ出向くことをおすすめします。

時間になると当事者が交互に調停委員に呼ばれ、自身の主張を調停委員へ伝えます。
1回の呼び出しは30分程度でありこれを数回繰り返し、トータルでは2時間から3時間程度を要することが一般的です。

第1回の期日で合意がまとまればこの段階で調停は成立するものの、1回の期日で調停が成立するケースはほとんどありません。

複数回の期日を繰り返す

第2回以降の期日はおおむね1か月程度ごとに開かれ、第1回期日と同じく当事者双方が交互に調停委員と話をする形で進行します。
その後は、調停が成立するか成立する見込みがないと判断されるまで数回の期日が繰り返されます。
離婚調停にかかる期間は、期日が何回開催されるかによって左右されます。

成立・不成立が決まる

複数回の期日を繰り返して双方の合意がまとまれば調停が成立し、「調停調書」が作成されます。
調停成立と同時に、法的な離婚が成立します。
その後は調停調書の謄本を添えて、調停成立から10日以内に市区町村役場に離婚届を提出することで、離婚の事実が戸籍に反映されます。

一方、離婚調停が不成立となり離婚審判もなされなかった(または異議が申し立てられたことで審判が効力を失った)場合は、次のいずれかの選択となります。

  • 離婚裁判を申し立てる
  • 離婚を諦める
  • しばらく期間を置いてから、再度離婚調停を申し立てる

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離婚調停が長期化しやすいケース

離婚調停は短期で終結するケースもある一方で、長期化するケースもあります。
では、離婚調停が長期化しやすいのはどのようなケースでしょうか?

ここでは、離婚調停が長期化しやすいケースを3つ紹介します。

離婚するかどうか自体を争っている場合

離婚調停が長期化しやすい1つ目のケースは、離婚するかどうか自体に争いがある場合です。
一方が離婚を強く希望しているのに対して、他方が離婚を拒んでいる場合は調停の成立が難しく、長期化する可能性が高くなります。

未成年の子どもがいる場合

離婚調停が長期化しやすい2つ目のケースは、未成年の子どもがいる場合です。
未成年の子どもがいる場合は、離婚において子どもの親権や養育費、面会交流など争点が増える傾向にあります。
そのため、これらについて意見が食い違う場合は、離婚調停が長期化しやすくなります。

争点が多い場合

未成年の子どもがいなくとも、離婚に関する争点が多い場合は、離婚調停が長期化する傾向にあります。
争点が多い場合はそれぞれの主張をするために提出すべき資料も増え、調停委員が争点や事実関係を確認し、一つずつ意見をまとめていくことに時間がかかりやすいためです。

離婚調停を短期間で終えるポイント

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特に離婚を希望している側としては、離婚調停をできるだけ早期に終えたいことでしょう。
では、離婚調停を短期間で終えるためには、どのようなポイントを踏まえればよいでしょうか?

最後に、離婚調停を短期間で終結させるポイントを5つ解説します。

弁護士にサポートを依頼する

離婚調停に関して弁護士のサポートを受けることで、調停を短期間で終結させやすくなります。
弁護士のサポートを受けることで、主張の整理がしやすくなるほか、主張を裏付けるために適切な証拠を用意しやすくなるためです。

離婚調停を弁護士に依頼することで、安心して調停に臨みやすくなったり、調停を有利に進めやすくなったりする効果も期待できます。
調停について弁護士のサポートを希望する場合は、Authense法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

希望条件に優先順位をつける

離婚調停を短期間で終えるには、自身の主張に優先順位をつけるようにしてください。

主張をいずれも譲らず頑なな姿勢を見せてしまうと調停が難航し、長期化する可能性が高くなります。
一方で、たとえば「子どもの親権を得ることは絶対に譲れないものの、養育費は〇円までなら減額しても構わない」など主張に濃淡をつけることで調停委員が相手との交渉がしやすくなり、調停がスムーズに進みやすくなります。

このように希望条件に優先順位をつけることで、本当に譲れない条件(例の場合は、子どもの親権獲得)を勝ち取りやすくなる効果も期待できます。

資料を早めに準備しておく

離婚調停を早期に終結させるには、必要となる資料を早めに準備することも一つのポイントです。

離婚調停を進める中では、主張を裏付けるためのさまざまな資料が必要となります。
自身の主張を裏付けるために必要となる資料を予測し、用意して期日に出向くことで、離婚調停に要する期間を短縮しやすくなります。

できるだけ証拠を提示する

離婚調停にかかる期間を短縮するには、自身の主張を裏付けるために適切な証拠を用意するようにしてください。
必要な証拠を揃えておくことで、調停委員が事実関係を把握しやすくなり、相手もこれに対して反論しづらくなるためです。

たとえば、相手に不貞行為があった旨を主張したいにもかかわらず、何ら証拠がない場合において相手が不貞行為を否定すると、調停が平行線となりかねません。
一方で、不貞行為を裏付ける証拠(ラブホテルに出入りする様子を納めた写真や、肉体関係があったことをほのめかすLINEのやり取りなど)が提示できると不貞行為があったとの前提で調停が進行するため、スムーズとなります。
また、相手の非に関する証拠があることで、離婚調停を有利に進めやすくなる効果も期待できます。

とはいえ、自身の主張を裏付けるためにどのような証拠を集めるべきかわからない場合や、証拠がないまま別居に至ってしまった場合なども少なくないでしょう。
その際は、離婚調停の前に弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談することで、状況に応じた具体的なアドバイスを受けることが可能です。

主張書面を活用する

離婚調停を短期間で終えるには、「主張書面」を活用することも一つの手です。
主張書面とは、自身の主張を簡潔にまとめた書面です。

調停当日は緊張してしまい、思うように自身の希望を主張できないケースは少なくないでしょう。
そのような場合に備えて主張書面を用意することで、たとえ当日緊張してうまくことばが出なくとも、書面をもって主張を論理的に伝えやすくなります。
主張書面からはできるだけ感情面は排除し、事実関係を簡潔に伝えることがポイントです。

なお、主張書面を提出することで調停委員が争点や主張を整理しやすくなり、調停を有利に進められる可能性が高くなります。

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まとめ

離婚調停は、半年程度の期間がかかることが一般的です。
中には1年近くを要することもあり、長期戦となってしまうことも少なくありません。

特に、未成年の子どもがいる場合や争点が多い場合、離婚するかどうか自体に意見の対立がある場合は、離婚調停が長期化する傾向にあります。
離婚調停をできるだけ短期間で終結させるため、あらかじめ証拠や主張書面を用意することや、離婚問題に詳しい弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

Authense法律事務所には離婚問題に強い弁護士が多く在籍しており、これまでも多くの離婚調停をサポートしてきた実績があります。
離婚調停にかかる期間をできるだけ短縮したい場合や離婚調停を有利に進めたい場合などには、Authense法律事務所までまずはお気軽にご相談ください。
離婚に関するご相談は、初回60分間無料にてお受けしています。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(神奈川県弁護士会)
神奈川県弁護士会所属。中央大学法学部法律学科卒業、慶應義塾大学大学院法務研究科修了。離婚、相続を中心に家事事件を数多く取り扱う。交渉や調停、訴訟といった複数の選択肢から第三者的な目線でベストな解決への道筋を立てることを得意とし、子の連れ去りや面会交流が関わる複雑な離婚案件の解決など、豊富な取り扱い実績を有する。
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