裁判離婚とは
当事者間で協議離婚の話合いがまとまらず、家庭裁判所の調停でも話がまとまらない場合、家庭裁判所に訴訟を提起することとなります。裁判離婚は、夫婦間の合意がなくても、裁判所が強制的に離婚をさせることもできますので、調停とは異なり、最終的には離婚できるか否かの決着がつきます。
ただ、裁判で離婚するためには、訴状などの法的書面を作成し、相手方の法的な主張を理解して適切な反論を行う必要があり、調停と比べて、手続きは複雑になります。
なお、裁判離婚については、調停前置主義(訴訟を提起する前に一度調停の場で話合いの機会を設けることが必要)が採用されていますので、直ちに裁判で離婚を争うことは原則できません。
裁判離婚が利用される場合
裁判離婚が利用される場合としては、以下のようなものが挙げられます。
・相手方が調停での離婚に合意しない場合
・夫婦間で離婚の合意はあっても、財産分与や子の監護の問題などで、両者の意見が合わない場合
・夫婦間で離婚の合意はあっても、相手方の主張する離婚原因には納得できず、自らの主張する離婚原因によって離婚を求める場合
裁判上の離婚原因
民法は、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復見込みのない強度の精神病といった、離婚原因を定めています。また、これらに加えて、その他婚姻を継続しがたい重大な事由も挙げています。
ここで注意が必要なことは、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復見込みのない強度の精神病といった事由が認められたからといって、必ず離婚ができるものではないということです。裁判所は、これらの事由が認められる場合であっても、一切の事情を考慮して、結婚生活の継続が望ましいと判断する場合には、離婚を認めないといった判断をすることができます。
裁判にかかる時間
調停で話がまとまらず、離婚裁判まで進んだ場合、決着がつくまで1年近くかかることもあります。特に、相手が離婚原因を全面的に否定している場合や、親権で夫婦間の意見が合わない場合には、裁判が長引くことが予想されます。