性格が合わないわけでもなく、不倫されているわけでも暴力を振るわれているわけでもない、きちんと家にお金を入れてくれている。それでも離婚したい場合、「夫の残業が多い」「給料が低い」という理由で離婚することはできるのでしょうか?
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1.夫の給料が高くても離婚したい妻が多い
一般的には、夫の給料が高い場合、妻は離婚を望まないものと考えられています。しかし今回リスクモンスター株式会社が実施したアンケート調査によると、まったく異なる結果が出されています。
このアンケートは20~40代の既婚女性600人から回答を得たものです。
夫の年収別に「仕事に不満がある」「転職してほしい」「離婚したい」などの選択肢を用意したところ、夫の年収1,500万円以上の妻の40%が「離婚したい」を選択しました。
一方年収が300万円未満の場合を含めて、その他の金額帯ではすべて「離婚したい」は10%台か10%以下でした。
このことからすると、夫の年収が1,500万円以上の場合に「離婚したい妻」が飛び抜けて多いことになります。
2.離婚したい理由は「残業が多い」「給料が低い」
いったいなぜ、夫の給料が高いにもかかわらず妻は離婚したいと考えるのでしょうか?
上記のアンケート調査では「離婚したい理由」についても回答を得ています。それによると、夫の年収が1,500万円以上の妻が離婚したい理由の1位は「残業が多い」で、2位は「給料が低い」でした。
なお年収が800万~1,000万円の場合にも離婚したい理由の1位は「残業が多い」、2位は「給料が低い」で同じ結果となっています。
このことからわかるのは、夫の収入が高くても、仕事で忙しすぎて妻とコミュニケーションをとれずにいると妻は不満を持ちやすいことです。
不満を抱いてしまうと、たとえ夫の給料が世間的な相場より高くても「低い」と感じるケースもあることが垣間見えます。
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3.夫の仕事が忙しい、給料が低いことを理由に離婚できる?
それでは夫の仕事が忙しいことや給料が低いことを理由に離婚できるのでしょうか?
法律的にはどのように規定されているのか、確認しましょう。
3-1.法律が認める離婚理由
民法は、相手が拒絶していても裁判によって離婚できる理由を5つ、規定しています。それは以下の通りです。
- ① 不貞(不倫や浮気)
- ② 悪意の遺棄(婚姻関係を破綻させようとして相手を見捨てること)
- ③ 3年以上の生死不明
- ④ 回復しがたい精神病
- ⑤ その他上記に準ずるような重大な事情で、夫婦関係の継続を困難にするもの
仕事が忙しくて残業が多いことや夫の収入が低いことが、上記の①~⑤のいずれかに該当すれば裁判で離婚を認めてもらえます。
3-2.残業が多いだけでは離婚できない
夫の残業が多い場合に離婚原因となるのか、みていきます。
残業が多いことは上記の①~④に該当しません。
また残業が多くてもきちんと働いて家にお金を入れているなら夫婦関係を破綻させる事情はないといえるので⑤にも該当しません。
よって残業が多いというだけでは、法的な離婚理由になりません。
3-3.給料が低いだけでは離婚できない
夫の給料が低いことも離婚理由になりません。
そもそも夫婦には相互扶助義務がありますので、夫の給料が少なければ妻が収入を得るなどして生活を維持する努力をすべきです。
夫の給料が少ないからといって裁判で離婚することはできません。
3-4.そもそも給料が低くないならなおさら離婚できない
上記のアンケート結果を見ると、夫の年収が1,500万円以上の妻の多くが「給料が少ない」ことを理由に離婚したいと希望しています。
しかし現実に年収1,500万円以上であれば、決して給料は少なくありません。
一般的な男性の平均収入は500万円台であり、1,500万と言えばその3倍近くになっています。
このように客観的には「給料が少なくない」にもかかわらず、妻が主観的に「給料が少ない」と感じているからといって、離婚が認められないのは当然です。
3-5.協議や調停なら離婚可能
妻が夫の仕事に不満を抱いている場合、離婚できるケースもあります。
日本には、裁判離婚以外に「協議」や「調停」による離婚が認められています。
これらの離婚方法であれば、法律の定める離婚理由がなくても離婚が可能です。
協議の場合、夫婦が話し合ってお互いが離婚に納得すれば、離婚届を作成して役所に提出するだけで離婚できます。
家庭裁判所で調停を申し立てた場合にも、調停内で相手が離婚に合意すれば離婚が成立します。
「夫の仕事が忙しすぎてまったくコミュニケーションをとれていない」、「これ以上一緒にいてもお互いに意味がない」と感じるなら、夫との話し合いによって離婚を進めると良いでしょう。
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4.離婚する前に、仕事の問題について話し合ってみるべき
ここまで「夫の仕事を理由に離婚できるのか」という視点から話をしてきましたが、夫の仕事(残業や給料)に不満を持っている場合にいきなり離婚に進むのはおすすめではありません。
夫の不倫やDV、モラハラや長期間の別居など致命的な問題がなく、性格の不一致もないのに仕事上の問題だけで別れるのは、もったいないからです。
また年収が1,000万円や1,500万円というと、一般的な相場から比べると非常に多額であり、離婚後に同じ生活を維持するのは困難です。
勢いで離婚してしまい後悔する方も多数おられるので、拙速な判断は控える方が良いのです。
夫婦間の問題が夫の仕事だけであれば、一度夫とよく話をしてみましょう。
残業が多くて日頃からほとんどコミュニケーションをとれていないため不満を持っていること、給料が少ないと感じていることなどを素直に伝えれば、夫の方も考え直して二人で解決方法を探っていける可能性があります。
たとえば給料が多少減っても残業を減らしてもらい、二人の時間を確保できて生活が豊かになれば、さほど大きな不満を感じなくなる可能性があります。
現状「給料が低い」と感じていても、それは一人で殺伐とした生活を送っているからそう感じているのであり、二人で家族として仲良く生活できればそういった不満も解消される可能性は充分にあります。
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5.離婚した方が良いケース
夫の仕事に問題がある場合で、離婚した方が良いケースがあります。
それは、生活費をもらっていない場合やDV、モラハラ、不倫などの別の問題がある場合です。
夫の収入がどんなに高くても生活費をもらっていなければ妻は常に生活に窮します。
それでは「無収入」と同じ状況になってしまい、妻が苦しいのも当然です。
夫が妻に生活費を払わないのは「悪意の遺棄」として離婚理由にもなります。
夫が不倫している場合にも離婚理由になりますし、DVやモラハラを受けている場合にも離婚が認められます。
実際、高年収で外面の良い方が家でDV、モラハラ行為をすることはよくありますし、お金を持っているので不倫にも走りやすいなどの問題もあります。
こうした別の問題がある場合、我慢している必要はありません。
夫の年収が高く家の資産額も多ければ、多額の財産分与や慰謝料を獲得できる可能性も高いので、勇気を持って離婚に進めましょう。
離婚問題をお一人で抱え込むと苦しいものです。
当事務所では離婚や男女問題に積極的に取り組んでおり解決方法のノウハウも蓄積しておりますので、お気軽にご相談ください。
Authense法律事務所が選ばれる理由
Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。
離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
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