配偶者がうつ病になってしまったら、家の中の雰囲気は暗くなるでしょう。夫が仕事を辞めて収入が途絶えてしまったり、まるでこちらが悪いかのように責められたかと思えば「全部自分が悪い、死んだ方が良い」など言い出し自殺未遂をされたり、平穏な家庭生活を送るのが困難となる事例も多数あります。
目次
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1.うつ病が離婚原因になる条件
うつ病は、法律上離婚原因として認められているのでしょうか?
民法は、「回復しがたい精神病」がある場合に離婚を認めているので、まずはうつ病が「回復しがたい精神病」に該当するのかが問題です。
民法が定める「回復しがたい精神病」とは、将来にわたって回復する見込みがないほど強度な精神病を言います。
たとえば重度な統合失調症や躁うつ病、偏執病や若年性認知症などのケースで離婚が認められた事例があります。
うつ病の場合、相当重症で将来にわたって回復見込みがないのであれば「回復しがたい精神病」に該当する可能性もあります。
しかしうつ病は回復可能な病ですから、一般的には「回復見込みがない」とまで判断される例は少ないでしょう。
また、回復しがたい精神病を理由に離婚する場合、配偶者が相手を「これまで献身的に看護してきた」事情が必要です。
何もせずにいきなり病人を見放すような離婚方法は認められません。
さらに、離婚後相手が生活を営んでいける環境があることも必要です。
離婚後精神病を抱えた相手が路頭に迷うことがわかっていながら放置することは許されません。
以上のようなことから、夫や妻がうつ病の場合でも、そう簡単に離婚できるものではないといえます。
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2.相手がうつ病で離婚できるケースとは
相手がうつ病の場合、離婚できるケースもあります。
「回復しがたい精神病」以外の離婚原因があれば訴訟で離婚できますし、協議離婚や調停離婚であれば、法律上の離婚原因がなくても離婚可能です。
以下でどのような場合に離婚できるのか、具体的にご説明していきます。
2-1.長期間の別居状態
相手がうつ病になったせいで夫婦関係がうまくいかなくなり、長期間別居状態が継続しているケースでは、夫婦関係が破綻していると認定されて、離婚が認められる可能性があります。
2-2.お互いに修復する意思を失っている
夫婦が同居していても、完全な家庭内別居状態となっておりコミュニケーションも一切とらず、お互いに夫婦関係を修復する意思を失っていたら離婚が認められる可能性があります。
2-3.家出をされた
配偶者がうつ病になり、人生に嫌気がさして家族を見捨てて家を出てしまうケースがあります。
そのような場合「悪意の遺棄」という離婚原因が認められ、裁判で離婚できる可能性があります。
2-4.協議離婚
協議離婚とは、夫婦が自分たちで離婚届を作成して提出する離婚方法です。
協議離婚の場合、法律上の離婚原因がなくても離婚が認められるので、相手が離婚を受け入れて離婚届にサインをしたら、有効に離婚が成立します。
2-5.調停離婚
調停離婚とは、家庭裁判所の「離婚調停」で話し合いをして離婚する方法です。
うつ病の相手に対しても離婚調停を申し立てることは可能です。
調停内で調停委員を介して話しを進め、お互いが離婚に納得すれば調停離婚が成立します。
相手がうつ病でも離婚は可能です。
これ以上の婚姻生活の継続が厳しい状況となっているなら、真剣に検討してみてください。
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3.うつ病を理由に離婚する場合の慰謝料
相手のうつ病を理由に離婚する場合、基本的には慰謝料の請求は難しいでしょう。
慰謝料は、違法行為によって相手に精神的苦痛を与えたときに発生する損害賠償金です。
たとえば夫婦のどちらかが不貞(不倫)した場合や暴力を振るった場合、モラハラ行為をした場合などに慰謝料が発生します。
しかし相手は好きでうつ病になったわけではありません。
本人も苦しんでいるケースも多いでしょう。
うつ病になったのは違法行為ではないので、慰謝料は発生しません。
ただし、以下のような場合には慰謝料を請求できる可能性があります。
3-1.暴力や暴言が酷かった
うつ病とは無関係に、相手から暴力を振るわれてきたケースや暴言を受け続けてきたケースでは、慰謝料を請求できる可能性があります。
3-2.相手が一方的に家出をした、配偶者を見捨てた
うつ病になって家庭生活に嫌気がさすと、突然家族を見捨てて家出してしまう人がいます。
その場合、配偶者を「悪意で遺棄」したと認定され、慰謝料請求できる可能性があります。
収入のある夫が家に生活費を入れなくなった場合にも慰謝料が発生します。
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4.うつ病を理由に離婚する場合の親権
相手がうつ病の場合、子どもの親権はこちらに認めてもらえるのでしょうか?
一般的な感覚として、相手がうつ病なら親権者としては相当ではないので、うつ病でない側に親権が認められるようにも思えます。
しかし法律では「うつ病だから親権者になれない」とはされていません。
うつ病であっても、子どもを育てるのに支障のない程度であれば親権者として指定される可能性があります。
裁判所が親権者として適切かどうかを決める基準は、以下のようなものです。
- ・これまでの養育実績
- ・現在の子どもとの関係
- ・子どもが乳幼児なら母親を優先
- ・現在子どもと同居している親を優先
- ・離婚後、子どもと長く一緒に過ごせる親を優先
- ・住環境
- ・養育方針
- ・面会交流に対する考え方(積極的な方が有利)
- ・経済状態
- ・健康状態
うつ病が軽度なら、重く考慮されることはありません。
離婚後、子どもと長い時間を共に過ごせる親、現在子どもと一緒に平穏に暮らしている親などが優先されます。
一方うつ病が重度で子どもを育てるのに支障がある場合には、うつ病の配偶者には親権が認められにくくなります。
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5.うつ病の配偶者と離婚を進める手順
うつ病の配偶者と離婚することを決意したら、以下のような手順で離婚手続きを進めましょう。
5-1.相手に離婚を切り出す
うつ病の相手と離婚したいなら、まずは「協議離婚」を目指しましょう。
そのためには、夫婦で離婚について話し合ってお互いに合意する必要があります。
相手に離婚を受け入れさせるため、タイミングを見計らって離婚を切り出しましょう。
5-2.離婚条件を話し合って合意する
相手に離婚を了承させるためには説得が必要です。
離婚することだけではなく、親権や養育費、財産分与などの条件も決める必要があります。
5-3.離婚届を提出する
お互いに合意ができたら、離婚届と協議離婚合意書を作成しましょう。
離婚届を役所に提出すれば離婚が成立します。
5-4.合意できなければ離婚調停を申し立てる
話し合っても離婚に合意できない場合には、家庭裁判所で離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てます。
調停では、裁判所の調停委員が夫婦の間に入って離婚の話し合いを進めてくれます。
お互いに離婚することや離婚条件に合意できたら、調停が成立して離婚できます。
5-5.調停が不成立になった場合の対処方法
調停をしても相手が離婚に納得せず不成立になった場合、「離婚訴訟」を起こすしかありません。
訴訟で離婚を認めてもらうには、冒頭で説明した「法律上の離婚原因」が必要です。
もしも離婚原因がないのなら、しばらく別居して様子を見つつ、タイミングを見計らって協議離婚や再度の離婚調停を進めていく方が良いでしょう。
配偶者がうつ病になると、夫婦関係だけではなく、子どもにも影響が出始めるケースがあるものです。
「このままではいけない」と感じているのであれば、まずは離婚の専門家である弁護士までご相談ください。
Authense法律事務所が選ばれる理由
Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。
離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。
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