コラム
公開 2022.06.28 更新 2024.02.15

養育費を払わない方法はある?払わないとどうなる?罰則や請求方法を弁護士が解説

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子どもがいる状態で離婚をしたにもかかわらず、養育費を受け取っていない人は75%に上るといわれています。

では、離婚をした相手が養育費を支払わない場合、どのような対応を取ればよいのでしょうか?
また、養育費の未払いに罰則などはあるのでしょうか?

今回は、養育費が未払いとなった場合の対応や、養育費が支払われない場合の罰則などについて弁護士が詳しく解説します。

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養育費とは

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用です。

養育費が支払われている割合

未成年の子がいる状態で離婚をする場合、夫婦のどちらかが子の親権を持つことになります。
そのうえで、親権を持たないもう一方の親は、養育費を支払うことによって親としての責務を果たすこととなるでしょう。

しかし、養育費がきちんと支払われているケースは、さほど多くないのが現状です。
厚生労働省が公表している「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子家庭のうち養育費を受けている世帯の割合は、28.1%にすぎません。
父子家庭に至っては、養育費の支払いを受けている世帯はわずか8.7%です。

養育費の支払いは「義務」

そもそも養育費の支払は「義務」

養育費の支払いは、離婚に伴って夫婦間で取り決めることが一般的です。
そもそも、養育費は親権を持った親から強く請求されなかったからといって、支払わなくてよいような性質のものではありません。

養育費は、子の親として、子に対する生活保持義務として支払うべきものです。
夫婦が離婚をしても、子は引き続き父母の子であることには変わりはなく、親権を持たなかったからといって親としての責務を放棄することは許されません。

このように、本来養育費の支払いは親としての義務なのです。

いくら支払う?

養育費の額は、法律で明確な金額が決められているわけではありません。
そのため、まずは夫婦間で話し合って金額を決めることとなります。

夫婦間で合意できれば、いくらでも構いません。
一般的な金額は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」が参考となります。

夫婦間で話し合いがまとまらず、裁判所が判断する場合は、この算定表を基準とするためです。

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贈与税がかかる場合もある

本来、養育費には贈与税はかかりません。
ただし、養育費を子の養育のため以外に使用したと税務当局に判断された場合、例外的に贈与税の対象となることがあるため注意が必要です。

たとえば、名目は養育費であったとしても、そのお金でマンションや土地を購入した場合などが挙げられます。

また、養育費を一括で受け取り、預金したり株式投資の元手にしたりした場合にも贈与税の対象となるリスクがあります。

いつまで支払う?

原則として、養育費の支払い義務は子が成人するまでです。
子が複数いる場合は、それぞれの子が成人するまでの期間、支払い義務があります。

ただし、夫婦間の話し合いでこれと異なる取り決めをしても構いません。
たとえば、「大学を卒業する月まで」などと定めることも多く、そのように取り決めた場合は、実際に大学を卒業するまでの間、支払い義務が継続されます。

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時効はある?

当初取り決めた養育費を相手が支払わない場合、本来の支払い時期から時間が経つと時効にかかってしまいます。

原則として、養育費の消滅時効は5年です。
ただし、調停や審判において決められた養育費消滅時効は5年ではなく10年となります。

養育費の支払いは義務であるものの、不払いの状態が長期にわたると、時効により請求ができなくなってしまうため注意が必要です。
また、時効完成前であっても、あまりに長期間不払いの状態が続くと、相手方に請求したとしても不払い分をまとめて支払えるだけの資力がなく、結局は取りそこねてしまう可能性があります。

養育費の支払いが滞った際は、早い段階で弁護士へ相談し、早期の解決を図ることが重要です。

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養育費が支払われない・未払いの場合に罰則はある?

養育費が支払われていない場合や未払いとなっている場合、罰則などにはあるのでしょうか?
これに関する回答は次のとおりです。

養育費の不払いに罰則はない

養育費の支払いは親としての責務です。
しかし、養育費を支払わなかったからといって、これが原因で逮捕されたり刑に処されたりすることはありません。
養育費の不払いは、あくまでも民事の世界の話であり、刑事罰に該当するわけではないためです。

財産が差し押さえられる可能性がある

相手方と取り決めをしたにもかかわらず養育費の不払いを続けた場合、相手方から強制執行を申し立てられる可能性があります。
強制執行とは、支払うべき債務を支払わない者の財産や給与などを裁判所が差し押さえ、強制的に義務を履行させる手続きです。

強制執行がなされると、財産が強制的に支払いに充てられるのみならず、手続きの過程で勤務先などにトラブルが知られることになります。

財産開示手続の陳述拒否や虚偽陳述には罰則がある

強制執行をしようにも、財産の所在や勤務先などの情報がわからないと差し押さえは困難です。
そのような場合は、強制執行に先立って「財産開示手続」を行います。

財産開示手続とは、債務者(養育費の支払い義務者)が持つ財産の情報を、債務者に開示させる制度です。
以前はこの手続きに出頭しなかったり虚偽の申告をしたりしても30万円以下の過料の対象となるのみであったため、債務者が出頭しないことが多く実効性が疑問視されていました。

この制度が2020年に改正され、陳述拒否や虚偽陳述の罰則が6か月以下の懲役または50万円以下の罰金へと引き上げられました。
また、第三者からの情報取得手続も追加され、裁判所が行政機関や金融機関などに問い合わせて、債務者の預貯金や給与債権などの情報の開示を求めることが可能となっています。

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養育費を支払わない相手への請求方法

相手が養育費を払わない場合の請求方法は次のとおりです。

公正証書がある場合

養育費の支払いについて公正証書で取り決めている場合は、その公正証書をもとに強制執行を行います。
具体的には、地方裁判所へ申し立てを行い、給与や不動産など相手の財産を差し押さえてもらう流れとなります。

ただし、相手の財産が不明である場合は、強制執行に先立って財産開示請求などによる財産の調査が必要です。

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離婚協議書がある場合

養育費に関する公正証書はなく、夫婦間で取り決めた離婚協議書のみがある場合は、その書類のみをもって直ちに強制執行をすることはできません。
この場合は、改めて養育費調停や審判を申し立てたり、訴訟を提起する必要があります。

夫婦間で取り決めた離婚協議書に法的な効力があると認められれば、原則としてその内容を踏まえて調停や審判が進んでいく可能性が高いでしょう。
相手方には、この調停や審判の結果に従って養育費を支払ってもらうこととなります。
それでも支払わない場合は、強制執行をすることが可能です。

口約束の場合

公正証書も離婚協議書もなく、単に口約束のみで養育費を取り決めている場合は、改めて養育費調停や審判を申し立てる必要があります。
離婚協議書がある場合とは異なり、拠りどころとなる証拠がないため、離婚協議書がある場合と比べて解決までにさらに時間がかかる可能性が高いといえます。

調停や審判で養育費の支払い金額などが決まったら、それに従って支払ってもらうことになり、支払わない場合は強制執行を行います。

裁判所へ申し立てて養育費を請求する方法

裁判所へ申し立てて養育費を請求する方法

裁判所へ申し立てて養育費を請求する方法には、次の3つが挙げられます。

履行勧告

履行勧告とは、調停や審判で決めた養育費を相手が支払わないような場合に、家庭裁判所から相手に対して養育費支払いの「勧告」をしてもらう制度です。
法的な拘束力はありませんが、裁判所から直接履行を勧告されることで、相手方に心理的プレッシャーを与える効果を期待できます。

ただし、履行勧告は養育費についての具体的な取り決めが家庭裁判所での調停や審判等で行われた場合にのみ利用できる制度です。
それ以外の場合は利用することはできません。

履行命令

履行命令とは、調停や審判で決めた養育費を相手が支払わないような場合に、家庭裁判所から相手に対して養育費支払いの「命令」をしてもらう制度です。
従わなくても特に罰則のない履行勧告とは異なり、履行命令に従わない場合は10万円以下の過料が課せられます。

履行命令も、養育費についての具体的な取り決めが家庭裁判所での調停や審判等で行われた場合にのみ利用できる制度です。
それ以外の場合に利用することはできません。

強制執行

強制執行とは、裁判所が相手方の財産や給与などを差し押さえて、義務を履行させる手続きです。
強制的に差し押さえが行われるため、養育費不払いへの対処方法としてはもっとも強い効果を期待できます。

強制執行を行うことができるのは、養育費についての具体的な取り決めが裁判所での調停、審判、判決や和解で行われた場合と、養育費について公正証書で取り決めをしている場合です。
この点から、養育費についての取り決めを公正証書にしておくことは、非常に強い強制力を持つといえます。

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養育費と面会交流との関係

養育費を支払わない理由として、面会交流が希望どおりに実現しないことが挙げられることがあります。
しかし、養育費の支払いと面会交流とが紐づいているわけではなく、養育費の滞納理由が面会交流への不満にあったとしても強制執行を避ける理由とはなりません。

面会交流が実現していない場合は、面会交流の実現を裁判所を通じて求める方法があります。

面会交流が実現しないからといって養育費を滞納することは避けるべきです。

養育費を払わなくてよい場合

さまざまな事情によって、養育費を支払いたくないと考えることもあるかもしれません。
しかし、根拠もなく養育費の支払いを免れる方法はありません。

一方で、事情により、養育費の減額や免除が認められるケースはあります。
これについては、次で解説します。

なお、減免ができる場合に当てはまるからといって、勝手に養育費の支払い額を引き下げたり滞納したりすることは避けましょう。
養育費を減免するには、相手との合意か裁判所による審判が必要です。

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養育費の減額・免除が認められるケース

一度取り決めた養育費の減額や免除が認められる場合はあるのでしょうか?
ケースごとに解説します。

再婚した場合

養育費を支払っている側が再婚した場合はもちろん、親権を持つ側の親が再婚をしたからといって、それのみをもって養育費の支払い義務が消滅するわけではありません。
相手が再婚をしたとしても、子が自分の子であることには変わりないためです。

ただし、子が親権者の再婚相手の養子となった場合は、養育費の減額や免除が認められる可能性が高くなります。
詳しくは、関連リンクをご確認ください。

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義務者が自己破産した場合

養育費の支払い義務者が自己破産した場合は、既に支払い義務が発生して滞納している養育費と、今後新たに支払い時期が到来する養育費とに分けて考える必要があります。

既に義務が発生している金融機関からの借入金などは、自己破産により免除(免責)の対象となります。
しかし、養育費支払請求権は非免責債権とされており、自己破産をしても免責されません。

また、今後新たに支払い時期が到来する養育費も、自己破産によって当然に減免されるわけではありません。

義務者死亡の場合

養育費の支払い義務は、相続される性質のものではありません。
養育費の支払い期間中に養育費の支払い義務者が亡くなった場合は、養育費を受け取ることはできないと考えてください。

ただし、子は亡くなった義務者の相続人となり、財産を相続する権利があります。
また、養育費を受け取っていた子が遺族年金を受け取ることができる可能性があるため、確認するとよいでしょう。

養育費の減額・免除の流れ

養育費は、再婚や自己破産などで当然に減免されるわけではありません。
しかし、養育費について取り決めた時点から大きく事情が変わった場合は、養育費の減免が認められる可能性があります。

養育費の減免には、次の3つの方法があります。

  • 当事者同士での話し合い
  • 家庭裁判所での養育費減額請求調停:裁判所で行う話し合いです。
  • 家庭裁判所での養育費減額請求審判:裁判所が減免の可否や変更後の金額を決める手続きです。

まずは当事者同士で話し合いをし、合意ができればその内容に従います。
当事者同士での話し合いがまとまらない場合は、調停や審判を利用しましょう。

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養育費を支払いに関するよくある質問

養育費の支払いにまつわるよくある質問とその回答は次のとおりです。

養育費は遡って請求できる?

養育費について取り決めをしないまま離婚をした場合、後から遡って養育費の請求をすることはできるのでしょうか?

実務上、養育費を遡って請求することは困難であり、請求時点からの分が請求の対象となります。
そのため、養育費について取り決めをしていない場合は、できるだけ早期に養育費の請求を行うようにしてください。

一方で、養育費の取り決めをしたものの、その後滞納された場合は、取り決め後の滞納分を遡って請求することが可能です。
ただし、本来の支払い時期から5年(養育費について調停や審判で取り決めた場合には10年)を経過すると、義務者が時効を主張した場合は権利が消滅します。

また、長期間の滞納分を合計するとまとまった金額となりやすく、相手方の資力が不足して取り立てができないリスクも高くなります。

養育費を一括で受け取ることは可能?

養育費は、毎月など定期的にやり取りすることが一般的です。
では、将来分の養育費をまとめて受け取ることはできるのでしょうか?

まず、裁判所が養育費を一括で支払うべきとの審判や判決をすることはほとんどありません。
一方で、当事者間の合意によって養育費を一括払いとすることは可能です。

ただし、養育費を一括払いで受け取る場合は、これに対して贈与税が課される可能性があります。
あらかじめ税理士などの専門家にご相談ください。

養育費の未払い問題は弁護士に相談すべき理由

養育費の未払い問題は弁護士に相談すべき理由

相手が養育費を支払わない場合は、早期に弁護士へご相談ください。

一度や二度、うっかりミスで支払いが遅延した程度であればまだしも、数ヶ月に渡る滞納や支払遅延の常態化が起きているような場合、本人が直接交渉したところで改善される可能性は低いためです。
また、自分で無理な請求をしてしまうと、相手が財産を隠して逃げるなどして、余計に取り立てが難しくなってしまうリスクもあります。

養育費の未払い問題を弁護士に相談することで、その後の強制執行も踏まえた法的な対応が可能となります。

養育費の受け取りは、子の権利です。
必要な養育費をきちんと支払ってもらうために、早期に弁護士へご相談ください。

まとめ

養育費の支払いは親としての責務です。
たとえ親が離婚をしたとしても、親権を持たなかった側の親が親でなくなるわけではないためです。

それでも相手方が養育費を支払わない場合は、早期に弁護士へ相談したうえで、厳正な対処をするようにしましょう。
対応が遅れてしまうと、取り立てが難しくなる可能性が高くなってしまいます。

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記事を監修した弁護士
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弁護士 
(神奈川県弁護士会)
早稲田大学法学部卒業、早稲田大学法学部法務研究科を修了。これまで離婚、相続など個人の法律問題に関する案件を数多く取り扱い、依頼者の気持ちに寄り添った解決を目指すことを信条としている。複数当事者の利益が関わる調整や交渉を得意とする。現在は不動産法務に注力。
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