法律事務所オーセンスの離婚コラム

ワンオペ育児に限界で離婚できるのか?慰謝料や親権についても弁護士が解説

ワンオペ育児に限界で離婚できるのか?慰謝料や親権についても弁護士が解説

最近「ワンオペ育児」に不満を持つ女性が増えています。ワンオペ育児とは、家事や育児の負担が夫婦の一方にすべてのしかかる状態です。

実際ワンオペ育児を理由として離婚できるものでしょうか?その際、慰謝料や親権などはどうなるのかなど、正しい知識をもっておきましょう。

今回はワンオペ育児を理由とした離婚について、弁護士が法的な視点から解説します。

1.ワンオペ育児とは

ワンオペ育児とは、夫婦の片方に家事と育児のすべての負担がかかることです(多くは女性にかかっています)。ワンオペとはもともと「ワンオペレーション」つまり飲食店の店員がすべての作業を行って店を切り盛りすることを意味します。夫婦の一人が家事育児を一手に背負う状態は、飲食店ですべての作業を行う店員の姿と重なるので「ワンオペ育児」といわれるようになりました。

従来の日本では、女性が専業主婦の場合にワンオペ育児となるケースが多々ありましたし、むしろそれが「普通」という意識もありました。専業主婦の場合、仕事をしていない分家事と育児に労力を注ぎ込むことができましたし、日本では「夫は外で働いて妻は家で家事と育児をする」というステレオタイプな意識が根付いていたので、あまり不満が外に噴出するケースはありませんでした。

しかし今は時代が変わっています。女性が社会進出し、男性と同等やそれ以上にキャリアを積んで活躍している例も珍しくありません。主婦でもパートやアルバイト、契約社員などで働いて兼業主婦となっている方が多数です。

それでも相変わらず「家事育児については女性が行うもの」という意識が消えないので、働く女性に家事育児の一切がのしかかり、不満を抱いた女性たちが「ワンオペ育児」と表現するようになったのです。そんな「ワンオペ育児」はネガティブワードでもあります。

2.ワンオペ育児で離婚したくなる理由

最近では、ワンオペ育児を理由に離婚を考える女性が増えていると言います。理由は以下の通りです。

2-1.家事や育児に非協力的な夫を信頼できない

ワンオペ育児のケースでは、夫は家事や育児に協力しません。妻が不満を述べても聞き入れない夫も多く、妻は非協力的な夫に不信感を抱きます。ケンカも増えて結婚生活が苦しくなり、離婚を望むようになります。

2-2.収入があり、夫がいなくても充分生きていける

ワンオペ育児に不満を感じる女性は、自分自身も職を持っているケースが多数です。むしろ夫よりも収入の高い方も珍しくありません。

自分の方が高い収入を得ているのに家事も育児も全部しているとなると、不満を抱くのも当然です。離婚しても一人で充分子どもを育てていけると考えるので離婚に積極的になりやすいのです。

2-3.心身共に限界となる

ワンオペ育児をしていると、自分の仕事と家事、育児に追われて心身共に疲弊します。寝不足などがたたって体調を崩すこともありますし精神的にうつ状態となるケースもあります。
心身共に限界となり、夫との離婚を希望するようになります。

3.ワンオペ育児で離婚できるケースとできないケース

ワンオペ育児を理由とした離婚は認められるのでしょうか?

3-1.離婚できるケース

ワンオペ育児が理由で離婚できるケースは以下の通りです。

・協議離婚で相手が離婚に同意した

協議離婚で相手が離婚に合意した場合には、離婚できます。協議離婚では離婚原因が何であれ、夫婦が双方とも離婚に納得していたら離婚できるからです。役所で離婚届をもらってきて夫婦の双方がサインして必要事項を記入して提出すれば、それだけで離婚が成立します。

・調停離婚で相手が離婚に同意した

調停離婚でも、相手が離婚に合意したら離婚可能です。調停離婚も夫婦が話し合いをして離婚する手続なので、離婚理由は問われないからです。ワンオペ育児であれ他の理由であれ、夫婦の双方が納得していたら調停が成立して離婚させてもらえます。裁判所から届いた「調停調書」を持参して役所に行き、一人で離婚届を出せば離婚が成立します。

3-2.離婚できないケース

一方離婚できない可能性があるのは以下のようなケースです。

・相手が離婚に応じないケース

協議でも調停でも、相手が離婚に応じなければ離婚できません。勝手に離婚届を偽造して提出しても無効ですし、場合によっては犯罪になってしまいます。
調停で相手が頑なに離婚を拒む場合、話しが平行線になるので調停は不成立になって離婚できません。

・訴訟で法律上の離婚理由がないケース

協議でも調停でも離婚できない場合、最終的に離婚訴訟を起こして裁判所に離婚を認めてもらう必要があります。

ただ、離婚訴訟で離婚を認めてもらうのは簡単ではありません。裁判所は以下の5つの法律上の離婚理由のうち1つ以上がないと離婚を認めないからです。

  • ①不貞(不倫)
  • ②悪意の遺棄
  • ③3年以上の生死不明
  • ④回復しがたい精神病
  • ⑤その他婚姻生活の継続を困難とする、上記の4つに準ずるほど重大な事由

ワンオペ育児は、通常上記の5つのどれにもあてはまりません。

3-3.離婚訴訟で離婚できるケースとは

離婚訴訟で離婚したければワンオペ育児以外の離婚原因が必要です。たとえば相手が不倫して家庭を顧みずワンオペ育児状態になっている、相手が生活費を入れない、家出した、相手が暴力を振るう、モラハラ被害を受けている、などの事情があれば離婚できる可能性があります。

5.ワンオペ育児で慰謝料請求できるケースとできないケース

ワンオペ育児で離婚する場合、慰謝料を請求できるのでしょうか?

5-1.基本的には慰謝料請求できない

ワンオペ育児の場合、多くは協議や調停における合意によって離婚するものと考えられますが、その場合、慰謝料請求は困難です。慰謝料は、離婚原因を作った有責性がある配偶者に支払い義務が発生するものです。相手が家事育児をしないのでワンオペ育児状態になったというだけでは、慰謝料が発生するほどの有責性は認められにくいといえます。

協議や調停で離婚する場合、財産分与や養育費の請求はできますが慰謝料は基本的に請求できません。

5-2.ワンオペ育児で慰謝料請求できるケース

ワンオペ育児離婚する場合でも相手が不倫や家出をした場合や暴力、モラハラ被害を受けている場合には相手に有責性が認められ、慰謝料が発生します。
裁判において上記で示した事実を立証すれば、離婚判決で相手に対する慰謝料の支払い命令を出してもらえます。

6.ワンオペ育児と親権、養育費

ワンオペ育児で離婚するとき、子どもの親権はこれまでワンオペで育児を担ってきた配偶者に認められる可能性が高いといえます。

裁判所では子どもの親権を決めるとき、これまでの養育実績と今後子どもと密接に関わって良い関係を築いていけるかを重視しています。ワンオペ育児で子どもを一手に引き受けていた方は当然養育実績が高くなります。またこれまで子どもを育ててきたのですから、今後も子どもと良い関係を築いて適切に養育していける蓋然性が高いと言えるでしょう。
反対に、これまで非協力的だった相手に親権を認める理由はありません。

ワンオペ育児で離婚するとき、相手が「子どもを渡さない」などと言い出しても、親権はあなたに認めてもらえる可能性が高いので安心しましょう。

また親権者になったら子どもが20歳になるまで養育費を請求できます。きちんと公正証書や調停で取り決めておけば、相手が不払いを起こしたときにも差押えによって回収できます。

まとめ

ワンオペ育児状態は心身共に負担がかかるので、追い詰められて「離婚したい」と考えてしまうものです。ただ離婚だけが解決方法ではありません。
まずは親や行政機関、カウンセラーのサポートを利用したりパートナーと話し合ったりして、状況改善を目指しましょう。それでもどうしても夫婦関係を維持できないなら、弁護士がサポートしますのでお気軽にご相談にお越し下さい。

このコラムの監修者

平沼夏樹 弁護士(第二東京弁護士会所属)

弁護士法人法律事務所オーセンス

弁護士平沼 夏樹(第二東京弁護士会所属)

京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。

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