コラム

公開 2020.04.28 更新 2023.11.14

離婚原因で多いのは「お金」?お金の問題で離婚する場合のポイント

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お金に関する問題が原因で離婚したいと考えているけれど、「お金が原因で本当に離婚できるのか…」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
今回は、夫婦間でお金のトラブルを抱えている人が、スムーズに離婚するための基礎知識やポイントを解説いたします。

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1年間に何組離婚する? 数字で見る日本の離婚

近年日本では3組に1組の夫婦が離婚しているといわれています。しかしこれは事実なのでしょうか。
厚生労働省が発表している「人口動態統計」と裁判所が出している「婚姻関係事件数 申立ての動機別」によると、平成29年の離婚に関する数値は以下のようになっています。

  • 離婚件数
  • 212,262件
  • 同居期間別離婚件数
  • 5年未満:66,491件
    5〜10年未満:42,333件
    10〜15年未満:28,226件
    15〜20年未満:22,950件
    20年以上:38,285件
    同居期間不詳:13,977件
  • 離婚率
  • 1.70(人口千対)
  • 妻からの婚姻関係事件の申立て件数
  • 47,807件
  • 夫からの婚姻関係事件の申立て件数
  • 17,918件

3組に1組が離婚しているといわれているのは、単純に婚姻件数と離婚件数の比較から導き出されたもので、年々婚姻数が減っていることが大きく関係しています。
実際の離婚率自体は、2000年代初頭に比べると下がってきてはいるのですが、それでも2017年(平成29年)には21万組以上が離婚しているのです。

特に結婚してから5年未満に離婚した件数は6万6000組以上にものぼります。
また、熟年離婚という言葉も知られていますが、結婚して20年以上経つ夫婦の離婚件数は4万件近くになっており、長い婚姻関係に終止符を打つ夫婦も増えています。
また、裁判所に申立てを行っているケースだけを見てみると、女性から離婚を申立てているケースが、男性側からに比べると倍以上あることもわかります。

※参考:厚生労働省 平成29年人口動態統計月報年計(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/gaikyou29.pdf

※裁判所 婚姻関係事件数 申立ての動機別(平成29年度)
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/024/010024.pdf

離婚原因は何が多い? 離婚原因TOP10

離婚の原因TOP5

裁判所が毎年発表している「婚姻関係事件数 申立ての動機別」の平成29年度版によると、離婚の原因のランキングは以下のようになります。なお、男女の合計でランキングをしています。

  • 1位:性格が合わない
  • 2位:精神的に虐待する
  • 3位:生活費をわたさない
  • 4位:暴力を振るう
  • 5位:異性関係
  • 6位:浪費する
  • 7位:性的不調和
  • 8位:家族親族と折り合いが悪い
  • 9位:家庭を捨てて省みない
  • 10位:酒を飲み過ぎる

離婚原因の1位となっているのは、「性格が合わない」です。
俗にいう性格の不一致ですが、性格の不一致という言い方は漠然としたもので、趣味が合わないことで離婚する人もいれば、生活するうえでの価値観が合わずに離婚する人もいます。
この理由を挙げている人の男女の割合は、男性が37%、女性が63%です。

2位は「精神的な虐待」です。最近はモラハラという言葉も使われるようになりました。
配偶者から日々心無い言葉を浴びせられることで、精神的にまいってしまう人もいますし、怒りを物にぶつけられて日々怯えて過ごしている人もいます。
この理由を挙げているのは、男性23%、女性77%です。

3位の理由は「生活費をわたさない」です。
この理由を挙げている人の男女の割合は男性5%、女性95%と圧倒的に女性が感じている離婚原因です。
一切の生活費を入れてもらえないために、生活が困窮し、生活費を入れるように訴えると「お金の管理がまかせられない」などと文句をいわれて、責任転嫁されるケースもあります。子育てで収入がない女性が、こういった状況に陥ることが多いようです。

6位には同じくお金に関する離婚原因である、「浪費する」が入っています。
この理由を挙げているのは、男性31%、女性69%で、同じお金に関する離婚原因である「生活費をわたさない」に比べると、比較的男性も感じている離婚原因です。何を持って浪費と判断するのかは、その家庭の収入によっても変わってきますが、収入に比べて支出が多く、預貯金ができない、生活が維持できないといった場合に、「浪費」が離婚原因となるようです。

もちろん離婚原因は1つでないことが多いですが、この統計は離婚の申立てに至った原因を3つまで挙げる方法で統計を取っています。
ランキングの10位以内に2つもお金に関することが入っているということからも、「お金」が原因で離婚する人が比較的多いことがわかるのではないでしょうか。
このランキングには入っていませんが、配偶者がギャンブルに溺れてしまったり、多額の借金を背負ったりすることなども離婚原因として挙げられます。

お金の問題が理由で裁判離婚できる?

離婚をする場合、協議離婚、調停離婚又は裁判離婚をすることになります。協議離婚とは「話し合いで離婚に双方が合意し離婚すること」です。現在日本で離婚する夫婦の約90%が協議離婚をしていて、合意ののちに離婚届を提出することで成立します。

次に、調停離婚とは、「家庭裁判所での話し合いの手続きを用いて離婚すること」です。
そして、裁判離婚とは、協議離婚や調停離婚が成立しなかった場合に、「訴訟を起こして裁判所の判断によって離婚が決まること」です。離婚するために裁判を起こす場合、法定離婚事由というものが必要になります。法定離婚事由とは、民法によって定められた5つの原因のことです。

5つの原因は

  • ・配偶者の不貞行為
  • ・配偶者からの悪意の遺棄
  • ・配偶者が強度の精神病にかかり、回復が見込めない
  • ・配偶者の生死が3年以上不明
  • ・その他婚姻を継続し難い重大な事由

に分類されています。

これを見るとわかりますが、法定離婚事由にはお金に関することを直接的な事由とする表現がありません。お金の問題が原因で離婚を希望しかつ裁判離婚を目指す場合は、自分のケースがどの法定離婚事由にあたるのか考えて、訴訟を起こすことになります。

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離婚原因が「お金」の場合の法定離婚事由

お金が根本的な原因で離婚を考えていて裁判離婚をする場合、離婚原因がどの法定離婚事由に当てはまるのか考える必要があります。お金に関する離婚原因の代表的なものを紹介しながら、それぞれどの法定離婚事由にあたるのか解説します。

生活費をわたさない

離婚原因の第3位にもなっている「生活費をわたさない」ですが、収入があるにも関わらず生活費を渡してもらえず、経済的に追い込まれている場合、法定離婚事由は「悪意の遺棄」又は「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとして離婚を請求できる場合があります。

浪費 / ギャンブル

配偶者が浪費を繰り返していたり、ギャンブルに溺れてしまったりした場合で、生活費を十分に渡してもらえないのであれば、「悪意の遺棄」又は「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するとして離婚を請求できる場合があります。

ただし、単に、浪費やギャンブルによるお金の使い込みといった問題があるだけでは、法定離婚事由にはあたりません。そのため、このような問題による離婚事由を裁判所に認めてもらうためには、遊興費の性質を具体的に主張するほか、具体的な状況から、どれだけ婚姻関係の継続が困難になっているかを裁判所に示す必要があります。

多額の借金

多額の借金ができてしまった原因が、生活に必要な費用によるものだった場合、どの離婚事由にも該当しない場合がほとんどです。配偶者は借金を作ってしまったものの、それは家庭を支えるためであり、責めるべき行為ではないと考えられます。

一方、借金が配偶者個人の浪費やギャンブルによるものであり、生活費を圧迫している場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして離婚を請求できる場合があります。

無就労

配偶者が、病気その他の事情により就労できない場合には、離婚事由に該当しない場合と考えられますが、配偶者が、正当な理由なく、長期間にわたって定職に就かず、浪費を繰り返す場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして離婚を請求できる場合があります。

今回紹介したのは一例ですから、そこから派生して暴力や精神的虐待があるかどうかなど、法定離婚事由は複合的に考えられることもあります。これに関しては、弁護士と相談しながら最良のものを見つけるのがよいでしょう。

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お金の問題で離婚する場合のポイントは?

お金が原因の離婚で注意するポイント

お金が原因となって離婚裁判をすることとなった場合、どのような点に気をつけて離婚を進めていけばよいのでしょうか。

裁判に備えて用意しておくべきもの

これはどんな裁判離婚でもそうですが、裁判で離婚を決める場合、大切となってくるのが証拠です。
たとえば生活費を入れてもらえないことでの離婚を求めるのであれば、生活費が入っていないことがわかる通帳のコピーや、相手とのやりとり、家計簿などが証拠となります。
それ以外には、借金をしている証拠や、相手の浪費を立証する証拠なども有効です。

裁判離婚に至るまで

裁判離婚をする場合、もちろん弁護士に依頼せず、自分で訴訟を行うことも可能です。
もっとも、訴状や証拠の準備にも時間と労力が掛かる上、精神的にとても大きな負担がかかります。また、法律に関する知識不足から、不利な状況になってしまう可能性もあります。そのため、裁判離婚にあたっては、弁護士に相談してみることをおすすめします。

離婚に備えて別居するなら婚姻費用を請求する

裁判離婚をする前に別居をする場合、もしくは配偶者がすでに家を出てしまっている場合、婚姻費用が請求できます。夫婦は婚姻関係にある以上、双方に扶助義務があり、同じレベルの生活を営めるよう配慮する義務を負います。
もし別居して家計が別になる場合は、配偶者に婚姻費用を請求して、裁判中の生活費用を確保しましょう。

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まとめ

お金の問題が原因で離婚する場合、離婚後の生活にも不安が残ることでしょう。離婚を考え始めた段階から、相手に請求できるお金や財産分与についても考慮しておくことをおすすめします。

もっとも、相手に多額の借金がある場合は、慰謝料の支払いは見込めませんし、財産がない限り財産分与もありません。離婚を考え始めた段階から、できる限り安定した収入を得るための仕事や、実家など当面の生活ができる場所を見つけておくことも大切です。

納得いく形で裁判離婚を成立させ、新しいスタートを切れるよう、離婚するときは、弁護士などの専門家に相談することも視野に入れておきましょう。

Authense法律事務所が選ばれる理由

Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
これまでに蓄積した専門的知見を活用しながら、交渉のプロである弁護士が、ご相談者様の代理人として相手との交渉を進めます。
女性弁護士が数多く在籍しており、面談予約時に「弁護士性別」をご希望いただくことも可能です。

弁護士らで構成する離婚専任チーム

離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。

私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。

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記事を監修した弁護士
Authense法律事務所
弁護士 
(第二東京弁護士会)
早稲田大学法学部卒業(3年次卒業)、東京大学大学院法学政治学研究科修了。企業法務から、離婚、相続問題を中心とした一般民事事件、刑事事件など幅広く取り扱う。
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