子ども連れでの離婚は、子どもがいない夫婦の離婚と比較して行うべきことが多くなります。
では、子ども連れでの離婚は、具体的にどのような準備をする必要があるのでしょうか?
また、どのような点に注意する必要があるのでしょうか?
今回は、子ども連れでの離婚でやるべきことや注意点、子ども連れの離婚で弁護士にご相談いただくメリットなどについて、弁護士が詳しく解説します。
目次
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子連れでの離婚のやることリスト:離婚前
子連れの離婚では、相手との協議の際に次のような取り決めをしましょう。
親権者を決める
未成年の子どもがいたら、離婚後の親権者を決めなければなりません。
こちらが親権を取得したいと希望して、相手が譲ってくれるなら簡単に決まるでしょう。
しかし、相手も親権を希望する場合、どちらが親権者となるのか話し合って決めなければなりません。
これまでの養育実績、離婚後の養育環境、現在の生活状況、子どもの意思などを考慮して「子どもの利益になるのはどちらの親か」という視点から親権者を決定しましょう。
養育費の約束をする
子どもの親権者になる場合、相手に養育費を請求できます。
養育費の金額については裁判所の定める相場があるので、事前に調べましょう。※1
その上で、相手と話し合って了承を得て、養育費を払ってもらえるようきちんと取り決める必要があります。
面会交流方法を取り決める
親権者にならないとしても、子どもとの「面会交流権」が認められます。
面会交流の方法を決めておかないと離婚後に要求されてトラブルになるケースもあります。
離婚時に現実的に実現可能な方法を取り決めておきましょう。
離婚協議書を作成
協議離婚するなら、離婚条件をまとめた離婚協議書を作成すべきです。
書面化しないと、後に約束が守られないリスクが高くなります。
なお、離婚協議書は「公正証書」にしましょう。
離婚公正証書を作成しておくと、相手が養育費を支払わないときにすぐに相手の給料や財産の差し押さえができるため安心です。
子連れでの離婚のやることリスト:離婚時
続いて、子連れでの離婚時にするべき項目について解説します。
離婚届の提出
協議離婚するには、役所へ離婚届を提出する必要があります。
夫婦の双方が自署で署名押印をして必要事項を記入し、2人の証人にも署名押印してもらった上で役所へ提出しましょう。
離婚後の戸籍
婚姻時の戸籍で筆頭者でない側は、離婚後の戸籍をどのようにするか決めなければなりません。
元の戸籍に戻るか、自分一人の新しい戸籍を作るかどちらかを選べます。
婚姻時に筆頭者でなかった側が子どもの親権者となり、子どもを自分と同じ戸籍に入れたい場合には、新しい戸籍を作成する必要があります。
自分一人の戸籍を作る場合は、新しい本籍地も指定しなければなりません。
離婚届提出時までに、どこにするか考えておきましょう。
離婚後の姓
婚姻時に姓を変更した側は、離婚後の姓を選べます。
婚姻時の姓を名乗りたい場合には役所で「婚氏続称届」を提出しましょう。
提出しなければ自動的に元の姓に戻ります。
なお、婚氏続称届は離婚後3ヶ月以内に提出しなければなりません。
期限を過ぎると家庭裁判所で「氏の変更許可申立」という手続きをしなければならないため、続称を希望するなら、離婚届と同時に婚氏続称届を提出する等、早めに対応することをおすすめします。
子連れでの離婚のやることリスト:離婚後
子連れ離婚の場合、離婚後に次のような手続きが必要です。
健康保険や年金の手続き
相手の社会保険の被扶養者となっていた方は、離婚後に健康保険や年金の加入手続きをしなければなりません。
親権者になる場合は、子どもの健康保険を変更する必要がある可能性もあります。
勤務先の社会保険に入れる場合は、勤務先で手続きをしてもらえます。
国民健康保険に入る場合は、元配偶者に「資格喪失証明書」を取得してもらい、役所で国民健康保険加入の手続きをしましょう。
子どもの分も一緒に手続きできます。
年金については、年金事務所で国民年金加入の手続きを行いましょう。
住民票の異動、世帯主の変更
離婚して住所が変わる場合は、住民票を異動させなければなりません。
同一市町村内の異動か他の市町村への異動かで手続きが異なります。
相手が出ていって世帯主が変わる場合、世帯主変更の手続きをしましょう。
子どもの戸籍と姓の変更
婚姻時の戸籍の筆頭者でない側が親権者になる場合、子どもの戸籍と姓に注意が必要です。離婚後も子どもの戸籍は筆頭者の戸籍に留まり、姓も同じままです。
その場合に親権者の姓に変更するには、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」をしなければなりません。
子の氏の変更許可審判が認められたら、役所へ審判書と確定証明書を持参して届出をしましょう。
それにより、子どもの戸籍が親権者の戸籍に入り、姓も親権者と同じになります。
なお、親権者がその親の戸籍に入ったままでは子どもの戸籍を入れられないため、子の氏の変更許可申立をすると親権者は自分を筆頭者とする戸籍を編成することとなります。
児童手当の受取人変更
児童手当は、原則として父母のうち所得の高い方が受給者となります。
離婚により受給者の変更が必要であれば役所で変更の手続をしましょう。
行政から受けられる手当や制度利用の申請
所得が低い一人親には、行政から各種の支援が行われます。
- 児童扶養手当
- 住居手当
- 医療費助成
- 就学支援金
他に公共交通機関で割引を受けられたり、健康保険料の減免措置が適用されるケースもあります。
助成制度の細かい内容は自治体によって異なるため、どういった制度を利用できるのか役所で相談してみてください。
保育所や幼稚園の入所入園、転校手続き
離婚後働くなら、子どもを保育所へ入れたい方も多いでしょう。
一人親の場合、優先的に公立の保育所を利用できる場合もあります。
引っ越しによって幼稚園が変わったり転校したりするケースもあります。
状況に応じて、保育所への入所、幼稚園への入園や転校などの手続きを行いましょう。
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子連れの離婚で弁護士に相談するメリット
子ども連れで離婚をする場合、離婚について配偶者と具体的な話を進める前に弁護士へご相談ください。
Authense法律事務所の弁護士は、法律な解決にとどまらず、依頼者の気持ちの整理や感情に寄り添うことを信条としております。
弁護士への依頼に緊張したり不安を感じている方は、ぜひ一度Authenseの初回相談をご利用ください。
弁護士へ相談する主なメリットは次のとおりです。
自分の想いや希望が整理しやすくなる
離婚をしたいと考えても自分の意見がまとまらないことや、そもそも離婚へ向けた交渉で何を主張すべきかわからないことも少なくないと思います。
たとえば、離婚時には次の金銭のやり取りがなされることが多いものの、これらの区別がついていなかったり、離婚をすると常に「慰謝料」がもらえると誤解していたりすることも少なくありません。
- 養育費:未成年の子どもの教育や監護にかかる費用。親権を持たなかった側の親から親権を持った側の親に支払われる
- 財産分与:婚姻期間中に夫婦で築いた財産を、その名義を問わず原則として2分の1ずつに分けること
- 慰謝料:不貞行為やDVなど夫婦の一方に離婚原因がある場合に、離婚原因を作った側がもう一方に対して支払う精神的苦痛を慰謝するための賠償金
弁護士へ相談することで、自分の気持ちや希望が整理しやすくなるほか、離婚において配偶者と話し合うべきことが明確となります。
子連れ離婚へ向けた全体の流れが理解しやすくなる
子どもを連れての離婚を何度も経験することは稀であり、初めての経験である人が大半です。
そのため、何をどのような手順で進めてよいかわからないことも多いでしょう。
わからないまま、何ら準備や条件面の交渉をすることなく離婚届を提出してしまうと後悔することになりかねません。
弁護士へ相談することで、全体の流れを理解しやすくなり、今何をすべきなのか判断しやすくなります。
親権獲得へ向けたアドバイスを受けられる
親権の獲得は、たとえば母親であることのみを理由として当然に認められるものではありません。
自身が親権を獲得したい一方で、配偶者が親権は要らないという場合は特に問題にはなりません。
しかし、配偶者も親権の獲得を希望する場合は、どちらが子どもの親権をとるのか裁判上の争いにまで発展する可能性があります。
そのため、特に相手も親権の獲得を希望する可能性がある場合は、弁護士へご相談ください。
弁護士へ相談することで、親権獲得へ向けたアドバイスを受けることが可能となり、交渉を有利に進めやすくなります。
養育費や慰謝料などの相場を知ったうえで交渉に臨める
養育費や慰謝料には、それぞれその状況に応じて目安となる金額があります。
しかし、目安となる金額を知らなければ、どの程度の金額を相手に請求してよいのかわかりません。
なんとなくの金額で請求してしまうと、相手から「高すぎる」などといわれた場合に、明確な根拠を持って反論することが困難となります。
また、相場より低い金額であることに気付かず、相手の言い値で合意してしまうリスクもあります。
弁護士へ相談することで、そのケースにおける養育費や慰謝料の目安を知ることができ、目安となる金額を知ったうえで相手との交渉に臨むことができるようになります。
たとえ相場より低いことを知らなかったとしても、いったん相手と合意をしてしまうとその後合意を覆すことは困難です。
そのため、目安となる金額を確認する前に合意をしてしまうことは避けるべきです。
相手の不貞行為などが原因である場合、証拠集めについてのアドバイスが受けられる
離婚したいと考えるに至った理由が配偶者の不貞行為(性的関係を伴う不倫)などある場合は、たとえ配偶者が離婚に合意していなくても、離婚裁判によって一方的に離婚ができる可能性が高くなります。
また、婚姻関係を破綻させたことについて、配偶者や不貞行為の相手方に慰謝料を請求することもできます。
ただし、離婚裁判で離婚や慰謝料請求をするには、単に「怪しい」というだけでは足りず、不貞行為などの証拠がなければなりません。
証拠がなければ配偶者が言い逃れをする可能性が高いほか、たとえ裁判を申し立てても主張が認められない可能性が高いためです。
不貞行為など、相手に一方的な非があることを理由として離婚する場合は、あらかじめ証拠を集める必要があります。
弁護士へ相談することで、どのような証拠が必要となるのかなどについての具体的なアドバイスを受けられます。
離婚や慰謝料請求を考えている場合は、確定的な証拠を掴むまで、不貞行為に気付いていることを配偶者に悟られないようにしなければなりません。
なぜなら、不貞行為に気付いていることがバレてしまうと、配偶者が不貞行為の相手と会うことを控えたり、証拠となるLINE等のやり取りを削除したりして、証拠がつかみにくくなる可能性が高いためです。
離婚へ向けた本気度が伝わりやすくなる
離婚を切り出しても相手が本気であると捉えず、話し合いに応じなかったり、話し合いをのらりくらりと避けたりすることも考えられます。
また、時間が経つことでほとぼりが冷めると考えている場合もあるでしょう。
一方、弁護士に相談した旨を告げたり弁護士が代理で交渉することで、離婚についての本気度が伝わり相手との交渉を始めやすくなります。
調停や裁判に移行しても慌てずに済む
相手が離婚に応じない場合や離婚に関する諸条件がまとまらない場合は、調停や裁判に移行して解決を図ることになります。
調停とは、家庭裁判所の調停委員が当事者の双方から交互に意見を聞き、裁判官に相談しながら進行する話し合いの手続きです。
調停の成立には合意が必要であり、調停が不成立となった場合は裁判へ移行します。
離婚裁判では、諸般の事情を踏まえ、裁判所が離婚の可否や離婚条件について判決を下すことができます。
離婚調停や離婚裁判は民事事件であり、刑事事件のように、国や裁判官に罪を裁かれるようなものではありません。
とはいえ、裁判所での手続きに慣れていない人にとってはハードルが高いと感じやすく、緊張してしまうこともあるでしょう。
緊張した結果、自分の希望や主張をきちんと伝えることができないと不利となるおそれもあります。
一方、弁護士にサポートを依頼することで、調停や裁判に移行しても慌てずに対応しやすくなります。
また、調停や裁判になると平日の日中に何度も裁判所へ出向く必要が生じることから、相手が調停や裁判への移行を避けたいと考えることも少なくありません。
そのため、こちらが調停や裁判の申立てを辞さない姿勢で臨むことで、調停に至る前に合意が成立する可能性も期待できます。
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子連れの離婚で弁護士に相談するタイミング
子どもを連れての離婚について弁護士へ相談するのは、配偶者に離婚を切り出す前がベストです。
なぜなら、あらかじめ弁護士へ相談することで、離婚に向けて自分が希望する条件をあらかじめ検討しやすくなり、不利な条件で合意してしまうリスクを避けることができるようになるためです。
配偶者に不貞行為がある場合など、離婚を切り出す前に証拠を集める必要がある場合においても、弁護士への事前の相談がベストといえます。
また、弁護士へ相談することで、いざ話し合いがまとまらない場合に、弁護士への依頼がスムーズになることもメリットです。
子連れで離婚する際に注意すべき点
子どもを連れて離婚する際は、さまざまな点に注意しなければなりません。
主な注意点は次のとおりです。
資金計画を立てておく
子どもを育て、子どもと生活をしていくにはお金がかかります。
これまで特に家計の収入を主に配偶者が得ていた場合は、離婚後の資金計画を綿密に立てておくことをおすすめします。
具体的には、月々の収入と支出を洗い出し、生活していけるかどうかを検討します。
そのうえで、現在の収入では不足する場合は、転職をしたり親族から援助を受けたりすることも検討してください。
また、自治体によっては手当や助成金が得られることもあるため、これも確認しておくと安心です。
クレジットカードを作成しておく
これまで、配偶者の家族カードを使っていた場合など、自分の口座から引き落とされる自分名義のクレジットカードを持っていない場合は、離婚をする前にクレジットカードを作成しておくと安心です。
離婚後に気付いてクレジットカードを作ろうとしても、離婚をして家計の収入が減ってからでは希望どおりにカードが作れず、不便な思いをする可能性があるためです。
住居を手配しておく
子どもを連れて離婚をする場合は、住居の確保も重要となります。
実家に戻ることができる場合は、子どもと共に当面の間実家で暮らすことも検討するとよいでしょう。
実家に戻るのが難しい場合は、不動産会社に事情を話し、離婚後に借りられそうな物件のあたりを付けておくことをおすすめします。
離婚後の収入が不安定である場合、借りられる物件がすぐには見つからず、住居を決めるのに時間がかかる可能性があるためです。
また、離婚をする前に希望する条件を満たす賃貸物件を借りるためにかかる金額の相場を知っておくことで、離婚後の資金計画も立てやすくなります。
子どもの学校生活に配慮する
子どもを連れて離引越しをする場合は、可能な限り子どもの学校生活にも配慮してください。
特に離婚に伴い学区が変わる場合は、進学や進級のタイミングや長期休暇中での離婚を目指すとよいでしょう。
また、やむを得ず学期の途中で離婚をする場合であっても、テスト期間や部活の大会期間中など子どもにとって大切な行事を避けることをおすすめします。
離婚は子どもの生活や精神面に大きな影響を与える可能性があります。
子どもへの影響を最小限に抑えるため、時期などへの配慮が必要です。
まとめ
子どもを連れて離婚をする場合は、特に入念な準備と計画が必要です。
離婚後の子どもの生活を守るため養育費はしっかりと決め、公正証書にしておくことをおすすめします。
また、離婚後の生活資金や住居についてもシミュレーションを行い、状況に応じて転職や就職、自治体が設けている助成制度の活用、親族からの援助なども検討してください。
とはいえ、子どもを連れての離婚を1人で進めるのは、不安も多いことでしょう。
配偶者に離婚を切り出す前に離婚問題に詳しい弁護士へ相談して、必要な準備や相手に請求できる金銭などを確認しておくとよいでしょう。
Authense法律事務所には離婚問題を専門とする弁護士が多く在籍しており、子どもを連れての離婚についても数多くのサポート実績があります。
子ども連れでの離婚でお悩みの際は、Authense法律事務所までご相談ください。
離婚に関するご相談は、初回45分間無料でお受けしています。
Authense法律事務所が選ばれる理由
Authense法律事務所では、離婚問題について、豊富な経験と実績を有する弁護士らで構成する離婚専任チームを設けています。
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離婚問題を弁護士にご依頼いただくことには、さまざまなメリットがあります。
感情的になりがちな相手方との交渉を弁護士に任せることで、精神的なストレスから解放されますし、日常生活への影響も最小限に留められます。
相手方に有利な条件での示談や和解を要求された場合でも、弁護士に依頼することによって、過去の判例などを踏まえた対等な交渉ができます。
また、問題終結後に弁護士を通して合意書を作成しておけば、和解成立後に相手方から再び慰謝料を請求されたり、不貞行為の内容をSNSに投稿されたりといった事後的なトラブルを未然に防止することも可能になります。
私たちは、調停や裁判の勝ち負けだけではなく、離婚後の新生活も見据えてご相談者様に寄り添い、一緒にゴールに向けて歩みます。
どうぞお気軽にご相談ください。
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